去る26日(土)に我が家のシステムを試聴のためお見えになったHさん(大分市)。
オーディオに本腰を入れられてからまだ日が浅いとのことだったが、どうしてどうしてなかなか音を聴き分ける耳を持った方だった。
「好みの音」を模索されている最中だが、出来るだけ回り道や無駄遣いをしないで済むように自分としても精一杯の協力をしようと思っている。そのための第一歩としては、いろんな家庭のオーディオシステムを聴いて耳を鍛えることに尽きるが、「AXIOM80」同好会の仲間たちに話したところ「ブリティッシュサウンドがお好きな方のようですから大歓迎です。」と受け入れ態勢も万全。
もちろん、こうして肩入れするのは何もHさんのためばかりではなく実は自分にもメリットがあるから~。
いったいどういうこと?以下、詳述してみよう。
Hさんの年齢を面と向かって聞く勇気はなかったが、子供さんが高校生とのことだったので推察すると40代頃とお見受けした。まだまだ「高音域」が充分聞き取れる年齢の範囲である。
ご承知のように人間の可聴周波数帯域は「20~2万ヘルツ」とされているが、一般的に加齢とともに低音域は別として高音域の聴きとりが鈍感になり60代に入ると、まあせいぜい1万ヘルツぐらいまで聞き取れれば「御(おん)の字」だろう。
これはマニアに限らず誰にでも訪れる自然現象だが、段々と(高音域の聞き取り能力が)下降していくものだからご本人がはっきりと気付かないだけの話である。
したがって「若々しい耳」という強力な武器を持ったHさんと一緒に我が家のシステムを聴いていると、嫌でもその弱点に気付かされたのがそのメリットというわけなのである。
グッドマンの「AXIOM80」には大満足されたHさんだが、同じグッドマンンの「AXIOM300」にはまったく興味を示されなかった。自分ではまあ「いい音」だと思っていたので、「どこがご不満なのか」ずっと疑問に思っていたのだが、幸い29日(火)に「もう一度聴かせてください」と、お見えになったので単刀直入に訊いてみたところ「高音域が十分伸びていないと感じました」とのことだった。
2回目の試聴会でようやく本音が引き出せた(笑)。
な~るほど、と得心がいった。Hさんと自分では聞えている音が違っていたのだ。高音域に鈍感になっていることに気付いて良かった!
「同じフルレンジでもAXIOM80にはまったく高音域の不足を感じません」とのことなので、これは「AXIOM300」(口径30センチ・ダブルコーン)に限った弱点だろう。
どうせ十分に聴こえないとは分かっているものの、高音域が出ていないシステムをそのまま放置しておくわけにはいかない。マニアとして何とかしたいところ。
そこで昨日(30日)、直し込んでいたJBLの「075」ツィーター(ステンレスホーン付き)を引っ張り出して「AXIOM300」の上に載っけてみた。グッドマンとJBLでは水と油だが、無理を承知での腕の見せどころではある。
はじめにマイカコンデンサー(0.075μF(マイクロファラッド))を4個パラって鳴らしてみたところ(高音域が)目立ち過ぎてアウト。長時間聴いていると聴き疲れすること請け合い。
そこで、3個にしてみたところ、それでも目立ち過ぎ。ようやく2個でどうにか折り合いがついた。まあ、ジャズがメインソースなら2個、クラシックなら1個がいいところだろう。あとは「AXIOM300」と「075」の振動板の位置調整が必須で075を1センチ動かしただけで自然な響きに影響を与えるのだからとてもデリケートな世界。
なにしろツィーターを使うコツは、「生かさず殺さず、無くなると淋しい思いがする」程度が一番だが、しばらくこれで聴いてみることにした。
以上、なんやかんやと慌ただしかったが、この投稿で今年はお終いです。
この1年は我がオーディオシステムの大変革の年だったので思い出がいっぱい、年末にかけて逐次振り返ってみるつもりだったがあっという間に大晦日を迎えてしまった。
皆様どうか良いお年をお迎えください!
前回からの続きです。
初対面となるHさん(大分市)をお迎えしての試聴会(26日)はお互いに長年の知己のような雰囲気の中、めでたく終了した。10時から13時40分までぶっ続けで、何と昼食抜きだった(!)ことがその熱意を証明していよう。
はじめに「AXIOM300」から聴いてもらったが、「ノラ・ジョーンズ」(SACD)がイマイチ冴えなかったようだ。口には直接出されないけれどもHさんの反応を見ていれば大体分かる。こと、オーディオに関してだけは自分はテレパシーがよく働くのである(笑)。
そこでいよいよ真打の「AXIOM80」の登場。試聴盤は同じノラ・ジョーンズ。
「ああ、これはいいですね!」と、すぐに頷かれた。「スピーカーの真ん中にノラがすっくと立ってます。いい音になると歌手の口が小さくなるとはこういうことを言うのですね。」と感嘆しきり。
何せ噂に聞くだけだった「AXIOM80」を初めて聴かれるのだから無理もない。「古いスピーカーなので古い音がするかと思ってましたが全然予想が外れました!」
「そりゃそうですよ~。現代のスピーカーをもってしてもフルレンジでこれ以上のものがあったらお目にかかりたいものです」とは、陰の声(笑)。
それと、「AXIOM80で鳴るベースの音がとても気持ちいいですね。」との発言にはいささか驚いた。
なかなか耳が肥えた方なのである。
これまで我が家の「AXIOM80」を聴いたお客さんの反応は大体二つに分かれる。「低音が物足りない」派と「低音はこれで十分です」派。
前者は日頃から低音域をドスンとかボ~ンとか、いわせるのが好きな「おおらか型」、後者は「スピード感のある低音を楽しむ」で現わされる「緻密型」である。
好みの問題なのでどちらがいいとか悪いとか言えないが、質の高い楽しみ方となるともう言わずもがなだろう。おやおや、いつもの我田引水がまた始まった(笑)。
とにかくHさんが当方の陣営に属することは間違いなく分かったので、大いに聴かせ甲斐があろうというもので、「AXIOM80」はそのままにして次から次にアンプを取り換えて試聴していただいた。
371シングル、WE300シングル(モノ×2台)、刻印付き2A3シングル
この中で一番お好みだったのは「WE300B」シングルだった。
ちょっと意外な気もしたが、先日のAXIOM80仲間の試聴会のときに不評だったのでちょっと手を加えたのがどうやら功を奏したらしい。
初段管「E80CC」(ヴァルボ)はそのままだったが、ドライバー管を「MHL4」へ、整流管を「5R4GY」(フィルコ)に変えたところ見違えるほど聴きやすくなったことを実感していたところだった。
ひとしきりWE300Bオールドで聴いてから、ご要望に応じて「中国製」の300Bに差し換えたところ、「やっぱり、違いますねえ!」と、心から得心がいかれたご様子。
そういう極めて微妙な差をこともなげに表現できる「AXIOM80」の繊細さに改めて感心されていた。
「それほどお気に入られたのでしたら、我が家には余分に復刻版のAXIOM80が2ペアありますので1ペア譲ってあげてもいいですよ。」
「それはありがたいですね。これから、エンクロ-ジャーやアンプを揃えますのでそれまで待っていただけませんか?」
「いずれオークションに1ペアだけ出すつもりでしたので、もちろんいいのですが、もっと時間をかけてゆっくり検討された方がいいかもしれませんね。」と、申し上げておいた。
オーディオに限らず即決はあまりいい結果を産まないのが世の習いである(笑)。
Hさんのご帰宅後に次のようなメールが届いた。
「いまだに音が頭に残ってます。感動が忘れられません。ネットでしか見たことがないものが沢山あり、夢のような時間でした。おかげさまで自分の好みが分かったような気がしております。」
