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NHK「澪つくし」の原作だと思って読み始めると、別の著者・明野照葉の短編集だった。
「恐ろしさ」と「哀しさ」が漂い、じわりと胸に届く筆致に興味深く読み進めた。
タクシーに乗り込んだ女の指定した所は訪ねる地ではなかった。運転手は訪ねる場所に迷うことなく案内する❔❔❔
これは、こころを病んで徘徊する妻のためだけに走らせる「かっぱタクシー」。
この世とあの世が交りあう「三途BAR」。
まれびとの「ジェリーフィッシュ」。
無主無縁辻に吹く「つむじ風」。
アパートの一室に現れた「石室」。
渡ってはいけないという「彼岸橋」。
死の引導を渡す「雨女(うめ)」。
雨女の血を淡々と受け継ぐ「澪つくし」。表題作「澪つくし」は「雨女」の七年後の話
「雨女(うめ)」は、兄がガン宣告を受けた。その義姉の素性は親族にも伏されていた。婚姻時、弟は若かったこともあり気にしなかった。
夫の病気を自分のせいと言い続ける義姉だが、そんなことはないはずだ。兄の運命にほかならない。兄の病状がリアルに描かれる。
この短編の半分が過ぎた辺り、兄の死後に妻が古里に去り、その素性が気になって正体を明かそうと努めはじめる・・・。
1000年ほど前に義姉の一族が島に居ついた。それで「五木」と地元人に呼ばれた。
斎(いつき)つまり、斎場という言葉か示すように、死者を葬る意味あいをもつ。葬儀を司り、ついでながら墓守りもする。
浦辺という姓も、占いを生業とする一族は「占部」というではないか。
浦辺直系の女に特殊能力・霊力が備わり、日照り干ばつに苦しめられた島で雨乞いをして雨を呼び寄せる。それが千年も続いている。
相手の死のにおいを嗅ぐ。巫女、雨女(うめ)。
その雨女と一緒になった夫は必ず早死にするという。
雨女は亭主の生き血を吸うといわれている。「気枯れ」は「穢れ」でもある。
この「雨女」で1998年第37回オール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2000年『輪(RINKAI)廻』で第7回松本清張賞を受賞。高橋克彦の解説が次。
現代社会とは無縁と思われる習わしや言い伝え。その禁忌を破ったとき、平穏だったはずの世界が、恐ろしいものへと豹変する・・・。人の死にまつわる不思議な力を持つ家系に生れた女性の哀しみを描いた著者のデビュー作「雨女」、その続篇となる表題作など、哀しみと恐怖に溢れる8篇を収録した短篇集。
【 澪つくし 】
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Iina
「恐ろしさ」と「哀しさ」が漂い、じわりと胸に届く筆致に興味深く読み進めた。
タクシーに乗り込んだ女の指定した所は訪ねる地ではなかった。運転手は訪ねる場所に迷うことなく案内する❔❔❔
これは、こころを病んで徘徊する妻のためだけに走らせる「かっぱタクシー」。
この世とあの世が交りあう「三途BAR」。
まれびとの「ジェリーフィッシュ」。
無主無縁辻に吹く「つむじ風」。
アパートの一室に現れた「石室」。
渡ってはいけないという「彼岸橋」。
死の引導を渡す「雨女(うめ)」。
雨女の血を淡々と受け継ぐ「澪つくし」。表題作「澪つくし」は「雨女」の七年後の話
「雨女(うめ)」は、兄がガン宣告を受けた。その義姉の素性は親族にも伏されていた。婚姻時、弟は若かったこともあり気にしなかった。
夫の病気を自分のせいと言い続ける義姉だが、そんなことはないはずだ。兄の運命にほかならない。兄の病状がリアルに描かれる。
この短編の半分が過ぎた辺り、兄の死後に妻が古里に去り、その素性が気になって正体を明かそうと努めはじめる・・・。
1000年ほど前に義姉の一族が島に居ついた。それで「五木」と地元人に呼ばれた。
斎(いつき)つまり、斎場という言葉か示すように、死者を葬る意味あいをもつ。葬儀を司り、ついでながら墓守りもする。
浦辺という姓も、占いを生業とする一族は「占部」というではないか。
浦辺直系の女に特殊能力・霊力が備わり、日照り干ばつに苦しめられた島で雨乞いをして雨を呼び寄せる。それが千年も続いている。
相手の死のにおいを嗅ぐ。巫女、雨女(うめ)。
その雨女と一緒になった夫は必ず早死にするという。
雨女は亭主の生き血を吸うといわれている。「気枯れ」は「穢れ」でもある。
この「雨女」で1998年第37回オール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2000年『輪(RINKAI)廻』で第7回松本清張賞を受賞。高橋克彦の解説が次。
現代社会とは無縁と思われる習わしや言い伝え。その禁忌を破ったとき、平穏だったはずの世界が、恐ろしいものへと豹変する・・・。人の死にまつわる不思議な力を持つ家系に生れた女性の哀しみを描いた著者のデビュー作「雨女」、その続篇となる表題作など、哀しみと恐怖に溢れる8篇を収録した短篇集。
【 澪つくし 】
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調べたところ、
「みおつくし」とは漢字で「澪標」と書き、船の道、航路を示す標識になるのだそうです。
十分な水深があり、船が安全に通れることを示す杭でもあり、大阪市のシンボルマークに使われているのだそうです。
この小説は、怖いのですね。
偶然に発見されることが積み重なり、人類は大いに進歩してきました。それも、行き過ぎると傲慢になって神にでもなった気分で横暴を働く者が現れます。
歴史には終わりがあるとする「終末論」など、人類の叡智で乗り越えれると考える楽観論は通用しなさそうに思えてきました。
近々、昭野照葉著『澪つくし」に収められた短編の中の一篇「ジェリーフィッシュ」から次のブログ記事につなげます。
若い漁師の純愛を描く澪つくしは良かったですよ。
>アンテロープの子供を我が子のように育てていたという記事から笑撃に採りました。
アフリカ・ケニアのメスライオンが草食動物アンテロープの子供を我が子のように見守り育てたというこの画像は見ていてほほえましいです。