大根まつり

待乳山聖天まつちやましょうでんの大根まつりに出かけてきた。聖天様へお供物した大根をふろたきにし柚味噌がたっぷりかかって、フーフーしながらお神酒といっしょにいただいた。大根の真ん中だけをゆでるのでその両端が手土産についてきた。

縁起によると、推古朝の3年（595）に突然、待乳山が盛り上がり、金龍が舞いおり、六年後十一面観音が大聖歓喜尊天となってあらわれたとある。浅草寺の支院で、本当の名前を本龍院という。
本尊の大聖歓喜天だいしょう-かんぎてん（秘仏）を祀って、商売繁昌の福徳を授かると江戸時代から信仰され、隅田川の眺望がよく葛飾北斎、安藤広重など多くの絵師達によってよく描かれ、詩歌にも詠まれた江戸名所だった。

大根は清浄、淡白な味わいのある食物としてすべての人に好まれ、しかも体内の毒素を中和して消化を助けるはたらきがあるところから、聖天様の「おはたらき」をあらわすものとして尊ばれ、聖天様のご供養に欠かせないお供物とされる。そのお下がりを頂くことによって、聖天様のお徳をそっくり頂戴し、身体と、心の健康を得ることができるとか。さすがに農大のように大根をもって踊ることはなく、食べ飲むほうだったので歓んでいる。

大根まつりのくわしい様子


標高10㍍もない待乳山は、江戸の下町で一番高い山で、江戸を見渡すのに人気があったようだ。

お大尽が舟で隅田川を上ってこの待乳山から山谷堀にはいって吉原詣でたくらいだし、名も「乳を待つ」とあり、妖艶なるイメージを抱いていた。実際、待乳山聖天に祀る大聖歓喜天のルーツはインドのガネーシャ神。象頭人身の男天と女天が抱き合う姿が鮮烈だ。

古くに「真土山」とも書いたと知り、埋め立てではなく本物の真の土で形成された山であるようだ。また、浅草寺の観音様を投網で拾い上げた檜前浜成・竹成兄弟の郷長・土師真中知命(はじのまつちのみこと)の読み方が「まつちのみこと」なので関連があるのだろうか・・・?