「音楽を長時間聴いていると頭が疲れてくる」のは誰しも経験されることだと思う。
周知のとおり、音楽を聴くという行為は耳から入った音声信号を頭の中で情報処理しているので当然の話。
そこで、我が家ではときどき気分転換にテレビ(ソニーの55インチ)で肩の凝らないドキュメンタリーやミステリ番組をオーディオシステムで音出しをして観ているがこのほど古いテレビチューナーが録画できない状態になった。
再生はできるので全面的な故障ではないものの、大概の番組は録画したうえで観ているので大いに困ってしまった。
故障したチューナーは購入してだいぶ経つので寿命かもしれないと思い、遅ればせながら「ブルーレイレコーダー」でも買おうかと近くの大型電気店に出かけてみた。
事前にネットでどういうブランドがいいのか、相場はどのくらいかおおよそ調べたのは言うまでもない。
そしてパナソニックとソニーに絞っていたところ、たまたまパナソニックの製品が特売価格として展示してあった。
お値段はネット価格よりも5000円ほど高かったので、「これネットのお値段と一緒になるのなら購入しますよ。」と、いきなり勝負に出た。
すると店員さんが「上司と相談してきます。」、そして数分後に戻ってきて「ネットのお値段と一緒でいいです。」
しめた!試しでも言ってみるものだった(笑)。
さっそく持ち帰ってセッティング。今どきのチューナーは薄くて軽くて実に扱いやすい。
しかも地デジのチャンネル合わせは、郵便番号を打ち込むだけだからずいぶん楽だった。
また、説明書をよく読んでみるとCDも再生できるようになっている!
我が家にはCDトラポが2台あって、持ち主が言うのも何だがかなりの高級機だし、これらには(音質が)どうせ及ばないのは百も承知だがどのくらい肉薄しているか試聴してみた。
何と何と、結構「いい音」が出るんですよねえ!
さっそく近くのオーディオ仲間に来てもらって聴いてもらったところ、「既存のCDトラポとあまり遜色がありませんよ。自分も買おうかなあ」(笑)。
ここで二つの実験をしてみた。
1 ブルーレイにCDを挿入してそのまま再生する
2 いったんCDをHDDに取り込んで録音したソースを再生する
後者の方が回転系がないぶん音質的に有利のはずだと二人で話しながら聴いたところ予想どおりだった。
2の場合一枚のCDをそっくり取り込むのに17分ほどかかるが、それだけの価値はありそうだ。しかもブルーレイレコーダーに有線ランを接続するとCDジャケットまで表示してくれるのには驚いた。
今どきの「ブルーレイレコーダー」は「費用 対 効果」の面からするとたいへんな穴場ですよ!
昨日(27日)、このたびの大型連休を利用して正月以来4か月ぶりに娘が帰省した。
オヤジの無事を確認するために、このブログを毎日見ている様子だが、「近くの竹を切ってきて何をやっていることやら。」と、あきれ顔だったが、「まあボケ防止に役立っているのなら、それも良しとしなくちゃね」だって!
我が家には「縁なき衆生」が二人もいる(笑)。しかし、いつもこまめにランキングバナーをマーキングしてくれる良き協力者である。ありがとさん~。
と、ここから前回からの続きです。
復活した「AXIOM80」(復活版)のベスト・アンプを求めて3台のアンプを実験した結果、消去法で残ったのが「PX25シングル」だった。
このアンプは他のアンプに比べてやや中高音域の華やかさに欠ける印象を持っていたが、その反面、音の重心が低かったのが功を奏し「AXIOM80」(復刻版)の欠点を見事に補ってくれたようだ。
奥歯にものが挟まったような音、よく言えば「忖度してくれる」(笑)アンプだが、その上品なイギリス紳士ぶりが真価を発揮してくれたことになる。
インターステージトランスに名門「UTC」を使っているものの「規格外」のため交換を薦められているが、「このままでもいいかな」という気にさせられるほどの相性の良さで、改めて「アンプとスピーカーは持ちつ持たれつの関係」であることを再認識した次第。
そして、うれしいことにこのアンプは前段管の差し換えができるようになっており、実験によって音がころころ変化するのでメチャ楽しませてくれる(笑)。
画像をじっくりご覧いただくとお分かりのとおり、まずイギリス系の5ピンとアメリカ系の4ピンに対応できるし、かつ「μ(ミュー)=増幅率」の違いによって3段階の切り替えスイッチが付いている。
たとえばμが「~5」「5~30」「30~」の区分といった具合で、いろいろ前段管を差し換えながら実験してみた。
球の紹介をしておくと、左から「μ=5」前後の「Xー112」(トリタンフィラメント)、同じくSTCの「3A/109B」、次に「μ=10以上」のGECの「LS-7」、そして一番右側が「μ=30」前後の英国マツダの「AC/HL」(最初期版)と古典管ばかり。
持ち主が言うのも何だが、まずめったにお目にかかれない希少管ばかりである。しかも実用管としてこれだけ一堂に揃えて順次楽しめるのは日本広しといえども我が家だけだと豪語させてもらう資格があるかもね~(笑)。
そして、実験の結果この「前段管競争」を勝ち抜いたのは一番μが低かった「X-112」だった。
これは我が家だけの現象かもしれないが、μが低い方が音の重心が下がる傾向にあるし、その一方μが高いと中高音域のスピードが速くなる傾向にある。
たとえて言えば、μが高い球はスポーツカーであり、その一方μが低い球は荷物を沢山積める普通乗用車である。
よくプリアンプに使われる「12AX7」(μ=100前後)と「12AU7」(μ=20前後)の関係も同じことが言えるのかもしれない。
いずれにしても、今回はスピーカーの個性に照らし合わせて普通乗用車が一番相性が良かったことになる。
