「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

読書コーナー~クリーンカー・ウォーズ~

2007年05月31日 | 読書コーナー

「クリーンカー・ウォーズ」(2007年4月、中央公論新社刊)は自動車メーカーが資源の無駄遣いとCO2の排出量を減らすため、高い燃費効率のクルマづくりのため日夜奮闘している姿をリアルに描き、21世紀に生き残る自動車会社の条件を浮き彫りにした本である。

著者長谷川洋三氏は「日本経済新聞」の記者として、長年、世界の自動車産業を追いかけてきたベテラン・ジャーナリスト。

この10年間に地球温暖化現象は予想を超えるスピードで進んでいるが、運輸部門の中で自動車が最も多くのCO2を排出しており、その削減効果が地球環境保護に与える影響は大きい。

市民一人ひとりができることから始めようと決意したときに、まずその一歩は環境にやさしいクルマ選びを念頭に置くことは当然のこと。

そこでメーカーはどんなクルマ作りを目指しているのか最新の動向を追ってみよう。

トヨタ
自動車の環境問題はトヨタ抜きでは語れない。ハイブリッド・カーで世界を席巻しており、何といってもプリウスの開発効果が大きかった。しかも、着実に改良を重ねて進化しており、レクサスなど幅広い車種にも戦列を広げている。

今後の環境総合戦略は次のとおり。
・自動車用代替燃料では全車両がバイオエタノール対応済みとのこと。
・電気自動車(EV)で家庭用電源で充電できる「プラグイン・ハイブリッドカー」の研究に着手。燃費は現在のハイブリッドよりも半分ぐらいになる。
・欧州を中心としたディーゼル対策として、「いすず」と提携。3年以内に「クリーンパワー、トヨタ独自のディーゼル」を謳い文句に新車を開発予定。

ホンダ
福井社長は2006年9月に今後「ディーゼルカーでリーダーシップをとる」と発言した。
・3年以内に新型ディーゼルエンジンを搭載した乗用車を排出ガス規制の厳しい米国で発売予定。
・究極のクリーン・カーとして燃料電池車の実用化にも取り組んでいる。2010年に技術開発段階が終了。2015年には商品化の予定にメドが付く。すでに次世代燃料電池車「FCXコンセプト」の走行公開を実施。(ただし、今のところ1台1億円の代物)

GM(アメリカ)
「ハイブリッドはあくまでも通過点」として「プラグイン・ハイブリッド・システム」を最優先の計画として位置づけ。コンセプト・カーとしてリチウムイオン電池を搭載した電気自動車を2007年デトロイト・モーターショーで一般公開。

フォード(アメリカ)
ハイブリッド車で日本車に対抗しつつ、エタノールを中核にした代替燃料戦略や「プラグイン・ハイブリッド」など幅を広げた戦略で独自性を見出そうとしている。

ダイムラー(ドイツ)
ディーゼルカーが世界的に増えるのは時代の趨勢になっているので、ブルーテック技術により対抗する戦略を鮮明にしている。コモンレール直噴方式で騒音や排気ガス、走りを大幅に改善したことが大きい。この方式の圧力センサーは日本の長野計器が大きく貢献。今後、ダイムラー社はこの技術にさらに磨きをかけていく方向。

さらに、次の5つのステップを志向している。
①内燃エンジンの最適化 ②従来型燃料の改善 ③バイオ燃料 ④ハイブリッド車 ⑤燃料電池車は2010年以降としている。

BMW(ドイツ)
技術開発でも独自の哲学を貫いており、液体水素を燃料にガソリンを併用した水素自動車の開発に力を入れている。「ハイドロジェン7」を2007年3月から欧米で売り出し、日本でも2007年夏からの販売を予定。最長6ヶ月のリース方式。

以上が主要なメーカーの動向だが、近年のガソリン価格の高どまりの中で、燃費の良さ、環境への配慮、走りのよさ、居住性、衝突したときの安全性、ステータス、車両価格の問題などクルマに求めるものは人によっていろいろあるが、結局これらが総合的に高い次元でバランスが取れたものが勝ち残っていくクルマになるのだろう。

いずれにしても、ハイブリッド、ディーゼルともに過渡期の方式であり、究極は電気自動車のようだ。そこで、タイミングよく2007年5月29日の読売新聞朝刊に「2030年までに電気自動車普及」の見出しが目を引いた。

経済産業省の発表によると産学官が連携して現在1台1000万円の価格を30年までに300万円に引き下げ、1回の充電で走行可能な距離も現在の100kmから500kmに伸ばす目標を盛り込んだとのこと。

電気自動車となると随分先の話で自分にはどうやら縁がなさそうだが、目先の話としてあと2~3年でクルマを乗り換えようと思っているので、これからの省エネ自動車の動向には目が離せない。

                      







 

 

 


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魔笛視聴コーナー~DVDの部~♯13

2007年05月29日 | 魔笛視聴コーナー~DVDの部~

DVD番号       UCBD1047/8(2枚セット)
収録年         2006年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合     A-    
荘厳 、華麗ではあるが盛り上がりに欠ける魔笛      

指揮者      A-     リッカルド・ムーティ(1941~    )

管弦楽団     A-     ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

合唱団      A-     ウィーン国立歌劇場合唱団

ザラストロ     A+    ルネ・パーペ

夜の女王     A+     ディアナ・ダムラウ

タミーノ      A-     ポール・グローヴス

パミーナ      A-    ゲニア・キューマイアー

パパゲーノ    A-     
クリスティアン・ゲアハウアー

演出・舞台装置  A+

音    質    A+ 

上映時間     本編176分、特典約10分

2006年7月、ザルツブルク音楽祭におけるライブ収録である。

手持ちの43セット中、最新の魔笛ということで、一流の歌劇場、音質、舞台装置、演出は申し分のないもので、ウィーン・フィルもいつもどおり。

歌手陣のうちザラストロ役(バス)のパーペはアバド盤、そして夜の女王役(コロラトゥーラ・ソプラノ)のダムラウもデイヴィス盤でそれぞれ実力を証明済みでこの二人は今のところ最高の配役だろう。

