「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

ヘタな鉄砲も数撃ちゃ当たる

2020年01月31日 | オーディオ談義

「出来心」という言葉がある。「広辞苑」によると「もののはずみで、ふと起こった悪い考えや思い。例文~ほんの出来心で盗んだ~。」と、ある。

あまり、いい意味で使われないようですね。

ところが、悲しいかな我が家のオーディオは「出来心」を抜きにしては語れないのが現実だ(笑)。

つい先日の「チャンデバ」の購入のときもそうだったが、今回も「出来心」が発端だった。顛末を述べてみよう。

我が家のスピーカー「トライアクショム」(グッドマン)は口径30センチの「同軸3ウェイ方式」で、さすがに同軸だけあって「音像定位」はまったく自然そのものだが、惜しむらくはジャズを聴くときに「音にもっと開放感が欲しいなあ」と思うことがときどきある。

古くて新しいともいえる「周波数レンジ VS 音像定位」の課題ともいえ、どんなスピーカーもこの宿命から逃れることは出来ないが、ある日のこと1つのマグネットで3つのユニットを同時に鳴らすデメリットとして「パワー感の減少」はないのだろうかという素朴な疑問がふと沸き起こった。

もちろん素人考えに過ぎないが、無類の実験マニアを自覚しているのでダメ元でもいいからとさっそくトライしてみた。

パイオニアの「3ウェイネットワーク」を使って「トライアクショム」を分解して低音域用ユニットだけを「500ヘルツ以下」だけで使ってみようという算段である。

編成は次のとおり。

1 「~500ヘルツ」 → 「トライアクショム」(グッドマン)

2 「500~4000ヘルツ」 → 「口径10センチのスコーカー」(グッドマン)

3 「4000ヘルツ~」 → 「スーパー3」(ワーフェデール:赤帯マグネット)

3つのユニットはすべてイギリス製だが、一番苦労したのは「4000ヘルツ~」で、ツィーターはいくつか持っているけれど、4000ヘルツから使えるとなると限られてくる。いろいろ実験してみた結果、「スーパー3」に落ち着いた。

「百聞は一見に如かず」で、次の画像のとおり。



ワクワクしながら音出ししてみるとこれが実にいいんですよねえ(笑)。

明らかに周波数レンジがぐ~んと広がって開放感がたいへん好ましいし、懸念した「音像定位」もいっさい損なわれていない印象を受けた。

試聴された「Y」さんも、「3つのユニットなのにまるでフルレンジが鳴っているみたいです。とてもまとまりが良くてよろしいんじゃないですか。」

「すべて英国製のユニットですから音色が合っているせいかもしれませんね」

ちなみにこの3ウェイシステムを駆動可能なアンプは今のところ5台あってよりどりみどりだが、

「300Bシングル」「6098シングル」「171Aプッシュプル」「171Aシングル」「2A3シングル」


これらを1日かけてじっくりテストしたところ「6098シングル」と「300Bシングル」が双璧だった。



とりわけ前者はプリアンプ無しで「DAC」(エルガー・プラス」(dCS)からの直結がとても良かった。さすがに、昨年末「クラロスタット」ボリュームに交換しただけのメリットはあった。

いずれにしても、今回は会心のシステム変身になってうれしい限りで、ほんの「出来心」もバカには出来ず、まったく「オーディオは実験あるのみだ」とつくづく思い知らされたが、実はこういう成功事例の裏には失敗事例が累々と横たわっていて、陽の目を見るのはごく僅かである。

そういうわけで「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」というのが悲しい現実です(笑)。

最後に、高校時代の同窓生でカメラマンの「T」君による「鳥が蜂を咥えている」瞬間です。お気づきのように蜂の危険な尻尾の針の部分を既に処理していますよ。鳥は抜け目がないです!



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今が良ければすべて良し

2020年01月29日 | 音楽談義

前々回のブログ「音楽記事 VS オーディオ記事」で、わざわざ8年前の出来事を引き合いに出してまで「音楽記事」の優位性を訴えたわけだが(笑)、調子に乗って指揮者「ウォルフガング・サバリッシュ」(1923~2013)について分け入ってみよう。

彼はN響の桂冠名誉指揮者だったので、全国放映の機会も多く演奏風景をご覧になった方もあるかもしれない。




いかにも大学教授然とした風貌の持ち主で享年89歳だったので行年に不足はないが大好きな指揮者の一人だった。

周知のとおり、本家、ヨーロッパのクラシック界ではオペラが重要な演目になっており、「オペラを振らせると指揮者の実力が分かる」とまで言われているが、彼が指揮したオペラ「魔笛」は大のお気に入り。

極めてオーソドックスな解釈のもと、どこといって破綻のない、まことに中庸を得た演奏だったので安心して「魔笛」の世界に浸れたものだった。

改めて手持ちを確認してみるとサバリッシュ指揮のものはCD盤(2枚組)とDVD、それぞれ一組あった。


「魔笛」の主役級の歌手は5人いるが、粒よりのメンバーがすべてそろうことは不可能に近く、どういう盤にも何らかの配役に憾みを残す。

このサバリッシュのCD盤では、高僧役に「クルト・モル」、王子役に、つい先日亡くなった「ペーター・シュライアー」、道化役に「ウォルター・ベリー」と、男性陣に最高のメンバーを得ているものの、女性役二人がちょっと物足りない。

その一方、DVD盤では女性陣として夜の女王に「エディタ・グルヴェローヴァ」、王女役に「ルチア・ポップ」と、この上ない豪華な顔ぶれだが、今度は男性陣2名が物足りないといった具合。

巷間、「魔笛に決定盤なし」と言われている所以がこれらサバリッシュ盤にも如実に伺われるところ。

ところで、サバリッシュのフルネームは「ウォルフガング・サバリッシュ」である。ピンと来る方がきっといるに違いない。

そう、あのモーツァルトのフルネームが「ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト」である。ちなみにかってのウィーンフィルの首席フルートは「ウォルフガング・シュルツ」(故人)だった。



いったい「ウォルフガング」とはどういう語源を持つんだろうか?こういうときにはググってみるに限る。

すると、「Wolfgangは主にドイツ語圏などで見かけることができる人名で「Wolf Gang」(”狼の牙”)という意味を持つ」と、あった。

そういえば、英語でも狼のことをウルフと呼んでいる。おそらく狩猟民族に由来する名前だろう。

なお、「アマデウス」とは「神に愛されし者」という意味だが、この「アマデウス」という言葉には思い出があって、ここでちょっと過去を振り返させてもらおう。

大なり小なり「人生は山あり谷あり」なので、誰にでもスランプや不遇の時代があると思うが、そういうときには自分の場合、転職を考えるのが常だった。

まあ、一種の逃げみたいなものですねえ(笑)。

当時を振り返ると、近年のベストセラー「置かれた場所で咲きなさい」(渡辺和子さん著)なんて、高邁な精神にはなれなかったことを今でも恥ずかしく憶い出す。

そして、逃げ道候補の一番手はクラシック専門の「音楽喫茶」を開くことだった。

当時はタンノイ・ファンだったのでオートグラフをドカンと店内に据えて真空管アンプで鳴らそうなんて夢みたいなことを考えていたが、その時の音楽喫茶の名前を一貫して心に刻み込んでいたのが「アマデウス」だったというわけ(笑)。

奇しくも、2セット目の「AXIOM80」を譲ってくれた千葉のSさんも音楽喫茶を開くのが夢で、その時には店名を「アマデウス」にしようと決意されていたそうで、「音楽好きは似たようなことを考えますね~」と二人で苦笑したものだった。