また、最後にはμが同じ「5」前後の「X-112」と「3A/109B」のつばぜり合いになったが、さすがにいかにSTC(ロンドンウェスタン)といえども「X-112」のトリタン・フィラメントの敵ではなかった。
もちろん、以上の現象はメチャ個性的な「AXIOM80」(復刻版)だけに通用する実例であり、汎用性がないので老婆心ながら申し添えておきます(笑)。
さあ、今日からいよいよ10連休の始まりですね。おそらく人の動きも活発になることでしょう。
我が家では期間中、遠来のお客様がお見えになる予定ですが、それが済んでから「令和時代」の到来にちなんで「太宰府天満宮」(福岡県)に家族全員でお参りに行く予定にしています。もちろんクルマで行くと地獄を見ることになりそうなので電車を使う予定です。
閑話休題
さて、先日のブログに搭載したように竹材の活用ですっかり変貌を遂げた我が家のスピーカー・エンクロージャー(以下「エンクロ」)。
定在波対策を施し、かつ、がっちりとした補強をしたおかげで中に容れているグッドマンの「トライアクショム」(同軸3ウェイ)が絶好調だが、そのうち予備役に編入している「AXIOM80」(以下「復刻版」)のことが気になりだした。
ウェストミンスター(改)に載せている「最初期版」が故障したときのスペアとしての位置づけだが、この新装なったエンクロに「復刻版」を容れたらどんな音が出るんだろう。
いったん思いつくともう無理で、この強烈な誘惑にはとても抗し難かった(笑)。
1時間ほどの作業で無事復活。
何だか麻薬のような趣の妖しい光を放つAXIOM80は、いったんその魅力に取りつかれるとリスナーを捉えて離さないが、その鳴らし方となると好き好きでいろいろあるが、本筋としては「ふっくらとして艶やかな響き」に尽きると思う。
取り分け、この「ふっくら」感を出すのがかなり難しい。AXIOM80愛好家の中で身に覚えのある方がかなりいらっしゃると思いますよ(笑)。
結局、駆動するアンプとエンクロがポイントになるわけだが、これまで復刻版を使ってみた感想といえば、初期版と比べるとやや高音域に刺激的な響きを伴う印象を持っている。
つまり「サ行」がやや強くなり、音の重心が上がり気味になるので今回はその辺の処理がポイントになりそうだ。
そこで3台のアンプの相性テストをやってみた。
以下、順に「371シングル」「371Aプッシュプル」「PX25シングル」
試聴の結果、アンプの印象がガラリと変わったのには驚いた。
以下、続く。
つい先日の朝刊に載っていたピアニスト「イェルク・デームス」の訃報記事。
90歳でしたか・・。クラシックの演奏家はだいたい長寿の傾向があるようで、おそらく練習の虫だからよく体を動かすせいだろうか。
さて、デームスといえば真っ先に「冬の旅 D911」(シューベルト)の伴奏を思い出す。
「20世紀最高のバリトン」と称されているディースカウ(ドイツ)は都合7回の「冬の旅」の録音を行っているが、「美しさと表現力のピークにあった」とされているのがこの3回目の録音(1965年)だ。
「冬の旅」はシューベルトの死の前年に作曲された24の歌曲集だが、全体的に暗くて陰鬱、そういう曲調が延々と続いていく。その底流にはテーマとして「死」が通奏低音のように流れている(ような気がする)。
なぜ気候のいい春とか秋ではなくて「冬の旅」なのか。
まるで「人生とは結局厳しい冬の旅だった」とシューベルトの詠嘆が聴こえてきそうな気がするが、5曲目の「菩提樹」あたりでほのかな灯というかやさしい慰撫というのか、その気配を少しでも感じ取れればいいのだろう。
シューベルトは老人に優しい音楽だと誰かが言ってたが、これはやはり老人の心情じゃないと分からない要素がありますな(笑)。
死の床にあったベートーヴェンが「シューベルトには神聖な灯がある」と励ましたのは有名な話である。
肝心のピアノ伴奏のデームスだが、出しゃばらず、さりとて引っ込み過ぎず、自らの立場をわきまえたたいへん立派な演奏でした!
ところで、スピーカーの話だがはじめに「トライアクショム」で聴き、次に「ウェストミンスター」(改)で聴いてみたところ、後者の方に少しゆとりと明るさを感じた。
やはり「バリトン」の再生ともなると中低音域に余裕があるシステムの方が有利のようですよ(笑)。
次に、デームスがソリストとして弾いた「ピアノ・ソナタ32番 作品111」(べートーヴェンの最後のソナタ)にいこう。
幾多の作曲家の数あるピアノ・ソナタの中でも頂点として君臨するこの「32番」には音楽評論家「小林利之」氏の名解説がある。
「深い心からの祈りにも通ずる美しい主題に始まる第二楽章の変奏が第三変奏でリズミックに緊張する力強いクライマックスに盛り上がり、やがて潮の引くように静まって、主題の回想にはいり、感銘深いエンディングに入っていくあたりの美しさはいったい何にたとえればよいか。
ワルトシュタインなどが素晴らしく美しくて親しみ深いと言っても、まだこれだけの感銘深い静穏の美しさにくらぶべくもないことを知らされるのです。」
20代の一時期、この「32番」のイメージと深く結びついた面影を求めて必死になって聴き込んだ時期があり、実は今でもこの曲を聴くたびに当時の懐かしい青春の想い出が蘇ってくる・・。
恥ずかしながら現在13枚のCD盤を所持している。
バックハウス、内田光子、アラウ、グールド、ミケランジェリ、リヒテル、ケンプ、ブレンデル、シフ、コヴァセヴィッチ、ギュラー、ゼルキン、そしてデームス
この中からデームスを改めて聴いてみたところ、以前聴いたシステムと様変わりしたせいか「月並みな演奏」のイメージがすっかり変わってしまった。素晴らしい!
