前々回の「・・リピートのお客様」からの続きです。
およそ1年ぶりに再度お見えになった「YO」さん。何しろ遠く離れた岡山県からだから、そのご熱心さには頭が下がります~。
午前中は我が家の音を聴いていただき、午後はフルートを演奏されるオーディオ仲間のYさん宅に移動するという日程である。
「生の音に優る音はない」というが、日頃から生の音に接しているYさんがはたして自宅でどういうシステムを組んでおられるのか、「ぜひ聴いてみたい」というたってのご要望である。
で、我が家にお見えになった第一のお目当ては「AXIOM80」なので、今回はこのスピーカーに絞って聴いていただいた。
はじめに「ハフナー セレナーデ K250」(モーツァルト)を聴いていただいたが、ポツリと一言「これは音楽鑑賞用の音ですね」。
どうやら「周波数レンジなどにこだわったオーディオ的な音ではなく、音楽を愛好する人が鑑賞する音」という微妙なニュアンスが込められているように受け取った。
で、肝心の「YO」さんといえば・・、仮に「オーディオ愛好派」と「音楽愛好派」に分けるとすれば、後者に該当される方とお見受けした。
その証拠に、ハフナーを聴いた後に「ピアノを聴かせていただけませんか・・、ケイト・リュウが2015年のショパンコンクールで弾いた名演があります」
ケイト・リュウって誰?
シンガポール出身の女流ピアニストだそうで、このコンクールでは「3位」に入賞した実力派だという。
さっそく「You Tube」をググったところ、出てきました!
はじめに「アンダンテスピアナートと華麗なる大円舞曲」と本選(ファイナル)での「ピアノ協奏曲第1番」を始めから終わりまでじっくり鑑賞した。
前者は、筆舌に尽くしがたいほど「下降旋律」が極めて美しい・・、クラウデイオ・アラウのCDを持っているが、これに優るとも劣らない名演だと思った・・、なによりも「歌心」が感じられる。
「ケイト・リュウってなかなか素敵ですね・・」「ハイ、私は反田恭平さんよりも好きです。」
ほう・・、今を時めく反田(そりた)さんを引き合いに出されるくらいだから、かなり こだわり の人ですぞ~。
さて、音楽の好みはかなり一致する気風を感じたが、音の好みの方はどうかな~(笑)。
という流れで、まずはピアノの中低音域の充実感にご不満を述べられたので「それではDACをエルガー プラス」に代えてみましょうか・・。
プリアンプのスイッチ一つで簡単に切り替えたところ、「こちらの方が断然好きです。音に厚みが出てきました。まるでアンプが変わったみたいです」
「エルガー プラス」未だ健在なり!(笑)
ちなみに、今回使用したアンプは「WE300Bシングル」だったが、中高音域の美しさにかけては我が家のアンプ群の中でピカ一だが、その反面
中低音域から低音域にかけての厚み にやや欠ける傾向があるので、その辺を指摘されたのだろう。
磁界とは無縁の珍しい「銅板シャーシ」と、「インプット」と「インターステージ」のトランスは希少な「UTC」だから泣く子も黙るはずですぞ・・(笑)。
音楽もオーディオも話は尽きない感じであっという間に時間が経ってしまいお昼時となった・・、我が家で昼食を済ませてから13時にYさん宅へ向けて出発。
閑散とした街路を縫って10分ほどで到着。
当日、写真を撮り忘れたので昔の写真で失礼します・・、基本的には変わっていないと思います。
ご挨拶もそこそこに、さっそくCDを聴かせてもらったところいきなり目の覚めるような鮮烈な音が迸(ほとばし)った。
これは凄い・・! 「我が家の音は鮮度を第一にしています」とのYさんの言葉に思わず頷いた。それに広大な周波数レンジに裏打ちされているのでこれでは不満の出ようがない(笑)。
「5ウェイ」なのにチャンデバを使わず、マイカコンデンサーを多用してネットワークを組まれているので、あの蒸留水みたいな無味乾燥な音から見事に脱しているのが特筆すべきこと。
それにしても、これまでたびたび聴かせてもらった中で最高の音だと思ったが、この日に備えてずいぶんチューニングされたのかな・・(笑)。
YOさんもとても満足されたご様子で「静岡県の 音の館 田中さん宅の音に似てますね・・、Sさん宅(我が家)の音とは対極的な音です」
たしかに‥(笑)。
これから、我が家の音を聴きに来られる方は「Yさん宅のシステム」とセットにした方が良さそうで、両方聴かれると心行くまで満足されるはず・・、Yさんにはご迷惑だろうが~(笑)。
さて、これから岡山に向けて帰途に就かれるそうなので後ろ髪を引かれる思いで2時間ほどでYさん宅を辞去した。
我が家に戻ってから、「また、お見えになってくださいね~、今度はもっと改良しておきますから・・」と、クルマが見えなくなるまで手を振ってお見送りした。
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