これほど喜んでもらえると何だか少しは世の中のお役に立っているような気がして、こちらもうれしくなる。
釣ってきた魚を(他人に)配って喜んでいただくのもいいが、そのうれしさとなると一時的なものに過ぎないが、精神的な喜びともなると、その深さといい、時間的な持続性といい、質的にずっと上回るような気がする。
いずれにしても、Hさんとの試聴で当方も新しい発見があったので後日、記載してみよう。
前回からの続きです。
日常的にブログをやってると、後になって「しまった、あんなことを書かねばよかったのに」と、後悔することがしばしばである。たとえば1週間ほど前に登載した中に「空前絶後の音」なんて表現を使ってしまい、今となってみるとまさに赤面ものである。
部屋の大きさが限られている家庭オーディオで「空前絶後の音なんてあってたまるか」(笑)。
以前はいったん書いた原稿を一晩おいて翌朝、冷静な目で修正していたのだが、このところ、つい面倒くさくなって一発勝負になっているのでそのせいだろう。
まあ、プロの作家ではないんだし、時折りのオーバーな表現も愛嬌だと大目に見ていただくことにしよう。
今回(19日)の試聴会のお客さん「Yさん」は、お持ちのオーディオシステムもバッテリー電源などを駆使してご大層なものでたいへん熱心なマニアである。しかも実際にフルートの生演奏を楽しまれている方なので耳が鍛えられていて我が家の音のちょっとしたミスも許してもらえない。したがって、お迎えするたびにいつも戦々恐々としている(笑)。
そのYさんが我が家のシステムの中で一番気に入られているのがアンプでは「371シングル」とスピーカーではグッドマンの「AXIOM80」。Yさんに言わせると、「この組み合わせで聴くとホッとして何だか故郷に戻ったような気がします。」
さすが!自分もそう思います(笑)。
そのいつも聴き慣れている大好きな組み合わせのうち、アンプの整流管をカニンガムの「380」からSPARTONの「480」に差し替えて聴いてもらった。いろんな機器を聴き漁ってからの試聴会の終盤のことだった。
「これは・・・」と、思わず絶句された。
「透明感、一音一音のクリヤーさ、音の粒立ち。まったく言うことありませんね。たかが整流管如きでこんなに音が変わるもんですか。まるで中国製の300BからオリジナルのWE300Bに代えたときのような変化です。どうして現代ではこういう真空管を作れないんでしょう?」と、素朴な疑問を提起された。
このSPARTONの「480」は製造年代がはっきりしないがおそらく1930年前後だろうと推察している。良質の製品が生まれた原因としてどうしても当時の時代背景を考察する必要があるだろう。
まず1920年代のアメリカを覗いてみよう。ネットから引用させてもらうと、
「第一次世界大戦の特需にアメリカは大いに沸いた。アメリカ経済は空前の大繁栄をとげ、戦前の債務国から世界最大の債権国に発展した。世界経済の中心はロンドンからニューヨークのウォール街に移った。大衆の生活は大量生産・大量消費の生活様式が確立する。
一般には<黄金の20年代>と呼ばれ自家用車やラジオ、洗濯機、冷蔵庫等の家電製品が普及した。1920年には女性への参政権が与えられるようになった。ベーブルースによる野球人気やチャップリンの映画、黒人音楽のジャズなどのアメリカ的な文化が開花した。一方で1919年に制定された禁酒法によってアル・カポネなどのギャングが夜の帝王として街を支配するようになった。」と、ある。
1929年になるとあの有名な「大恐慌」が起きるので「うたかたの夢」だったろうが、アメリカにとっては現代のようにテロの不安もないし「1920年代」が一番良き時代だったのかもしれない。
ちなみに戦争特需の効果はとても大きいみたいで、日本だって朝鮮戦争の特需のおかげで経済が目覚ましい復興を遂げたのだから戦争には別の側面があることに気付かされる。
さて、当時の活況を呈した時代において家電製品のキーデバイスとなるのが真空管だった。したがって、その需要に応じて雨後の竹の子のように製造メーカーが乱立し、激しく覇を競った事は想像に難くない。良質の製品はこういう厳しい競争の中から生まれていく。
そしていい製品を作るメーカーほど、採算に合わなくなって廃業、統合に追い込まれていくのが古今東西のオーディオ業界の悲しい現実である。
なお、当時の真空管を作る材料は今ほど規制が厳しくなかったので、現代では使用禁止となる「放射性物質」などが含まれたものを拘りなく使用できたらしい。いい製品が出来た理由としてこれが大きいようだ。
真空管オーディオをやっていると、結局はどういう材料を使っているかに行きつく。代表的な例がトランスのコアがそうだし~。
以上、素人なりの憶測を交えてこれらの背景をかいつまんでYさんに話したことだった。
自分が「1920年代の真空管こそ本物」と愛用している理由が、これで少しはお分かりいただけただろうか(笑)。
とにかく、お客さんに「これまででベストの音」を聴いていただいて、たいへん満足のいく試聴会だった。
長年オーディオをやってると同じオーディオ機器を使っても日によって音の鳴り方が違うことを経験したことがある方は多いのではあるまいか。
去る19日(土)に近所のオーディオ仲間Yさんをお迎えしての試聴会がそうだった。
1週間前の12日(土)に開催した「AXIOM80愛好家の集い」で大好評を博した「PP5/400シングルアンプ」だったが、なぜだかこの日はあまり冴えなかった。満を持して登場させたのに、音の重心がやや腰高になっている印象を受ける。Yさんも首をひねるばかりで、むしろその前に鳴らした「WE300Bシングルアンプの方がいいみたいです。」とまで仰る。
あれから、この「PP5/400アンプ」のどこも弄ったわけではないのに~、トホホ・・。
原因その1
当日のお天気次第、とりわけ湿度の違いによってスピーカーのコーン紙が含む湿り気が違ってくるので音が変わる。
原因その2
家庭に供給される電圧は100Vと決まっているが、電力会社の都合や家庭内での使用状況によっては100V以下になったりして不安定になる。
原因その3
CDやSACDの場合、エンジニアによって録音状況が千差万別である。ゲインが極端に低かったり高かったりする。この違いがアンプに及ぼす影響はとても大きい。
原因その4
睡眠不足など本人の体調次第で違った音に聴こえてしまう。
とまあ、闇夜の鉄砲みたいに「数撃ちゃ当たる」式で挙げてみたが今回の場合は「原因その3」が該当しそうに思った。
Yさんが持ってこられた試聴盤が極端にゲインが低かったのである。プリアンプのボリュームを通常9時の位置で聴くとすると、この盤に限っては12時の位置ぐらいまで上げざるを得なかった。
製造元は「ドリアン ディスカバリー」(フランス)という有名なブランドでマイクからの接続にデジタルケーブルを使うそうだが、この盤の第3トラックには10分間の中にボーカルとかマンドリンとかいろんな楽器が含まれていて試聴盤にはもってこいだったが如何せん録音のゲインがとても低くて、Yさん宅みたいに大出力のトランジスタアンプで鳴らすと苦もなく再生できるのだろうが、パワーに弱点がある真空管アンプとなるとすぐに馬脚を現してしまう。ただし優秀録音であることは間違いない。
ちなみにフランス製のオーディオ関連品は真空管をはじめ独特のセンスがあって、オーディオ仲間のKさんともどもいつも感心している。アメリカ、イギリス、ドイツなどにはない味がたしかにある。
さて、これまで録音ゲインの低いソースの再生となると、すぐに思い浮かぶのがジャズの名盤として知られる「サキソフォン コロッサス」で、これをうまく鳴らすためにどれだけ苦労したことか!
