現在のオーディオ装置の音にそれほど不満を持っているわけでもないが、そうは言いつつも、一定期間が経つとつい「アラ探し」をしてしまうのが悪い癖。
これはおよそ40年間に亘って自然と身についた習慣のようなものだが、癖というよりもアタマがマンネリを嫌う面もあって、どうやら永久に治りそうもない。
「早くオーディオを卒業して音楽鑑賞に専念せねば」と分かってはいるもののまるで空念仏みたいになっている。
「音楽とオーディオ」の関係といえば結局「目的と手段」のようなもので、一般的にこの両者の”混同”は厳に慎むべきものだが、この場合に限っては「手段」の追求のほうにも”魅力がありすぎる”のが難点!
さて、現在、我が家の装置で少しばかり気になっているのが音の”抜け”というか”爽やかさ”。
ちょっと言葉では表現しがたいが、あえて言えばピアニシモが静かに空間の中に次第に消えていく余韻の美しさとでも言おうか。
その辺をしっかり味わうことはオーディオの醍醐味のひとつといってもいいくらいだが、今でも十分だとは思うものの、もっと工夫して良くなる方法はないものかと考えるわけ。
つくづく「欲張りな人種」なのだろう。
具体的にこの辺を少しでも解決に導こうと思って、とりあえず中域用のSPユニット「アキシオム80」と高域用の「JBL075](「ツィーター」)の「つながり」に目を向けてみた。
以下、ちょっと専門的な話になるが悪しからず・・・。
現在、低域は専用ユニットを使い、中域~高域にかけてはSPユニット「アキシオム80」(アンプ:PX25シングル)、最高域を「JBL075」〔アンプ:2A3シングル)でカバーしている。
「アキシオム80」は本来フルレンジ・ユニットなのでこれだけで300ヘルツ〔周波数)~最高域を十分カバーできるのだが、ちょっとアキシオムの最高域が刺激的なので、高域部分を「羽毛」を使って音量をカットしたうえで、ツィーター専用の「075」を使用している。
今のところ、この「075」をコンデンサー(「スプラグ」のビタミンQ:0.2μF)で計算上「10万ヘルツ」でローカットしている。
通常、人間の耳は2万ヘルツ以上は聞こえないとされているので理論的にはとても考えられない周波数の「つなぎ方」だが、こういう場合はコンデンサーがアッテネーター〔減衰器)の役割をしている。
今回はこのコンデンサーをそっくり入れ替え実験してみようというわけ。
こういうときにオークションは便利がいい。覗いてみると探している数値のものがピタリとあった。
使用するコンデンサーの銘柄によっても音質がクルクル変わるが自分の場合は「スプラグ」がお気に入り。その「スプラグ」にもいろんな種類があるが定評があるのは「ビタミンQ」とか「ブラックビューティ」など。
今回は「ビタミンQ」(0.39μF)と「ブラックビューティ」(1.0μF)をそれぞれペア(左右)で購入してみた。
ブラックビューティ ビタミンQ
接続は「075」のSPケーブルのプラス線に(コンデンサーを)挿入するだけなので実に簡単。とはいえ、ケーブルとコンデンサーの接続部の「ハンダ付け」は必須。
まず「ブラックビューティ」を先に試してみた。理論上は「2万ヘルツ」でローカットしている計算になって、一番自然なつながりの数値のはずだが実際に聴いてみるとヴァイオリンの音色がやや”きつく”なる。
ジャズの場合はシンバルが刺激的に鳴って相性が良さそうだが、クラシックの場合、長時間の試聴になるとどうも〔耳が)疲れてきそう。ジャズとクラシックのどちらを優先するかとなると当然後者。
次に、「ビタミンQ」を入れ替えて挿入。これだと計算上は「5万ヘルツ」のローカットになるが、出しゃばらず、引っ込みすぎず、丁度いい頃合になった。
これはこれで良しだが、実を言うと大いに期待していたのは「ブラックビューティ」(1.0μF)のほうだったので意外な結果と言わざるを得ない。
やはり最高域の処理は単純にはいかず改めて難しさを痛感した。結果的にはむしろツィーターを外して、アキシオムの最高域をうまく処理するほうがベターかもしれないなどと思った。
つまり「足し算」よりも「引き算」のほうが良いのかも。
とにかくオーディオは「理論と現象」が一致するのがベストだし目論見どおりいったときの快感は極まりないが、(自分の場合は)むしろうまくいかないケースが多いのが残念!