先日の試聴で少なからずショックを受けた湯布院のAさん宅でのウェスタンの「555+15Aホーン」の音。
その点、我が家の「Axiom80」は繊細な表現力が売り物でウェスタンにはない良さがあり、そっくり真似しようとは思わないし、もちろん真似もできないが、ああいう「野太い音」に少しでも近づけるようなチャレンジはやってみたい気もする。
そこで、数日後「Axiom80」を収納しているエンクロージャーをもっと容量の大きいものに入れ替えてみるとどんな音がするんだろうかと試してみることにした。
SPユニットはエンクロージャー次第で音が激変するのは、オーディオマニアならご存じのとおり。それに、使いだして4年ほどになるがいまだにこの「じゃじゃ馬ユニット」を十分に乗りこなしている気がしないのも(エンクロージャー交換の)動機の一つ。
この「Axiom80」(イギリス)については大半の方がご存じないと思うが、今からおよそ50年ほど前の真空管アンプ全盛時代に作られたユニットで当時のオーディオ専門誌でも好評を博し、オーディオ評論家の瀬川冬樹氏(故人)が愛用されていたことでも有名だった。
「本領を発揮したときの繊細で、ふっくらした艶やかな響きは絶品!」とあるのだが、同時に「使いこなすのには相当の力量が必要だ」とある。
「相当の力量」という言葉には、ちと耳が痛いが自分にとってはやはり今でも両肩にずっしりとのしかかる、ちょっと重荷に感じるユニットである。
具体的に言うと「繊細さ」には満足しているものの、「ふっくらした艶やかな響き」を十分手に入れている感じがどうしても持てず、とても本領発揮とまではいっていないのが実状。
今回のチャレンジはこのあたりへのアプローチでもある。
幸い、以前に「リチャードアレン」用のエンクロージャーを自作していたので、今回はそれに収納して鳴らしてみることにした。したがって「リチャードアレン」は当分の感「お払い箱」である。
相変わらずネジを開けたり、締めたり、「ハンダ付け」などの作業が2時間ほどで終了して、ワクワクしながら「音出し」したところ悪くはないが期待したほどではなかった。
ど真ん中に来る絶好球みたいな録音のCD盤を2日間ほど聴いてみたが全体的にのびやかな響きではなく窮屈そうな印象がする。ボックスの容積も大きくなり吸音材として詰め込んだ「羽毛」の量も増えたのにあまり功を奏していない。
やはり「Axiom80」は密閉エンクロージャーだと「呼吸不全」に陥るようで、背圧をうまく逃がしてやる工夫が必須。
市販のエンクロージャーだってバスレフにしたり、バックロードホーンにしたりといろいろ背圧を逃がす工夫をしているが、やはりこの辺が吸音材の使用と併せて自家製エンクロージャーをうまく使うポイントである。
そこで再度チャレンジということで、今度は裏蓋に1㎝口径の穴を沢山開けてみることにした。市販のボックスだと、とてもこんな思い切ったことはできないが、なにしろ自作なのでうまくいかなければ同じサイズと材質の板を買ってくればいいだけの話なので随分と気が楽である。
次の写真のように左右両方の裏蓋に124個の穴をドリルで開けてやった。
これで聴いてみたところ、全体的にごく自然な雰囲気になり「ふっくら」感が以前よりも増したのには驚いた。
もっと裏蓋の穴の数を増やすとどうなるか、試してみたい気もするが今回はこの辺で打ち止めして、今後の楽しみ事項に取っておくことにした。
「まあ、これでひとまず成功」といきたいところだが、最近、オーディオ仲間の奈良のMさんから「システムの一部をいじったときは2週間ほど時間をかけて、じっくり判断をすべきですよ」というありがたいメールをいただいたことを思い出した。
これは日頃、(自分の)ブログをご覧になってお気づきになったことなんだろうが、どうも自分は「気ぜわしい性格」なのか性急に結果を求める癖があるようだ。
今回はしばらく慎重に様子を見て判断することにしよう~。