この曲目に焦点を合わせると、ほかのソースがうまく鳴らなかったりしてとうとう両立を諦めざるを得なかった。
ソースの録音レベルばかりは、マニアにとってはどうしようもないので、結局すべてのソースをうまく鳴らそうなんて思わない割り切り方が必要になると思うが、そもそもオーディオであらぬ方向に行ってしまい「ストレイ シープ」になってしまう悲劇の一因はこの辺りにありそうな気がしている。
閑話休題
アッ、そうそう、この日の試聴会のメインは新たに手に入れた整流管「SPARTON」(アメリカ)の「480」だった!(笑)
たいへん稀少なメッシュプレートの逸品である。画像でよくご覧になっていただくと中央の2本の黒い柱(プレート)が網目状になっているのがお分かりだと思う。通常の真空管はここが金属の板状になっている。製造年代は定かではないがおそらく1930年前後だろう。
この整流管を「371シングルアンプ」に挿し込んで、ドリアンレーベルのCDの第3トラックをYさんに聴いていただいた。
システムの組み合わせは次のとおり。
CDトランスポート「ヴェルディ・ラ・スカラ」(dCS) → DAコンバーター「エルガー プラス」(dCS) → プリアンプ真空管式「大西プリ」 → パワーアンプ真空管式「371シングル」 → スピーカー「AXIOM80」(最初期版)
以下続く。
2~3日前のテレビで言ってたが、今冬は気象予報の観測を始めてからは史上最高の暖冬になりそうだという。いろんな業種の人々にとっては悲喜こもごもだろうが、こと、釣り人に限ってはうれしいお知らせ。
寒くなると魚が深場に移っていくし、活動も鈍くなってエサを追わなくなるのが常だが、それが暖冬ともなるとまさに千載一遇のチャンス。
12月に入って3回目の釣行となった22日(火)、「もうそろそろ釣れなくなってもおかしくはないが」と、半信半疑ながら自宅を出たのが朝の7時40分。けっして潮の具合も良くないが、お天気が23日から崩れるというので出掛けてみた。
前回の釣行が9日(水)だったのでおよそ2週間ぶりのこと。右腕の筋肉痛も完全に癒えてはいないが、どうにか耐えられる範囲。「せめて足の裏クラスが10匹ぐらい釣れれば理想的だが」との胸算用。
いつもの釣り場は、あたりにも人っ子ひとりおらず、自分だけで澄み切った海のオゾンを満喫。肺が浄化されるような気がして、今年の冬はおそらく風邪とは無縁だろう。
仕掛けを作りながら、数回、撒き餌を海に向かってばらまく。戦闘開始の合図だが、早くもエサ取りの小魚が湧いてきた。相変わらず魚の活性度が高いようでひと安心だが、あまり多すぎても困る。本命のメジナ(九州ではクロ)までエサが届かない。
釣り開始後30分ほどはさすがに海水温が低いせいか、食いが悪かったがそのうちボチボチとかかり出した。それにしてもエサ取りが多くて、撒き餌の2/3ほどはエサ取り用として足元にばら撒き、遠方に本命のクロ用として柄杓で撒き餌を飛ばす。この繰り返しである。
遠方の撒き餌した部分に、きちんと釣り針を届けてやる竿先のコントロールが命だ。それにしても、潮の具合がイマイチのせいかどうも釣果が思わしくない。
ウキ下を変えたり、釣り糸を細くしたり、錘の位置や重さを変えたり、撒き餌を投げる場所を四方八方にしたりと、いろいろ目先を変えてみたが、変えた直後は2~3匹喰うものの、それからパタリと騙されなくなる。魚はたしかに学習能力がある。
3時間ほど経つと、「釣れますかあ」と一人の見物人から声をかけられた。
「ええ、ボチボチですけど型が小さくて持ち帰るのが恥ずかしいくらいです。」と先手を打つと、「竿の曲がりが楽しめればそれでいいですよ。」と慰めてくれた。
なかなか話せる方のようで、じっと偏向グラス越しにご尊顔を伺うと何となく「インテリゲンチャ」(知識人)の雰囲気を漂わせている方だった。どうやら自分とは違って勉学に勤しむべき時期にキチンと義務を果された方のようだ。ちなみに「インテリゲンチャ」のことを茶化して「犬取りゲンちゃん」との呼称があるのをご存知だろうか(笑)。
ご近所にお住まいで、会社を退職後、数年前に関東から移り住んで来られたそうで「別府温泉が魅力」だったとのこと。いろいろと話が弾むうちに、その楽しい気配が竿先にまで伝わったのだろうか、この日一番の大物がいきなりかかった。「ウン、これは大きそう。」と二人同時に声が上がった。
竿を大きくしならせながら、ようやく足元近くに寄せたもののこのまま海面からぶり上げようか、それとも安全第一にタモを使おうかとつい迷った。
「私が竿を持ってあげましょうか?」と助け舟が出たので「はい、お願いします。」と、大きく曲がった竿を渡して自分はタモ入れに専念。
連携操作がうまくいって無事取り込んだ。「ありがとうございます。なにしろこの釣り場でタモを使ったのは初めてですよ。」
以後、夢よもう一度と大物を狙ったがサッパリで、そのうち「犬取りゲンちゃん」もご退散。
12時過ぎに納竿。今回も5時間ほどの釣りだった。およそ30匹ぐらいと釣果の見当をつけたが、潮の具合さえ良ければ60匹ぐらいは軽く釣れていただろう。釣り歴40年以上になるが、12月下旬の時期としては異例のことでこれは明らかに暖冬異変。
自宅に戻って、例によって御開帳。
一番左上の魚がタモですくったヤツだが、その上に目印に置いた携帯の長さが11センチだから25センチクラスで、冬に入ったせいか丸々と太っていて重量感がひとしおだった。
全部で31匹とこの時期としては“まあ良し”としなければ・・。
前回からの続きです。
めでたく落札できた「SPARTON」(アメリカ)の「480」整流管。落札日が日曜日(13日)だったので、翌日の9時過ぎに代金を振り込んだ。メインバンクでネット手続きができるようにしているので、こういうときにいちいち(銀行に)出向かなくていいので、たいへん助かる。
ちなみに、オークションの利用に巧みな出品者は落札日を土曜、日曜の夜に設定していることが多い。勤労者にとって平日は心理的にも物理的にも忙しいのでパソコンに向き合う時間が取りにくいのを見越してのことだろう。
出品者は関西だったが「今回も落札いただきまして、ありがとうございます。」と、お馴染みさんなのでスムーズに事が運び、翌日(14日)の夕方には早くも到着した。九州と関西との距離感は東北と関東との距離感と似たようなものかもしれない。
さあ、とばかり興味と不安が交錯しながらさっそく従来のカニンガム「380」(ナス管)を外して「480」を挿し込んだ。
ど真ん中に堂々とひときわ高くそびえる真空管が「480」である。
スイッチ・オン。繋いでいるスピーカーはグッドマンの「AXIOM80」。挿し込んでいる真空管はすべて直熱管(1920~1930年代)なのですぐに音が出た。
無事、音が出てくれたことにまずホット一息。そして出てきた音に唖然とした!
