トラ女

ことしもお世話になりました

寅年さいごの問題です

３人の裸女がトラを描いています

どこにいるか分かりますか　　？











　　　答　
裸女がかたどるトラ



「虎女悲恋」という愛の伝説が福島にあるらしく、掲載してみます。
　今から約千年ほど前、信夫山口の里の長者の家に美しい１６～７歳の虎女という娘がいた。
ある日、都から陸奥按察使として訪ね来た左大臣源融中納言が、虎女の家に泊まった。源融公は、古歌にもある信夫知摺を見ようと立ち寄っていた。公は接待に出た美しい娘、虎女に目をとめた。虎女もまた、都の貴公子の姿に目を奪われた。姿形の美しさばかりでなく、その優しくおおらかな心に虎女は、ひかれていった。源融公と虎女の心は、いつしか結びあっていたのである。しかし、公は都へ帰らねばならぬ身。虎女は涙ながらに公の袖にすがった。公も身の運命を悲しみつつも、優しく虎女をなぐさめ、やがて山口の里から去ってしまった。
　源融公の去ったあと、身もさかれるほどの悲しみが虎女の胸にこみあげてきた。せめてもの心の慰めは仏にすがって祈ることとて、文摺観音に百日の祈願をかけ、一心に祈ることにした。虎女は、毎日、麦の穂を鏡石の面にこすり、この面に恋いしい源融公の顔があらわれることを祈ったのである。日を積ねたが、彼女の願いは叶えられなかった。また、公からの便りもなく、彼女の胸は千々に乱れた。やがて満願の百日目がやってきた。
　この日、虎女は清水で身を浄め、観音堂に最後の願いをかけると、麦の穂を持って、鏡石の傍らに来た。最後の願いであると心に定め、石の面をこすると不思議にも、その面には、恋いこがれた源融公の笑顔があらわれ、虎女は岩にすがり泣きくずれた。自分の願いが叶い、百日の祈りが公にも通じたかと喜び身を震わせたが、公に会えない悲しみのあまり虎女は病の床についてしまった。
　都では、このことを知った公が大変悲しまれ、絹の織物に添えて一首の和歌を送ってよこされた。
　　「　みちのくの　忍もちずり　誰故に　乱れ染めにし　我ならなくにみちのくの　しのぶもちずり　たれゆえに 　みだれそめにし われならなくに　」
　この歌の意味は、
　「信夫摺の模様のように、私の心が乱れたのはいったい誰のためだろうか。それは貴女を思うからだ。私がおまえを慕う心は文知摺衣のように激しいものなのだ」と、いうことで、公が虎女に寄せる思いも虎女に負けぬほど激しいものであった。この歌をを詠んで、虎女の頬には、何日ぶりかで笑みが浮かんだ。「あの方はやっぱり私を思っていてくださったのだ」そう心に悟った虎女の喜びは、言葉に言い尽くせぬものがあった。
　しかし、それから間もなく虎女は公から送られたこの歌を抱きながら、そっと息をひきとった。虎女の魂は、遠く都へと飛んでいったのであろう。

好いお正月をお迎えください