ブログの話になるが、2~3日おきの更新をこまめに続けていると、「よく話の種が尽きませんねえ」と知人から言われることがある。
「いいえ~、ときどきネタ切れで困ることがありますよ」と返しているが、オーディオ関連の記事にはあまり困らないものの、その合間になるべく“畑違いの記事”を挟むことにしているのがやや苦痛の種になっている。
オーディオばかりの連続記事だと「専門バカ」と思われそうなので、ちょっと意識して変化を持たせているわけだが、たとえば最近の記事では「スターリン回想録」(2014.1.19)、「原発 ホワイトアウト」(2014.1.26)といったやや“お堅い内容”のがそう。
しかし、このことがまったく予想だにしない逆転現象を引き起こしていることに気が付いた。
実を言うとこれらの記事の方が本家本元の「オーディオ関連の記事」よりもアクセス数が多いのである(笑)。
以前から娘や一部の知人に「オーディオ関連の記事はサッパリ分からない」と言われて久しいが、このことが改めて裏付けられた感じ。7年以上もの歳月をかけてコツコツと獲得した大切な読者の方々だが、もしかしてオーディオ以外の記事を楽しみにしている方が多いのかもしれない。
この現象をあえて言わせてもらうと「二枚目志望の役者がたまたま三枚目役を演じたところ思いもかけず人気が出てしまった」ような複雑な気分。
一般的に自分の適性は分かっているようで、実は分かっていないものだ。もとより雑学大好き人間なので「博覧強記」は望むところ。なるべく読者のご期待に添えるようにこれからはちょっと幅広い視野の記事を心がけた方がいいのかもしれないと思う今日この頃。
そういえば、ブログを始めた頃はもっとオーディオ以外の記事が多かったことを思い出した。
そこで当時の作風を知ってもらう意味で、ここ2~3日やたらにアクセスが多い過去記事を紹介させてもらおう。
それはおよそ5年前の2008年12月16日にアップした「女性指揮者 西本智美」という記事。
この1月27日付のアクセスでは記事閲覧数の第3位として50PV、28日付では52PVと過去記事にしては珍しいほどの過熱ぶり。おそらく「西本智美」さんに関わる最新ニュースがあり、興味のある方々がググってみた結果だろう。
当時の記事は、「グー」(ブログ・ブロバイダー)の一方的な仕様変更のためメチャ小さい活字になっているので、きっと読みずらいに違いない。そこで大きな活字への変更を兼ねて以下のように再度アップさせてもらうことにした。
実を言うと、ネタ切れだったのでこれで1回分の記事が助かった(笑)。
古い読者の中には当時の記事の内容を覚えている方もきっとおられるに違ないと思うが、どうか悪しからず~。
それでは以下、「女性指揮者 西本智美」を再掲します。
ずっと以前のブログで「女性指揮者が育たないのはなぜ」というテーマについて書いたことがあり、そのときに参考にさせてもらったのが女流ピアニストでエッセイストでもある「青柳いずみこ」さんの次の著作。
☆ 「ピアニストは指先で考える」(2007.6.5 中央公論新社刊)
この本の中に次のような“くだり”がある。重複するが紹介させてもらおう。
『指揮者希望のある女性(ピアニスト)が知り合いの管楽器奏者に(指揮者になるための進路を)相談したところ、「ダメ、ダメ、あんたには胸に余計なものがついている、そんなものを”ゆさゆさ”させられた日にゃ男どもは気が散ってしょうがない、やめとき、やめとき」』という逸話。
女性指揮者の弱点(?)というか、どうしようもない性差についてまことに言い得て妙で思わず吹き出してしまったが、その後に「西本智美さんなどは宝塚の男っぽいカッコイイスーツに身を包み全然”ゆさゆさ”させていないように見えるが・・・」という著者のコメントがあった。
そのときに「フーン、女性指揮者が全然いないかと思っていたら“西本智美”(にしもとともみ)さんという人がいるんだなあ~」と何気なしに記憶の片隅に留めていたところ、つい先日、テレビ番組のチェックをしている中、ふとその名前が目にとまった。
期 日 2008年12月13日(土)午後10時~10時30分
チャンネル BSデジタル181「BSフジ」
番 組 名 「辰巳琢郎のワイン番組」指揮者の西本智美とワイントーク展開
都会と違って地方では「西本智美」さんなる指揮者を実際に拝見する機会はまずないといっていいし、少なくともごくごく限られている。どういう人かしらんと興味しんしんで早速番組予約。
そして、録画した番組を観たのが15日の月曜日。
「辰巳琢郎」も随分と”締まり”のない顔つきになったなあと思いながら(自分のことはさておいて!)観ていると「西本智美」さんが颯爽とテーブルを前にして立っておられた。「オッ、なかなか”いける”じゃん!しかし気が強くて冷たそう」というのが第一印象。
もっとも、指揮者というのはただ指揮棒を振ればいいというものではなくて楽団員への管理能力が問われる大変な仕事。
これも以前のブログに取り上げたが長いことNHK交響楽団の指揮者だった岩城宏之さん(1932~2006)の著作「いじめの風景」によると、音楽芸術の世界でさえも「指揮者=管理職」、「オーケストラ団員=部下」という構図が成り立ち「叱り方の難しさ」や「逆に楽団員からいじめられる指揮者の実例」などが紹介されていたが、やはり女性指揮者であっても「男勝りの部分」も必要とされるのは当然。
番組中の西本さんによると自分の性格を「思いっきりがいい、竹を割ったようなと、いいつつも意外と中からモチが出てくるといったような”しつこさ”がある」との自己分析だがさもありなんと思う。
日本には年間わずか3ヶ月ほどしか居ないとの話だったが、古今東西、名を成した女性指揮者をまず見聞したことがないので今後の活躍が大いに興味あるところ。
なお、この際だから彼女についてネット情報を漁ってみた。
まず「ウィキペディア」から。
1971年生まれで大阪市出身。大阪音楽大学作曲科卒業。国立サンクトペテルブルク音楽院に留学。28歳のデビューから37歳までロシアを拠点に活躍。指揮台での美しい姿から公演チケットがバックアップステージ側から売れてゆくという。
阪急宝塚線で大学へ通っていた頃は宝塚音楽学校の生徒たちから上級生と間違われよく挨拶をされていた。
なお、スキャンダラスな記事もちらほら。個人のブログの記事なので真偽の程は確かめようがないが、2007年夏季の「週刊朝日」に「西本智美の虚飾」との見出しで記事が掲載されたという。(未確認)
中身は、同性に対する性的嫌がらせ、虚言、経歴詐称などだったそうだが、どうせ有名税のひとつだろうし個人的な問題がどうあろうと指揮者の本分は指揮棒を振って芸術の本質に迫ること。
一度西本さんが指揮する音楽を聴いて女性指揮者としてのセンスを探ってみたいものだ。