さて、この音楽喫茶の顛末だが「こんな地方の田舎でどれだけクラシック・ファンがいると思っているんですか。食べていけるわけがないでしょう!」とのカミさんの凄い剣幕に気圧されて、結局諦めざるを得なかった。常識的に考えても、おそらく誰もがそう言うに違いない。

こうして、今となっては何の憂いもなく音楽・オーディオ三昧の日々が送られるのだから、当時の選択はおそらく正しかったのだろうと思う今日この頃。

まあ、「今が良ければすべてよし」なんでしょうかね(笑)。

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チャンデバさんの登場だよ~

2020年01月27日 | オーディオ談義

とうとう落札しちゃいました。

パイオニア製の「3ウェイチャンデバ」が格安の「即決」でオークションに出品されていたので、出来心でついポチッ(笑)。

  

アキュフェーズなどの高級機と比べると一桁違うお値段で、万一失敗したとしても「ま、いっか」で諦められる範囲だった(笑)。

北海道からの発送で、待ち焦がれること3日間、ようやく我が家に到着した。

さあ、いよいよ抜本的なシステムの編成替えだ。

これまで1台のアンプで3つのSPユニットを鳴らしていたものが、3台のアンプでそれぞれ1つのSPユニットを駆動するのだから天と地ほどの違いがある。

もちろん「いい悪い」の是非は別として、「なぜ変えたのか?」と問い詰められるとちょっと返答に窮するが、あえて言えばこれまでのネットワークを使った「ウェストミンスター」(改)の音にいっさい不満はなかったものの、やはり変化を求めて未知の分野に足を踏み出さないと進歩はないようにも思う。

「最も強いものが生き残るとは限らない、最も賢いものが生き残るとは限らない、ただ変化によく適応したものだけが生き残る。」(ダーウィン:種の起源)

と、恰好を付けてみたものの(笑)、勇躍して据え付けたのはいいとして作業に2時間ほどかかってしまった。

それぞれ3つのSPユニットにケーブルをつなぐのがたいへんで、長過ぎたり、短過ぎたりで「半田ごて」の出番がやたらに多い。

それが済むと、次にそれぞれのSPユニットの個性に応じた3台のアンプの選択が待ち受けていた。

現在、改造に出しているのが1台あって残りが8台なのでその中からの選択になるが、それぞれに弱点があって「帯に短し、たすきに長し」だが、フルレンジ向きとして「300Bシングル」(銅板シャーシ)、「2A3シングル」、「6098シングル」「171Aプッシュプル」の4台を除外した。

つまり、これらはチャンデバ用にはもったいない(笑)。

したがって残る4台の中から選択肢を絞った。

クロスオーバーの選択はチャンデバだけあって自由自在だがとりあえず「700ヘルツ」「8000ヘルツ」に設定し、担当する周波数帯域をアンプの個性(ゲインや音色)に応じて次のように決めた。

ちなみに、それぞれの電源はすべて「200ボルト → 100ボルト」降圧電源である。

「~700ヘルツ」 → 「PX25シングル」アンプ

「700~8000ヘルツ」 → 「6SN7」アンプ

「8000ヘルツ~」 → 「171シングル」アンプ



この3ウェイチャンデバの登場で一番のメリットは何といっても「8000ヘルツ」以上を受け持つ「075ツィーター」(削り出しステンレスホーン付き)の登板である。



これまでは、どうしても能率が高すぎて(110dbもある!)ネットワーク型式ではもて余し気味だったが、チャンデバの登場で自由自在にボリュームをコントロールできるので見事に息を吹き返した。

ジャズに必須のシンバルの響きは「075」じゃないと、どうしても物足りない!

最後の詰めは各帯域のボリューム調整である。

こればかりは実際に音出しをしながら調整するしかない。

試行錯誤の結果、低音域「~700ヘルツ」を全開(5時の位置)にし、中音域「700~8000ヘルツ」を10時の位置に、高音域「8000ヘルツ~」を11時の位置でどうやらバランスが取れた。

やはり、ネットワークのときと比べて、周波数レンジはぐ~んと広がり、低音域と高音域の屈託のない伸び方はうれしくなるほどだが、ハーモニーとなるとどうかな?(笑)

さっそく我が家のシステムのご意見番「Y」さんに来ていただいて聴いてもらったところ「低音域の重量感がものすごいですね!やや荒削りの音ですが、ネットワークのときよりも明らかにメリハリが利いて生の音に近いです。私はこちらの音の方が好きです」

「そうでしょう!」と、もろ手を挙げて賛同した。

しばらくこの状態で聴いてみることにしたが、やはりチャンデバは試してみるもので、購入して正解だったようだ。

これで十分、今のところは・・(笑)。

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音楽記事 VS オーディオ記事

2020年01月25日 | 音楽談義

つい先日のこと、過去記事ランキングの上位に珍しく8年も前の記事が入っていた。タイトルは「サバリッシュ指揮の魔笛」。

書いた本人でさえすっかり忘れているのだから、内容を憶えている方はおそらく皆無だろう。冒頭の一部を再掲させてもらうと以下のとおり。

このほど東北地方の方から実に”うれしくなる”メールが届いた。ご本人の了解なしの掲載だが、匿名なので大目に見てもらうことにして、大要、以下のような内容だった。

「貴ブログを読んでオペラ”魔笛”(モーツァルト)を見直したくなり、わざわざプロジェクタを購入した。所有していた”魔笛”は昔懐かしいレーザーディスクによるサバリッシュ指揮の1983年の録画で、10年くらい見る機会がなかったが、これからじっくりとオペラ鑑賞を楽しみたい。貴ブログのおかげでオーディオと音楽にやる気が復活してきた。」

こういうメールをいただくと、つくづくブログを続けていて良かったと思う。ブログを始めて5年が過ぎるが、大した内容でもないのにご覧になる方も随分増えてきて、たいへんありがたいことだが、昨年あたりから、自分はいったい何のためにブログを続けているんだろうと思いが、ときどき、過(よぎ)るようになった。

まあ一種の馴れからくる倦怠期みたいなものだろうが、こうして「初心忘れるべからず」という気持ちを想起させるメールをいただくと「よしっ、がんばろう」という気分になる。

実を言うとこのブログを始めた動機そのものが、「魔笛」の素晴らしさを広く世に伝え、最終的には「魔笛」に魅せられた愛好者ばかりが集まった全国的な「魔笛倶楽部」を創ろうというのがそもそもの発端だった。

しかし、ブログを開始して3か月も経たないうちに「魔笛」に関する材料が種切れとなり、仕方がないのでオーディオや読書などの話題を盛り込まざるを得なくなって、いつの間にかブログの性格が変質してしまったというのが偽らざるところ。

今や(自分のブログの)メインになっているのは「オーディオ」だが、たしかに面白くてたまらない趣味には違いないが、この分野には「先達」(せんだつ)がそれこそ”ごまん”といるのを承知している。

正直言って、自分のような中途半端な人間が太刀打ちできるような世界ではないし、それに、人によって「好み」や「環境」があまりに違うので広く共感を呼ぶ話題としてはちょっと無理があるように思っている。

たとえば、自分がどんなに「いいシステムだ、いい音」だと力説しても、「私はラジカセやヘッドフォンで聴く方が好きです、箱庭の世界のような音が好きなんです」と言われればそれまでの話。

その点、あらゆる民族共通の言語ともいうべき音符の世界は共感できる幅が大きいのが利点。

「死ぬということはモーツァルトを聴けなくなることだ」と述懐した天才物理学者の「アインシュタイン」を始めとして、老いも若きも、貧富の差もなく、秀才も鈍才も関係なく、そして人種を問わず万人が同列に楽しめる趣味なんて、この世に音楽を除いてほかにあるんだろうか。

さて、そこでサバリッシュ指揮の「魔笛」について述べてみよう。以下略。

以上のとおりだが、8年前も今も「音楽&オーディオ」に対する心境は変わっていない。

つまり「オーディオ関係の記事」には「どうせ理解し合えないだろうけど・・」という虚しさがいつもつきまとうが、「音楽に関する記事」は読者と何かしらの連帯感を覚える(笑)。

ま、これからもオーディオ関係はネタが豊富なので、頻繁に記事にするつもりだが、そういうつもりで読んでくださいね。

話はまるっきり変わって今年は稀に見る記録的な暖冬で「鳥」も元気がいいようです。高校時代の同窓カメラマン「T」君が撮った「鳥が魚を捕らえた瞬間」(横浜市:金沢自然公園)です。



以下、続く。

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「酒はアンプ」って何のこと?

