先週の15日(月)は福岡在住のKさん宅へお伺いしての「AXIOM80」(以下、「80」)の試聴会だった。
メンバーはS(福岡)さん、自分、そしてKさんの3名。いずれも「80」を現用している愛好者であり、Sさんは現在東京へ単身赴任されているが、3連休を挟んでまとまった休みが取れたとのことでようやく今回の企画が実現した。
自分にとってKさん宅は2回目だが、Sさんには始めての機会となる。予定どおり13時過ぎに無事落ち合ってさっそく試聴開始。
同じスピーカーを別の家で試聴させてもらうのは実に参考になるが、今回も例外ではなかった。我が家の音と比べると全体的に音楽が生き生きと鳴っている印象を受けた。
「前回聴かせてもらったときよりも、一段と良くなったような気がしますよ」と、自分。
「あの時は数年間寝かせていた80を引っ張り出したばかりなので、エージングが足りなかったと思います。ようやく本来の音を出してくれるようになりました。」と、Kさん。
Sさんも「我が家と同じフルレンジ方式にしては随分と低音域が豊かに鳴ってますね」とつぶやかれるほどだった。
ちなみに、日頃から東京在住のSさんにこの機会とばかり伺ってみた。
「地方に住んでいると、最新の超弩級スピーカーを聴く機会がまったくありません。その点、都会は随分恵まれていると思いますが、実際に80と聴き比べてのご感想はいかがでしたか?」
「ノーチラスやアヴァンギャルドなど、いろんなスピーカーを聴きましたが、総じて80ほどの繊細さには及びませんでした。独特のツクリからしてこれは空前絶後のスピーカーだと思いますよ。」
「やはり、そうですか」これで、ひと安心(笑)。とはいえ、「贔屓の引き倒し」になってもまずいので、これだけは言っておくが「80」だって欠点はいろいろある。その欠点を目立たないようにして、長所を引き出すのが使いこなしということになる。
さて、Kさん宅の「80」の鳴らし方に興味を引かれて、仔細にエンクロージャーを拝見すると、「80」を鳴らすときの定番であるARUがついていた。
「ARUって何?」と訊かれても説明が難しいが、SPユニットの背圧緩衝器とでも言えばいいのだろうか。
「百聞は一見にしかず」で先日(7月4日)、試聴させてもらった「うきは市」のKIさん宅のARUが次の写真。
正面バッフルの下部に一定のスペースを設けて独特の網目を持った金網に前後からフェルト地を挟んであるだけの簡単なツクリ。このARUによって背圧に微妙な抵抗を与えて「80」の響きを程良い加減にしている。普通よく見受けるバスレフタイプのように背圧を逃がすために簡単にバッフルの前面に穴を開けているのとはわけが違う。
まったくE・J・ジョーダンの天才的な着想には今さらながら感心する。
この日は4時間ほど「80」を堪能させてもらったが、その間ひたすら我が家の「80」との音の違いを頭に刻み込みつつ、帰り道で対策を考えながら我が家へ一目散。行きはドライブがてら一般道を利用したので2時間40分かかったが、帰りは高速だったので1時間30分で無事到着。
さあ、改めて「背圧の逃がし方」に大いに触発されて、その翌日(16日)は朝から我が家の「80」の「背圧」調整に取り掛かった。
KさんやSさん宅のようにフルレンジで鳴らすのと違って、我が家の「80」は独自にエンクロージャーを作り、別途に低音用ユニット(2発)を配置しているのでおそらく世界でただ一つの組み合わせのはず。
したがってマニュアルや教科書がまったくないので前人未到の大地を開拓するがごとく、実に気持ちよく素人なりの創意工夫を発揮できる(笑)。
現在、使用中の「80」の裏蓋は次の写真のように、背圧を適当に逃がすために直径1センチ大の沢山の穴を開けたものを用いているが、今回はもっといいものを選択しようという魂胆である。内部には吸音材として羽毛を詰め込んでいるが、その量も調節しなければなるまい。
オーディオは理屈をいくらこね回しても、実際にやってみないと分からないというのが、我がオーディオ歴のささやかな結論である。「音の世界」はあまりにも理論の前提となる要件に変数が多いので、すべて解析的に説明が出来るのは無理というのがその理由。
というわけで「理屈はほどほどにして、とにかく行動優先」。今回もいろんな実験をやってみたが、はたして吉と出るか凶と出るかはお楽しみ~。
以下、次回へと続く。