なお、DVD盤のジャケットの配役紹介でパパゲーノ役が最上位に記載されていたがこういう例は珍しい。よほどネーム・バリューのある歌手なのだろうか。それともこの歌劇で一番重要な役どころとして暗示したのだろうか。

そういえば、タミーノ役とパミーナ役は初めて聞く名前で両方とも歌唱力にそれほど不足はないのだがどうも経験不足のせいか余裕が感じられない。しかもマッチングが理想的とは言えず視覚的にもピタリとこないし何よりも劇中での役どころの存在感が希薄な印象を受ける。

ある本に「ムーティは大したことのない歌手を使いたがる」とあり、「有名歌手を意のままに従わせるのが難しいのだろう」とあった。

とにかく、この歌劇の主役中の主役であるべきこの二人が劇の展開の中で華として脚光を浴びる存在になっていないのがこのDVD盤の最大の弱点。したがってどうしてもクライマックス感に乏しい。これ以外にもメルヘン的要素と楽しさがもっと欲しい気がする。

あとはパーフェクトといっても良い印象だったが、結局、盛り上がり感に欠けるのが致命的だと思ったので総合A-。

なお、ムーティ指揮のモーツァルトのオペラは、フィガロの結婚、ドンジョバンニ、コシ・ファン・トィッテを持っているがいずれのオペラとも自分の心に響いてくるものがなかったのでもともとこの指揮者とは相性が悪いのかもしれない。

                        

                                      パミーナ役




 

     

 

 

 

 


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魔笛視聴コーナー~DVDの部~♯12

2007年05月26日 | 魔笛視聴コーナー~DVDの部~

DVD番号     OA0886D
収録年       2003年

評価
(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合     A+   音楽、演劇、豪華な舞台装置による上質の魔笛

指揮者       A+   
コリン・デイヴィス(1927~  )

管弦楽団     A-    コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団

合唱団       A-       同上 合唱団

ザラストロ     A-   フランツ=ヨーゼフ・ゼリヒ

夜の女王     A+    ディアーナ・ダムラウ

タミーノ       A-   ヴィル・ハルトマン

パミーナ      A-    ドロティア・レシュマン

パパゲーノ     A-    サイモン キーンリーサイド

演出・舞台装置  A+

音    質     A-

上映時間     185分(本編164分、字幕英語)

ロンドンのコヴェント・ガーデン王立歌劇場でのライブ収録で、演劇の面からも音楽性の面からも上質の魔笛だった。

音質の方はややこもった印象を受けるのが玉に瑕だが、セパレーション、奥行き、清澄感いずれも及第点で、加えてこの歌劇場にふさわしい豪華な舞台装置と非常に手の込んだ演出によりまるで夢のようなメルヘンの世界に誘われる。

序曲の最初の和音が鳴り響いたときに、1984年のCDの音が蘇ったが、指揮者デイヴィスは19年間のブランクを感じさせず、むしろ上回るほどの出来栄えで、リズムとテンポが実に快調でオケも大編成で良く鳴っており、厚み、多彩な管楽器(使い方が実にうまい!)、大太鼓の迫力、スケール感いずれも会心の仕上がりだろう。

近年の古楽器的演奏に影響を受けることもなく、まったく彼独自のスケールの大きい堂々とした魔笛ワールドともいうべき世界を築いていて、円熟の境地に達しておりやはり当代最高のモーツァルト指揮者といわれるだけのことはある。

歌手陣も、現代最高の歌手達がそれぞれの役柄にピタリと収まって最高の力量を発揮した印象だ。DVDの場合、容姿の面が無視できないので歌唱力が二の次になるケースが多いがこれほど粒がそろった歌手陣も珍しい。

パミーナ役のレシュマンはアバド盤(CD)では感情過多が目立ち、この盤でもややオーバー気味のところもあるが抒情味溢れる歌唱だった。魅力を引き出すのも指揮者の手腕だろう。

魔笛のDVD盤は本当にピンからキリまであるが、これはベストの部類に入り映像、音質、演出、舞台装置、音楽性のいずれをとっても今のところこれ以上の魔笛は必要がないと思うほど。

なお、このデービス指揮の魔笛は2007年4月30日未明にNHKBS2の「クラシック・ロイヤルシート」で0:55~4:30まで放映された。もちろん、自宅で最高画質・音質のXP(32)のハイスピードでDVD3枚に亘って録画したので早速このDVD盤との比較試聴を行った。

画質の差はそれほど感じなかったが、音質の差は歴然としていた。1枚に収録した市販のものと3枚に分けて収録したものとの差は明白でBS放映を録画した方がずっと良かった。

事前に放映が分っていれば高いお金を出してDVD盤を購入することもなかったのに!

