お父さんのマリポタ日記。
マリノスのこと、ポタリングのこと。最近忘れっぽくなってきたので、書いておかないと・・・
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※永井紗耶子(1977年神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部卒。新聞記者を経てフリーランスライターとなり、新聞、雑誌などで幅広く活躍。2010年、「絡繰り心中」で小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。2020年に刊行した「商う狼 江戸商人杉本茂十郎」は細谷正充賞、本屋が選ぶ時代小説賞、新田次郎文学賞を受賞した。2022年、「女人入眼」が第167回直木賞の候補作に。2023年、「木挽町のあだ討ち」で第169回直木賞、第36回山本周五郎賞受賞。他に「大奥づとめ よろずおつとめ申し候」「福を届けよ 日本橋紙問屋商い心得」「横濱王」など。)



●たった1行に「やられた!」

 睦月晦日の戌の刻。雪の降る中、木挽町の芝居小屋裏手で赤い振袖をかずき、傘を差した一人の若衆が大柄な博徒を相手に「父の仇。尋常に勝負」と名乗りを上げ、見事仇討ちを成し遂げる。首級(しるし)を上げた若衆が宵闇に姿を消したその2年後、ある若侍がその顚末を聞きたいと木挽町を訪れる。芝居者たちの話からあぶり出される真相は…。『小説新潮』掲載を書籍化。

 見事な「起承転結」。「起」は「木挽町の仇討」を描いたたった1ページ。「承」は2年後に木挽町を訪れた若侍が木戸芸者、立師、女形、小道具、そして筋書らから「木挽町の仇討」の様子と、それぞれの来し方を聞いて回るシーンが延々と続く。「幇間」「御徒士(おかち)」「隠亡(おんぼう)」など興味深い話が出てくるが、これがどう結末につながっていくのかまったく想像できない。このまま終わっちゃうとちょっとだるいな。これが直木賞? と疑問に思いながら読み進む。ところが、終盤のたった1行に「やられた!」と腰を抜かすことになる。まさに「転」。表紙にあるタイトルをもう一度見直し「そういうことか!」。そこから「結」はもう一気。まるで映画の「スティング」のよう。面白過ぎる。

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