2020年01月23日 | 独り言

一昨日の1月21日付「読売新聞」の朝刊に、芥川賞作家の「町田康」(まちだ・こう)さんが投稿されていた。



小見出しは「酒はアンプ 性質を増幅」。細かい字で読みづらいだろうから関係部分を抜き書きしてみよう。

「人によって酒とはなになのか、ということがある。ある人は酒は百薬の長といって酒を善きもののように言う。ところが別の人は命を削る鉋(かんな)と悪し様に言う。いったいどちらなのか。

自分が酒を飲んだときの状態をいま振り返ってつらつら考えるにこれはどちらも正しい。

どういうことかというと、酒はオーディオ装置などに組み込まれているアンプ、すなわち増幅器ということである。

増幅器は入ってきた信号を増幅、すなわち大きくしてスピーカーに伝える。これによって私たちは大きな音で音楽を聴くことができる。

同様に酒は、私たちの元々持っている性質を増幅する。もともと人が好きで人と仲良くしたいという心を持っているのだが、普通の状態だとそれが微弱でなかなか人に伝わらない。

そこで酒を飲むとこの気持ちが増幅され、人と心を通わせることができるようになる。これは酒の美点である。

ところがアンプは音量を上げるだけであり、その特性を変えるものではない。アンプを通したからといって嫌な音がいい音になるわけではない。

同様に酒は私たちの中にある、人間としての嫌な部分を増幅する。これが酒の難点である。嫌いな音楽を好きな音楽に変えたうえで増幅してくれるアンプがあればよいが、そんなものはない。

だから元々、よい性質を持っている人は酒を飲み、これを増幅するのがよい。そうでない人は止したほうがよい。

さて、私はどちらであったか。それは言わぬが花でしょう。」

というわけで、テーマは酒。

私たちにとってはたいへん身近な存在で、誰にでも大なり小なり酒にまつわる失敗談があるはずだが「飲み方次第で毒にも薬にもなる」のは周知のとおり。

そこで「酒の功罪」について整理してみると、まず「功」の面から、

1 コミュニケーション・ツール(人間関係の潤滑油)

2 精神安定(リラックスとストレス解消)

3 生活習慣を予防(食欲の増進、血管の拡張)

4 「適量だけ飲む人」が「死亡率低下の効果」が最も高い

そこで適量というのは次のとおりとされている。

ビール(中瓶1本500ml)、日本酒(1合)、焼酎(コップ半分)、ウィスキー(ダブル1杯60ml)、ワイン(グラス2杯200ml)

次に「罪」の面からいくと、

多量の飲酒によって引き起こされるのが「身近な人に迷惑をかける」「交通事故や暴力」「アルコール依存症」「メタボ症候群」「生活習慣病」「ガンの誘発」

といったところ。

我が家ではこのところ晩酌で「梅酒」「焼酎」「ワイン」「ウィスキー」の少量を日替わりメニューのように飲んでいるが、まるでオーディオとそっくりで移り気なところはどうやら性格的なものらしい(笑)。

ところで、オーディオ愛好家の皆様は冒頭の町田氏の「酒はアンプ・・」を読んでどういうご感想をお持ちですか?

そう、引っ掛かるのは「アンプは音量を上げるだけであり、その特性を変えるものではない。アンプを通したからといって嫌な音がいい音になるわけではない」の個所だ。

これは間違いですね。

我が家ではアンプを換えることはまさに「死活問題」で「嫌な音がいい音になる」のをこれまで数限りなく経験してきているし、さらには真空管の種類によってさえも増幅密度というのか音の質感が明らかに違ってくる感想を抱いている。

いわば、アンプの違いはオーディオにおける「壺中の天」ともいうべき愉しみ方になるが、その一方で世間一般の認識とはそんなものかと、何だか淋しくなりますなあ(笑)。

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音楽とミステリーの小咄「二題」

2020年01月21日 | 独り言

「音楽とミステリー」と、こうやって並べてみるとなかなか語感がいいですね。自分だけかな(笑)。

それでは、これらに纏わる小咄を「二題」ほど綴ってみよう。


✰ モーツァルトのCD

先日搭載した「指揮者トン・コープマンの魅力」の末尾に記載していたように「HMV」に注文していたCDが到着した。ネットで注文してから到着まで、たったの3日だから実に手早い。



近年、CDの売れ行きが下降の一途を辿っているので、もしかして配送作業に余裕があるのかな(笑)。

丁度、オーディオ仲間のYさんがお見えになったので封切り状態で一緒に聴かせてもらった。

曲目の順番は「オーボエ協奏曲」「バスーン(ファゴット)協奏曲」「フルートとハープのための協奏曲」

周知のとおり、オーボエ協奏曲はフルート協奏曲とまったく同じ楽譜なので、フルート奏者のYさんにはお馴染みの曲目だ。

「いろんなコンクールの課題曲として、まず指定されるのがこのフルート協奏曲です。つまり、フルート奏者でこの曲を弾けないのはモグリです。

モーツァルトの作品に限って言えることですが演奏していると実に楽しくて心が浮き浮きしてきます。不思議です。先生からはモーツァルトは出来るだけ優雅に弾きなさいといつも指導を受けています。

モーツァルトは管楽器奏者にとってまったく神様のような存在ですよ。フルートやオーボエは言うに及ばず、クラリネット協奏曲&五重奏曲、ファゴット協奏曲、ホルン協奏曲などその道の代表的な曲目ばかりです。」

さて肝心のCDの感想だが、コープマンの指揮には満足したがメインの「フルートとハープのための協奏曲」はややハープの響きがもの足りない憾みが残った。

この曲の優雅さの象徴はハープにあるのだから実に惜しい・・。

やはり、永遠の名盤とされる「パイヤール指揮、ランパルのフルート、ラスキーヌのハープ」盤の牙城は簡単には揺るがない。ま、いっか(笑)。



✰ ミステリー「メインテーマは殺人」


昨年末に帰省した娘が持って帰ってきたミステリー。作家のホロヴィッツは今や世界中のミステリーファンの注目の的だが、本書も期待に違わぬ面白さで、謎解きの楽しさを十分に堪能させてもらった。

昔のように一気読みは体力的に無理になったが、毎日1時間あまりを途切れなくコツコツと読む気にさせるのだから読者を捕らえて離さない魅力があると言っていい。

巻末になって犯人とその動機が明らかにされると、百人中百人までが「最初からちゃんと伏線が張ってあったのに!」と臍を噛むこと請け合いで、機会があればぜひご一読をお奨めしたい1冊です。

本書の裏表紙に書いてある筋書きは次のとおり。

「自らの葬儀の手配をしたまさにその日、資産家の老婦人は絞殺された。彼女は自分が殺されると知っていたのか?