                     
                      王立歌劇場        パパゲーノとパミーナ     

                 
        夜の女王の登場      ザラストロの登場       エンディング
         










 

 


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釣り紀行♯1~釣り開始~

2007年05月24日 | 釣り紀行

現在の生活スタイルを振り返ってみると、読書、音楽・オーディオ、ブログ、そして運動ジムにおける運動習慣などに明け暮れており、どうもインドアの活動に偏りすぎているようだ。自分の経験ではこういう状況が続くと精神衛生上良くなくて近視眼的傾向に陥る気味がある。

人間は原始時代の遺伝子を引き継いでいるので、もっとアウトドア、つまり太陽の光を浴びて自然に触れ合う必要があるかもしれないということで再び魚釣りを始めることにした。季節もよくなってきており、早起きも苦にならずということで海の新鮮な空気を満喫しながら獲物も期待できて一挙両得である。

魚釣りは、小さい頃からの趣味でこれまで間断なく続いており、40歳台前後には、独自の工夫で釣りの仕掛けに開眼し、いっそ仕事をやめて漁師になろうかと思うほどのめりこんだ。自分で言うのもおかしいが何せ凝り性なのである。

クロ釣り(学名:メジナ)にかけては我ながら名人と思っており、手の平大のクロだが一日に100匹以上釣ったことが数回ある。そのときは単純に考えて獲物を観光地・別府の飲食店にさばけば生活していけるかもしれないと思い、当時の上司との相性も含めて仕事上のストレスがたまり真剣に仕事をやめようかとさえ思った。

結局そのときは、妻の反対で仕事を辞めることは出来なかった。こうした経緯もあって釣りに対する思い入れは一方ならない。

さて、日曜日に釣り場をじっくりと偵察に行き、現地の波止場の空気を吸って雰囲気が良かったので水曜日にいよいよ決行することにした。

当日は、快晴で4時30分に起床し自宅出発は5時30分。丁度7時に釣具店に到着。予約して解凍しておいたオキアミ、アミを添加剤とよく混ぜ合わして、車に詰め込み船着場に到着したのが7時30分。

渡し舟の出発が7時45分で、それから離島までが15分。波しぶきを浴びながら小さな船に乗っている気分が実に何ともいえない。とにかく天地無法の開放感に浸される。

自分の居住地である別府は海岸線が豊富なので沢山の釣り場があるのだが、不思議なことに地元で釣りをする気にはどうしてもなれない。釣りをするということは、日常の生活圏を離れるということであり、少なくとも車で1時間以上運転しないとその気にならないのだからどうも自分という人間は経済的な人種ではないようだ。

島の波止場の馴染みの場所に着き、釣りの開始は8時15分。結構風が強くて釣りづらい。30分ほどマキエをしたがクロが全然浮いてこない。しばらく来ていない間に釣り場の状況が変わった様子。まだ、時期が早すぎるのかもしれない。仕方がないので、浮き下を一ヒロ半ほどの深めにして釣り始めたところ、アジがかかりだした。

20cm前後でなかなか型もよいので、あっさりアジ狙いに切り換えることにした。初志貫徹のクロ狙いをあっさり放棄して非常に現実的な路線を選択するのがモットー。結局6時間ほどでアジが38匹、メバルが3匹、クロが1匹だった。帰りは14時10分の船で帰還。

自宅に帰りついたのは高速道路を利用したおかげで16時10分。早速、釣り道具を水洗いした後、お隣に早朝の騒音(車庫のシャッター音、自動車のエンジン音など)をお詫びする意味でアジを進呈。珍しいものではないが新鮮なので結構喜ばれた。

釣りはなかなか奥が深いところがあって、仕掛け(釣り針の大きさ、ハリスの細さ、錘のうち方、浮き下など)の微妙な調整やマキエの打ち方などで釣果が一変する。新しい仕掛けを工夫したときはスリル満点である。

久しぶりの釣り再開のこの日はこれだから釣りはやめられないという楽しさを満喫するとともに、いずれ寿命が尽きるときは燦々とした太陽のもと、波止の上で大往生を遂げるのも悪くはないなどと思った。 

                

2007年5月23日(水) 天気晴れ 海上の風かなり強し

釣り時間:8時15分~13時40分

場所:S市O島大荒代

汐:小潮 干潮:12:20

ツケエ:オキアミ(小粒)、サシアミ、ゴカイ

マキエ:オキアミ1角、アミ4角(うちエサ取り用3角)

集魚剤:チヌパワー、米ぬか(エサ取り用)

タックル:さお(7m50cm)、  浮き下:一ひろ半

釣果:アジ38匹、メバル3匹、クロ1匹

メモ:さお、ウキの選択、錘の打ち方に反省点あり、次回のときには修正要
 

 

 


 

 


 


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魔笛視聴コーナー~DVDの部~♯11

2007年05月22日 | 魔笛視聴コーナー~DVDの部~

DVD番号        DLVC1182
収録年          2000年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合    B-   全て亘って今ひとつで、DVDによる販売資格を有していない

指揮者      B-   ドミニク・トロタン

管弦楽団     B-  フランス歌劇青年管弦楽団

合唱        B-  サン・セレ・フェスティバル合唱団

ザラストロ     B-  マルコス・プジョル

夜の女王     A-  アリーヌ・クタン

タミーノ      B-   アンヘル・パソス

パミーナ      A-  イザベル・ブルナール

パパゲーノ    B+   アルノー・マルゾラーティ

演出・舞台装置  
B-

音    質    B-

上映時間    149分

2000年のフランス・サン・セレ音楽祭でライブ収録されたもので非常に小規模なオーケストラに加えて狭い舞台と簡素な装いによる魔笛だった。

ところで、気になるのが何故2000年に収録したものが6年も経って2006年の12月にDVD化されて発売になったのかということで、今ひとつよく分からないが、商魂たくましくモーツァルト生誕250年に便乗したのかと勘ぐりたくなるほどこの盤は出来が良くなかった。

音質は何しろホールみたいな狭い会場に何もかもがひとかたまりになっているため、こもった響きでオーケストラの技量ともどもとても聴けるものではない。

歌手陣は玉石混交で、男性陣がお粗末だった。
ザラストロ役はバスではなくバリトンに近いうえに声量不足でどうしようもない。
タミーノ役は演技、歌唱ともにこのオペラの主役を張るには力量不足。また、現代風のTシャツみたいな衣装は何とかならないものか。観客に親近感を持たせる意図だろうが感心できない。
その反面、夜の女王とパミ-ナ役は役柄にふさわしい歌唱力でなかなかの熱演だった。

