前回からの続きです。
さあ、オークションに出品された「AXIOM80」を「H」さんが無事落札されるかどうか、運命の時間(深夜)が迫ってきた。
他人事ながらハラハラ、ドキドキするものの幸か不幸か睡魔はいつものとおり20時ごろに襲ってきた(笑)。
翌朝の3時ごろにごそごそと布団から這い出して真っ先にメールを開けてみたところ「落札できませんでした」のタイトルが目に踊った。
「〇〇美術館のHです。非常に 残念ですが予想通り落札出来ませんでした。いろいろお訊きしたのに申し訳ないです。
今後ともよろしくお願いします。確かに状態は最高であった気がしますが、私には過ぎたレベルだと今は思っています。」
すぐに返信メールを打った。
結論から言いますと「見送って正解」です。いくら何でも50万円近い金額は無茶です。
それから、おいおい状況がはっきりしてきた。落札者は累計で3000件以上にも及ぶ専門業者でやっぱり投機筋の〇〇系のようだし、具体的な落札金額は税込み価格で「48万円」だった。もし最後まで競争をしかけていれば確実に50万円を超えるどころか果てしない金額に上ったことだろう。
これでは「ハイエンド」のちょっとした差を楽しむ「オーディオ文化」どころか、弱肉強食の血に飢えたハイエナ同然じゃないですか!
純粋に音楽芸術を楽しむささやかな趣味の世界に土足で踏み込んでくる「不届き者」がいる!
まるで「夜の女王」(「魔笛」)のコロラツゥーラのようにメラメラと怒りの炎が燃え上がってきた。
すると、Hさんから再びメールが届いた。
「この2日間、AXIOM80を入手すれば封印されるはずだったSABApermadyn19-200とJBLL75(LE8Tユニット)を真剣に試聴することにしました。
2日間で約10時間、SABAが7時間、L75が3時間ほどです。今終わったばかりです。平日は家族が全員仕事に行っているので、私にはこの時しかないのですが。
SABAはオーディオもてぎさんに行って茂木さんとお話ししているうちに大好きになったSPです。
2,3年探していたのですが、何故かヤフオクに引き取り限定で大型エンクロージャー入りの極上ユニットがほぼタダ同然に出ました。(私は拾うことが大好きなので)ほぼタクシー代だけで入手できました。
(車とバイクの趣味は完全封印しています)それでも2カ月ほど改造し、後面開放エンクロージャーに作り替えました。いい音だとは思っていたのですが、TVやCDの音が痩せ細るので、常用していませんでした。仕舞っていました。
私が知る限りEAR912と861は音を美化するトップクラスのアンプです。初めはMCを聴いていたのですが、結局今はシュアーのULTRA500 に戻ってしまいました。この条件で聴くと、レコードは8:2でSABAが勝ちました。物凄く吃驚しました。せめて同点位と思っていたので。
しかしながら、TV、動画サイト、SACD、CD、ハイレゾというデジタルソフトは100:0でL75がいいです。
L75が少しウェットではありますが。SABAで聴くデジタルは何とも痩せてか細いのです。一番の違いはコーンの重さ、ユニットの重さだと思います。
レコードあれほどまったりしていて、血が通っていた声がミニコンポみたいになるのです。電気を最高速で音に変える軽い軽いコーン紙が何か悪さしているのでしょうか?
もともとラジオ用のユニットですからシーメンスとは反対側にいるものです、JBLともAXIOM80とも逆なのだと思います。
何が言いたいかというと、束縛の無いコーン紙≒SABA、重いダイキャストフレーム≒LE8T 〇〇さん宅のデジタルなら問題ないのでしょうが、AXIOM80とは、どんな方向性の音がするのだろうかと、更に興味が沸いたという話でした。
SABAもこのまま残して、AXIOM80の箱は別に作ろうかと思った次第です。SABAより軽い(?)コーン紙の音。楽しみです。」
折り返し、返信した。
「とても興味深い話です。たしかに仰る通り、デジタル系の音とアナログ系の音にあったユニットの相性がありますね。
コーン紙が軽いユニットはアナログ系の響きの豊かな音に合うような気がしています。
AXIOM80の初期版のコーン紙の軽さは有名ですが、やはりアナログ系に合っていそうです。我が家ではレコードは無いのですべてDACを通していますが、アナログならさぞかしと思います。
私はデジタルで低音域を豊かに鳴らすことに固執しているので、まやかしですが「AXIOM80」の同一バッフルに「リチャードアレン」(口径20センチ)のサブウーファーを取り付けて2台の真空管アンプで楽しんでます。
今のところ私の駄耳では満足してます。要は工夫次第ということですか。
いや、けっして自画自賛ではないですよ(笑)。
サバとLE8Tは両者ともボーカルを楽しむにはとても合っていると思います。
あえて口径20センチのフルレンジを選択される趣味の良さも大いに感じますし、アンプもあの「パラヴィッツーニ」設計の優れものなので、この組み合わせで十分だと思います。わざわざ「AXIOM80」を求めることもないでしょう。
もちろんそれなりの良さもあるとは思いますが、おそらく「フ~ン、AXIOM80といってもお値段ほどのことはないな」がオチだと思います。
そういえば「聴かぬが花」という言葉を思い出しましたよ(笑)。」
以上、これで「AXIOM80」の入札関連の話はお終いです。読者には長々とお付き合いいただきありがとうございました。
最後にHさん、ネタの提供について感謝の一言です。