「クリヤーで透き通った音」とはこういう音を言うのか。音の粒立ちも抜群でこのアンプからこういう音が出たのは初めてだ。これまでの音が80点だとすると、90点は計上してもいいとさえ思った。
いろんな用途がある真空管だが、なんといっても花形は「出力管」である。野球でいえば投手にあたるが、整流管はといえば捕手みたいなもので陽の当たらない縁の下の力持ち的存在だ。
その黒子役が音質全体をがらりと一変させるのだから、改めて真空管の奥深さに触れた思いがした。整流管の役割といえば、交流を直流に変えるくらいのものだが、音質を浄化する役割さえも果しているのだろうか。
さっそく、仲間のKさんに連絡した。
「やっぱりメッシュプレートは凄いですよ。我が家の音が一変しました。こういう整流管はもう二度と手に入らないでしょうから、お盆と正月と大切なお客さんが見えたときだけ聴くようにします。」(笑)
するとKさん「そうでしょう。メッシュプレートの持つクリヤーさは独特のものがありますからね。この次に(オークションに)出たらぜひ私に落札させてください。あっ、それからレイセオンの71A(ナス管)の方は無事落札できました。思ったよりも値が上がらず助かりましたよ。」
お互いにハッピーな結果が出てくれてよかった。
そして、20日(日)の夜、前回のブログを読んだ関西在住のMさん(「古典管の生き字引」)からメールが届いた。
「落札者はあなたでしたか…、私も狙っていたのです。まあ、本命の〇〇があったので、余力があれば…と思っていた程度です。〇〇の方が先に終わっていたら、参戦していたかもしれません。以下~略~」
すぐに返信した。
「実は今回の落札に当たり、頭の片隅で“おそらくMさんも狙っているのではないか”と、秘かに予想してました(笑)。出品者が信頼の置ける〇〇さん、しかもたいへん珍しい希少管とくればそうですよね!
それにしてもこの球は空前絶後の音でした。友人に聴いてもらったところ、まるで“中国製の300Bとウェスタンの300Bのときの違いのようです”と驚いていました。
整流管の役割は交流を直流に替える役割しか持ってませんが、いい球ともなると、さらに純度の高い直流にしてくれるようです。真空管の奥深さに触れて感激してます。」
それでは、この整流管「480」の凄さを少しでも分かっていただくために「生き証人」となるオーディオ仲間のYさんにご登場していただこう。持ち主がいくらあれこれ言っても、部外者には単なる自慢話としか受け止められないでしょうからね~(笑)。
その試聴会は19日(土)のことだった。
以下、続く。
それは1本の携帯への連絡から始まった。
「オークションにレイセオンのエンボス・マーク入りの71A(ナス管)が出品されてますのでお知らせしておきます。たいへん程度が良さそうな代物ですよ。」と、同じ「AXIOM80」仲間で古典管が大好きなKさん(福岡)。
「エッ、それは絶対に見逃せないですね。さっそくウォッチリストに登録しておきます。」
数ある古典管のブランドの中でも「レイセオン」、それもエンボス・マーク付きとくれば知る人ぞ知る稀少管。Kさんに感謝しつつ、秘かに心の中では「絶対に落とすぞ!」と固く誓った。
落札日は12月13日(日)の夜で、およそ1週間前の話。
すると、その2~3日前になって再度Kさんからご連絡。
「どうされますか?実を言いますと現在71AのプッシュプルアンプでローサーのPM6を鳴らしているんですが、とてもいい具合です。それも4本ともレイセオンのナス管を使ったときがベストです。あいにくスペアが2ペアしかありませんので、よろしかったら、(今回の入札を)譲っていただけませんか。」
ウ~ン、困った(笑)。
友情をとるか、はたまた「いい音」への欲求を優先させるか。「to be or not to be」と、まるでハムレット並みの心境だが、元はといえばKさんが最初に発見した物件である。チャレンジ精神や不断の努力を尊重し、最初の発見者にすべての権利が委ねられるのがこの世の倣いなので潔く諦めることにした。
その代わりといっては何だが交換条件を持ち出した。「転んでもただでは起きない」習性はいつものことだ(笑)。
「現在、整流管80の旧ナス管でメッシュプレートの480という古典管が出品されてます。落札日はレイセオンと同じ13日の夜です。出品者は有名な〇〇さんですから極めて信頼が置けます。SPARTON(アメリカ)というブランドですが聞いたことがありますか?」
「えっ、メッシュプレートですか!メチャ音がいいですよ。整流管のメッシュプレートは私も持ってません。SPARTONは聞いたことがありませんが、出品者が〇〇さんですから間違いないでしょう。もう、ため息が出そうな代物ですね。私が欲しいくらいです。」と、Kさん。
「それではこうしましょう。レイセオンはお任せしますので、整流管の方は私に落札させてください。」と、こうして一件落着。友情にヒビが入らなくてよかった(笑)。
それでは「480」のオークションでの画像と説明文を載せておこう。刻印付きのナス管である。
「SPARTON(アメリカ)の直熱両波整流管480(80の旧ナス管)です。 SPARTONは戦前に活躍した独立系の真空管製造会社で、画一的な製品が多いアメリカにあって、ちょっと個性的な真空管を出していた事で知られる会社です。
出品しています480も外観は他社の280と同様ですが、280としては大変珍しいメッシュプレートを採用した真空管です。
もちろん特性は他社の280や80と同じですから、そのまま差し替えて使用できます。規格は、フィラメント電圧5V 2A、プレート電圧350Vで125mAとなっています。ベース内に接着剤片がわずかに落ちていますが、それ自体絶縁体ですから問題は無く、ベースの緩みも有りません。ゲッタの減少も見られず、特性はTV7/Uで確認済みの美品です。 基準値40に対し、測定値は46/46となっています。 よろしくお願いします。」
こうなると、問題は価格がどのくらいまで跳ね上がるかの一点に尽きるが、こういう稀少管に手を出すマニアはよほど限られているはずという気持ちも若干ある。
落札締切時刻は22時32分だが、とてもそんなに遅くまで(?)付き合えないので自分にとっては目一杯となる額を入札してあとは白川夜船を決め込んだ。
そして、翌朝一番にパソコンのメールを開いたところ「出品者からの連絡」という文字が目に躍った。
万歳!