作家のわたし、ホロヴィッツはドラマの脚本執筆で知り合った元刑事ホーソーンから、この奇妙な事件を捜査する自分を本にしないかと誘われる・・・。

自らをワトスン役に配した、謎解きの魅力全開の犯人当てミステリ!

7冠制覇の「カササギ殺人事件」に並ぶ傑作!」

レヴューについてはネットから一件引用させてもらいましょう。

「ホームズとワトソンを念頭に置いたコンビ探偵の活躍があり、アガサクリスティーばりの心理トリックもある、とても読者にフェアな物語だ。

謎を解明する手掛かりは、多くの場面で明示されている。それに気づかず読み進めてしまったことを、あとで振り返り、気づくことになる。

事件の謎が登場人物の心の秘密と深く結びついており、事実にその感情がまとわりついて、「これが真実なのだ」と、妙に納得してしまう。シリーズ物の第一作らしいが、ますます、楽しみが増える。」

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プリアンプ騒動記

2020年01月19日 | オーディオ談義

「ラックスのプリアンプをオークションで落札したんですけど、お宅のアンプとスピーカーで試聴させてもらえませんか」と、近隣にお住いのオーディオ仲間「Y」さんからご連絡があったのは1週間ほど前のことだった。

「ハイ、もちろんいいですよ」と一つ返事。

何しろ「リチウムイオン電池」と、「200ボルト電源からの降圧トランス」という、オーディオの根源に関わる「電源対策」はYさん抜きでは語れないし、うかつに足を向けては寝られない存在だ(笑)。

さて、実はこの度Yさんが落札されたラックスのプリアンプ「CL35」についてはかねがね「どうしようか?」とご相談を受けていた。

ラックスには何の憾みもないが、ありのままに言わせてもらうと「ラックスのアンプはとかく評判が悪いですよ。ベテランの真空管アンプ工房さんによると使ってある部品の質が悪いそうです。音も総じて生ぬるい傾向だし、止めといた方がいいですよ」と反対してきた。

ところが、肝心のYさんはどうやら「見かけ」に幻惑されたご様子で(笑)、「実は自宅用ではなくて運営している老健施設の食堂のアンプ用です。パワーアンプが6550プッシュプルなので、セットで置くと見栄えが良さそうなので・・・。」

結局「即決」で落札されたアンプを、3連休の最後の13日(月)の午後になって、いそいそと持参されたので音出しを含めて「プリアンプの実験」となった。

「パワーアンプ転がし」や「球転がし」はこのブログの読者ならご存知のとおり数限りなくやってきたが「プリアンプ転がし」は、たしか初めてではないかな。

そもそも、デジタルの時代になって「プリアンプ不要論」が横行しているくらいその存在感は薄れるばかりである。

今のところ「質のいいプリアンプならあった方がいいし、そうでなければ無い方がいいしでケースバイケース」というのが結論だ。


そして、Yさんは部屋に入ってこられるなり開口一番「テスト機器のパワーアンプは「2A3シングル」を、スピーカーは「AXIOM80」でお願いします。」

「はい、わかりました」(笑)。

「AXIOM80」をテスト用のスピーカーに選ぶなんて、(アンプの)欠点を容赦なく暴き出すのでアンプが可哀そうだなあ・・・。



とりあえず用意したプリアンプは我が家の分が3台とラックスの「CL35」との計4台の勝負となった。

ちなみにその3台とは、

 マッキントッシュ「C-22」型プリアンプ

 マランツ「7」型プリアンプ

 オーディオ専門誌「無線と実験」(2001.1月号)に掲載されていた「安井 章」先生創案のプリアンプ

まずは「ラックス」を鳴らしてみた。ちゃんと音が出てくれるかどうかが先決だ。 

いきなり「どでかい音」が出てきて「AXIOM80」が破損すると「もう死んだほうがまし(笑)」なので、内心ヒヤヒヤしたが真空管が多いせいか、温まるまで時間がかかったもののようやく音が出てきてくれてホット一息。

相変わらずラックスらしいボンヤリした音だと内心思ったが「なかなかいいじゃないですか!長時間聴いても疲れそうにない音ですよ。」と、積極的に応援(?)してみたものの肝心のYさんはどうもご不満げな様子。

それから我が家のプリアンプを1,2,3と次々に試聴していった。

その結果を白日の下にさらすと、

「プリアンプで音があまりにも大きく変化するので驚きました。パワーアンプ以上の差が出てきますね。

ベスト1は3のプリアンプです。まったく非の打ち所がない音で感心しました。2と3はその次のレベルになりますが、ほぼ互角で実力伯仲といったところでしょう。ラックスとなると、もう最低最悪です。

音が生ぬるくて情報量がまったく不足しています。このままでは聴きたくないので3を製作したMさんに改造を頼めないですかね。」
と、Yさん。

「それは頼んでみてもいいのですが、(ラックスは)ちゃんと鳴っているのにもったいないですね・・・」

さて、今回のテストで見事に栄冠に輝いた「安井型」アンプの特徴を製作者に伺ってみると、安井先生はその道ではたいへんな権威で信奉者が多く、このアンプは「定電圧回路」にこだわり電源部分に特に注力したとのこと。

プリもパワーもそうだけど、最後は「電源」部分の充実度がものをいうみたいですよ。そんなことは、とうの昔に分かっとるわいという方が多いでしょうが(笑)。

実は、このアンプは去る12月に来たばかりのまだ借り受け状態のままで、購入と決めたわけではなくどうしようかと迷っている真っ最中だった。使用されている真空管はありふれた「12AU7×4本」。

「購入する気になれば原材料費だけでいいよ」と、相変わらず「儲け心」が皆無な製作者だが、ビンボー人にとってはそれでも結構なお値段だしねえ(笑)。

しかし、自他ともに認める「NO.1」となれば買わずばなるまいなあ・・・。

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指揮者トン・コープマンの魅力

2020年01月17日 | 音楽談義

NHK「Eテレ」で毎週、日曜の夜に放映されている「クラシック音楽館」(2時間)は珍しくも本格的なクラシック番組なので必ず録画することにしている。

そして大半が一度観た後であっけなく「一発消去」という運命を辿るのだが(笑)、昨年12月に放映された「指揮者トン・コープマン」の登場には久しぶりに興奮した!

     

コープマンはオランダ生まれで当年75歳のオルガン・チェンバロ奏者だが指揮者としても活躍しており、特にモーツァルトの演奏にかけては存命する指揮者の中では(自分にとっては)ダントツの存在になっている。

何しろ大、大、大好きな「K136」(ディヴェルトメント13番)と「K165」(ヴェスペレ:踊れ喜べ汝幸いなる魂よ)はコープマンの指揮以外のものは聴きたくないと断言していいほどの耽溺ぶり。



CDを「ブルーレイレコーダー」に取り込んで毎日のように聴き惚れている。

とはいえ、「コープマンのどこがそんなにいいの?」と訊かれても、専門的に音楽理論を学んだことのない人間ははたと返答に窮してしまう。

「聴いていて心地よい」としか言いようがないが、あえて言えば「モーツァルトの音楽を思うがままに熟(こな)している印象を受ける」

多面的な表情を持つモーツァルトの音楽を一言で言い表すのは難しいが「元気溌溂として天馬空を駆けるような軽快な響き」の裏に潜む「涙が追い付かないほど疾走する悲しみの正体とは?」の、いわば「光と影」の表現力がまことに自然体で堂に入っている気がしてならない。