この魔笛は、観客席と舞台、オーケストラが手が届く範囲で同じ目線で近接しており、実際に観劇した場合には、オペラの中に溶けこんだような気持ちになって臨場感が味わえるかもしれない。

しかし、中途半端な会場、舞台装置、歌手達といった条件のもとで、あえてDVD化して広く鑑賞の対象になる資格を持った魔笛とは到底思えない。フランス人の芸術感覚を疑いたくなるし、それに価格の方も内容と不相応に高すぎる。

               
                        タミーノ役           パミーナ役



 


 



 

 


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魔笛視聴コーナー~DVDの部~♯10

2007年05月19日 | 魔笛視聴コーナー~DVDの部~

DVD番号          TDBA-0023(2枚組)
収録年            2000年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総合      A+     優れた音質、軽快なテンポ、楽しさ溢れる魔笛     

指揮者     A+     フランツ・ヴェルザー=メスト(1960年~   )

管弦楽団   A-     チューリヒ歌劇場管弦楽団

合唱団     A-          
同 合唱団

ザラストロ    A-    マッティ・サルミネン

夜の女王    A+    エレーナ・モシュク

タミーノ      A-    ピョートル・ベッチャーラ

パミーナ     A-    マリン・ハルテリウス

パパゲーノ    A+    
アントン・シャリンガー

演出・舞台装置 A-

音    質    A+    CD盤に引けをとらない素晴らしい音質

上映時間    151分

チューリヒ歌劇場におけるライブの収録である。メストは指揮者にしては40代とまだ若いが1995年からチューリヒ歌劇場の主席指揮者、2002年からはクリーブランド管弦楽団の音楽監督を務めるなど順調に階段を上っているようだ。

音質は文句のつけようがないほど良かった。これも2枚組みのセットの余裕だろう。
演出の方は衣装、舞台装置ともども一口で言って現代風の魔笛ということだろうが、新鮮味があって手を抜いた感じもしない。

歌手の選定も全体に好調で、特に夜の女王役は、超難度のアリアを楽々とこなす余裕と貫禄にびっくり仰天。初めて聴く歌手だが世の中は本当に広い。これまで聴いてきた夜の女王役でも五指に入る。

タミーノ役はポーランドの新鋭だそうでアイスクリームのように甘そうなマスクと演技にもっと王子らしい知性と気品が欲しい気がするが、歌唱力にはなかなか魅せるものがある。

パミーナ役はドイツ語圏で注目されている美人ソプラノとのことで、歌唱力にあまり不足はないが、少し急ぎすぎのようでもっとしっとりとした叙情性があれば素晴らしいのにと思った。

パパゲーノ役のシャリンガーはCDのアーノンクール盤とクリスティ盤に出演しており、まず同役の当代第一人者といってよいだろう。歌唱力、演技力ともに申し分がなく十分精彩を放っていた。

台詞から歌唱に入るときのテンポとオーケストラの呼吸がピタリと合っており、全般に亘って楽しさが横溢し、しかも緩んだところが見受けられない。指揮者メストの手腕は見るべきものがあってなかなかのもので、豊かな将来性を感じる。

総合A+かA-か随分迷ったが結局、音質、夜の女王役とパパゲーノ役が決め手でA+。

                      
                                 パミーナとタミーノ





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健康コーナー~コレステロール対策~

2007年05月17日 | 健康コーナー

最近、パソコンとテレビの見過ぎのせいで目を酷使したようで、左目に違和感を伴うので、久しぶりに病院の門をくぐった。昨年10月の人間ドック受診以来のことである。

検診の結果、大事には至らないようで「疲れ目でしょう」ということで目薬をくれたが、これが実に良く効く目薬ですぐに症状が軽くなった。

ものはついでで、内科に立ち寄って血液検査をしたところ、こちらの方が大変だった。コレステロールの数値が基準値をはるかにオーバーしている。

昨年の7月以来、週6日は1時間以上の運動をしてきたので検診の数値には自信があったのだが、お医者さん曰く「運動習慣とコレステロ-ルの数値はあまり関係ありません」の一言でギャフン。

思い当たるのはどうやら運動習慣の過信のせいで、食べすぎ、飲みすぎ、肉の偏食をやりすぎたこと。

早速、数値を下げる薬をもらうと同時に食生活を見直すことにして、動物性タンパク質から植物性タンパク質への転換をはかることにした。食べる楽しみが減るが健康には代えられない。長生きして音楽をもっと楽しみたいのが偽らざる心境。つまり、音楽>食欲。

遺伝子の研究成果などの記事を見ると、コレステロールは長寿の鍵を握っているようで、コレステロールの悪影響を無害にする遺伝子があるだけで長生きできるとあった。(前回の健康コーナーに記載)

医学にはまったくの素人だが結局、「血管は年齢とともに老化していく」といわれるように、血管対策がキーワードのようで、良い生活習慣の目的は血管の弾力性をいかに保つかにあり、これが長寿の鍵を握っているといえそう。

そういえば、2ヶ月前の’07.3.6付け「エコノミスト」誌でタイミングよく「コレステロールは怖くない」との記事があった。内容は次のとおり。

血管の老化の敵役として筆頭に上がるのがコレステロールだが数奇な過去をたどっている。

コレステロール=心臓病の原因となる動脈硬化の元凶

       

コレステロールも善玉(HDL)と悪玉(LDL)の2種類がある

       

悪玉(LDL)もそれ自体が悪いものではなく酸化すると問題が起こる

       

