izumishのBody & Soul

~アータマばっかりでも、カーラダばっかりでも、ダ・メ・ヨ ね!~

この数ヶ月で感銘を受けた本3冊

2019-06-14 13:46:07 | 本と雑誌

高校時代から大学時代にかけては、毎日毎日、ヒマに任せて読書三昧。。

日本文学全集は中学時代に読み切り(ほとんど理解してなかったと思う)、高校時代は毎日1冊は読破。夜、ベッドに入ってからもスタンドの灯りで読書読書。。。そのせいで(?)、大学に入学して最初の視力検査では「はい、一歩前に出て」。一番上の大きな文字が見えなかったのでありました(!?)。

懲りずに、大学時代は演劇サークルやジャズ研で遊びながら、やっぱり読書読書。。

 

好きな作家の本は集中して読み漁るタチだが、一方で、知らないジャンルの本も多々あり、最近は雑誌は新聞の書評欄を読んで興味を引かれた本をAmazonで買うことが多い。のであるが、「銀座6」で本がズラーッと並ぶ「蔦屋書店」を見るとやっぱりワクワクする!装丁が美しくて思わず手に取る本もあれば、興味のあるジャンルで面白そうな本を見つけることもある。手に取ってパラパラとページをめくって「これ買って行こう!」と思っても、何冊もはムリ。本は重いのだ。

で、この半年くらいの間で読んだ本のなかで面白かったが以下の本3冊。

「渦〜妹背山婦女庭訓 魂結び」大島真寿美著/文藝春秋

江戸時代の大阪・道頓堀を舞台に、浄瑠璃作家・近松半二の生涯を描いた本である。

小さいころから浄瑠璃小屋に入り浸り。成長して大人になってからもただひたすら浄瑠璃のことしか考えられず周囲からは「阿呆ぼん」と呼ばれ、母親には疎まれていた近松半二。歌舞伎に押されて人気が陰ってきた浄瑠璃を「妹背山婦女庭訓」という比類なき名作によって再び活気を取り戻す。半二が仲間の力を得てああでもないこうでもないと新作を産み出すその場の様子は、生と死、虚と実を捲き込んで激しくうねる”浄瑠璃”という渦の中にみずから身を投じて、そこから何かを掴み出そうとする狂気と紙一重の情熱。まるで眼の前でこの作品が生まれるその場に立ち会っているかのような高揚を感じる。これを読むと人形浄瑠璃(今は文楽と言われることが多いようだ)を観たくなる!

2018年1月号から11月号まで「オール讀物」に掲載され、2019年3月10日発行の新刊ホヤホヤ。

追伸:6月17日の新聞によると、「渦」は今年の直木賞候補になったとのこと。ホントに面白いから!

 

・「若冲」澤田瞳子著/文春文庫

これは以前にも書いたが、1月の投薬入院中に、病院の図書室で見つけて読み耽った文庫本。伊藤若冲の生涯を虚実ない交ぜにしながら、若冲のあの絵がどうして生まれたのか!?に迫る物語である。もう一度じっくり読みたくて、退院後、買ったのであった。

同時代の画家達ー池大雅、与謝野蕪村、円山応挙らとの交流や当時の時代から、他とはまるで異なる若冲が描いた作品が生まれた背景に、”愛”を据えて、史実にはない「妻がいたこと。その妻が、家業を顧みずに絵を描くことに没頭する若冲に絶望して(?)自死したこと」によって自分を責めつつ、若冲を姉の仇と憎み若冲の贋作を描き続ける義弟との確執。。。。

こちらも、文字と画という違いはあっても、何かに取り憑かれたように自分の中のものを表現しようと葛藤する人間の激しい心を描いている。「史実としての発見はなくとも、若冲にはまちがいなく愛した女がいた」という上田秀人氏の解説も力強く暖かい。

2016年にこの作品で第5回歴史時代作家クラブ賞作品賞と第9回親鸞賞を受賞。「この時代小説がすごい!」単行本部門1位、直木賞候補にもなっている。読んでいてワクワクドキドキ!の本だ。

 

それにしても「渦〜」といい「若冲」といい、後生に残る素晴らしい作品は、作者の膨大なエネルギーと一念とそれを抱えて潰れない強さから生まれてくるのだなぁ〜。それがどうやって生まれてきたかを描く作家の情熱も素晴らしく大きいものだなぁ〜。。と感服するばかり。読み始めると途中で止まらない!

 

・「1日3時間だけ働いて おだやかに暮らす ための思考法」山口揚平著/プレジデント社

がらっと変わってこちらはノウハウ・ハウツー本になるのか・・・と思いながら、何となく手に取って目次を見たら、テーマは”思考法”!

本文から気になる箇所を引くとーー

・物事を理解するとはその輪郭を明らかにすること
・本質を見抜く

・自分の武器が微細であるほど、様々な選択肢への応用力が増す。

・「何でも出来る」「何でもやってみよう」と言う姿勢が大事である

・天才性の拠り所は、4象限に分けられる・・・算数・・理科・・国語・・社会

 

算数、理科、国語、社会については、まだ小学生だった姪に、それら基本の4教科は何のために勉強するか?を語ったことがあったので、まさにそうそう!それそれ!! 

一番共感したのが、あとがきにある以下の部分だ。

「・・・幸せとは物量のことではなく一体性のことである。人と心がつながったとき、もしくは期待と実態が一致しているとき、人は幸福を感じられる。安くて狭い4畳半だったが、私の期待はそれ以下だったということだ」

著者の山口氏は、2020年以降の社会を見据えながら、人としての幸福はどこにあるか?を考えることを勧めている。思考を中心に据えて社会活動を見れば、これから先の時代が見えてくる。幸せとは何か?も含めてこれまでの価値観が変わる予感もある。

2019年3月1日発行。

 

 

 

 

 

 

 

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