お父さんのマリポタ日記。
マリノスのこと、ポタリングのこと。最近忘れっぽくなってきたので、書いておかないと・・・
?



※湊かなえ(1973年広島県生まれ。2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。同作を収録したデビュー作「告白」はベストセラーとなり、09年本屋大賞を受賞。12年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、16年「ユートピア」で第29回山本周五郎賞。18年「贖罪」がエドガー賞(ベスト・ペーパーバック・オリジナル部門)にノミネート。著書に「未来」「落日」「カケラ」「ドキュメント」など)



●登山描写がリアルすぎる

 日々の思いを嚙み締めながら、1歩1歩、山を登る女たち。通過したつらい日々は、つらかったと認めればいい。山頂から見える景色は、これから行くべき道を教えてくれる。全4編を収録した書き下ろし連作小説。

 え? 湊かなえさんて山女だったのか。登山描写がリアルすぎる。

 朝日新聞のインタビューによると、学生の頃から山に親しんできたが結婚を機に遠ざかる。そしてデビュー作「告白」がベストセラーとなると「外出すらままならない生活でした」。そこで考えたのが「山を舞台にした作品の取材」を名目にすること。編集者に掛け合い、11年に北アルプスの白馬岳で再開。以来、執筆の合間を縫って山行を重ねてきたという。なるほど。うまくやったね。

 これを読むと山に上って山頂からの絶景を拝みたい気持ちが湧いてくるけど、ガレ場も鎖場もいやだし、垂直に近い岸壁にへばりつくことも、つま先が数センチひっかかるだけのわずかなくぼみに足を乗せることも、カニのタテバイ(何のことだか分からないが)もできるはずがない。もう66歳だもんね。指先の力もないし、体力も続きそうもない。でも、五竜岳も槍ヶ岳も剣岳も上ったような気分になった。「続」から読み始めてしまったが、NHKでテレビドラマ化もされた最初の「山女日記」も読んでみたいね。「山ガール」じゃなくて「山女」ってものいい。

 4編の中では表題作ではなく、「立山・剣岳」が良かった。きっとこうだろうなと思う展開そのままに話が続くけど、それが逆に共感を覚える。そして意外性たっぷりだけど「いや、そうだね。これしかないよね」というラストシーン。泣けるね。

 山は標高が上がるにつれていろんな意味で別世界になっていくんだろうね。下界のことなんか忘れちゃえって(^o^) まあ、それは自転車のヒルクライムも同じだけど。だからその楽しさは分かるよ。

コメント(0|Trackback()