前回のブログで「なるべく新しいオーディオ機器は購入しない」と、宣言しておきながら、その「舌の根も乾かないうち」にオークションで購入したのがこれ。
テクニクス製の口径12センチのスコーカー(中音域専用)である。音質を大きく左右するマグネットの形状と大きさからして大好きな「アルニコマグネット」だと察しがついた。
しかも詳しく調べてみると出力音圧レベルは「100db」と比較的高く、再生周波数帯域は「200~6KHz」と「遊んでみる」にはもってこいの数値だった。
そして最後の決め手がお値段で「4000円(ペア)」とまことに手ごろだった。
今回は「1万円以下だから許して!」(笑)と気持ちの赴くままに入札し、無競争のまま落札。
この種のユニットはまったく人気がないようで、いまどきスコーカーを使ってのSP遊びなんて埒外なのだろう。何せパソコンで音楽を聴くのが流行りだからねえ(笑)。
所定の手続きを終えて、ほどなく我が家に到着。
コーン型ユニットなのに背圧を逃がす排気口もなく完全密閉型である。
さてどんな音がするんだろうかと、ハラハラどきどきワクワク~。
さっそく実験に取り掛かった。使うとすれば「ウェストミンスター」(改)以外には考えられない。
名残り惜しいが「175ドライバー」(JBL)を外してクロスオーバー800ヘルツのままで据え付けた。
したがってスコーカーの周波数帯域の負担部分は「800~6KHz」(12db/oct)となるが、はたしてこの帯域は人の音感にどういう印象を与えるのだろうか。
手元の資料を見てみよう。
「低音域=30~200ヘルツ」「中音域=200~1000ヘルツ」「高音域=1000~16KHz」となっている。
低音域はわずか200ヘルツで終わり、高音域はたったの1000ヘルツから始まるのが意外と思う方がいるかもしれない。
低音域が強調されると「含んだ音、肥えた音」になり、逆に弱まると「軽い音、やせた音」になり、中音域が強調されると「硬い音」になり弱まると「柔らかい音」になり、高音域が強調されると「尖った音」になり、弱まると「丸い音」になると、されている。
実際に使ってみた印象ではスコーカーというのはウーファーとツィーターに挟まれて目立って悪し、引っ込み過ぎても悪しでどうやら「生かさず殺さず」的な存在にしておくのがいいようで、これはもう”がんじがらめ”の状態といっていいですね(笑)。
これは3ウェイ方式と2ウェイ方式の良否にもつながってくる話で、前者はうまくいったときは凄い実力を発揮するものの後者の方が万人向きで無難な感じ。まあ、いずれにしてもユニットの能力次第に尽きるわけですが。
今回の実験では、とりわけツィーターとの相性によって大きく運命が左右されてしまい印象がガラッと変わった。最終的にはJBLの「075」ツィーターの出番となった。
肝心の試聴結果だが、音の厚みが増して重厚感が漂い、これまで聞こえなかった音に気が付いたりしたものの、スッキリした爽快感は「175」の方が上だった。
やはり最後は「コーン型ユニット」と「コンプレッション・ドライバー」の音の違いが大いに際立ったことになる。
さあ、どっちを選択しようかというわけだが、こればかりはもう聴く人の好き好きになる。あえて言えば、じめじめした梅雨時でもあり気分的には「175」の方に傾きつつあるところ~。
ま、後々の出番もあることだろうし4000円にしては十分楽しませてもらったので今回の買い物は良しとしよう(笑)。
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人間のライフステージを大雑把に分けると「幼年期」「壮年期」「老年期」に分けられるが、「オーディオ人生」も似たようなものかな。
我が家では幸か不幸か両方とも「老年期」に入っていると言わざるを得ず、あと何年オーディオに親しめるかは神のみぞ知る状態。
そこで、自ら秘かに次のような縛りを作っている。
「なるべく新しい機器は導入しない(タダなら別だが~笑~)、もしどうしても欲しかったらその代わりに別の人身御供(ひとみごくう)を差し出す。」
そこで難問が生じてしまった。
このところ、このブログにやたらに登場している「6098シングルアンプ」。
つい先日のブログ「振られた気持ち」で述べたように「6098差動型PPアンプ」と合わせて、あわよくば2台とも気持ちよく「鯨飲」といこうかと目論んでいたものの「差動型」についてはあえなく拒絶にあって夢ははかなく潰えた(笑)。
そこでこのシングルアンプだけはと確保することになったが、問題はその代わりにオークションに差し出すアンプをどれにしようかという算段である。
現在貸し出し中のアンプ(2A3シングル)を除いて、真空管アンプ8台、TRアンプが手元に1台ある。TRアンプはオークション市場では値が付かず問題外なので8台のアンプから選別しなければならない。
そこで、このほど「雨夜の品定め」(源氏物語)ならぬ「梅雨空の品定め」(笑)をやってみた。
我が家の真空管アンプが勢ぞろいしたのがこの画像。
これらの「強者ぞろい」を改めて1台づつ品定めするのだからたまらない。
およそのクセは分かっているが、上流に当たるプリアンプを代えたり、前段管や整流管を代えたりすると”コロッ”と長所や短所が入れ替わるのでゆめゆめ油断できない。
もちろんスピーカーとの相性もあって、画像下段の3台のアンプは「ウェストミンスター」(改)には使えない、というか長大なバックロードホーンに対して大きな空気の塊りを気持ちよく押し出すには残念なことにパワーが少々足りない。
したがって、テストスピーカーを「AXIOM80」にして念入りにチェックしてみたが、久しぶりに電源を入れるものがあったりするので真空管をはじめエージングに少なくとも1時間は必要なのでメチャ時間がかかった。
いやあ、実に楽しかった!
