もののはじめblog

コメント歓迎 ! 
必ずコメントに参ります by iina

罪の今昔

2010年02月27日 | 雑感
新聞のあるコラムが目を引いた。
『56歳の男が、84歳の母親の遺体を一人で山中に埋めた。
男は、死体遺棄で逮捕され、「金がなくて葬儀を出せなかった」と供述した。
男は、独り身で病弱な母親と2人暮らしだった。目の不自由な母親の手を引いたり目薬をさしてあげたり、近所では男の献身的な介護ぶりが知られていた。
昨夏に失職し、蓄えは底をついていた。
男にとって、遺棄というより弔いだったのではないか。
男は、内向的な性格で、近隣とのつきあいはほとんどなかったという。だが、周囲は同情的だった。「葬式ならみんなで出してあげたのに」。
警察の調べに「周りに迷惑をかけたくなかった」と繰り返したという男の孤独が、かえって際立った。』


一昔前、たとえば江戸時代のころなら事件になっただろうか。
野辺の埋葬は自然な営みであったと思う。むしろ、親を埋め墓をたてたことに、孝行息子といわれたであろう。
もちろん、山の持ち主がいれば、埋葬の了解を得る必要があったであろう。
親孝行とお縄(警察沙汰)になる落差は大きすぎる。
現在は、家庭内での病死も警察が検死して死因を検分しなければならない。
世の中が不穏な証左だが、仕方のないこととは申せ、このような事件は哀しい。





しかし、後日談がある。
弁護士が語るには「事件直後の彼は、人生をあきらめたような投げやりな態度でした」。それが、ある日を境に変わったという。刑の軽減を求める嘆願書が裁判所に提出されたことを知った日。
著名したのは地域の人や学生時代の仲間ら130人だった。
「ありがたい。申しわけない。」無口な彼が、振り絞るようにこう口にしたという。
地裁で、執行猶予付きの懲役刑が言い渡された。
コラムでは、孤立無援ではないと知った彼が、周囲の人たちと共にもう一度、母親を悼むことができればと、願う。と、結んでいる。
                     
[20日の読売新聞「NEWSなおにぎり」より]


過去1週間の閲覧数・訪問者数とランキング(日別)
日付        閲覧数  訪問者数    ランキング
2010.02.27(土) 2880 PV  382 IP  1818 位 / 1372902ブログ
2010.02.26(金) 2389 PV  442 IP  1550 位 / 1372403ブログ
2010.02.25(木) 2572 PV  522 IP  1366 位 / 1371875ブログ
2010.02.24(水) 2491 PV  462 IP  1495 位 / 1371377ブログ
2010.02.23(火) 2525 PV  450 IP  1710 位 / 1370878ブログ
2010.02.22(月) 2365 PV  443 IP  1725 位 / 1370366ブログ
2010.02.21(日) 2896 PV  486 IP  1371 位 / 1369877ブログ

過去3週間の閲覧数・訪問者数とランキング(週別)
日付               閲覧数   訪問者数    ランキング
2010.02.21 ~ 2010.02.27 18118 PV  3187 IP  1562 位 / 1372902ブログ
2010.02.14 ~ 2010.02.20 18767 PV  3164 IP  1602 位 / 1369427ブログ
2010.02.07 ~ 2010.02.13 17609 PV  3349 IP  1540 位 / 1366119ブログ

トータルアクセス数
閲覧 1,477,281 PV
訪問者 318,820 IP

コメント (7)    この記事についてブログを書く
« ムササビ猫 | トップ | 菜の花 »