前回からの続きです。
「AXIOM80」愛好家による試聴会も一段と佳境に入って、いよいよタンノイ・ウェストミンスターの箱に入れた「フォリップスのユニット」の試聴に入った。
その結果を述べる前に、オリジナルのタンノイさんのユニット(HPD385:口径38センチ、同軸2ウェイ)をなぜ外したかという理由を述べておかないと「画竜点睛を欠く」というものだろう(笑)。
ジャズを聴くのならJBL、クラシックを聴くのならタンノイとおおかたの相場は決まっているが、どうして世のタンノイファンの顰蹙をかうような行為を仕出かしたのか。
元はといえば熱心なタンノイファンだった。「ⅢLZ」(オリジナル・イン・キャビ)から始まって「インパルス15」そして「ウェストミンスター」とグレードアップしてきたが、そのタンノイさんの音にいつしか就いていけないようになってしまった。今となってみると、「ⅢLZ」が一番まともな音で鳴っていたような気がする。
「いい音」と「好きな音」は違うので、あくまでも好みの違いという観点からその理由を述べてみよう。また、これは我が家の「ウェストミンスターTW」という型式に限られた話なので念のため。
まず、弦の音色がちょっと硬すぎる。もっと余韻たっぷりに、ふわっと柔らかい響きが出てくれないと困る。我が家のシステムは「弦の音色」が第一優先事項である。次に中低音域がぼんやりしていて音階がはっきりしない。ネットワークに使ってある部品(特にコイル)がイマイチのようでそのせいかもしれない。総じて全体的な「雰囲気」で聴かせようとするスピーカーだが、自分のポリシーとは相容れない。
もちろん、この雰囲気の世界が好きという方も沢山いるだろうから、それはそれで良しということになる。
まあ、そういうわけでHPD385の代わりにJBLのD130ユニットや「AXIOM80」(復刻版)など入れ替わり立ち代わり変遷してきたわけだが、どうやら現在のフィリップスのユニット(アルニコ・マグネット)に落ち着いた。
この箱にはやはりフルレンジのユニットが合っているようだ。今回の試聴会では相性テストとして3台のアンプを登場させた。
お値段の高い順からいくと、「WE300B」シングル、「刻印入り2A3」シングル、そして「71A」プッシュプル。
この中で一番評判が良かったのは何と「71A」プッシュプルだった。試聴会メンバーのKさんによると、世界中の放送局で使われているフィリップスのモニタースピーカーは、「真空管EL34のプッシュプル」で使うよう指定されているとのこと。
何だか、分かる気がする。シングルアンプとプッシュプルアンプにはどうしようもない差異がある。喩えて言えば前者は器量良しで柳腰の色白美人、後者は元気が良くて面倒見のいい姉御肌とでもいえようか。一長一短である。やや細身で中高音域に独特の音づくりがしてあるフィリップスには、弱点を補う意味でプッシュプルアンプが似合っているようだ。
試聴盤はケルテス指揮の「新世界より」だったが、オーケストラのスケール感が一番豊かだったのが決め手となった。細身の音は「AXIOM80」や「AXIOM300」で十分なんだから、そちらに任せておけばいい。
トランス(ピアレス)が剥き出しなので見かけが悪く「取扱注意」という解説のもと、さして期待もせぬまま競争相手なしに落札したアンプだが、結果的にたいへんな掘り出し物だった。「71A」はシングルにしてもプッシュプルにしてもハズレが少ないというのが実感。
これは余談になるが、実を言うと「WE300B」アンプがダントツの評価だったら秘かにオークションで落札しようと狙っていた真空管があった。それは英国の名門STCの「4300B」。もちろん、300Bと同タイプなので差し替えが利く。ちょうど試聴会の翌日の13日(日)が落札日だった。
若い頃に所有していたものの良く鳴らしきれないまま手放したのでいまだに後悔している曰くつきの真空管。
事前に関西在住の「真空管の生き字引」みたいなMさんに相談したところ「出品者は間違いのない人です。球の程度の方も初期不良の場合は返還可というのは自信の現れでしょう。落札価格は20~25万円といったところですか。ちなみに、私は持ってるので入札に参加しません。」というご返事。
ヴィンテージ管なので購入したとしてもこれから値が下がることはないし、再度オークションに出したとしても損はしないだろうが、20万円以上となるとちょっと懐が痛いなあ(笑)。
現在WE300Bは「1951年製1本」「1967年製1本」「1988年製2本」持っている。ウ~ン、どうしようかというところだったが、今後このアンプが我が家のダントツのエースになりきれないのなら潔く諦めるしかない。それほど「AXIOM80」仲間たちの耳は信頼に値する。
そういうわけで、結局見送ったわけだが注目の落札価格ははたして「256,550円」だった。Mさん、お見込み通りでしたね(笑)!
閑話休題
これで今回の試聴会はスピーカーごとの最適アンプも決まって大団円を迎えたが、最後のテーマとして今回大活躍した「大西プリ」について述べておこう。
以下、続く。
前回からの続きです。
「AXIOM80」愛好家による試聴会もいよいよ佳境に入り、本家本元の「AXIOM80」の登場となった。実を言うと、このユニットを鳴らすアンプをいったいどれにするのか、いまだに悩んでいるのが実状。
有力候補としては「PP5/400」シングルアンプ、「71A」シングルアンプ」、そして「71A」プッシュプルアンプの三つが挙げられる。
前回記したように「PP5/400」は王者の風格があって他の追随を許さないが、これでは当たり前すぎてあまり面白くない(笑)。マニアたる者、もっと意外性と創造性を発揮したいところ・・・。
そこで、「71A」の出番となってコード類を繋ぎかえてご両名に試聴していただいたところ、しばらくの間「?」と曇り顔。テスト盤はギター演奏。「やっぱり、PP5/400の方が上のようですね。音のヌケが今一つです」とSさん。
ふと、「大西プリ」の低音ブースト機能を一目盛(2db)上げていたことに気が付いた。「71A」となると出力が1ワット未満なのでどうしても中低音域のパワー感が薄くなってしまう。そこで聴く前からその辺を補強しようとオンにしていたのだが、試しにこれをオフにしたところ、見違えるように音の佇まいが劇的に変化した。
一同、一斉に声を上げて「良くなりました!音の彫の深さが素晴らしいですね。これならPP5/400にヒケをとりませんよ。」。
「大西プリ」には低音のブースト機能が2dbごとに8dbまで4段階設けてあるが、「AXIOM80」に限ってはこの機能をうかつに使えないことが分かった。
「AXIOM80」の音が濁った原因としては次の二つが考えられる。ブーストされた余分な低音が中音域に被ってきて、音を汚し、その汚れが高音域に及んだこと。もう一つは、音声回路が低音ブースト機能という余計な回路を経由したため全体的に音が濁ったこと。
それにしても「AXIOM300」のときには、低音ブースト機能を使っても「これは許容範囲ですね」と、一同納得だったが「AXIOM80」のときにはハッキリとノーが伝わってきたのには驚く。メチャ神経質でデリケートなユニットである。
「まったく、こんなに繊細なユニットを日常的に使用できるなんてオーディオ冥利に尽きる話ですね。」と一同感嘆したことだった。
結局、「AXIOM300」ユニットには「PP5/400」アンプを、「AXIOM80」ユニットには「71A」アンプを充てることで評議一決。
「我田引水」的な話はこのくらいにして(笑)、次のテーマに移ろう。
☆ タンノイ・ウェストミンスターの箱に入れた「フィリップスのユニット」(口径30センチのダブルコーン型式、アルニコマグネット付き)の鳴り具合について
実はこれも適合するアンプに悩んでいる。候補は今のところ3台。
WE300Bシングル(モノ×2台)、「刻印付き2A3」シングル、「71A」プッシュプル
順番に鳴らしていったところ、一番評価が高かったのは意外にも・・・。
以下、続く。
このところ「どうしても聴きたい音楽」というのが段々と少なくなってきているように思う。若い頃のような瑞々しい感性が薄れてきたこともあるだろうし、耳に倦んできたせいかもしれない。少なくとも手持ちのCDの中にはあまり見当たらないので、今回の試聴会にあたり事前に仲間たちに次のように訴えた。
「お見えになるときに、お気に入りのCDを持参してきていただけませんか。どうもこの頃、我が家のCDを聴く意欲が薄くなってきて困ってます。一方ではオーディオ弄りが自分でも目に余るほどです。これでは単なる音キチになりそうで怖いくらいです。」
すると、やはり仲間はありがたい。ちゃんと答えが返ってきた。