しかしアンプ側にとっては「薄情者」から”お払い箱”にされるかどうかどうかの瀬戸際なのできっとヒヤヒヤものだったろう(笑)。
そして、その結果はといえば「大は小を兼ねる」という言葉があるが、これはオーディオにはまったく通用しないことが分かった。
たとえば図体が大きくて重たいアンプが必ずしも良いとは限らず、むしろ(「AXIOM80」には)小型アンプの方が相性がいいとさえ思えるほどだった。
たとえば音の透明感、音声信号に対する応答性の速さ、音が消えていくときの余韻など優れたところがいっぱいある。その点、大型アンプは低音はそこそこ出るんだけど何だか大味気味のところがあった。
文字通り「山椒は小粒でもピリリと辛い」のだ!
もちろん、このことは「AXIOM80」が低音を期待できるスピーカーではないことにも由来している。
そこで、はっきりアンプ群の色分けができた。
✰ 「AXIOM80」用
「171」(トリタンフィラメント)2台、6SN7GT アンプ、
✰ 「ウェストミンスター」(改)用
「300Bシングル」(モノ×2台)、「PX25シングル」
✰ 両方のスピーカー兼用
「6098シングル」、「300シングル」(銅板シャーシ:スヴェトラーナ)、「171Aプッシュプル」
こうしてみると、いずれもオークションに出すのには忍びないというかそれぞれに持ち味があるアンプばかりだった。
したがって今回の「人身御供」作戦は潔く取り止めることにした。
めでたし、めでたし!?(笑)。
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「世の中には二種類の人間がいます。カラ兄を読んだことのある人と読んだことのない人です。」
「ひとつ、村上さんでやってみるか」(2006年)を読んでいたら、79頁にあったのがこの言葉。著者は村上春樹さん。
ちなみに「カラ兄」とは「カラマーゾフの兄弟」(ドストエフスキー)のこと。
印象に残ったので、引用してみたわけだが「カラ兄」を読むと人生観が変わるという話をよく聞く。
「将来、カラ兄のような長編小説を書きたい。」というのが村上さんの願望だそうだ。
実は以前、娘から「お父さんも読んだ方がいいわよ」と、「カラ兄」(岩波文庫版、全4冊)を受け取ったものの、いまだに部屋の片隅にツンドク状態になっている。
何せブログの更新が忙しくてね~(笑)。
それに、もうこの歳になって人生観が変わっても仕方がないし、ま、(ブログを)卒業した暁には、ひとつ腰を据えて読んでみようかな。
さて、文学の最高峰は衆目の一致するところ「カラ兄」で決まりのようだが、クラシック音楽の最高峰は何だろうか?