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おはようございます (楽母)
2010-02-27 09:50:30
以前にも、車いすの母親を必死で介護していた息子さんが、お金もなくなって母親を手にかけた事件がありましたよね。
自分の手は母親の首を絞める為にあったのか・・・(著名曖昧でごめんなさい)という本も出ていたと思います。
その息子さんも真面目で大人しく内向的な性格だったと聞きました。
何度も繰り返してはならない事だと思います。 支援体制をしっかり確立させてもらわないと、今後もまだありそうな事ですから。
返信する
政治の貧困が招いた (鷲谷芝嵐)
2010-02-27 10:06:04
政治の貧困が招いた悲しい事件であろうとおもいます。
今後も同様な事件が起きる可能性はじゅうぶんあるでしょうね。
返信する
調べてみました (π)
2010-02-27 11:27:38
法的には、葬式はしなくてもよいそうです。
役所か火葬所に相談すれば、解決法がみつかったかもしれませんね。

現代では、
「死亡後あるいは死産後、24時間経たなければ、火葬も埋葬も行ってはならない。」
「火葬は火葬場意外で行ってはならない。」
「埋葬は墓地意外で行ってはならない。」

葬式も、最近は内輪だけの家族葬になったりしています。
返信する
罪の今昔 (motoko)
2010-02-27 16:49:55
今日は。
どこの国にも、貧富の差はありますね。
男の人が母親の介護は、大変だったと思いますが、隣近所のお付き合いも、いまは変わっています。
介護制度の充実を、願ってしまいます。
繁栄の日本?でしたが、社会情勢も悪く、
貧窮に苦しんでいる人は、増えてしまうかもしれません。
いろいろな問題を、投げかけている事件ではないでしょうか。
返信する
Unknown (銭無のとっつあん)
2010-02-27 22:59:47
非常に難しい問題です。

「法」は法なのでしょうが、「法」は、ある意味相対的な解釈で変わっていきます。
法を犯すことは、決して良いことではないのですが、粋な計らいでした。

これは、政治がどうのこうのと言う問題以前に、自分たちの社会を自分たちの手で自分たちにあったものにしていかなければならないのです。
簡単なことは、あいさつ運動や声かけ運動から始めれば、昔のような隣近所の連携の取れた社会になっていくことでしょう。

アクティブシニアの力を発揮する時かも…。
返信する
コメントに 春よこい (iina)
2010-02-28 09:33:46
(楽母)さん へ
雪国では豪雪なのに、他では反対に暖冬ですね。
日本全域あるいは世界全域では、雪ないし雨の降り方は均一なのだと聞いた
ことがあります。正確なところは不明ですが、そんな風に俯瞰するとエコの
話題はなくなってしまうし、よくわかりません。

日々の暮らしが、イベントに刺激されて潤うのはうれしいです。
少ないときは、自分で創りだして愉しみをもちたいです。
いよいよ、オリンピックもちかく終幕です。



(鷲谷芝嵐) さん へ
芝嵐邸前の雪の降り具合が、ひとめでわかります。
しかし、雪は季節感に節目させる貴重な演出者です。
雪を自然と置きなおせば、なおさらです。
自然が豊かであって欲しいものです。



(π) さん へ
何時いかなる時代でも、このような不幸は落ちこぼれてしまいそうです。
ただ、核家族化が進んで葬式の様式は変容していきそうな予感がします。


返信する
コメントに お礼 (iina)
2010-02-28 12:35:59
(motoko) さん へ
ブリは、富山でよく口にしました。
11月下旬から12月中旬にかけて、富山湾沿岸に冬の稲妻が走るのを鰤起こしといいます。
これが鳴ると、ブりがとれはじめるといわれます。魚ヘンに師なのは、師走に捕れる魚
だからでしょうか。
冬の北陸は雲が重く垂れているので、雷の音は凄まじいです。たしかに「冬の稲妻」は
存在します。



(銭無のとっつあん)へ
蒸しパンは、おいしそうです。玄米パンのようです。
これはコーヒーをお供に食べるのでしょうか。

「バカヤローの日」があるなんておかしいですね。
法は万人に等しく、自身を守り縛るものですから、例外はそれなりに納得できるものでなければと思います。
返信する

コメントを投稿

雑感」カテゴリの最新記事