長年、それこそ50年以上に亘ってモーツァルトをじっくりと聴きこんできたのでその辺は「阿吽の呼吸」で手に取るように分かるのである(笑)。

この番組では最初に「交響曲第40番」、そして「レクイエム」が演奏されたが、前者は期待に違わぬ仕上がり振りだったが、後者では「主要な歌手」たちは母国から引率されてきていたものの、合唱団ともなると日本編成のためか「レクイエム」にふさわしくない元気の良さが目立つ印象を受けてやや興醒め気味~(笑)。

そしてコープマンに関して余談が一つ。

先日、長寿番組「お宝発見!なんでも鑑定団」を観ていたら鑑定依頼人として極めて珍しくクラシック愛好家が登場された。10年以上この番組を観てきたが初めてである。

ご自宅で実に楽し気に愛聴されているシーンが放映されていたが、その時に鳴っていた音楽がモーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲」だった。

「この曲ほどコーヒーを呑みながら優雅な気分に浸れる曲はありませんよ」と、仰っていたがほんとにそのとおりですねえ。

ちなみに、その時の鑑定依頼品は夏目漱石の晩年の作品「道草」の下書き原稿4枚だったが、鑑定結果は見事な本物で「250万円」の高値が付いた。うち3枚は新発見だったそうで資料的価値が高いとのこと。

同じクラシックファンとして良かったですねえ(笑)。

なお、「フルートとハープのための協奏曲」の極めつけの盤は言わずと知れた「パイヤール指揮、ランパルとラスキーヌのコンビ」だが、これほどの名曲だからほかの演奏はないものかと、番組後に「HMV」を漁っていたら偶然見つけたのが、コープマン指揮の盤だった。



しかも、なんと大好きな「ファゴット協奏曲」がカップリングされている!

こいつは新年早々から縁起がいい。

今年もどうか素敵な「めぐり逢い」がありますように~(笑)。

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新年早々のオーディオ実験

2020年01月15日 | オーディオ談義

我が家には現在4系統のスピーカーがあって、毎日楽しませてもらっているが、そのうち実験用として重宝しているのが「ウェストミンスター」(改)だ。

とりわけ昨年(2019年)の12月に購入した「大型楕円形ユニット」(グッドマン)によって、飛躍的に応用の幅が広がったのはうれしい限り。

   

何しろこの楕円形ユニットはフルレンジタイプなので低音域から高音域まであらゆる周波数帯域で使えるのが頼もしい。

これまでのところは、1000ヘルツ前後から上の周波数を担当させてきたが、ぐっと下げて500ヘルツから上を担当させてみたくなった。

いったいどんな音がするんだろう!

幸い我が家には2ウェイと3ウェイ兼用のネットワークがある。

2ウェイのときはクロスオーヴァー(以下、「クロス」)は「4000ヘルツ」、3ウェイの場合のクロスは「500ヘルツ」と「4000ヘルツ」となっている。

ちなみに、このクロス「4000ヘルツ」というのには科学的な根拠があって、実はこの辺りが人間の耳にとって一番鈍感な周波数とされており、これはいつぞやのブログでも述べたようにオーディオ誌の実験でも証明されている。

違うユニット同士の音が交差するクロス付近は必然的に音の濁りが発生するが、それを出来るだけ耳に鈍感な周波数付近に持ってきて目立たなくしようという狙いがこのクロス「4000ヘルツ」の設定に読み取れる。

このネットワークはウェストミンスターにはちょっと役不足の感があるので、あくまでも実験用として一つトライしてみようかという軽い気持ちでやってみた。

もし、うまくいったら本格的な3ウェイネットワークを買おうという魂胆である。



ひどい画像ですねえ(笑)。

バナナプラグが使用できないのでこういうことになる。青い線は繋ぎ用として音の劣化を防ぐために「銀線」を2本束ねたものである。

作業には小1時間ほどかかっただろうか。

いつもどおり、ドキドキ、ワクワクしながら音出しをしてみると第一印象としては「悪くないなあ」(笑)。

これまでと比べて予想どおり「スッキリ」した音が出てきた。

箱に容れていたワーフェデール「スーパー12」の守備範囲が1200ヘルツから500ヘルツに減り、その一方、グッドマンの裸の「楕円形ユニットの守備範囲が同じ範囲で増えたのだから全体の響きが変わるのは当然だ。

従前の音が「ハーモニーを重視した音」だとすると今回は「分解能を優先した音」ともいえる。

クロスオーヴァーを換えるだけで、まるでアンプやSPユニットを換えたような音になるのだから非常に面白い。

そして結局、この3ウェイは2日ほど聴いた後で元に戻した。

このウェストミンスターのフロントのショートホーンはクロス1000ヘルツ用に作られているせいもあって、聴いているうちにハーモニーに何がしかの違和感を感じ出したのがその理由。

どうも落ち着かない。

やっぱり最後は「長時間聴いても疲れない音」になるんですよねえ(笑)。

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「AXIOM80」のネガティブキャンペーンのその後

2020年01月13日 | オーディオ談義

我が家のオーディオの「羅針盤的な役割」を果たしているスピーカー「AXIOM80」について6年ほど前のブログで「ネガティブ・キャンペーン」を行ったことを憶えておられるだろうか?

おそらく大半の方が「忘却の彼方」だろうから以下のとおり再掲させもらおう。


このブログで再々記しているように日頃から愛用しているSPユニット「AXIOM80」(以下、「80」)だが、残念なことに2ペアとも1970年代に復刻されたもの。

1950年代初頭に発売されたオリジナル・ユニット(以下、「オリジナル」)は別格の存在という話をよく聞くので、どれほどの違いがあるのか、一度自宅のシステムの中に組み入れて鳴らしてみたいとの思いは尽きない。

先日のことだが「オリジナル」愛好者のSさん(東京在住)から、次のようなメールが入った。

「R形状マグネットエッジの最初期型オリジナル80がペアでヤフオクに出てます!整備済とのことで状態良さそうです。片方のコーン紙に補修がしてあるようですが、左右で特性が合っているのなら問題ないでしょう。補修の有り無しよりも、折り返し形状エッジのオリジナル軽量コーン紙がついている事が最重要ですから。

破れたからといって後期の重いコーン紙に取り替えられていたら、オリジナルの最大の美点が失われてしまうところでした。今回の物件は、ウェンブリー工場製造であることは勿論のこと、ベークライト製カンチレバーの厚さが薄いこと、マグネットカバーのエッジ部にRがついていること、サブコーンの色が焦げ茶色であること、どこをとっても1950年代末頃から1960年代前半にかけて製造された第Ⅰ期バージョンです。

その中でも最初期の製造と判定できるAXIOM80でしょう。この先、完動品がペアで出てくることは相当稀だと思います。30万円までで落ちるなら間違いなく買いでしょう。既に結構な数の入札者が居るのが気になりますが、頑張ってください。」
          


久しぶりに“
血湧き肉躍る”話(笑)。

とはいっても、メールにあるように(入札額が)30万円以上の勝負をするつもりはない。いくら「音楽=オーディオ=命」といっても、それで飯が食えるわけでもない。

また、オーディオに限らず何ごとにつけ「性能 ⇔ 対価 ⇔ 満足度」の相互の兼ね合いをはかるクセをつけておくことは「頭の体操 → ボケ防止」にとっても非常にいいと思う(笑)。

冗談はさておき、すぐにウォッチリストに登録して注意深く見守っていると、中古専門のストアからの出品なので例によって「1000円」スタートながら、あっという間に21万円まで跳ね上がってそこから小康状態に入り、いよいよ落札当日になった。

夕食を終えて、就寝前になってからいよいよおもむろに始動開始。これで結着だといわんばかりに「299000円」でいきなり入札したところ、何とその額以上のもっと高値をつけた入札者が既にいたのには驚いた!