あれやこれや言ってみても、クラシック音楽を山にたとえると、登りやすい足場を築いたバッハに始まってモ-ツァルトという頂上を経てベートーヴェンという広大な裾野で終わるようなものかな(笑)。
で、真っ先に浮かぶのは「マタイ受難曲」(バッハ)だろうが、個人的に思い入れが強いのはオペラ「魔笛」(モーツァルト)である。
短い35年の生涯のうち600曲以上もの膨大な作曲を手がけたモーツァルトだが、その中でも深い感動に満ち溢れたハイテンションの感覚を味わうには何といっても魔笛に指を屈する。
40年以上にわたってひたすらモーツァルトを聴き込んできた専門家(自分のこと)が言うのだからこれは間違いない(笑)。
さしずめ、冒頭の言葉をもじると「クラシックファンには二種類の人間がいます。魔笛を好きになる人と、そうでない人です。」
心強いのは(魔笛には)強力な応援団がいることで、けっして孤軍奮闘ではないのだ。
かの畏れ多きベートーヴェンはモーツァルトの最高傑作は「魔笛」だとして、のちに「魔笛の主題による12の変奏曲」を作って献呈しているし、音楽とオーディオの鬼「五味康祐」さん(故人、作家)だって個人的に好きな曲目のランキングで堂々とベスト1に挙げられている。
どうやら玄人筋に評判がいいようだ。そりゃそうでしょう、2時間半に亘る長大なオペラなので、いかに幾多の名唱に恵まれているとはいえ、ずっと聴き通すのに根気がいるのはたしかで初めて聴く人にはちょっと敷居が高すぎる。
それに真正面から「さあ、聴いてやるぞ」と意気込んで向かい合うと空振りになること請け合い。
“ながら族”で聴いているうちに、何となくメロディが耳に焼き付き、そしてだんだん深みにはまっていく。そして最後はもう魔笛を聴かないと夜も日も明けない、このパターンが一番自然だ。
「クラシックという広大な森に分け入ったからには魔笛を好きにならないと大損をしますよ。」と、声を大にして叫んでおこう。この曲の中にはモーツァルトが最後に到達した「澄み切った青空のような透明な世界」があるとだけ言っておこう。
とはいえ実際に試聴するのはこのところ年に1~2回に留まっている。若い頃から魔笛に淫してしまいCD、CDライブ、DVDなど、もっといい演奏はないものかと、とうとう45セットほど買い集めて(おそらく日本一のコレクションだと思う!)聴きまくってきたので、耳が倦んでいる面もある。いかなる名曲でも聴き過ぎると敬遠気味になるのは音楽ファンなら先刻ご承知のとおり。
そしてつい先日、魔笛を久しぶりに堪能した。衛星放送のクラシック専門番組「クラシカジャパン」(637チャンネル)による放映を録画したもので指揮はアーノンクール(オーストリア:1929~2016)。
これは2012年ザルツブルグ音楽祭の出し物で非常にユニークな演出で大きな話題となったもの。
アーノンクールといえば「古楽器演奏に固執する個性派」として知られ、異端のイメージが抜けきれないが、今や巨匠の名をほしいままにしていると言っていいだろう。
実はこれまでイマイチだと思っていたのだが、この魔笛は別で違和感なく溶け込めた。歌手たちも若手が主体でまったく名前を知らない歌手ばかりだったが、たいへんな熱演で力量不足を感じなかった。
しかし、「アーノンクールはこんなに“まとも”だったかな?」と疑問を覚えたので、1987年に録音した手元の魔笛(CD盤)を改めて聴いてみた。
144分間ずっと耳を傾けたがあまりにも立派な演奏に胸を打たれた。歌手たちもグルヴェローヴァをはじめ超一流ばかり。
アーノンクールは当時とまったく変わっていない。過ぎ去っていく時間の中で自分だけが“置いてきぼり”をくった感じ。自分はいったい何を聴いていたんだろう?