とはいえ、これほどの名曲ともなるとどんなピアニストでも優劣をつけるのがおこがましい気がしてくるから不思議。 歳を取って寛容になったせいかな(笑)。
前回のブログ「花薫る 春らんまん」は画像ばかりだったのにアクセス数が多くて予想以上の好評だった。
メインにしているオーディオ関係の記事を凌ぐ勢いで、「庇(ひさし)を貸して母屋を取られる」とはこのことかな(笑)。
とはいえ、このところオーディオ関係の記事にいささか翳りが見えてきているのも事実である。少々マニアック過ぎるのか、それとも飽きられてきたのかも。
まあ、どうでもいいことですが(笑)。
それでは前々回からの続きといきましょう。
軽くて細工がしやすい竹材は音響への活用にもってこいだった。
その効果にすっかり酔い痴れてしまい「柳の下の二匹目のどじょう」を狙って今度は「AXIOM150マークⅡ」の箱にも取り付けることにした。
この箱は後方が棺桶型になっているので前方の2本だけで十分。素人考えだが、角ばった隅の部分に丸い竹を当て込んで箱内部の音の跳ね返りをなめらかにしようという算段だ。
難なく作業を終え、聴いてみると心なしか以前よりも良くなった気がするなあ~(笑)。
さらに竹材の活用は留まることを知らない。
極め付きは竹を縦に半分に割ってスピーカーの周囲の壁に張り付けてみたが、響きがとても豊かになったのには驚いた。
たまたま部屋に入ってきた家内に「どうだ、いい音がしそうだろう」と、自慢げに言ったところ、「ふ~ん、どうだか・・。あまり見場がいいとは思わないわ。」
所詮は「縁なき衆生(しゅじょう)」なのである(笑)。
ただし、いいことだらけのようだがもちろん失敗もある。こういう実験には試行錯誤がつきものだ。
たとえばトライアクショムのバッフル(ユニットを直接取り付けた板)の裏側に半分に割った竹材を2個張り付けたところすっかり響きが死んでしまい何ともおかしな音になったので慌てて元に戻した。
バッフルは音の響きを支配する大切な要素のひとつで、改めてその重要性に思いを馳せたことだった。
以上のとおりオーディオはやることがメチャ多くて退屈しのぎにはもってこいの趣味だが、とりわけスピーカーとルーム・アコースティック関係の遊びは最高に面白い~。
「皆様もいかがですか」と、お薦めしたいところだが市販のスピーカーをそのまま使っている人にはまず無理で、こればかりはスピーカーの自作派や改造派だけに許された愉しみだといえよう。
最後に、竹材の活用で思い出したのがオーディオ仲間のEさん(大分市)だった。亡くなられてから早いものでもう5年余が経ったことになる。
過去のブログ「主(あるじ)なきオーディオルーム」(2013.11.21)にもその顛末を記載させてもらったので興味のある方はクリックしてみてください。
Eさんはルーム・アコースティックにとても熱心な方でご自宅のオーディオルームの後ろの壁に立てかけてあった竹の群れが強烈に印象に残っている。
音響効果抜群で素晴らしい音だったなあ!
今頃は天国でオーディオを思いっきり愉しんでおられるに違いない。合掌
勤め人の方々には待望の10連休がもう目前に迫ってきましたね。気候のほうも本格的な春の到来です。
そこで「花薫る 春らんまん」のもと、我が家の花を紹介してみましょう。
「君子蘭」です。選外品を買ってきてここまで咲くのに10年ほどかかったそうですよ。
次に白とピンクの「牡丹」(ぼたん)です。「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」と称されるほどの「牡丹」ですね。昨年の農業祭でいただいたものです。
最後にバラの花です。知人のアドバイスにより横に這わすように伸ばしたところこれまでにない深紅のバラが咲きました。
オーディオと違って、いずれの花も「お金」がほとんどかかっていないものばかりのようですよ(笑)。
前回からの続きです。
中が空洞なので軽くて細工がしやすい竹材に着目し、スピーカーボックス内部の「定在波の防止」並びに「箱の剛性」を高めるための作業の結果が下記の画像のとおり。
名誉の負傷で親指を血まみれにしながらリバテープを貼って血止めをし、作業を続行するのだから果てしない「おバカさん」である(笑)。
早く音出しをして聴いてみたいばかりのことだったが、どうにかこうにか作業を終えてさっそく試聴してみると明らかに中低音域の厚みがぐっと増したのには驚いた。
これは素晴らしい!