「音楽とオーディオは持ちつ持たれつですよ。極端に言えば音楽だけを聴くのであればラジカセで十分でしょう。いい音楽を好きな音で確認する、好きな音をいい音楽で確認する。いわば相互作用みたいなものです。音だけを目的にすると歪(いびつ)な方向に行ってしまいますよ。オーディオが長続きしない連中を何人も見てきましたが、すべて好きな音楽というものが不在でした。」
やはり、根元に好きな音楽があってこそオーディオという趣味が成り立つのだろう。
前置きが長くなったが、そういうわけで今回いろいろとテスト用のCDを持参してきてもらった。
「10ライブwestern sound」(オムニバス版)、「ギター エッセンシャルズ」(ギターの協演)、「モニカ・ウィズ・ビルエヴァンス」「疑似マスターテープから直接CD化したジャズ」など、クラシックからジャズまで、楽器の方もボーカルからヴィオリン、ピアノ、ギターまでほとんどが網羅されている。
いずれも優秀録音ばかりだったが、これらのCDを中心にシステムごとに聴き比べした。
まずは最初のテーマから。
☆ グッドマンのSPユニット「AXIOM300」の試聴結果について
結論からいくと大好評だったが、まず聴いていただいたシステムのラインアップを紹介しておこう。
dCSの「CDトランスポート」と「DAコンバーター」 → 「大西工房製プリアンプ」 → 「パワーアンプ:PP5/400真空管シングル」 → 「AXIOM300」(口径30センチ:ダブルコーン・フルレンジ)
初めだけはせめて手持ちのSACDをというわけで、女流ヴァイオリニストのシュタインバッハー弾くところの「ヴィオリン協奏曲」(モーツァルト)を鳴らしてみた。ファースト・インプレッションという大切な役割を担っていたが、見事に合格。
音の奥行き感といい、朗々たる音の豊かさといい、素晴らしい出来栄え。「ウ~ン、これはいいですね!」という、たしかな手ごたえがあった。
日頃、パワーアンプの出力管は「PX25」(ナス管)を使っているのだが、今回はSさんたってのご所望で「PP5/400」(英国マツダ)の出番となった。この球は製造時期によって初期、中期、終期に分かれるようだが、初期版が最も音がいいとされている。今回使用したのはその初期版だが、3本しか持ってないので日頃はもったいなくてとても使う気になれない(笑)。
しかし、さすがに「PP5/400」だけあって、中低音域の図太さがPX25と比べると月とスッポンみたいに違う。これほどとはと、我ながら驚いた。
「以前のフィリップスのユニット(フェライト・マグネット)と比べるとやはり相当違いますよ。さすがはグッドマンですね~。使用するアンプとの相性もいいです。これで決まりでしょう。」と、Sさん。ちなみにSさんは「PP5/400」を数ペア所持されているほどの大ファン。
Kさんからも「PP5/400は初期版に限ってですが、出力管の王様だと私のアンプのお師匠さんが常々言ってますよ。」
ドライバー管は「レイセオンの71A」、整流管は「274B」、UTCのドライバー・トランス仕様というシンプルなツクリ。PP5/400の管頂には「MAZDA」のプリントがまだはっきり見えるので、程度の方も極上である。
ギターのテスト盤をひとしきり聴いてから、Sさんのご所望で今度はスピーカーを「AXIOM80」に切り替えた。同じグッドマン同士なのでいい勝負だろうと聴かない前からおおよそ分かるが、一同興味津々。
「生の音よりもギターっぽい音がしますね。さすがにAXIOM80です。弦の細かい震えの再生となると、やはりこのユニットの右に出るものはないですよ。」と、Sさんの言葉に全員納得。
線の太さが所望なら「AXIOM300」、緻密な再生ということになれば「AXIOM80」ということになる。
「AXIOM80」をそのままで今度はアンプの方を代えてみましょうか、というわけで出番が回ってきたのが、「71Aシングル」。我が家では「PP5/400」アンプと並んでエース的な存在。
以下、続く。
前回のブログ「鬼が出るか、蛇が出るか、ハラハラドキドキ」(2015・12.11)を登載したところ、すぐに読者の方から次のようなメールが届いた。
「おはようございます。
>ふと目に留まったのが、大西正隆工房製の真空管式プリアンプ。見ただけで何だかいい香りが漂ってきたのが不思議(笑)。
と、ありましたが流石に半世紀に及ぶオーディオマニアですね!香りが漂って来ましたか!!私も大西さんの内部まで全て見せてくれる姿勢に尊敬しています。カップリングコンデンサーがASC製が採用されていること、出力トランス付きで日立金属のファインメットを採用することで私にもいい香りがしてきました。
もと東芝、ソニーの技術屋さんとのこと、真空管デバイスの良さを認識されている点で一目置いております。明日の試聴会の結果を楽しみにしています。速報をお願いします。」
こういうメールは大歓迎。すぐに返信した。
「メール拝読しました。プリアンプの感想ですが、間違いなくこれまで使ってきた中ではベスト1です。明日、試聴会が終了したらすぐに速報をお届けします。」
そして、(試聴会の終了後に)次のようなメールを発信。
「お約束通り、さっそくご報告します。11時~16時までの5時間に亘る試聴でしたが、幸いなことに絶賛に次ぐ絶賛で、<我が家の音は完成している>そうです。<大西プリ>が想像以上に良かったとのことで、うれしい限りです。どうやら無駄遣いではなかったようで・・・(笑)。それでは取り急ぎまで。」
すると、すぐに次のようなメールが届いた。
「お約束の速報に感謝申し上げます。長時間の試聴会お疲れ様です。装置も完成し、〇〇さんの製品選びも堂に入ってきて香ってきたら間違いなしとのこと!!来年からどうしますか、弄るものがなくなって・・・。今から心配です(笑)。速報有り難うございました。」
いえいえ、ご心配はありがたいのですがオーディオに終着駅はありませんのでどうかご無用に~(笑)。
それでは、筋金入りのグッドマン「AXIOM80」愛好家たちによる試聴会の内容に移ろう。
今回のテーマは、つまるところ次の3点だった。
☆ 11月30日に導入した「大西正隆工房製の真空管式プリアンプ」の実力度
☆ 新しいグッドマンのSPユニット「AXIOM300」(アルニコ・マグネット)の音質について
☆ タンノイ・ウェストミンスターの箱に容れたSPユニット「フィリップス」(アルニコ・マグネット)の音質について
以下、続く。
去る7日(月)に半日かけて入れ替えた我が家のSPユニットたち。
これがフィリップスの口径30センチのアルニコ・マグネットタイプだが、これをウェストミンスターの箱に取り付けてみた。
次に、SPユニット「AXIOM300」ユニットをグッドマン指定の箱に取り付けて、両者の完成後の画像がこれ。
今日(11日)が金曜日だから早くも5日目になるが、ようやく「こなれた音」が出てくれて各ユニットが落ち着くところに落ち着いたという感じ。一番変わったのが「AXIOM300」でウェストミンスターの箱に入れていた時よりももっと奥行き感があって豊かな音が出てきたのにはほんとうに感激。やはりグッドマンとタンノイさんは水と油だ。
これでスピーカーシステムが3系統になったことになるが、それぞれの用途は次のとおり。
第一システムの「AXIOM80」はボーカルやヴァイオリンソロなどの小編成向け。第二システムの「AXIOM300」は中編成のクラシック向け。第三システムの「フィリップス」はジャズや大編成のクラシック向けといった具合。
ただし、これらのスピーカーを生かすも殺すもパワーアンプ次第だし、そのパワーアンプを生かすも殺すもプリアンプ次第だし、これら全体の生殺与奪の権利を握るのが前段機器(CDプレイヤー)というわけだが、、自分の気に入った音を出そうと思えばなかなか手を抜けないのが真相。
我が家のシステムを観察した場合、プリアンプ部分がちょっと弱いかなあ~。
以前のブログで「プリアンプ不要論」をぶったこともあるが、今となっては若気の至りで一概に決めつけるわけにもいかないようで、つまるところ個人ごとのシステム次第で要・不要論が分かれてしまう。
現在の我が家のシステムではプリアンプがあった方がベターと見ているので常日頃チェックしていたところ、ふと目に留まったのが、大西正隆工房製の真空管式プリアンプ。見ただけで何だかいい香りが漂ってきたのが不思議(笑)。
使ってある真空管が比較的簡単に手に入りやすい12AU7(4本)、大切な出力トランスにファインメットコアが使ってある、低音補強(70ヘルツ以下)が付いている、というこれら3点が決め手となってアッサリ試してみるかなあ~。
このプリアンプが到着したのが忘れもしない11月30日だったので、10日ほど経過したことになるが今のところ満足度100%!
