チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

人類の雑食性の獲得と地理的拡散 

2016-05-16 08:14:36 | 選択

 多元的全体食のすすめ(三)           食べ物研究家 五十嵐玲二談

 3. 人類の雑食性の獲得と地理的拡散

 人類は、家族を単位として食べ物を獲得して、それらを分け合って、食べる動物である。特に家長である父親は、家族の安全を確保し、家族を飢えから守るという、使命を負わされている。

 ゴリラの家族(群れ)のリーダーである、シルバーバックも、家族の安全と食べ物が確保できるテレトリーを確保する使命をになっている。

 人類が二本足歩行を獲得し、火を手に入れ、言葉を手に入れ、石器を手に入れた時代に、乾季や冬など、季節的な変動飢餓と、数年に一度の飢餓が、襲ってきたであろうと考えられる。

 この飢餓に対して、大きく二つの戦略が考えられる。その一つは、食べ物があるところに、移動することである。事実、人類はアフリカから、ユーラシア大陸の拡散し、さらにベーリング海を渡り、北アメリカ、中南米を経て、南米大陸の南端まで拡散している。

 さらには、小船によって、南太平洋の島々にまで、拡散していった。これは、グレートジャーニーと呼ばれている。しかし、アフリカからユーラシアへ、ユーラシアから北米へと、冒険心で渡ったわけではない。

 常に、最も弱い家族(集団)が、飢えから逃れるために、押し出されるように、危険に耐えながらの決して、帰ることのない旅であったと考えられる。

 飢えに対するもう一つの戦略は、食べ物の種類を多様化することである。人類は飢えとの戦いで、他の動物の食べ物を観察し、それらを食べて試してみたと考えられる。ただし、草食動物が食べる草のセルロースは消化できないことを経験的に、知っていたと考えられる。

 特に、イノシシや熊などの雑食性の動物の食べ物は、試してみたと考えられるほど、彼らが好んで食べるもののほとんどを、人類は、火や石器や道具を使って、食べ物としている。

 ここで、人類の食べ物の全体像を見てみよう。

 食べ物 ――― 植物界

        ┃― 動物界

        ┃― 菌界  麹、乳酸菌、酵母菌、納豆菌

        ┃― 天然塩、岩塩     に大きく分類される。

 天然塩や岩塩は、鉱物のようにみえるが、生物は海で誕生したため、海水から、水分を除いたものと考えられ、水を飲むことによって、海水の成分となります。

 

  植物界 ――― 穀物 (イネ科)  米、小麦、とうもろこし、大麦、サトウキビ、モロコシ

         ┃― 豆類  大豆、ヒヨコ豆、インゲン豆、エンドウ、落花生

         ┃― イモ類  ジャガイモ、サツマイモ、キャッサバ、サトイモ、長芋

         ┃― 野菜  果菜類、茎菜類、葉菜類、根菜類、

         ┃― 海藻  コブ、ワカメ、ノリ

         ┃― キノコ  エノキ、ぶなしめじ、しいたけ、マイタケ

         ┃― 果実  仁果類、核果類、穀果類、柑橘類、常緑性果樹、熱帯果樹、その他落葉性果樹


  動物界 ――― 牛、豚、羊、鶏、牛乳、卵

         ┃― 魚、甲殻類、軟体動物

         ┃― カキ、ホタテ、シジミ、アサリ、ホッキ

         ┃― 蜂蜜、蜂の子、イナゴ


 このように、人は、粟や黍から、マンモス、鯨まで食べ物としてきた。 (第3回)