ちょっと表現が難しいが、箱の振動に「空振り」が少くなった感じがするのだ。
期待していた以上の効果で、しかも材料費はタダときているからたまらない(笑)。まあ、親指にひどい傷を負ったがそれを補って余りある成果といえよう。
一番大きかったのはそのおかげで「371シングル」が使えるようになったこと。
以前に記載したように「バリウム昇華型フィラメントを持つ前段管A411のトルク」と「トリタンフィラメントを持つ出力管371のスピード」が合わさったかなり珍しいアンプである。
これまで「AXIOM150マークⅡ」には十分対応できていたが「トライアクショム」となると、中低音域がやや薄味になっていたので敬遠していたのだが見事にカムバック。
たかだか1ワット程度の小出力アンプなのでローエンドの伸びを求めるのは酷だがこれだけの厚みが出てくれば十分だ。
むしろ小振りのアンプならではのメリットがあってスピードがメチャ速くて中高音域のメリハリと解像力にかけてはベスト1の折り紙を付けてもいいくらい。
結局、中低音域の薄味の原因はアンプの責任ではなく箱の定在波対策と剛性不足にあったのかと疑問が氷解した。
調子に乗って竹材の活用はさらに続く(笑)。
以下、次回へ。
楽聖「ベート-ヴェン」はハイリゲンシュタットの森を散策しながら楽想を練ったという。
楽聖を引き合いに出すのはまことに恐れ多いが我が早朝ウォーキングの時間はオーディオの着想を得るのに絶好のタイミングとなっている(笑)。
家の周囲にあるウォーキングコース途上の何の変哲もない竹林。
つい先日のこと、この竹林の横を歩きながらふとアイデアが浮かんだのであった。
「この竹材をオーディオに活用できないかな」
思い立ったが吉日で竹林のすぐ横にあるお宅に伺ってみた。3年ほど前にご主人を亡くされた愛嬌のいい「おばあちゃん」が一人暮らしをされている。
会えば必ずあいさつを交わす仲なので話しやすい。「この竹林の所有者をご存じありませんか。竹材が欲しいのですが。」
すると「それがねえ、持ち主がよく分からないのよ。ご近所の皆さんは自然のままだと竹がはびこるばかりなのでむしろ取ってあげた方がいいと言って勝手に切ってますよ。ほら、我が家の庭でもこのように柵に利用しています」
「それを聞いて安心しました」とニッコリ(笑)。
さっそく自宅に戻ってスピーカーの丈を測り、長さを頭に刻み込んでから「のこぎりとメジャー」を持ってクルマで竹林にカムバック。
難なく作業を終えて自宅に8本の竹材を持ち帰った。
さて、ここでクエスチョンです。
はたしてどんな使い方をするんでしょう?
パッと閃いた方は「オーディオ心」がある方なのでご褒美を差し上げたいくらいです(笑)。
長さ93センチの竹が全部で8本、うち4本ずつを一つのスピーカーボックスに使いましょうね。
長さ9センチのネジを買ってきて箱の4つの隅にがっちりと固定した。
しかし、丸竹なのでネジ止めするときに手が滑ってしまいドリルの先が親指に当たって痛っ!
あっという間に血が噴き出してきた。名誉の負傷である(笑)。
事前に「手袋」をするとともにネジ誘導用の小さなを開けておくべきだったがまことに「うかつ」だった。
以下、続く。
前々回の「忖度する真空管アンプ」からの続きです。
来し方50年のオーディオ人生を振り返ってみると、自分から進んで能動的に行った取り組みは意外なことに空振りに終わるケースが多い。
その一方、故障などで余儀なくされた消極的な取り組みが望外の良い結果をもたらしてくれることが往々にしてあるのはいったいどうしたことだろうか。
これは我がオーディオセンスが冴えない証しなのだろうか(笑)。
実は今回もそうだった。
「不作為は(オーディオの)神の思し召し」ともいえる今回の因果関係を振り返ってみよう。
SPユニット「トライアクショムの故障」 → 「修理完了後にその性能を試すための箱の入れ替え」 → 「箱から追い出された初期版のAXIOM80と復刻版のAXIOM80との入れ替え」
この「玉突き衝突」の結果が我がオーディオ人生の集大成に肉迫してこようとは当初は夢にも思わなかった。ちょっと大げさかな(笑)。
復刻版とは明らかにコーン紙の色が違いますねえ。もちろん、ユニットの生命であるコーン紙の重さやマグネットも違いますよ~。
そして、実は「音」の方にも天と地ほどに開きがあったのである!
第一に音がメチャ柔らかくなった。実にしなやかで音の彫琢といい色艶といい思わず息を呑むほどの美しさ。
そして中低音域との繋がりが非常に良くなってまったく違和感を感じさせず、この音ならクラシックもジャズも何を再生してOKだと思えるほどだった。
一緒に聴いていた仲間も「とても低音域から高音域までバランスがいいですねえ。これまで聴かせてもらった中でこれが最高の音ですよ。AXIOM80の初期版の魅力全開です。
それに低音域がまったく中高音域に被ってこないのが不思議です。やっぱり箱が利いてますね。普通の箱がどんなに逆立ちしてもこの豊かな低音は出てこないです。よほどユニットと箱の相性がいんでしょう」
応じて「まさかこんなに変わるとは思いませんでしたよ。スコーカー兼ツィーターとしてAXIOM80の初期版が世界最高だと胸を張って言える気になりました。クロスオーバー1200ヘルツが一番相性が良さそうです。自分が求めている理想の音を100点とすると95点はいきましたかね」
残りの5点は現用中のワーフェデールの「スーパー12」(赤帯マグネット)を変えた時の伸びしろを見込んでのことで、同じグッドマンでコーン紙が薄くて軽い「AXIOM150マークⅡ」(口径30センチ)あたりが狙い目である。
まかり間違っても反応の鈍い口径38センチには絶対に戻りませんからね~(笑)。
そして、駆動するアンプもたいへん相性が良かった。
と、続きを書こうとしてちょっと待った・・。
何から何まで自画自賛に終始するような気がしてきて、読者の皆様はいったいどう思われているんだろう・・。中には「またか」とお気を悪くされる方もいたりして~。
その一方では「どんなことを書いてもブログ作成者の特権ですからね」と開き直る手もある(笑)。
ずっと以前のことをふと思い出した。当時、タンノイさんへの不満を書くたびに特定の一読者から抗議のメールをいただくことが再々あった。
アルニコ・マグネット時代のグッドマンを聴くと、もうタンノイさんには戻れないがいまだに熱烈な信者が多いことが今もってどうもよく分からない。
「そんなに不快に思うくらいならブログを読まなきゃいいでしょう。別に有料サイトでもないし、読んでくれと頼んだわけでもありませんよ」というのが当方の言い分だった。
これって、おかしな考えですかね?
