田 秋信老師の「太極十三勢(推手)講習会」は、二日目だけの参加であった。
基本練習の、ポン、リー、ジー、アン、ツァイ、リエ、ジョウ、カオは、鄭州で陳正雷老師から教わったことがあるが、北京の田 秋信老師のそれは微妙に違うところがある。
一番の違いは、足(つま先とかかと)の踏み替えがあることと、腰が緩むと共につま先が開くことだ。
足の踏み替えをハッキリする練習は、素早い動きが出来ることに繋がる(手の形は、大体同じ)。
①まず最初のポンは、両手を緩めて左から右に腰を緩めつつ、斜め方向に右足を踏み出してポンするが、腰がどんどん右に緩むに従って右つま先が開く(陳家溝式では、つま先は動かさない)。
②次に、リーで引き込む時は、後ろの左腰が緩むに従って体重が前から後ろ(左)に移動し、右つま先が中に入り、後ろ足に寄せる(上足底が軽くついてる)。
③寄せた右足をかかとに踏み替えて今度は左足を斜めに踏み出して、斜めから(円を描くように)ジーをする。この時も同様に、左の腰が緩むに伴い、左つま先は左に開く。
④アンに入る前に、②と同様に体重を後ろに移動しながら一度両手を開いてから、合わせるように足を寄せ、右足を前に踏み出して、両手を前足の膝の上に、アンで押さえる(この時の膝は、くるぶしの上。膝がそれより前に出ないように、と何度も注意された)。
⑤次のツァイは、そのまま反対の左足を斜めに踏み込んで、腰をどんどん緩めて両手はその方向に引き込むような流すような感じ。
⑥リエは、②の足の運びで、腰を使って両手で外に発する(感じ)。
⑦同様に、②~③の足の運びで右足を踏み込んで、右ジョウ(肘)の発勁。
⑧カオは、右足を後ろ(左足)に寄せて、つま先かかとの踏み替えをはっきりやって、後ろ向きになり、右足を踏み込んで背中から腰全体で発勁。両手は力を抜いて前に(後ろに膨らんだ分、手は前に膨らむ)。ここは陳家溝式と大きく違うところだった。
それをやって、後はひたすら技の掛け方の練習(詳しくはいつか次回)。
最後にやった活歩練習では、①足を一度軸足に引き付けたら、②すぐに着地して体重を移動し、③反対の上足底をちょんとついて、④それをかかとに踏み替えて、⑤反対の足を踏み込んで、⑥前に踏み出してカオ。これをゆっくり練習したら、素早く踏み込んで発勁(カオ)の練習。
やってて思い出した。
これって、一番最初に陳家溝の王西安老師のところに習いに行った時、毎日練習した動作と同じだ!
もう30年くらいも昔のことになるが、宿泊した鄭州のホテルの埃っぽい従業員食堂で、毎日毎日午前中はこればっかり。。。。
お陰ですっかり喉をやられて、夜は咳込んで眠れず。。。
その次の回からは、うがい薬と喉の鎮炎剤を欠かさず持って行くことになったのであった。
田 秋信老師は王 西安老師と同じくらい身体が大きくて、全体が丸い膨らみがあるが、動作は軽やか。発勁は一瞬で、重くない(素早い動作の見本の時は、軽々と踏み込んでたヨ!)。
実際に老師の動きを自分の目で見て、その場の空気を感じて、触らせてもらって、技をかけてもらって(すっごく痛かったけど!)、やっと陳式”推手”がイメージできた、って感じ。
云われているように”ゆっくりの動作は、素早い動作のための練習”ということを再認識しました。
(いっつも再認識ばっかり!)