忙中閑あり。横浜美術館に「長谷川潔展」を観に行った。
横浜生まれで、1918年から1980年までパリに住み、活躍した版画家である。
版画、大好き!
(時期が同じ頃、やはりパリで制作していた浜口陽三のカラーメゾチントも大好きな作品だ)
初期の頃の木版による文芸雑誌の表紙や挿絵、堀口大学や日夏耿之介らの詩集の表紙など、大正デモクラシーのモダンな感覚に始まり、渡仏してからの、エッチングやドライポイント、メゾチントといったさまざまな技法を用いての西洋風な線や題材が、どこか懐かしく心に響いてくる。
特に大好きなのが、1950年代以降の自然や草木、鳥などがモチーフとなった作品群。
マニエール・ノワールという、写真が登場してからはすっかり衰退した技法を復活させ、新しい作風として昇華した技法によるもので、漆黒の中に深い陰影や繊細な色彩によって静かな空間が表現されている。
そんな中で、昭和37年の作品の鳥を見ていたら、数年前(もっと前かな~?)まで実家にあったテーブルクロスが思い出されたのであった。
それは、格子状に織りのある薄いブルーのわりと大きな四角い布の四隅に、葉っぱをくわえた鳥とそれを取り囲むように草花が刺繍してあるもので、その刺繍をしたのは、母親だったか中学生頃のワタシだったか・・・・。
昭和30年代に発売されたクリスマスカードや年賀状の原画となっている作品は、どれもこれも、子供の頃か、もっと後に復刻版かなにかで見た覚えのあるものがたくさんあって、多分、長谷川潔の版画作品は、ワタシの”遠い記憶”に結びついているのだなあ~。
展示作品の中でも、とりわけ美しかったのが、制作に7年かけたという仏訳「竹取物語」の挿絵。
そうなんだよね。
文化を大切にするフランスは、納得するまで妥協しない。
イメージ通りの表現をするために、手間ひま惜しまず、喧嘩しながらでも、時間をかけて、いいものを作り出そうとする。
その結果が、時代を経ても感動を生み出す芸術となるのだろうな。
今回の「長谷川潔展」は、実はもともと予定されていたロシア「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」に変わって開かれた企画展だというが、ワタシ的にはとても印象深い展覧会でありました。
●生誕120周年記念 長谷川潔展
6月26日(日)まで横浜美術館で開催中
http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2011/hasegawa/
横浜生まれで、1918年から1980年までパリに住み、活躍した版画家である。
版画、大好き!
(時期が同じ頃、やはりパリで制作していた浜口陽三のカラーメゾチントも大好きな作品だ)
初期の頃の木版による文芸雑誌の表紙や挿絵、堀口大学や日夏耿之介らの詩集の表紙など、大正デモクラシーのモダンな感覚に始まり、渡仏してからの、エッチングやドライポイント、メゾチントといったさまざまな技法を用いての西洋風な線や題材が、どこか懐かしく心に響いてくる。
特に大好きなのが、1950年代以降の自然や草木、鳥などがモチーフとなった作品群。
マニエール・ノワールという、写真が登場してからはすっかり衰退した技法を復活させ、新しい作風として昇華した技法によるもので、漆黒の中に深い陰影や繊細な色彩によって静かな空間が表現されている。
そんな中で、昭和37年の作品の鳥を見ていたら、数年前(もっと前かな~?)まで実家にあったテーブルクロスが思い出されたのであった。
それは、格子状に織りのある薄いブルーのわりと大きな四角い布の四隅に、葉っぱをくわえた鳥とそれを取り囲むように草花が刺繍してあるもので、その刺繍をしたのは、母親だったか中学生頃のワタシだったか・・・・。
昭和30年代に発売されたクリスマスカードや年賀状の原画となっている作品は、どれもこれも、子供の頃か、もっと後に復刻版かなにかで見た覚えのあるものがたくさんあって、多分、長谷川潔の版画作品は、ワタシの”遠い記憶”に結びついているのだなあ~。
展示作品の中でも、とりわけ美しかったのが、制作に7年かけたという仏訳「竹取物語」の挿絵。
そうなんだよね。
文化を大切にするフランスは、納得するまで妥協しない。
イメージ通りの表現をするために、手間ひま惜しまず、喧嘩しながらでも、時間をかけて、いいものを作り出そうとする。
その結果が、時代を経ても感動を生み出す芸術となるのだろうな。
今回の「長谷川潔展」は、実はもともと予定されていたロシア「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」に変わって開かれた企画展だというが、ワタシ的にはとても印象深い展覧会でありました。
●生誕120周年記念 長谷川潔展
6月26日(日)まで横浜美術館で開催中
http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2011/hasegawa/