唯一の難点が使ってある12AU7が新品の中国製で、これはこれで悪くはなかったが精神衛生上あまり良くないので(笑)、すぐにムラード製に取り換えた。
これで明日12日(土)開催の我が家での「AXIOM80愛好家の集い」に向けて「準備万端」のつもりだが、オーディオの猛者連を相手に、はたして「鬼が出るか、蛇が出るか」ハラハラドキドキ(笑)。
釣に行くのもタイミングがあってなかなか思いどおりにはいかない。自分の場合には4つの制約条件がある。
まず一つは曜日の問題。
土曜、日曜、休日は釣り客が多くなって狙いの場所が確保しにくいので行けない。
二つ目は天候の具合
雨降りはダメだし、強風も仕掛けが思うように投げられないので楽しく釣りができない。
三つ目は汐の具合
「大潮」などの大きな潮位のときの「上げ三分、下げ七分」のとき以外は釣果が思わしくない。
四つ目は筋肉疲労
最後に一番大切なのが肝心の竿を持つ右腕の筋肉疲労で、毎回50匹前後の魚を釣り上げていると、右手首から肘当たりの負担がバカにならない。左手の方はリールを巻くのに使うので両腕を使うわけにもいかない。したがって、少なくとも釣行の期間を1週間以上開けないと「けんしょう炎」になってしまいそう。
というわけで、前回の釣行が12月1日(火)だったので、11日(金)あたりに狙いを定めていたのだが、あいにく天気予報によると10日(木)~11日は大雨とのこと。
そこで、仕方なく9日(水)の釣行となった。残念なことに潮の具合がよろしくないが、贅沢は言ってられない。
当日の潮汐表だが、こういうように24時間のうちに小さな山が二つあると潮位が分散されて潮の動きが緩慢になり魚の食欲もイマイチである。
早朝の6時半ごろに出発するときに「おい、今日はあまり潮の具合が良くないのであまり釣れんかもしれんからな」と家内に言うと、「料理に困るのであまり釣ってこないようにね」とのご託宣。
気楽な反面、あまり当てにされないのも肩すかしをくらったようで微妙な心境(笑)。
さすがに12月中旬ごろの早朝となると随分冷え込んでいて外気温が11度だった。魚も深みに潜り込んで前回の半分も釣れれば上出来だろう。
まだ薄暗い中に、いつものように釣り人は皆無でお目当ての釣り座を難なくゲットできた。「集魚剤+パン粉+麦」を海水で混ぜ合わしたマキエを海面に撒いて戦闘開始。
海水温が冷たいせいか、初めの1時間ほどは散発気味で食い気がイマイチだったが、9時ごろからようやく頻繁に当たりが出始めた。
例によって、魚の学習能力をうまくかわすために、ウキ下を変えたり、錘を付けたり外したり、位置を変えたりとあの手この手で仕掛けを変化させてやって同じパターンを繰り返さないようにすることが肝心。
魚だって命がかかっているんだから、仲間たちが次々と釣り上げられているのを見ると警戒心を起こすのは必然だろう。撒き餌で魚の食欲を大いに刺激してやることが肝心だが、食欲と命のどちらが大切なのか、それが魚には分からないのが哀れである(笑)。
要するにプライオリティ(優先順位)の問題だが、ただし、笑ってばかりもおれない。人間だってそうだ。
ときは第二次世界大戦前。日本海軍は「大艦巨砲主義」のもとに「戦艦大和」をつくったが、時代の流れは既に「空軍の充実=飛行機」へと移っていた。日本海軍も途中で気が付いたが、現実問題として「戦艦大和」の乗組員を実際にどこに配置するのか、失業問題が浮上したため、容易に切り替えることができなかった。
今となっては「国の存亡と乗組員の失業問題」のいったいどちらが大切なのか、考えても分かるのに・・・。
閑話休題。
11時過ぎになって右腕の筋肉が少しマヒしてきたので潔く納竿。周囲で遠慮していた「イカ釣り師」たちが喜んで釣り座に寄ってくる。帰る時の外気温はといえば、何と19度と急上昇していた。完全に冬武装していたので汗をかくほどだった。
10分ほどで帰宅すると例によって御開帳。
左上のサイズの目安で置いた携帯の長さが11センチだが、足の裏サイズが1匹、手の平サイズが20匹前後、後は南蛮漬け用。画像に入りきれなかったものを含めると全部で50匹ぐらい。
やはり型はイマイチだったが、明らかに暖冬異変だろう。クロ(メジナ)は11月頃から深場に移っていくので釣れなくなるものだが、12月に入ってこれほど釣れたのは釣り歴30年以上になるが初めて。
我が家には10匹ぐらい残してあとはすべて近辺散布。サイズがイマイチなので胸を張って差し上げられないのが残念だが、中には「新鮮だし、白身なのでおいしい」といってくれる方もいて、お世辞かもしれないが大いに励みになる。(笑)
週末の5日(土)、6日(日)と、相次いでオーディオの試聴のためにお客さんが来訪された。大分市のMさん、Nさん、そして別府市内のYさん。どなたも定期的にお見えになっているので、丁度システムの変わり様についてご意見を拝聴する絶好の機会となった。
このブログで何度も記載しているように、独りで聴いていると音楽の方に気をとられてしまい、なかなかシステムのアラに気が付かないが、お客さんと一緒に聴いていると不思議なことに第三者的な耳になっていろんな改善点が浮かんでくる。
そういうわけでお客さんはいつでも大歓迎だが、「あなたが口径30センチクラスのフルレンジスピーカーを愛用している理由がよく分かりました。」と、言っていただくとやはり安心する(笑)。
ただし、いちいち(お客さんとの)やり取りを挙げるのも脈絡のない話になるので、総括的にこの2日間で自分なりに気が付いたことを忘れないうちに2点ほど挙げておこう。
☆ グッドマンのユニットとタンノイの箱は相性が悪い
今回の試聴会はウェストミンスターの箱に入れたばかりのグッドマンのユニット「AXIOM300」(口径30センチ:ダブルコーン、アルニコマグネット付き)がハイライトだったが、クラシック音楽向きでとても品が良くていい音なのだが、一緒に聴いていると、ちょっとおとなし過ぎる印象を受けた。
前回のブログで、この音について熟女のお色気といった表現をしたが、もっと「元気はつらつ」さが欲しい気がする。熟女は熟女でもいろんな年代があるのでねえ(笑)。
よく考えてみると、グッドマンのユニットは「ARU」(ユニットの背圧を調整する器具)付きで鳴らすのが前提になっており、非常にクリチカルな鳴らし方が求められるが、それをタンノイさんの箱に入れて鳴らそうなんて考えるのが土台無理だったかもしれない。
そもそもイギリス本国で強力なライバル関係だった両社だが、グッドマンにしてみると自社のユニットをタンノイの箱に入れてうまく鳴らそうなんてつゆほども考えなかったに違いない。
やはりグッドマンのユニットは同社指定のこじんまりとした箱に容れてやるに限るようだ。同社のポリシーそのものがスケール感ではなく、緻密な再生の方を求めているように思える。