な~んだと、一気に冷めてしまった。物事にはすべて“のり”(法、則、典、範、矩)というものがあるように思う。いくら「オリジナル」といってもこれ以上追いかけるつもりはないので、いつものとおり「足の裏叩き」を終えてご就寝(笑)。

翌朝、いったいいくらで落札されたんだろうとパソコンを開いてみたら「301000円」で落札されていた。

ウーム、2000円差かあ!ただし、本気で自分が勝負を仕掛けたらおそらく競り合いになってもっと値上がりしたことだろう。

というわけで、今回も「オリジナル」とは縁がなくてとうとう涙を呑みました(笑)。

しかし、改めて考えてみるのに「AXIOM80」はそもそも30万円に匹敵するような性能を持っているんだろうか?

オリジナルを使っているオーディオ仲間によると「とても30万円以上の値打ちはありませんよ。」と、はっきり仰る。

これに勇気を得て、今回はいつもとは違って「80」をマイナスの視点からいくつか列挙してみよう。

いわばネガティブ・キャンペーンだ!(笑)

 「80」はけっして万能型のユニットではない。たとえば、弦楽器群のファンダメンタルな響きはとうてい望むべくもないし、あの雄大なワーグナーやマーラーなどの音楽には向かない。線が細すぎる。したがって、せいぜいボーカルやヴァイオリン・ソロを聴くぐらいが関の山でとてもメインのシステムとなる資格はない。

 とにかく中低音域が物足りない。その辺も含めてうまく鳴らそうと思うと
メチャ手間がかかるユニットである。そもそも完璧に鳴るかどうかも定かではない。実際にいろんな方々の「80」を聴いてみても、自分も含めて“あと、ひとひねり必要”という印象を受けるばかり。

 とても気難しいユニットなので全体的なシステムの構成にも配慮しなければならず一か所でも手を抜くとすぐに反応する。

取り分けパワーアンプの選択が難しくてとても一筋縄ではいかない。

我が家の例では、WE300Bアンプ(1950年代オールド)、PX25アンプ(ナス管)、刻印付き2A3(1940年代)アンプなど一般的に定評のあるものを使ってみたがいずれも「帯に短し、たすきに長し」で決め手に欠けており、いまだに「ああでもない、こうでもない」と迷路を彷徨っている。

実際に「80」の紹介記事が掲載されている「いまだからフルレンジ」(別冊ステレオサウンド)にも次のような箇所がある。(115頁)

「このユニットの本領を発揮させるには相当の力量が必要で、当時としても独特の繊細で、ふっくらした艶やかな響きを堪能していた人は稀だったと思う。」とある。

おそらく筆者は「瀬川冬樹さん」(伝説のオーディオ評論家、故人)に違いない。瀬川さんほどの方が後になって「80」から「JBLシステム」へ転向されたが、今ではその気持ちが分かるような気がしている。

とまあ、以上のとおりで結論から言えば“うかつに手を出さないほうがいい”ユニットである。

ところで、今回の例にもみられるとおり「80」の近年になっての高騰ぶりは目に余るものがあるようだ。

原因はいろいろあろうが、実をいうと「80が異常に値上がりしたのはあなたのブログにも一因がある」と、一部の方から責め立てられている。

たかが自分のブログごときが”それほどの影響力があるかな?”と半信半疑だし、むしろそう言われるのは光栄なくらいだがこのネガティブ・キャンペーンの効果によって、少しでも市場の「80」への熱が冷めてくれれば、それに越したことはない。

なぜなら「オリジナル」の相場が少しでも下がると手に入れやすくなるから(笑)。
 

というのが過去記事だが、その後の経過を記すとそれから「舌の根も乾かない」うちに「36万円」でオリジナルの「AXIOM80」を手に入れたのだから、まったく「世話が無い」(呆れてどうしようもない)(笑)。

そして、しばらくしてから復刻版を「28万円」でオークションで処理し、現在手元に残っているのは「オリジナル」と「復刻版」の2ペアである。

ところが、肝心の「羅針盤的な役割」を、このところ同じグッドマンの「トライアクショム」に奪われつつあるので、今や「復刻版」の首が風前の灯となりつつあるのが実状である。

オーディオ人間は「用済み」となればすぐに「お払い箱」にする冷たい一面があるのかなあ(笑)。

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美には人を沈黙させる力がある

2020年01月12日 | 音楽談義

「クラシック音楽がすーっとわかるピアノ音楽入門」(2008.6.20、山本一太著、講談社刊)を読んでいたところ、「ベートーヴェン晩年のピアノ・ソナタ」について次のような記述(95~96頁)があった。

          

~以下引用~


『ベートーヴェンは、1820年から22年にかけて「第30番作品109」、「第31番作品110」、「第32番作品111」のピアノ・ソナタを書き、これらがこのジャンルの最後の作品となった。

この三曲をお聴きになったことのある人なら、これが現世を突き抜けた新しい境地で鳴り響く音楽だとして理解していただけると思う。

とにかくこういう超越的な音楽の神々しさを適切に美しく語ることは、少なくとも著者には不可能なので、簡単なメモ程度の文章でご容赦ください。
ベートーヴェンの晩年の音楽の特徴として、饒舌よりは簡潔、エネルギーの放射よりは極度の内向性ということが挙げられる。

簡潔さの極致は「作品111」でご存知のようにこの作品は序奏を伴った堂々たるアレグロと感動的なアダージョの変奏曲の二つの楽章しか持っていない。ベートーヴェンは、これ以上何も付け加えることなしに、言うべきことを言い尽くしたと考えたのだろう。

こんなに性格の異なる二つの楽章を、何というか、ただぶっきらぼうに並べて、なおかつ見事なまでの統一性を達成しているというのは、控え目にいっても奇跡に類することだと思う。

もっとも、この曲を演奏会で聴くと、何といっても第二楽章の言語に絶する変奏曲が私の胸をしめつけるので、聴いた後は、第一楽章の音楽がはるかかなたの出来事であったかのような気分になることも事実だが。』

以上のように非常に抑制のきいた控え目な表現に大いに親近感を持ったのだが、「音楽の神々しさを適切に美しく語ることは不可能」という言葉に、ふと憶い出したのがずっと昔に読んだ小林秀雄氏(評論家)の文章。

「美しいものは諸君を黙らせます。美には、人を沈黙させる力があるのです。これが美の持つ根本の力であり、根本の性質です。」(「美を求める心」より)

いささか堅苦しくなったが(笑)、自分も「作品111」についてまったく著者の山本氏と同様の感想のもと、この第二楽章こそ数あるクラシック音楽の作品の中で「人を黙らせる力」にかけては一番ではなかろうかとの想いは20代の頃から今日まで一貫して変わらない。


とはいえ、ベートーヴェン自身がピアノの名手だったせいか、ハイドンやモーツァルトの作品よりも技術的には格段にむずかしくなっているそうで、標記の本では「最高音と最低音との幅がドンドン大きくなっている」「高い音と低い音を同時に鳴らす傾向が目立つ」といった具合。

言い換えるとピアニストにとっても弾きこなすのが大変な難曲というわけで、聴く側にとっては芸術家のテクニックと資質を試すのにもってこいの作品ともいえる。

以前のブログでこの「ソナタ作品111」について手持ちのCD8セットについて3回に分けて聴き比べをしたことがある。

そのときのお気に入りの順番といえば次のとおり。

 
1 バックハウス  2 リヒテル  3 内田光子 4 アラウ  5 グールド  6 ケンプ  7 ミケランジェリ  
8 ブレンデル

         