話は戻って次の画像に注目。
「以前から再々聴かせていただいてますが、このアンプがご当家のベスト1だと思います。出力管は何ですか?」と仲間からのお尋ね。
そこで「ロシアのスヴェトラーナ製のSV-300Bです。出自が軍事用ですからフィラメントなど精密なツクリのようですよ。本家本元のWE300Bより気に入ってます」
テレビで「開運!なんでも鑑定団」という長寿番組があり、毎週楽しく拝見させてもらっている。
骨董品の鑑定結果によりホンモノとニセモノのお値段の落差が極端なので悲喜こもごもだが、いつも思うのだが別にニセモノだって本人が気に入ってさえいればそれでいいんじゃないの。
それと同じで「SVー300Bが本物よりもいいと思っていればそれでいいんじゃないの」(笑)。
このところ、日経新聞の文化欄に連載されている「流れるシリーズ」を興味深く読ませてもらっている。いつものように日経の文化欄は他の新聞と一味違う。
掲載の趣旨はといえばこうである。
「音楽や映画は「時間芸術」と呼ばれる。作品の時間を支配するのは作り手だ。
絵や小説はと言うと、時間は鑑賞する側が握っている。静止する絵画の中に「流れる」ものを見つけ、自分だけの時間を味わうのも楽しいかも!と選んでみた。(脚本家 東多江子)
「時間芸術」という言葉は初めて聞いたが、音楽は鑑賞側の受け入れ態勢にお構いなくひたすら終幕まで突っ走っていく。主導権は終始「作り手」側にある。
これに因んでジャズ史上で最も有名な言葉がある。
「音楽を聴き終わったらそれは空中に消えてしまい、二度と捕まえることはできない」(エリック・ドルフィー)
その一方、絵画は静止したままの状態でどれだけ時間をかけようとゆっくり鑑賞者を待ってくれる。逃げも隠れもしない「やさしい芸術」である。
4月11日付(木)の掲載は「紳士とワインを飲む女」(フェルメール)だった。
解説は次のとおり。
「この女性、いけるクチと見える。ワイングラスには一滴も残っていない。
傍らの男性は、ボトルに手をかけ、「どう、もう一杯」と言い出しそうだ。女性へ注がれる視線が、そのタイミングを伺っている。
かつて絵画には「寓意(ぐうい)」があったそうだ。この絵なら、椅子の上のリュートは「愛」を、テーブルの上の楽譜は「調和」を象徴し、さらにステンドグラスに描かれている手編みを持つ女性は「節制」を意味するのだという。
つまり目の前できゅんきゅんするメロディなんかつま弾かれて、にわかに気持ちが近づいていくのはわかるけど、軽々しく貞操を破っちゃいけませんよ、といった大人の警告が仕込んである? しかし、戒めがきついほど、若い子の好奇心は膨らんでいくものだし!
絵を凝視すれば描かれた男性の視線は、この絵の中で唯一「流れる」エネルギーだとわかる。その視線を、女性は無視しようとしているが、グラスを置いたとたん、きっと言うにちがいない。
「もう一杯、いただくわ」
(1659~60年、油彩、カンバス、66.3×76.5センチ、ベルリン絵画館蔵)
文中にある「寓意」(ぐうい)とは・・。
聴き慣れない言葉だがその意味は「他の物事にかこつけて、それとなくある意味をほのめかすこと。」(広辞苑)
意図する側もされる側も「知恵」が要りそうでたいへんですね(笑)。
現代はとかく忙しくなってストレートな物言いが当たり前で間接的な言い回しは敬遠されるばかりなので「寓意」はますます縁遠くなっている。
この絵画で面白いのは「楽器」が「愛」を表し、「楽譜」が「調和」を表し、「手編み」が「節制」を表していること。
「楽譜=音楽」⇔「調和=ハーモニー」というわけで、当時の音楽のイメージはハーモニーというわけですかね。
最後に我がオーディオ機器の寓意を記してみよう。
前段機器の「CDトラポやDAコンバーター」は「(どんな色にも染まらない)沈着、冷静、精巧」、増幅段であるアンプは「(愛情を注ぎこんでくれる)情熱」、そして変換系であるスピーカーは「楽器」みたいなものですから当然「愛(に包んでくれる)」ですかね(笑)。
近年、「忖度する」という言葉が大流行である。
意味は周知のとおり「他人の心中を推し量ること」だからけっして悪い言葉ではない。いや、むしろ他人に対する思いやりという意味で使われるべき良い言葉である。
発信元は「安倍一強」のもとでの政界だが、九州の片田舎にある我が家でもこの言葉が飛び交った。
まったくピンからキリまで使用されている感があるが(笑)、その経緯を述べてみよう。つい先日の13日(土)のことだった。
「修繕に出していたトライアクショムがようやく戻ってきました。これまでと違う箱に容れたところ見違えるほどいい音になりましたよ。ちょっと聴いてもらえませんか?」
と、近隣のオーディオ仲間にお願いしたところ、すぐに駆けつけてくれた。
顔を見合わせるなり、開口一番「今回の実験は二つのテーマを予定していますのでよろしくお願いします」
その二つとは、
1 「トライアクショム」に最も相性のいいアンプの選定
2 ウェストミンスター(改)の上に載せている「AXIOM80 」(1200ヘルツ~)を復刻版から最初期版に代えたのでその試聴
まずは1から実験開始。
主な試聴盤は仲間が持参してくれたダイアナ・クラールのCD盤。