活性酸素が血液中に増えるとLDLにくっついて酸化LDLをつくり、これが悪事を働く。マクロファージの処理が限界を超えて死がいが血管壁にくっついて動脈硬化を招く

       

そこで活性酸素を抑えるために、毎日赤ワイン(ポリフェノール)を1~2杯、ビタミンC、ビタミンE、βカロチンなどの抗酸化物摂取が有効。それと適切な運動習慣も。

なお、コレステロールは細胞にとって重要な役割を果たしており、低ければいいというものでもなく、(例えば低すぎるとガンになりやすいとの説あり。)あくまでも適正値が重要とのこと。

じぶんの場合、これから生活習慣の優先順位の1番を適正な食生活におき、2番を運動習慣にすることにしたが、それにしても自分のような”薄志弱行の徒”は、少なくとも3ヶ月に1度は病院に行って検査をせねばと肝に銘じた。

また、「健康診断でコレステロール値が高めの人が読む本」(2007年2月25日刊、幻冬舎)によると、おすすめの食品として

大豆:コレステロールを下げる成分を豊富に含んでいる
海藻類:表面のヌルヌル成分はコレステロール値を下げる水溶性の植物繊維
こんにゃく:食物繊維のグルコマンナンがコレステロールの合成を抑える
オリーブ油:LDLの低下にもっとも効果的なオレイン酸を豊富に含む
とあった。

さらに、運動習慣のタイミングと頻度にも言及している。
①開始のタイミング
食事をとって1~2時間後に中性脂肪が高くなるのでそれぐらいから開始。因みに朝食前の早朝の運動は厳禁。心臓に負担がかかりすぎて危険とのこと。

②運動時間
余分な脂肪を燃焼させるためには30分以上続ける。

③頻度
運動は毎日続けるのが理想的。1回30分以上の軽めの運動を日課にすること。最低でも週に4日は取り組むこと。

”健康は一日にして成らず、日々実行あるのみ!”

                   








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魔笛視聴コーナー~DVDの部~♯9

2007年05月15日 | 魔笛視聴コーナー~DVDの部~

DVD番号         80019
収録年           1999年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合    C   ハイライト盤であり音楽鑑賞の対象となる魔笛ではない
  
指揮者          Michael Lessky(マイケル・レスキー)
管弦楽団         Junge Bundeslander Philharmonie
合唱団           Stagione dOpera Italiana
ザラストロ         Maxim Mihailov
夜の女王         Erika Miklosa
タミーノ           Michael Kurz
パミーナ          Birgit Beer
パパゲーノ         Sebastian Holecek
演出・舞台装置
音   質
上映時間         100分

上映時間が100分ということで分かるように通常の全体時間から約50分ほどカットされたハイライト盤である。

そのカットも部分的にまとめてカットされたものではなく、全編に亘って歌や科白の途中でいきなり細かくカットされたもので、大変荒っぽい編集であり、この盤はとても鑑賞用としての対象にはならない。

収録の方は、ライブで野外の城のような施設を利用したもので、音質は感度が低くこもったモノラル録音のように聞こえ、これも良くない。

歌手陣も平々凡々で特筆するに価せず、とても評価の対象にはならない。この盤の販売目的がよく分からないがおそらくハイライトによる紹介用に作成されたものであろう。とにかく、多言を要しないDVD盤である。定価が極端に安かったので無理もないが、それにしても・・・・。

                    
                       野外施設            パミーナ役





 



 

 


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オーディオ談義~オーディオ訪問記~

2007年05月13日 | オーディオ談義

いろんな方のご家庭を訪問してシステムの音を聴かせていただくと、単なるオーディオ機器の組み合わせ次第で物理的に出てくるだけの音が、意外にも持ち主の個性なり、性格なり、人となりを如実に反映していることに気付くことがよくある。

神経質を連想させるかのように解像力を優先した細身の音、太っ腹を感じさせる野太い音、見た目には派手だが奥行き感に乏しい音など実に様々である。

その人なりに工夫した独自の音質の背後に人間の意思が介在している存在感がオーデイオという趣味をより楽しく人間的なものにしている。

余談だが、最近読んだ本の中に外国人が日本にやってきて一番印象に残るのは人間同士の深い交流だと書いてあった。どんなに長期間滞在して日本の一流の文化や景観に接しても結局人間同士の深い交流がなければその国の心からのファンにはならないそうだ。

したがって、オーディオも単なる音の世界に留まらず、人間同士の交流の場だと思えば随分と世界が広がり、他人のオーディオシステムの音を聴くことは自分という人間を別の角度から見直すことにもつながっていく。

このブログに再々登場していただき10年以上に亘って懇意にさせていただいているA氏のお宅の音も、その例に漏れず実にスケールの大きい音を出しておられる。

日本でも有数のオーディオ愛好家といっても過言ではないA氏は、オーディオ専門誌の「無線と実験」2001年2月号の巻頭を飾る記事「リスニング・ルーム」にもとびっきりのハード派として登場されている。

じぶんにネットワークのイロハを教えていただいたのもA氏だが、とにかくご熱心でスピーカー、アンプの研究には言うに及ばず東奔西走されて様々な愛好家の音を実際に試聴され豊富な場数(ばかず)を踏まれて聴覚を磨き上げられているのが通常の愛好家に見られない大きな強みである。

そのご自宅の音は「推して知るべし」、じぶんも少なくとも年に2~3回はお伺いして耳を洗い直す契機にしているが、先日訪問する機会があったのでその超ど級システムを紹介しよう。

≪システムの概要≫
CDトランスポート・DAコンバーター → アキュフェーズ
プリアンプ → 西部音響の特注品
パワーアンプ → WE300B菅球アンプ特注品
スピーカー
低域 → エルタスTA-4181+自作の低音用ショート・ホーン
中域 → WE-555ドライバー+17Aホーン
高域 → カンノ597ツィーター