       


ちなみに、天才の名にふさわしいピアニストのグールドがこのベートーヴェンの至高のソナタともいえる作品で5番目というのは我ながらちょっと意外。

しかし、これは自分ばかりでなく世評においてもこの演奏に限ってあまり芳しくない評価が横行しているのだがその原因について先日のこと、オーディオ仲間が面白いことを言っていた。

『グールドはすべての作品を演奏するにあたって、いったん全体をバラバラに分解して自分なりに咀嚼し、そして見事に再構築して自分の色に染め上げて演奏する。

だが、この簡潔にして完全無欠の構成を持った「作品111」についてはどうにも分解のしようがなくて結局、彼独自の色彩を出せなかったのではないだろうか。』


グールドの演奏に常に彼独自の句読点を持った個性的な文章を感じるのは自分だけではないと思うが、この「作品111」にはそれが感じられないので、この指摘はかなり的(まと)を射たものではないかと思える。

天才ともいえる演奏家がどんなにチャレンジしても分解することすら許さない、いわば「付け入る隙(すき)をまったく与えない」完璧な作品を創っていたベートーヴェンの晩年はやっぱり凄い!

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音を聴かせてもらうのにお金が要るの?

2020年01月11日 | 独り言

1日~2日おきに投稿しているこのブログだが、どうやら当たり外れがあるようで当方の思惑と読者の好みがずれることが度々ある。

つまり、当方が一生懸命作った答案を読者が採点するという構図のもとに、なかなか筋書き通りにはいかない。

たとえば「いい仕上がりだ」と思った記事が、さっぱり不人気だったり、逆に、「それほどでもない」という記事がアクセスが多かったりする。

ブログを14年間超続けてきたが、いつも翌朝の採点結果が楽しみだし、またそういう逆転現象がマンネリ化を防いでくれるのでとてもありがたい。

そして、去る5日(日)に搭載した「新春初夢物語」は珍しく筆者の思惑と読者の反応が「80点」くらいで一致した例だった。

「オヤッ、なかなか目新しいことが書いてあるじゃないか」といったところかな(笑)。


まだ記憶に新しいところなので記事の解説は不要だろうが、一言でいえば「全国のオーディオ愛好家によるネットワークをつくって気軽に往来し合い試聴できるようになったらいいなあ」という願望がもとでの「夢物語」だった。

すると、さっそくメル友の「I」さん(東海地方)から次のようなお便りをいただいた。

「試聴料2時間2000円というのは、すごく可笑しかったです。

実は、行きつけのオーディオ店(と言っても、利用は端子クリーニングキットを買ったり、レコードの洗浄くらいですが)で、「いろいろな機器を聴かせてもらいたいんだけど、1時間1000円でどお?」 と聞いたことがあります。

副店長さんは「ただでどんどん聴いてください、うちは買ってもらえばいいですから」とのこと。

(私の心の声・・・オレ、買わないんだよな・・・だから有料で・・・)

試聴料単価が、貴協会と同じでした(笑)」

以上のとおりだが、「アハハ」と笑ってしまった。

なぜ試聴を有料にしたかといえば、「I」さんが仰るように「身銭を切った方が試聴者本人の心の負担が軽くなる」ということがあるし、それに「有料だと元を取ろうと真剣に音に向き合うだろう」という狙いからである。


しかし、「有料なら俺は聴きに行かない」という方がいてもちっとも不思議ではないし、受け入れ側にしてもおそらく「有料で聴かせるほどの音ではない」と、ご謙遜される方が大半でしょう

とはいえ、コンサートのチケット代なんか特等席ともなると数万円もするんだから、1時間千円程度なら安いものだと思うがどうなんだろう。

そもそも、「生の音」と「電気回路を通した音」と比較するのは無理かな(笑)。


そこで我が家の話である。

自分が言うのも何だが、このところ凄く音に磨きがかかってきた気がする。

新たな「200ボルト → 100ボルト」の降圧トランスの活用、新らしいプリアンプ2台の導入、既存のパワーアンプのブラッシュアップなど枚挙にいとまがないほど。

      

およそ50年のオーディオ歴の中で現在が「会心の仕上がり」といってもいいくらいで、試聴料が1時間千円ぐらいではとても「間尺に合わない」と意気込むほどの「鼻息が荒い」今日この頃ですぞ(笑)。

最後に、高校時代の同級生「T」君が撮影した横浜の「みなとみらい」の夜景で「有終の美」を飾らせてもらいましょう。



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新春早々の真空管アンプの対決

2020年01月10日 | オーディオ談義

前々回からの続きです。

新春早々の試聴会(4日)のテーマは画像左側の「2A3」アンプと「6098」アンプの聴き比べだった。オーディオには一定の「ものさし」がないので、性能や個性を推し量るには比較試聴が一番だ。

      

それぞれに特徴があって、「2A3」アンプは強力なテレビ球による駆動だし、出力管「2A3」は数あるブランドの中でも定評のある「VISSEAUX」(フランス:刻印)だ。

一方、「6098」は名管「WE350」の流れを汲む「6AR6=6098」真空管の初期型(プレート部分が楕円形)だし、去る12月に回路の見直しと「クラロスタットボリューム」に代えたばかり。

まことに予断を許さない対決だったが、試聴の結果、Yさんは「2A3」アンプ(画像左側)の方に軍配を上げられた。

「2A3アンプは元気が良くて音に生気が漲ってます。とても気に入りました。それに、耳に馴染んでいるオーソドックスな3極管の味わいが残ってます。何だか故郷に帰ったような安心感がありますね。それに引き換え、6098アンプはたしかにレベルは高いのですが、ちょっと通常の三極管とは違う異質の印象を受けました」

その一方、自分は「6098」アンプの肩を持ちたくなった。

「2A3アンプはどちらかといえば音が前に出てくるタイプなのでジャズ向きですね。クラシックとなると両方のスピーカーの間にステージ(舞台)が出来て奥の方で音楽が展開するのが理想ですが、6098アンプはそれに近い仕上がりです。」

結局、生に近い音を出す「オーディオ的な音」と「音楽的な音」のどちらをとるかということで意見が分かれた。

Yさんが辞去された後で「6098」アンプのもっと違った側面がありはしないかと前段管を模索してみた。

このアンプはインターステージトランスが入っていないので、前段管次第でコロっと音が変わるのだ。

   

左から「6SL7GT」(シルヴァニア)、「CV569=ECC35=6SL7GT」(STC)、「ECC35」(ザイレックス=ムラード?」

この順番に球の背丈が違っていることにお気づきだろうか。

じっくり聴いてみると、まずシルヴァニアは音に深みが無く、ただいたずらに騒ぎ立てるだけでまったくの論外だった。

そして、これまで使ってきたSTC「CV569」と、新たなムラード「ECC35」とは同じイギリス勢同士の「いい勝負」だったが、よりイギリス風の渋い品の良さが加味されたという点で「ECC35」の持ち味を買った。

しかし、とても微妙な差でプリアンプやスピーカーが代われば評価も変わってきそうだ。

最後に、今回試聴したスピーカーは一貫してグッドマンの「トライアクショム」(口径30センチ:同軸3ウェイ)だった。



「おそらくコーン紙が軽いせいでしょうか、音の素早いスピード感に驚きました。トライアクショムって凄いスピーカーですね」と、感嘆しきりのYさん。

これまで、このSPを聴きこんでいるといつも途中から「AXIOM80に代えてくださいと仰るのだが、この日ばかりはまったくの様変わりで、ようやく(トライアクショムの)実力をご理解していただいたかな(笑)。

