先日のブログの末尾に家人から「耳が遠くなりつつある」と指摘されたことを記したところ反響があったみたいで、さっそく過去記事「難聴予防の王道」へのアクセスがちらほら。
やはり音楽愛好家にとっては耳が遠くなることは切実な問題なのだろう。
「難聴予防の王道」はずっと昔の記事なので知らない方が大半だろうし改めて今風にアレンジして以下の通り再掲しますのでどうか参考にされてください。
音楽&オーディオ愛好家にとって耳の機能が衰えるというのは”恐怖の的”である。とにかく音がいいとか悪いとか以前の問題として、音が聴こえてこなければ音楽の楽しみようがない。
したがって経年劣化は受け入れるとしても努力のしがいがあって、せめて耳の機能を最低限維持できればというのが現時点での最上の望みである。
2008年5月放映のNHKテレビ「ためしてがってん」では難聴になる一番の原因は「耳は臓器の一部であり血流による栄養補給が疎外されること」だとされていた。
その要旨を再現してみよう。
左から「有毛細胞」、「ダンス細胞」そして「難聴のリスク」である。
☆ 音が聞える仕組み
人間の耳の奥にある蝸牛(かぎゅう)という器官に有毛細胞が並んでおり、入り口に近い有毛細胞が高音を感じ、奥の方にある有毛細胞が低音を感知して振動し脳に伝えて音として認識される。
段々と高音が聞きづらくなるのは入り口に近い有毛細胞が高音も低音も感知して振動するので傷みやすく、加齢、騒音の聞き過ぎによるのが原因というのが定説。
☆ 先入観による「音韻修復」
男女10人による混声合唱団に対して実験が行われる。いずれも日頃音楽に親しみ耳に自信のある方ばかり。実験の内容はノイズをずっと聞かせて、その中に「さくら、さくら」のメロディが隠されておりそれを聞き分けることが出来た人が何人いるかというもの。
その結果、10人中8人がメロディが聞えたと手を挙げたがこれが大間違い。実はメロディは何ら含まれておらずタダの雑音ばかりで結局、聞えた8人というのは「気のせい」だった。
これはオーディオでもよくある話。
たとえば他家で、お値段が一桁違う高級なオーディオ装置の前に座らされ、見た目の豪華さも手伝っていかにも「いい音」を聴いた感じになるのだが、実は左右スピーカーのプラス・マイナスの結線が間違っていたり、ツィーターの片方が鳴っていなかったりすることはままある話で、いかに先入観が人間の聴覚を誤魔化すかという好例だ(笑)。
☆ 難聴のリスク要因とは?
1 加 齢 → 1.6倍 2 高脂血症 → 1.9倍 3 糖尿病 → 3.7倍 4 腎臓病 → 5.9倍
科学的な根拠として有毛細胞の根元に並んでいる「ダンス」細胞に正常な血液によってきちんと栄養補給がなされていないことが難聴につながる大きなリスク要因であるという。
結局、前述したとおり難聴予防には「生活習慣病の予防が大切」という結論だった。
ところが、つい最近のネット情報で「コエンザイムQ10」で難聴予防ができるという記事を見かけたのでたいへん興味を持った。
要約してみると次のとおり。
年を取るにつれて耳が遠くなる「老人性難聴」は、耳の奥の「内耳」にある感覚器の細胞が遺伝子の働きで死滅して起きることを東京大などがマウスの実験で明らかにした。
抗酸化物質で遺伝子の働きを抑えると、発症しないことも突き止めた。哺乳類の耳の仕組みは共通しており、人の難聴予防につながると期待される。
また、損傷を受けた細胞を自殺に導くBakという遺伝子に着目。マウスのBakを働かないようにすると、人間の50歳に相当する生後15ヶ月でも聴力がほとんど低下しないことを確認した。
Bakの働きを抑えられるか調べるため、17種類の抗酸化物質をエサに混ぜてマウスに与えたところサプリメントとして市販されている「コエンザイムQ10」など3種類が難聴予防に効果があることが分かった。
以上のような内容だが、宣伝目的ではない、れっきとした学術的な研究成果というので早速、飛びつくように「コエンザイムQ10」をネットで注文したのはいうまでもない。
これで、朝食後に服用するサプリメントがまたまた増えてしまったが、3か月ほど試してみたもののそのうちどうも効果がわかりづらくてあえなく自然消滅(笑)。
結局、難聴予防の王道は日頃の生活習慣において極めて地道な「腹八分」「継続的な有酸素運動」に優る対策はないと悟ったという次第。
以上は若い人には縁のない話だが、どのみちいずれは遭遇するわけですから今からでも予防するに越したことはありませんよ~。
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