【ポイント1】

いまや伝説の域に達したウェスタンの555ドライバーと巨大な17Aホーンの組み合わせは通常のオーディオという概念の枠内では表現できない音質である。1930年代当時のアメリカの巨大な映画館で使用されることを念頭に置いたこのシステムは人間の声をことのほかリアルに響かせピアノが目の前で演奏されているような錯覚に陥らせる。オーディオ愛好家であれば一度は聴いておきたい音だろう。

【ポイント2】

トランスの専門家が作った特注のWE300Bのパワーアンプ(モノ×2台)はありきたりのアンプではない。特別に電源部を強化し別固体としたアンプは独自のトランス(オールパーマロイで木材で包装)の仕様とあいまって底知れない力強さを秘めている。この音を聴くとアンプの本質は出力ではなくて電源部だと改めて目を覚まされる。また、音質を決める重要なポイントとしてスピーカーに近接するネットワークも独自のトランスを使用するなどことのほか重視されている。因みに、アンプとネットワーク込みのお値段はクラウン1台分とのこと!

【ポイント3】

いわゆる”音キチ”と呼ばれる通常のマニアにありがちな”音だけに拘泥する”タイプではなく、、音楽優先で”オーディオは音楽を聴くための手段”とはっきり割り切っておられる。大きな棚に収まったCD盤のコレクションには思わずたじろぐが、録音状態よりも演奏の良し悪しを優先される本当の音楽好きである。とりわけ、クラシック音楽それもオイストラフ、トスカニーニなど往年の名演奏家・指揮者を愛聴されている。

最後に画像を掲載しておこう。

                
 CDコレクション             ネットワーク         555と17Aホーン


              

      アンプ(上部)と電源部              17Aホーン(右上)

 


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魔笛視聴コーナー~DVDの部~♯8

2007年05月12日 | 魔笛視聴コーナー~DVDの部~

DVD番号         A-100189
収録年           1992年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総     合  A-     予算節約型の舞台装置だが、音楽性の高い魔笛

指揮者      A-     ヴォルフガング・ゲンネンヴァイン

管弦楽団    A-     ルートヴィヒスブルク音楽祭管弦楽団

合唱団      A-         同 合唱団

ザラストロ    A-     コルネーリウス・ハウプトマン

夜の女王    A+     アンドレア・フライ

タミーノ      A-    デオン・ファン・デル・ヴァルト

パミーナ     A-     ウルリーケ ゾンターク

パパゲーノ    A-     トーマス・モール

演出・舞台装置  A-    豪華ではないがよく考えられている

音    質    A-    優れた音質で心地よい響きに満たされる
  
上映時間    
147分

ドイツのルートヴィヒスブルク城内劇場でのライブ収録である。

透き通った奥行きのある音質が耳に心地よい響きを与えてくれてライブ録音のメリットを生かした出来栄えだった。オーケストラも弦が厚く切れ味が鋭い。おそらく、余程音響効果に優れた劇場だろう。

演出は随所に無駄なお金を掛けない工夫がいろいろとなされており、シンプルで素朴な舞台装置、現代と古代とをミックスした衣装、色彩感覚豊かなイメージでこれまでにない独創的な魔笛で映像の方も満足できるものだった。

歌手ではザラストロ役は聖者にふさわしい威厳を表現した歌唱力で十分な出来栄え。

夜の女王役も超難度の2つのアリアを余裕をもってこなしており、華麗さも伺えて言うことなし。

タミーノ役は声の張り、艶ともにあのシュライアーの系統に属するが残念ながらもっと情感に訴えかける歌唱力がほしい。

パミーナ役のソプラノもなかなか良かったが、王女役としてのイメージはいまひとつの感があり、衣装ももっと考えた方がよい。

パパゲーノ役は歌唱力、演技とも申し分なし。

指揮者をはじめ歌手陣も始めて聞く名前ばかりで全然期待していなかったが予想を上回る出来栄えだった。

アリアや重唱などあらゆる歌唱に場面に応じた情感がきれいに表現されており、劇の運びも快調で演技も含めて全てに神経が行き届いている印象だ。

指揮者のゲンネンヴァインは、ネットで調べても生年が分からないほどマイナーだがどうやら宗教音楽を主に指揮しているようでその純粋さがこの魔笛にも生かされていると思った。

どちらかといえば、舞台装置や演出よりも音楽の美しさに比重を置いた魔笛でこういう趣向の魔笛はDVDといえども大歓迎で、録音もいいし、歌手もいいし、オーケストラもいいし目を閉じて映像を見なくても聴覚だけで十分に楽しめる域に達している。

さすがに、ドイツはワーグナーの楽劇できたえられているだけに魔笛にしてもレベルが高い印象。

                  
                  舞台装置            パミーナとタミーノ
                                    

 

 

          


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愛聴盤紹介コーナー~ピアノ・ソナタ32番・追加試聴♯2~

2007年05月10日 | 愛聴盤紹介コーナー

以前、愛聴盤紹介コーナーでベートーベンの「ピアノ・ソナタ32番」について、3つの盤を紹介したが、その後新たに仕入れた盤があるので追加報告。

ピアノ・ソナタ32番(ピアニスト:ミケランジェリ、10枚セットのうちの1枚)

ミケランジェリ(1920~1995)には大いに期待していたのだが正直言ってがっかりしてしまった。どうも強弱のバランスがしっくりこない。

あの勝負どころともいえる第2楽章の甘美で優しい追憶を髣髴とさせる内面の奥深さの表現が物足りず、おまけに、ミスタッチが少ないと定評のあるミケランジェリにしてはかなり外れた音が目立ち感心できない出来栄えだった。当日は本来の調子ではなかったのかもしれない。とにかくアラウ、グールド盤にも及ばない印象を受けた。

