SOMPO美術館で開催中の「川瀨巴水〜旅と郷愁の風景〜展」。SOMPO美術館は新宿西口にある。。。西口地下広場を抜けて歩く。。。かなり抵抗があったけど、それよりもポスターに載っていた「馬込の月」と題された作品の静けさとなんともいえない懐かしさを感じて、よっし!行くぞ!西口へ!の大決心(!?)。
新宿西口である。コロナ下どころか、ここもうウン十年も、新宿駅に降りていない。。湘南新宿ラインが通ってから横浜から新宿は近くなったとはいえ、あの混雑・雑踏の中を歩くのはコロナ下でなくても行きたくない場所だ。
大学を卒業して始めて就職したハナエモリグループの流行通信編集部は、新宿東口の「森英恵モードサロン」店の上階にあった。大田区南馬込の実家から、五反田〜新宿、と山手線に乗って通勤だったが、この区間の山手線外回りはそれほどの混雑はなかった。大田区は東京の南の端。実家を中心としたワタシの行動範囲は東京都内では銀座、渋谷まで。新宿に行くよりも横浜の方が感覚的に近かった(それに東京と言っても馬込は大田区の端、田舎なのだった)。
で、今回の「川瀨巴水〜旅と郷愁の風景〜展」である。
川瀨巴水は大正から昭和にかけて多くの作品を残した木版画家。「朝、夕、夜、水、雲などに取材した静的な世界を私は愛する」という言葉通り、日本各地を歩いて描いた「旅みやげシリーズ」や「東海道風景選集」「日本風景集」等々、特別な観光地ではないさりげない風景を木版画に残している。
中でも好きなのは、「東京十二題」、「東京二十景」、「新東京百景」など東京の折々の風景を描いた作品。山王、駒形、井の頭、深川、愛宕山・・・芝大門、弁慶橋、築地本願寺、日比谷公園・・それに大田区の千束(洗足)池、池上、矢口、大森海岸・・・。どこもかしこも、かつて一度は歩いたことがある場所の、大正時代から昭和初期頃(今から100年ほど前)の風景。懐かしいなぁ〜、である。
川瀨巴水は馬込に住んでいた時期があるとのことで「馬込の月」は、北馬込の三本杉を描いたものとか。実家にとっても近い!(”三本杉”というバス停があったような気がする。。)
馬込は”馬込文士村”と言われるように、関東大震災後から昭和の初め頃まで、画家、彫刻家、作家達が多く住んでいた地域。子供のこととて知ってる文化人といっても三島由紀夫、北村透谷、林芙美子、川端龍子くらいだったが、帰ってから小学校時代の同級生から大田区の郷土博物館で文士村に住んでいた文士達の交流が分かる展示があったことを聞いて、遅ればせながら”馬込文士村”と言われる所以を知った次第。
東京生まれには故郷といえるところはないと思ってきたけれど、川瀨巴水展を観て、馬込がまごうことなき故郷なのだなぁ〜、と思った日でありました。
新宿駅西口は高層ビルの風が吹いて寒いところだ。見終わったらさっさか湘南新宿ラインに乗って横浜に戻りましたとさ。
■川瀨巴水〜旅と郷愁の風景〜展
会期:10月2日(土)〜12月26日(日)
場所:SOMPO美術館
https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2020/kawasehasui/
「馬込の月」〜北馬込の三本杉。多分ネ
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