第11トラックの「My Love Is」で指と指で「パチっ」と弾く音が冒頭からずっと続いていくが、それがどれだけリアルに響くかというテスト。
試聴したシステムの概要は、CDシステムが「dCS」のコンビで、プリアンプは真空管式(12AU7×6本)、スピーカーは言わずもがなの「トライアキショム」。
パワーアンプは初めに「PX25シングル」を、次いで「371Aプッシュプル」の順に聴いていただいた。
試聴後のコメントは「いやあ、これはまったく正反対の音ですね。どちらがいいとか悪いとか簡単に言えませんがPX25の方はキチっとネクタイを締めた紳士が相手のことを忖度して物を言っている感じがします。
一方、371APPの方はあっけらかんとありのままの音をくったくなくストレートに出している印象です。まあ、強いて言えば私はこちらの方が好きです。
それにしても素晴らしいスピーカーですね。原音再生の観点からすると、リアルな表現力はAXIOM80並ですよ。低音域が豊かな分だけこちらの方が上のような気もします。箱を変えただけでこんなに音が変わるものですか。」と、仲間。
「忖度する音というのは言い得て妙ですね」と、ひとしきり笑ってしまった。
古典管ともなると、お国柄を実によく反映する。PX25は明らかに渋い英国紳士を象徴する音であり、371Aはアメリカ人の明るくて開放的な雰囲気をうまく表現する。
クラシックだけなら「PX25」に尽きるのだろうが、クラシックもジャズもと欲張ると「371APP」ということになるのだろう。
実に楽しくなる選択ですねえ(笑)。
これで1の実験を終了し、2の実験に移ったがここでは理想的な展開が待っていた。
以下、続く。
クラシックの中で一番好きな楽器はヴァイオリンだが、ピアノも嫌いというわけではない。
モーツァルトのピアノソナタ(グールド)を聴いた時間からすると人後に落ちないはずと思っているし、またドビュッシーのピアノ曲も大好きで特に「ミシェル・ベロフ」(フランス)のCD盤は今でも愛聴盤の一つ。
しかし、このベロフさん(1950年生まれ)は残念なことにその後まったくの鳴かず飛ばずである。
前途ある有望な若手のピアニストがいったいどうしたんだろう?
気になってそれとなくアンテナを張っていたところ小耳にはさんだ情報によると「女流ピアニストのアルゲリッチから身も心もすっかり骨抜きにされた」とのことで、エ~ッ(笑)。
お上品なクラシック界にふさわしくない生臭い話だが、噂の真偽を確かめる術もないし、まあどうでもいいことなのだが、つい最近「現代の名演奏家50」を読んでいたらこのベロフの件の「いきさつ」が詳しく書かれていた。
犬も歩けば棒に当たる!
206頁~210頁にかけて詳述されており、手短に要約すると、
「ベロフとアルゲリッチは4年間の同棲生活を解消した。この間、ベロフは肉体的にも精神的にもすっかり疲弊してしまったが、ようやく演奏活動を行えるほどまでに回復した。ただしベロフは今でもアルゲリッチのことを絶賛している」
よかったですねえ、喧嘩別れじゃなくて(笑)。
それにしてもアルゲリッチというのは雰囲気に不潔感が漂っているとでもいうのかな、どうも好きになれないピアニストである。
本書によると、ベロフと知り合った当時は指揮者のデュトワと離婚し、ピアニストのコヴァセヴィッチと暮らして娘を生んだものの破局した後だったそうだ。
つまり特定の男性がいなかったので、ベロフは「飛んで火に入る夏の虫」ならぬ「蜘蛛の巣」によってがんじがらめにされたようだ(笑)。
そして、デュトワの名前がここでも出てくる。この人はその筋ではとかく有名な人なのだ。
画像右側の「クラシックCDの名盤」の180頁にも宇野功芳さん(音楽評論家)がこう書いている。
「デュトワは美人演奏家殺しである。アルゲリッチ、チョン・キョンファをものにし、噂では諏訪内晶子にも子を産ませ、それが彼女のDVの原因にもなったとか」
ほんまかいな(笑)。
クラシック演奏家といっても所詮は人の子で「木の股」から生まれたわけでもないので仕方がないのだろうが、かって、指揮者のブルーノワルターはこんなことを言っていた。
1 恥ずかしいことながら音楽家は概して他の職業に従事している人々に比べて別に少しも善くも悪くもない。
2 音楽に内在する倫理的な呼びかけ(高揚感、感動、恍惚)はほんの束の間の瞬間的な効果を狙っているに過ぎない。それは電流の通じている間は大きな力を持っているが、スイッチを切ってしまえば死んだ一片の鉄に過ぎない「電磁石」のようなものだ。
3 人間の性質にとって音楽が特別に役立つとも思えず過大な期待を寄せるべきではない。なぜなら、人間の道徳的な性質は非常に込み入っており、我々すべての者の内部には善と悪とが分離しがたく混合して存在しているからだ。
まあ、そんなところなんだろうが、「音楽は哲学よりもさらに高い啓示」(ベートーヴェン)というほどなんだから、少しは演奏家にもストイックな姿勢が必要のような気もするが皆様のお考えはいかがですか。
前回からの続きです。
つい先日「ブリティッシュ・サウンド」好きのオーディオ仲間と電話で話していたら「今どきの人はグッドマンと言ってもピンときませんよ」とのことで、自分がグッドマンに持っているイメージとは大きな乖離があることに気づかされた。