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読書三昧

2020年01月09日 | 読書コーナー

昨年末(2019年)に図書館から借りてきた「10冊の本」。

  

「音楽&オーディオ」にメチャ多忙な毎日だが、年末年始にかけて寸暇を割いて読書に取り組んだものの、最後まで読み果せたのはたったの1冊という情けない結果に終わった。

自己の読解力はさておいて(笑)、ぐいぐいと引っ張ってくれるような魅力的な本が少なかった。

一番の期待外れは「ノワールをまとう女」で、最新の「江戸川乱歩賞受賞作」(賞金1千万円)なので、ワクワクしながら読み進んだところ、文章がこなれていないし、謎解きの展開力にも乏しくてサッパリ面白くない。

とうとう1/4あたりまで読み進んで放棄した。よくもまあこんな「つまらない本」を選んだものだと、怒りの矛先がつい「選者」の方に向かった。

巻末に選考委員が記載されており全部で5名いて「新井素子」「京極夏彦」「月村了衛」「貫井徳郎」「湊かなえ」の各氏だった。

選考過程を読んでみると、本作品はダントツではなかったようで意見が分かれていたが、何だか消去法で残ったという印象を受けた。

こんなことなら「受賞作なし」にして欲しかったなあ。過去に東野圭吾や井沢元彦、池井戸潤などの有名作家を輩出した面影はもはやない。

このことを帰省中の娘にこぼしたところ「お父さん、この頃は江戸川乱歩賞よりも鮎川哲也賞の方が面白いみたいよ」といって渡してくれたのが「屍人荘の殺人」だった。



本格派ミステリーに荒唐無稽の「ゾンビ」が絡んでくるというSF趣向を凝らした本だったが、密室や謎解きの工夫が斬新だし、たしかにこちらの方が断然面白くて一気呵成に読み終えた。新しいミステリーの夜明けを感じさせる本だった。

話は戻って、10冊のうち最後まで読み耽ったのは「独ソ戦」だった。



第二次世界大戦における両国の指導者、ヒトラー(ドイツ)とスターリン(ソ連)の開戦前後の駆け引きというか双方の思惑がことごとく外れていくのが興味深かった。

当時のスターリンは猜疑心が強くて、自分の地位を保全するために名だたる将軍や将校たちを次々に銃殺しており、ソ連軍が組織的にガタガタになっていたこともあって「ドイツは攻めてこないだろう」との希望的観測を持っていた。

それが見事に外れてドイツ軍が攻めてくると、あまりの無防備さに当初はお手上げ状態だったし、ヒトラーはヒトラーで「ソ連軍弱し」の目論見が「量的な兵力の補給」と「冬将軍」の到来によって無残にも打ち砕かれるといった具合。

いわば双方とも誤算の連続で、結局どちら側の誤算による被害が少なかったかで形勢が決まった印象で、実際の戦争とはそんなものだろう。

とにかく、「いったい人間の生命を何と考えているのだろうか」と思うほど、万人単位で大量の命が簡単に奪われていくことに圧倒された。

「独ソ戦」とは相手の人民を一人残らず殺すという「殲滅戦争」であったことが窺い知れるのである。

ほかにも、ソ連兵の屈強さに比べて情けないほどのフランス兵の弱さ、終戦後にドイツに進駐した「ソ連兵の蛮行」に対して、ドイツではいまだにロシアに対する屈折した思いがあることなどが書かれていた。

こういう本を読むと、「”恵まれた時代”に生まれて運が良かった」と、つくづく感謝したくなる。

何しろ、毎日が極楽で「音楽&オーディオ」三昧、「読書」三昧ですからねえ(笑)。

最後に、戦争の愚かさにちなんだ「日経新聞」(2020.1.5)の第一面のコラム「春秋」を引用させていただいて終わりとしよう。

「昔、ある高僧のもとに年賀にやってきた男がなにか縁起の良いことを書いてほしいと頼んだそうである。それで僧がしたためた言葉は”親死に、子死に、孫死ぬ”。

正月から不吉だと怒る男に僧曰く”いやこの順番ならばめでたい。逆になったら大変なことだ”。

金田一春彦之名著”ことばの歳時記”を繰っていたら、おせち料理に添える”ゆずりは”の項にこんな話があった。

この植物は新しい葉が成長すると古い葉がポトリと落ちて代をゆずる。”親死に、子死に」の順縁だ。

しかし、顧みれば人間はしばしそれに背いてきた、多くの若者を戦争で死なせる過ちを重ねている。

今年は戦後75年。四半世紀の節目を3つも経るのだから、この時代の長さがいよいよ際立つというものである。

日本の近現代史の中でどれほどたくさんの人が子や孫を失ってきたことだろう。そう思うと、75年間も不戦を守ってきた”ゆずりは”の世のありがたさがわかるのだ。”戦後”を蔑(ないがし)ろにしてはならない。」

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新春早々の試聴会

2020年01月07日 | オーディオ談義

東京在住の「S」さんに2年間ほど貸していた「2A3」アンプが戻ってきてからおよそ2か月余り。

手を変え品を変え、だんだんと我が家のシステム環境に馴染ませている。

たとえばカップリングコンデンサーにWE製のマイカコンデンサーをパラってみたり、前段管の「6DE7」のブランドを「RCA」から「レイセオン」に差し替えてみたり~。多分に気休めの感もあるのだが(笑)。

そして、この度「北国の真空管博士」から「使ってみませんか」とご提供があったのが前段管の「6EW7」だった。



左が新たな「6EW7」で右は従来の「6DE7」。

大きさが随分違いますねえ!

両者ともテレビ用の球だが、前者が「カラーテレビ用」だとすると後者は「白黒テレビ用」とのこと。

   

この「6EW7」は「前段管機能」と「ドライバー管機能」とが一体となって内蔵されており、シンプルな構成と徒に場所を取らない、いかにもテレビ用の球としての特徴を持っている。

このテレビ球を使った背景に言及しておくと、

音質がいいとされている「三極管」をベストの状態で鳴らすためには「インターステージトランス」(以下、「インター」)を使って増幅してやるのが一番いいとされている。

しかし、今となっては良質の「インター」を手に入れるのがメチャ難しい時代になっている。

また手に入れるにしてもメチャ高い!そして質のいい「インター」ほど細い線が巻いてあるので「断線」しやすい。

博士によると、古い文献には「インター」の断線を防止するための「保護回路」のツクリ方がこと細かに書いてあるそうだが、いまどきそういう文献を読む方が少ないので頻繁に「断線」が起こっているそうだ。

どうしてもオーディオの口伝えには限界があるので、結局そういう古い文献を根気よく集めるしかないそうですよ!

というわけで、中途半端な「インター」を使うよりも、むしろ強力な「テレビ球」でドライブしてやる方がベターというわけで、この「2A3」アンプ仕様になった次第。

その効果は歴然としており、とにかく元気が良くて生気に溢れた音が出る。しかも新たな「6EW7」はそれに一層輪をかけたような音で前段管はずっとこれで行こうと思わせるほどの決定力を有していた。


さっそく、4日(土)になって、新春初めての試聴会を開催した。

「新春早々」だからと若干気兼ねしながら(笑)、お目当てのYさんに「今、何をやってますか?」「ハイ、電源コードをつくってます」「よろしかったらお見えになりませんか」「ハイ、今からお伺いします」

オーディオ機器の場合の「品定め」となると、一番いい方法は似た者同士をお互いに競い合わせて比較することに尽きる。

今回のライバルは昨年の12月以降話題となっている「6098シングル」アンプだ。

   

さあ、いよいよ「2A3」アンプとの興味津々の一騎打ちである。

以下、続く。

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