ライブの一発勝負の怖さとともに改めて内面的な深さを要求する32番のソナタを弾きこなすのがいかに難しいことか認識を新たにした。ミケランジェリほどのピアニストにしてにしてこういう具合だから他のピアニストの挑戦は推して知るべきなのかもしれない。

以上、私見です。

ピアノ・ソナタ32番(ピアニスト:リヒテル)PHCP-5119フィリップス

期待していたミケランジェリにがっかりしたので、あとはもうリヒテル(1915~1997)しかおるまいという期待を込めて、ミケランジェリ盤のすぐ後にネットで手に入れた。

これはライブ録音だが期待にたがわずなかなかの名演だった。第二楽章の深く瞑想的に沈降する極めて内省的な演奏は、さすがに精神性豊かなピアニストの巨人リヒテルだ。バックハウスを除けばおそらくベストだろう。

リヒテルは語っている。

【舞台に出てすぐ弾いてはいけない。30秒待って「バーン」とやる。演劇というよりは神秘主義だな。これは。しかし、ベートーベンのピアノ・ソナタ32番は、逆に、椅子に座るやすぐに弾き始めなくてはだめだ。気でも狂ったかのようにね!】(引用「リヒテルは語る」51頁、ユーリー・ボルソフ著、音楽の友社

さすがのリヒテルもこの32番だけはもったいぶった演奏は通用しないことを率直に告白しているところが面白い。

しかし、リヒテル盤がどんなによくてもバックハウス盤を超え得ないことも明らかだった。バックハウス盤は演奏の緻密さ、クライマックスへの展開力、そして何よりも
演奏そのものを不思議にも意識させないところに大きな利点があり、何だかベートーベンの心から自然に湧き出てくる呟きを聴いている感がする。

やはり32番に限ってはバックハウス盤が頂点にいることを再認識するとともに将来に亘ってこれを超える演奏は出現しないという確信(?)を持った。

なお、ベートーベンの作品の中で最も深遠なものの一つともいえるこの32番を自分が知る範囲で女流が弾いたという話をあまり聞かないし、おそらく弾けないと思う。

「晩年になって誰もが垣間見る悔恨と侘しさを回想しつつ共感をもって優しく癒してくれるのはゴツゴツと骨張った男の指でなければとても聴けない!」

と、ここまで書いておいていたところ、最新刊の「管球王国」(vol.44、4月29日購入)を何の気なしに見ていたら156頁に日本が誇る世界的ピアニスト内田光子さんが録音した32番のCD盤が紹介されていた。

ウーム、意表をつかれた感じだが内田さんならもしかすると・・・・。

彼女の気品と芸術性に溢れた演奏は神品のようなモーツァルトのピアノ・ソナタで証明済みだし、使っているスタンウェイは特につくりがいいと読んだことがあり、その響きの美しさは他の追随を許さない。各国で開催するコンサートは常に大入り満員だ。これは是非聴いてみなくてはならないと思った。

追伸:早速、5月6日にネットオークションで落札したのでいずれ試聴結果を報告の予定。

                    
        ミケランジェリ                      リヒテル 

                       



 


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魔笛視聴コーナー~DVDの部~♯7

2007年05月08日 | 魔笛視聴コーナー~DVDの部~

DVD番号          UCBG-9008(1枚)
収録年            1991年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合     A-       コクが足りず、やや軽い印象を受ける魔笛

指揮者       A-       ジェームズ・レヴァイン(1943年~   )

管弦楽団     A-       メトロポリタン歌劇場管弦楽団

合唱団       A-           同 合唱団

ザラストロ     A-       
クルト・モル

夜の女王     A+       ルチアーナ・セッラ

タミーノ       B+       フランシスコ・アライサ

パミーナ      A-       キャスリーン・バトル

パパゲーノ     A-       マンフレート・ヘム

演出・舞台装置  
A-

音     質    A-

上映時間     166分

指揮者レヴァインの2度目のDVD収録(新盤)で、前回(旧盤)のザルツブルク音楽祭から9年経過した今回はニューヨークのメトロポリタン歌劇場におけるライブ収録である。彼が48才時の録音となる。

なお、この盤の解説書によると、旧盤(1982年)のザルツブルグでのレヴァイン起用は大抜擢で39歳という年齢は史上最年少だったそうだ。結果も大好評で以後の彼の躍進の礎となり、ウィーンフィルとも良好な関係を続けているそうだ。


音質は旧盤よりも着実に良くなっていると感じた。ライブ収録もこの程度までくれば合格点だろう。映像も良く舞台装置も劇場にふさわしい豪華さだった。

それに超一流の歌劇場にふさわしい歌手陣といってよいだろう。
ザラストロ役のモルは相変わらずしっかりした歌唱力を示しており、役柄にふさわしい堂々とした聖者ぶりだった。

夜の女王セッラも良かった。超難度の第一幕と第二幕のアリアともにパーフェクトの出来で、十二分に存在感を示した。観衆のどよめきと盛大な拍手が何よりも証明している。

なお、モルとセッラは二人ともコンビでデービス盤(CDの部♯13:1984年)にも起用されている。

タミーノ役は前回のサバリッシュ盤にも登場したアライサである。しかし、ここでもあのおとなしそうな張りのない声にガッカリ。彼の持ち味として理解してあげる寛容さが必要なのだろうが・・・。

パミーナ役はなかなかの熱演だった。第二幕のタミーノとの二重唱はなかなか聴かせるものがあった。ただし、王女役としてのイメージには少しばかり違和感を持った。

パパゲーノ役は歌唱、演技ともに熱演だったが、何物にもしばられない自然人らしい伸び伸びとした雰囲気がもっと欲しい。

全体的な印象だが、残念なことにレヴァインとオーケストラの相乗効果だろうか全体的にドライな傾向があって、しっとりとした情感やメルヘン的な楽しさ、夢のような世界空間とはやや距離があるように感じた。