したがってSPユニット「トライアクショム」を「貴重な歴史的文化遺産」(前回のブログ)と決めつけるのは時代錯誤も甚だしいのかもしれない(笑)。
そのことを念頭に置きながら、以下、自説を展開してみよう。
さて、修理先から戻ってきた「トライアクショム」(英国:グッドマン)を、どう料理しようか~。
何しろSPユニットはエンクロージャー次第で音がコロっと変わるが、その変わり方がアンプなどの入れ替えによる変化とは質が違うように感じている。何か根源的な変化とでもいうのかな。
昨日、メル友さん(東海地方)からコメントが届いて、「スピーカー絡みの記事は面白いです。」とのことで、誰もが簡単に実験できないところに興味が湧くのかもしれない。
それはさておき、結局涙ながらにAXIOM80を外しその箱に容れることにしたのが前回のブログの結末だった。
「な~に、命まで取られるわけではなし、拙かったらすぐに元に戻そう」との気持ちで、1時間ほどの作業を終えて無事完成。
初めに左チャンネルだけ「トライアクショム」にして、右チャンネルは「AXIOM150マークⅡ」のままにして音の傾向を探ってみた。
ちなみに、箱の左上にちょこんと載っているのは高域用のアッテネーターです。箱から引っ張り出すのに「ほんの少しの工夫」が要りますよ~。
さて、こうやって左右別々に鳴らすととても分かりやすい。
以下、何しろ「持ち主」の感想ですから当然「身びいき」もあることでしょう。どうか話半分に聞いてくださいね(笑)。
まず音のレスポンスの速さや分解能、透明感はトライアクショムが一枚上、しかし響きの重厚さは「150マークⅡ」が上で、こうなると好き好きだが新しもの好きなので総合的には「トライアクショム」に軍配を上げた。
強力な援軍を得た思いで欣喜雀躍して右チャンネル側も「トライアクショム」に入れ替えたところ、同軸3ウェイという「点音源」の音像定位の素晴らしさに思わず鳥肌が立った!
複数音源だと周波数レンジは広がるが音像定位はどうしても甘くなる。まあ、分かりきったことだがオーディオはプラスとマイナスの世界だから「あちら立てればこちら立たず」ですか。
音像定位がいいとどうなるかといえば、左右両方のスピーカーの間に綺麗にステージ(舞台)が出来上がり、その果てしない暗闇の奥行き感のもとで歌手や演奏される楽器の立ち位置が見事に再生されるのだ。
思わず息を呑むような立体感で理想のオーディオはこうあるべきかもしれないと考えさせられた。
しかも音の色艶が素晴らしい。木村好夫のムードギターがとてもうまく響いてくれるし、音の勢いが必要なジャズだってこれほど鳴ってくれればケチのつけようがない。
何だか際限なく音の魅力に引きずりこまれるような魔力的な音で正直言って我が家でこれほど質感のいい音をこれまで聴いたことがない。
あえて表現すれば「AXIOM80」と「AXIOM150マークⅡ」を足して2で割ったような音といえばいいのかな。
つまり「鬼に金棒」というわけですか(笑)。
この「薄い板厚1.5cm」のエンクロージャーとよほど相性が良かったとみえる。
以前のブログ「スピーカーの板厚による音の違い」(2017.5.27)にも記したように、イギリス系のユニットの場合は箱鳴りをうまく利用する傾向にあるので板厚は凄く重要になる。
いずれにしても、こういう新しい魅力の発見は何よりもトライアクショムが故障したおかげである。この故障無くして「AXIOM80」の箱に容れようという思いつきは有り得なかった。
「ピンチはチャンス」という我が家のジンクスは見事に生きていたことになるが、こうなると結果オーライで修理代なんてまったく些末(さまつ)な出来事だったなあ(笑)。
騒動が一段落すると、今度はベストアンプの選定作業に移った。
候補は「PX25シングル」「371シングル」そして常用中の「371Aプッシュプル」の3台。
いずれも一騎当千の強者といきたいところだが、それぞれ弱点はある(笑)。
今回は久しぶりに画像の「PX25シングル」(インターステージトランス内蔵)の出番といきますか。 同じイギリス勢同士の強味がありそうだ。
近々、北海道からお客さんが試聴にお見えになる予定なので、エース級を温存させておくわけにもいくまいて(笑)。
つい最近のブログ「名誉の負傷」(2019.3.28)にも記したように、ジャズ・ベースの激しい唸り音を聴きたいばかりに遂に故障に追いやってしまったグッドマンの「トライアクショム」(同軸3ウェイ)。
もちろん、とても古いユニットなので経年劣化による故障としてもやむを得ない面もある。
この程度のノイズならクラシック音楽ではまず分からないので修繕に出そうか出すまいか大いに迷ったが、
「これほどの名器となると貴重な歴史的文化遺産だからきちんとした状態で後世に引き継ぐ使命がある。わが命尽きるともユニットの命は永遠なんだから。」
ちょっと「カッコつけすぎ」かな~(笑)。
修理先(長野県)に事前の了解をいただいて送付したところ、1週間ほどして次のようなコメントが返ってきた。
「お送りいただきましたグッドマンのトライアキショムの状況と修理見積のご連絡をさせていただきます。
