曲りなりにも変則型「3ウェイシステム」の「大・中・小」を完成させてからおよそ2週間あまりが経った。
この中で目下のところ一番耳を傾ける時間が多いのは「小」システムだが、過日オーディオ仲間に聴いてもらった結果では「大は(AXIOM80に比べて)やや弦楽器が粗いです、小は取り立てて優れたところがありませんのでオール4という感じです、中が一番いいです。音の抜けが抜群です。」
と、意外な講評だった。
「そうですか・・。いい音と好きな音は別だと思いますが、私が一番好きなのは小です。軽くて弾んでくる低音が実に心地よくて、こればかりはLE8T(JBL)の独壇場だと思いますよ。」と、いつもに似合わず粘ってみた(笑)。
とはいうものの、聴いているうちに工夫次第でもっと音が良くなるはずだという意欲がムクムクと頭をもたげてきた。
低音域はバッチリなので中高音域を何とかすればさらに良くなるはず~。
そこで「LE8T」にふさわしい「音のスピード」の持ち主となると、我が家では「AXIOM80」(復刻版)以外に考えられない。
しかも、この際だから併せて「チャンデバを使わないで済む」方法にもチャレンジしてみることにした。
まずは企画段階として手持ちの道具の確認から始めた。
<低音域のハイカット用コイル>
幸いにもムンドルフ(ドイツ製)のゼロ抵抗コイル「6.8mh(ミリヘンリー)」が遊んでいたのでこれを活用することにした。
「クロスオーバーネットワーク早見表」によれば「6.8mh」だと、「LE8T」は16Ω仕様なのでおよそ350ヘルツあたりでハイカット(-6db/oct)できる計算になる。まあ、いい線だろう。
画像の白いケーブルがSP側(LE8T)で、黒くて太いケーブルがアンプ側である。
次は、<「AXIOM80」のローカット用コンデンサー>
倉庫の奥深く直し込んでいた「業務用の大型コンデンサー・22μF(マイクロ・ファラッド)」の久しぶりの出番である。
「クロスオーバーネットワーク早見表」によると「AXIOM80」のインピーダンスは15Ωなのでおよそ「350ヘルツ」あたりでローカット(-6db/oct)できる計算になる。
コイルもコンデンサーも接続はSPケーブルのプラス側に挿入するだけでいいので実に簡単だ。少なくともチャンデバよりは音の鮮度が落ちなくて済みそうだ。
結局、2ウェイ方式によりクロスオーバー「350ヘルツ」でピッタリいけそうだが、こればかりは実際に鳴らしてみないと何とも言えない。
道具立ては一応目途がついたので既存のバッフルにAXIOM80を取り付けた。
駆動する真空管アンプは「LE8T(低音域用)=6098シングル」、「AXIOM80(中高音域用)=6A3シングル」の計2台となる。
「失敗するはずのない組み合わせ」だと自負しながらも、幾分かはハラハラしながら耳を澄ませてみると両者の繋がり部分(350ヘルツあたり)がちょっと薄味のような気がした。
そこでコンデンサー(12μF)を追加して「34μF」として「AXIOM80」の守備範囲の周波数を下げたところ丁度良いぐらいの厚みとなった。
「もうこのシステム一つあれば十分だな!」というのが正直な実感である。クラシックからジャズ、ボーカル、室内楽などありとあらゆるソースが自家薬籠中の物となる。
もしかして自分は「音の魔術師!」ではなかろうかとチョッピリ自惚れてしまった次第。いい歳をして~(笑)。
あまりにもうまくいったものだから、調子に乗って「このチャンデバを使わない方式で残りの二つのシステムも取り組もう」となったのはご愛嬌ですな。