なお、旧盤(1982年DVD盤)との比較をあえて述べれば、一長一短があるがレヴァインの初々しさ、タミーノ役のシュライアー、ウィーンフィルをとって旧盤の方に心が傾く。
          

                        
                             パミーナ役→キャスリーン バトル

 

 


 


 





 

 


    


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魔笛視聴コーナー~DVDの部~♯6

2007年05月05日 | 魔笛視聴コーナー~DVDの部~

DVD番号        UCBP-9022(1枚)
収録年          1983年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合     A-    歌手陣、指揮者、演出のバランスが取れた万全の魔笛

指揮者       A-    ウォルフガング・サバリッシュ(1923年~   )

管弦楽団     A-     バイエルン国立歌劇場

合唱団       A-    バイエルン国立歌劇場合唱団

ザラストロ     A-     クルト・モル

夜の女王     A+     エディタ・グルベローヴァ

タミーノ       A-     フランシスコ・アライサ

パミーナ      A+     ルチア・ポップ

パパゲーノ     A+     ヴォルフガング・ブレンデル

演出・舞台装置  A+

音    質     A-       
    
上映時間     160分

バイエルン国立歌劇場でのライブ収録である。サバリッシュは11年前の1972年に魔笛をCDでスタジオ録音をしている。

音質の方はセパレーション、奥行き感いずれも、ライブにしては上出来だと思う。ややこもった音質なのでボリュームを少し上げ気味のほうが聴きやすい。演出・舞台装置も手を抜いたところがない。

歌手陣は当時考えられる限りの一流の顔ぶれをそろえているといってよい。

ザラストロ役のモルは定評どおりで、役柄にふさわしい堂々とした歌唱力である。

夜の女王役のグルベローヴァはレヴァイン盤に続いての出演で当時第一人者として引っ張りだこだったことがよく分かる。相変わらず言うことなしの出来栄え。

タミーノ役はカラヤン盤(1980年)で俎上に上げたあのアライサである。シュライアーと比較するのは酷だが相変わらずやや声量不足で声の張りと艶に乏しく線が細い感じ。ただし、映像が加わると王子らしい演技と気品が伺われたのでまあ、総合的には良しとしなければならないだろう。

パミーナ役のポップは19年前のクレンペラー盤(CD:1964年)で夜の女王役を務めていたほどで演技、歌唱力とも申し分がない。実に息が長い歌手で安心して可憐なソプラノが聴けた。

パパゲーノ役のブレンデルはあまり馴染みがないが演技、歌唱力とも十分。

全体的に大変好感が持てて、安心して聴ける魔笛だった。サバリッシュは相変わらずオーソドックスな指揮ぶりでリズムとテンポもよく、CD盤と同様にやはり熟練の技を発揮している。

総合A+に極めて近いがタミーノ役が今ひとつ物足りないのでA-に留める。

                        
                                  パミーナ役→ルチア・ポップ

  

  


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魔笛視聴コーナー~DVDの部~♯5

2007年05月01日 | 魔笛視聴コーナー~DVDの部~

DVD番号       TDBAー0094(2枚組)
収録年         1982年

評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)

総   合     A-     
豪華な歌手陣なのにやや軽薄な印象     

指揮者       A-     ジェームズ・レヴァイン(1943年~    )

管弦楽団     A-      ウィーン・フィルハーモニー

合唱団       A-     ウィーン国立歌劇場合唱団

ザラストロ     A-     マルッティ・タルヴェラ

夜の女王     A+     エディタ・グルベローヴァ 

タミーノ       A+     ペーター・シュライアー

パミーナ      A-     イレアーナ・コトルバス

パパゲーノ     A-     クリスティアン・ベッシュ

演出・舞台装置  A+

音    質     B+     セパレーションと解像度不足気味。ややSNが悪い

上映時間     188分(全プログラム)

指揮者のレヴァインはアメリカのシンシナティ生まれで幼い頃から音楽に才能を発揮し、2004年にはボストン交響楽団の音楽監督に就任している。

この魔笛は1982年8月ザルツブルグの劇場におけるライブ収録で、若干39歳で抜擢されたわけだ。続いて1991年に再度DVDで魔笛を収録している。また、CDでは1980年にスタジオ録音をしている。

音質の方は広くて天井の高い大劇場でのライブ収録ということで、反響音が豊かで臨場感があるが、欲を言えばセパレーションと解像度がもっと欲しい。それにややノイズ(背景にジーといった音が一緒に録音されている)が目立つ。
映像、舞台装置、演出についてはこれで十分だと思う。

歌手についてはタミーノ役シュライアーの舞台姿は最初で最後だが相変わらずの歌唱力には惚れ惚れする。

夜の女王役はこれまたあのグルベロ-ヴァで十分な存在感を示し、彼女の登場で舞台が一気に盛り上がり、超難度の2つのアリアに観衆の感嘆が伝わってくる。鳥肌が立つようなコロラトゥーラで絶好調といってよい。

ただし、ザラストロ役にはもっと声量の豊かさ、パミーナ役にはもっと透き通った歌声が欲しいが欲を言えばきりがないだろう。パパゲーノ役は熱演でこれで十分である。

これだけの歌手陣をそろえ、しかも不世出の演出家ポネルが手がけた豪華な衣装と華麗な舞台装置と充実した演出、これで総合A+でないとおかしいぐらいだが指揮者のレヴァインはどうも性に合わない。やや軽くてドライすぎる印象を受けてしようがない。

                        
                                    タミーノとパミーナ

 

        


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