こういうことは、はじめに気が付いておけば「無駄な作業をしなくて済んだものを」だが、実際に試行錯誤してみないと思いつかない。
☆ ヘタった整流管は始末に悪い
日曜日にYさんと一緒に聴いているときだった。我が家のエース「AXIOM80」で、ちょっと大きめの音でジャズを鳴らしたところ中低音域でどうも音が割れるというか、歪む傾向がある。駆動するアンプは真空管「71Aシングル」。
ちなみに、Yさんによると我が家にある8台の真空管アンプのうち、このアンプの音が一番好きとのこと。
Yさんに確認したところ「たしかに、音が歪んでますよ!」
アンプの出力がたかだか1ワット未満なので、「そのせいかなと」も思ったが、4本の真空管のヒーター回路は別電源になっているし、入力トランスからドライバートランス、出力トランスまでオールUTC製のトランス結合なのでツクリの信頼度は100%。
犯人は真空管しか思いつかない。「整流管」(カニンガム80ナス管)、ドライバー管(レイセオン:71A)、出力管(カニンガム371トリタン仕様)の内どれかに原因がある。まず整流管を替えてみた。画像中央に位置している一番大きなナス型の真空管である。
これまで使っていたものはオークションで購入した中古品だったが、今度はチャンとした新品に差し替えたところ、「元気溌剌」とはこんな音かと驚くほどの変わり様。Yさんもビックリされていた。結局、歪の原因は整流管のヘタリだった。
整流管ほど始末の悪い物はない。いっそのこと、雑音が出たり、音が出なかったりするとすぐに差し替えるのだが、100%の整流能力のところを60%ぐらいにヘタっていてもそこそこ音が出るから交換の目途が実に立てにくい。
また、外見からもなかなか見分けがつかずゲッターなども十分残っていそうなのに、程度が悪かったりしてまったくのお手上げ状態。
こういう「外見も良く、そこそこ音は出るんだけどヘタった整流管」がオークションには数多く出回っているようで、これからは用心した方がいいと深く脳裡に刻み込んだ。
ちなみにオーディオ仲間のKさんによると「整流管だけは新品もしくは新品同様しか買わないことにしています」とのこと。また、当初は新品であっても使用時間とともに峠を過ぎるのが真空管の定めなので、ときどきは新品と差し換えてやって音の変化をチェックした方がいいようだ。
今回は2日間にわたり非常に実り多き試聴会となった。
そういうわけで、昨日(7日)は早朝から張り切ってまたもやSPユニットの入れ替え作業に取り掛かり、午前中で2セット(ユニット4本)の入れ替えが無事済んだ。
つまり、ウェストミンスターの箱から「AXIOM300」を取り出し、フィリップスのユニット(アルニコマグネット)を容れる、
次に、グッドマン指定の箱から、フィリップスのユニット(フェライトマグネット)を取り出し、「AXIOM300」を容れる。
試聴結果は後日ということで~。
もう、忙しくてたまらん!(笑)
今年(2015年)の11月は気象史上まれに見る暖かさだったそうだが、さすがに師走を目前に控えると一気に冷え込んできて、この1週間ほどは九州といえども朝晩の暖房が欠かせないほどだった。
「これほど冷え込むと、魚も深みに潜り込んで釣りにくくなるなあ」というのがすぐに脳裏に浮かんだ。このところ気象条件といえばいつも釣りに直結している(笑)。
そのための対策として、次の二つの方法を考えてみた。
一つはマキエに麦を混ぜること。麦は比重が大きく海面近くにいる魚に食べる“いとま”を与えずに海中の奥深くに沈み込むので自然と海底近くに魚が集まってくる。つまり、これまでの浮かせて釣る「面的な釣り」から、「立体的な釣り」へと変化させる。
もう一つは、海水温が下がって魚の食欲がどうしても落ちてくるので、日頃使っている練り餌と併用して生のオキアミを準備して食い気を誘う。
実際に釣りをする時間はたかだか4~5時間程度だが、そのための準備段階となると仕掛けの工夫から魚の気持ち(?)を読んでのエサ対策までゆうに何倍以上もかかる。
釣果は準備次第で決まるといっても過言ではないが、この準備時間というのが実に楽しい。竿、釣り針の大きさ、糸の太さ、ウキの選択、錘の大きさと打ち方など限りない選択肢が広がる。
そして実際にフィールドに出て、はたして自分の工夫した方法が正しかったのかどうか、すぐに結果が出るところがとても面白い。もちろん当日の天候や潮の具合などの自然条件によっても左右されるので一筋縄ではいかない。
学問とは「仮説と検証」だとよく言われるが、仮説を準備だと言い換えれば釣りだって学問である。ちょっと大げさかな~(笑)。
さて、こうして牙を研ぎ研ぎしながら迎えた12月1日(火)は絶好の釣り日和だった。早朝のまだ肌寒いなか、自宅を出たのが6時40分。いつもの釣り座を確実にゲットするためには仕方がない。潮の具合も中潮の満ち込みとグッドタイミングだった。
現場に着くと予想どおり、人っ子一人いなかった。釣り座を構えるなりまず撒き餌を海面にばらまく。戦闘開始の合図である。その沈み具合で潮の動きの方向、速さなどを観察しながら7時ごろに竿だし。
「上げ三分」のセオリーからいけば絶好のタイミングなのだが、やはり海水温が冷えているせいか魚が偏向グラスでちらほら見えるものの動きがとても緩慢で、食い気もあまりなさそうである。
クロ(メジナ)はマキエで興奮させて乱舞させないと釣りにならない。当初の1時間ほどは散発気味でやっぱり今日はダメカモと悲観的になりつつあったところ、太陽が昇って海面をキラキラと照らしだすとようやく魚の動きが早くなってきてマキエを勢いよく追いかけ出した。
こうなるとしめたものだが、それでも前回よりは確実に食い気が落ちているのが実感できた。ウキが沈み込んで、竿を立て魚をかける割合いがこれまで100発中80発ぐらいだったが、今回は50発そこそこで空振りが増えた。
そこで前もって準備しておいた「生オキアミ」の出番。このエサに付け替えた途端に針がかりが一変した。80発ぐらいにはなったかな~。それにマキエに麦を混ぜた効果も確認できた。ウキ下を2mぐらいとって深場を狙ったところ、この日一番の大物がかかったので、見事に狙いが的中と言ったところだが、その時点であいにくマキエが切れたので残念ながらお終い。
12時頃に納竿。結局5時間に及ぶ釣り三昧だった。
自宅に戻って例によって御開帳。
足の裏サイズが10匹前後、手の平サイズは数え切れず、全部並べるのが面倒くさかったので省略したがおそらく60匹前後はいったはず。
「向こう三軒両隣」は言うに及ばず、家内の朝のウォーキング仲間にも配って大いに喜ばれ、このところオイラの株は急上昇中(笑)。
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