ビビリの原因は同軸のツィーターユニットに巻き付いていた樹脂が劣化して剥がれて磁気回路スリットに入り込んでいた為です。この樹脂は泣き止めかと思いますのでフェルトを巻いて代用とします。
柔らかいコーンをバスケットから再使用できるように剥がすのがたいへんでしたが何とか分解できまして上記の状態が分かりました。
コーン分解ビビリ修理一式・・・・円。」
以上のとおりだが、オークションで落札した金額(1ぺア)のときの6割近い修理額になってしまった。メチャ高くついてしまった、トホホ・・・(笑)。
しかし、実に腕がいい修理屋さんである。
修理完了品が我が家に到着したのは8日(月)の午前中だった。当初は7日の日曜日の予定だったが「着払い」なので月曜日にしてもらった。
理由はもうお分かりですよね。我が家には寅年生まれの猛虎が一頭いるのであまり刺激しない方がいい(笑)。
さあ、戻ってきたのはいいもののどのエンクロージャーに取り付けようかなあ。
こういうときの自由奔放な思考が実に楽しくてワクワクする(笑)。
方法は3つある。
1 「AXIOM150マークⅡ」を外して取り付ける
2 「AXIOM80」(最初期版)を外して取り付ける
3 ウェストミンスターに容れて「同軸3ウェイ」にして楽しむ
このうち3はアッと驚く発想で我ながら感心するほどだが(笑)、まだ時期尚早のようで現状の音があまりにも気に入り過ぎているので飽きてきた時分に折をみて試してみることにしよう。
すると、残るは1と2の二択になる。
左側が「AXIOM150マークⅡ+ジェンセンのツィーター」、右側が自作の箱に入った「AXIOM80」(最初期版)で、底板に「ARU」(背圧調整器)を付けている。
両方とも予備のバッフルには事欠かない。
そして、結論からいくと今回は右側の「AXIOM80」用のエンクロージャーに取り付けることにした。理由は二つある。
1 「AXIOM150マークⅡ+ジェンセンのツィーター」のコンビの音があまりにも良すぎて「余人をもって代えがたし」だから(笑)。
2 「AXIOM80」はウェストミンスターの中高音域で楽しめればもう十分だろう。
結局、「AXIOM80」をいろいろ試行錯誤した挙句の成れの果ては裸のままで1200ヘルツ以上を鳴らすことにあったのか、はたしてそれでいいのか・・・。
後ろ髪を引かれる思いだが、さっそく作業に取りかかった。
以下、続く。
前回からの続きです。
オーディオ機器の電源といえば「当たり前の存在」として日頃から目立つこともなく、陽の目が当たることはまずないが、その重要性からいくとまさに「縁の下の力持ち」的な存在だと思う。
今回は我が家の事例を参考にして、スポットライトを当ててみよう。
1 200ボルト電源
家庭内の電気は冷蔵庫や電子レンジなどの電気器具で汚れているので、隔絶させるために「200ボルト」電源を随分前から引いている。
専門の電気工事士のもとに配電盤をいじって専属スイッチを設定しオーディオルームまで配線してもらったが、このままではもちろん使えないので変換トランスを使って「100ボルト」に降圧しており、我が家のオーディオ機器はすべてこの電源を拠り所にしている。
その効果は歴然としており、わかる人にはわかる(笑)。
もし本当に音を良くしたいと思うのであれば「200ボルト電源」をぜひお薦めしたいところだが、おそらく大半の方々が「現状の100ボルト電源で十分いい音が出ているのでその必要はない」と思われているはず。
しかし、そこが危険な落とし穴で(笑)、病気でいえば痛みを伴わない「糖尿病」みたいなもので切実感が無い分これほど恐ろしい病いは無い。
一度でも200ボルト電源によってノイズっぽさが消え音の質感が向上する感覚を味わうと、もう手放せなくなる。
ただし、その効果を確認できるのはシステム次第のところがあり、けっして万人向きではない。発展途上のシステムではあまり効果が望めない。
つまり「仕上げの段階」でこそ効果を発揮するとだけ申し添えておこう。
以上、少し「上から目線」の物言いだったかな(笑)。
2 電源タップ
この降圧電源を繋いで各種オーディオ機器に中継する役目を担うのが「電源タップ」である。ここをケチっては「画竜点睛」を欠く(笑)。
そこで、このほど手に入れたのがPADの電源タップだった。
差し込み箇所が8口あり、すべてのオーディオ機器が賄えるので大助かり。
という具合です。導入してから3週間ほどになるがいちだんとSN比が良くなって効果抜群である。精神的な満足感もばかにできないところ(笑)。
3 電源ケーブル
「200ボルト電源」「電源タップ」そして「電源ケーブル」とくれば「三位一体」の相乗効果が大いに期待できようというもの。
これまで再々述べてきたように現在、PADの「ドミナス」4本を駆使して微小電流を扱う「DAコンバーター」2台「プリアンプ」2台に繋いでいる。結果的には、お値段でいえばこの部分が一番値が張ったことになる。
以上、これで我が家の電源対策はお終いだが、200ボルトから100ボルトへの降圧トランスがちょっと古いのが悩みの種。
とはいえ、このところ何かと出費多端で懐(ふところ)が物淋しいので、今しばらくの辛抱だ(笑)。