※内舘牧子(1948年秋田市生まれ、東京育ち。13年半のOL生活を経て、88年脚本家としてデビュー。テレビドラマの脚本に「ひらり」「毛利元就」(1997年NHK大河ドラマ)など。武蔵野美術大学客員教授、ノースアジア大学客員教授、元横綱審議委員、東北大学相撲部総監督。著書に「終わった人」「今度生まれたら」など)
●すぐには死ねないねぇ(^_^;
10年前に実年齢より上に見られてショックを受けた忍(おし)ハナは「人は中身より外見を磨かねば。そこらのバアサンになりたくない」と一念発起。ナチュラルよりアンチエイジングと精を出した結果、78歳の10年後に60代に見られた上、シニア向け雑誌のグラビアに掲載されるまでになるのだが…。小気味いい語り口(というより毒舌)でテンポ良く進む、まさに痛快な「終活」小説。2018年8月講談社より刊行。21年8月の文庫化にあたり一部を加筆・修正。
「平均寿命まで生きたとしても先はない。せいぜい10年足らず。ならばあと10年を好きに生きて何が悪い。犯罪以外は何をやってもいい年齢だろう」とハナは幸せを感じていたが、夫が急逝してからは「いつ死んでもいい」と気が沈み始める。「夫に死なれ、生きる意味も先もないバアサンに、やる気がでないのは自然のことだろう」。ところが、とんでもない事実を知ることで物語は急展開していく。ここからが面白い。そこらのバアサンじゃないパワーがみなぎり始め復活していくのだが、心はなぜか年相応に穏やかになっていく。すぐには死ねないねぇ(^_^;
「年を取れば誰だって退化する。鈍くなる。緩くなる。くどくなる。(中略)身なりにかまわなくなる。なのに『若い』と言われたがる。孫自慢に、病気自慢に、元気自慢。これが世の爺サン、婆サンの現実だ」。あ〜、いったいいくつ当てはまるんだろう。近所のスーパーへはジャージーで行ってるし、まだ65歳なのにもう立派なそこらのジイサンじゃないか。
ハナの長女のブログでの人生相談の一節に面白いのがあったので紹介。。
「32歳の女性です。4つ年上の夫が生活費も入れず、趣味のロードバイクで一人で遊び回っています。2歳の子供がいるので、何度も言ったのですが直りません。でも別れたら暮らせません」
その回答。
「すぐ別れなさい。一生直りっこありません。そんなバカ男と人生、無駄にする気ですか。別れたら暮らせないって、今だって生活費入れてないなら同じです」
内館さん、ロードバイクにお金がかかることをよくご存じで(^_^;
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