もしかして、当時に比べてオーディオシステムを一新したせいかな~(笑)。
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フランス人の作家アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの代表作に「星の王子さま」という小説がある。
日本でもアニメやミュージカルになったりして人気があるが、何といってもその秘密は心を打つ名言が作品の中に沢山散りばめられていることにある。
そのうち代表的な名句としてよく知られているのが心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。肝心なことは、目に見えないんだよ!」
「肝心なことは目に見えない」とは、おそらく「人間の奥深い心理」のことも含まれているのだろうが、オーディオだって負けてはいない。
そもそも「音」ってのは空気の振動なので目には見えないんだから(笑)。
それは冗談としても音質に大きな影響を与えるのに(目に見えないので)意外に無視されているのが「磁界と振動」である。
まあ、振動の場合は適度に有った方が音がいい、たとえば真空管のガラス管がスピーカーから出る音圧によって適度に振動した方が音が良くなるという例もあって、ケースバイケースで上手くハモらせれば一概に「悪」とは言えないようだが、「磁界」ばかりは百害あって一利なし。
まったく目に見えないだけにこれほど始末の悪い物はない。なぜ悪いのか、一口で言えば「磁界によって迷走電流が起きてそれが音声回路に悪さをする」ということらしい。
電気のことは門外漢だが、大学で機械工学を専門にしたオーディオ仲間がそう言ってた。
鉄は磁気を帯びる磁性体なので迷走電流が起きやすく、「微小電流を扱うプリアンプのシャーシには鉄を使わない」をポリシーにしているアンプビルダーもいるほどでたしかに一理あると思う。
このような振動や磁界を別にしてもオーディはどうも「つかみどころのない迷宮」のような気がして仕方がない。何かの本に「学問の目的の一つは分かっていることと、分かっていないことの境界線をはっきりさせることにある」と、書いてあったがオーディオを研究対象(「音響物理学」)としてみた時にこの境界線なるものがサッパリ分からないし、おそらく皆さんだってそうだと思う。
あまりにも変数が多すぎるのだ。
たとえば音響に及ぼす要素として大雑把に上げてみても「音楽ソースの録音状況」に始まって「部屋の大きさと形状」「レコードプレイヤーやCD機器の性能」「プリアンプ」「パワーアンプ」「スピーカー」「ケーブル類」そして「各家庭ごとの電源の供給事情」など、枚挙にいとまがないほど。
さらに小さく細分化していくと真空管やエンクロージャーなどに及び、それぞれの相性まで考え合わせるともうエンドレスだ。
しかも、どれも1か所でも手を抜くとそのレベルに落ち着いてしまうという怖さがある。
そして、忘れてはならないのがスピーカー絡みの要素の一つとして縁の下の力持ち的存在の「ネットワーク」。
今回、そのネットワークによる音の違いを実感したので述べてみよう。
先日のこと、オーディオの大先達が試聴にお見えになった後の反省として「もっといい音を出せたはずなのに」とある種の後悔が残った。この種の試聴会ではいつもそうだが、今回は特にそうだった。
ブログではそれなりにカッコつけていたものの、内心ではどうも質感がイマイチだったかなあ(笑)。
そこで思いついたのが「ウェストミンスター」(改)のネットワークの交換だった。
画像の上部がJBLの「LX80」(クロスオーバー:800ヘルツ)、下部がテクニクスの「20N100」(クロスオーバー:1200ヘルツ)で、それぞれバナナプラグが挿せるように改造しているが、当日はテクニクスを使っていた。
定価からすると「13万円」と「4万円」の違いがあるが、やっぱり上質のコイルとコンデンサーが使われている「LX80」の方が上だったかもしれないと、久しぶりに交換してみた。
付属の中高音域ボリュームの感度が低いのでユニットの方も能率の高い「175ドライバー」(109db)に交換した。もう「夏向きの音とか冬向き」とか悠長なことは言ってられない。必死である(笑)。
駆動するアンプは300Bアンプ(モノ×2台)。
前段管は「MH4」(メッシュプレート)、出力管「WE300Bもどき」、整流管「CV378」(ムラード)、インプット&インターステージトランスは国産、出力トランスは「タムラ」(特注品)。
これで聴いてみると、もう一度「U」さんに聴いていただきたいと思うほどの変わりようだった。ほんとうに残念、時間よ戻れ!(笑)
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その昔、「振られた気持ち」というポピュラーソングがあった。
歌っているのは「ライチャス・ブラザーズ」という白人二人組だったが、いかにも「R&B」風の中身の濃い歌で、ビルボード誌でも1位を取ったくらいだから大ヒットしたといってもいい。
なぜのっけからこんな話を持ち出したかというとつい最近「振られた」のである。いや、女性からではなく相手は真空管アンプだったから一層ショックだった(笑)。
顛末を記してみよう。
別府市内在住のOさんが「6098差動型プッシュプルアンプ」と一緒に「初めまして」と我が家にお見えになったのは6月4日のことだった。
さすがに「差動型プッシュプル」だけあって、パワーも8ワットほどありなかなかの優れものだった。
「ずっとお貸ししていいですよ」との言葉に甘えて鳴らし込んでいたが、ますます気に入るばかり。「差動型」アンプってなかなかいいなあ!
折りしも、北国の真空管博士からも次のようなメッセージが届いた。
「差動アンプについて簡単に解説してみます。 私自身理系の学校を出ていないので正確でないかもしれませんが、かえって理系でない人間が解説した方が理系ではない人には分かりやすいかもしれませんので。
ここでは出力段についてのみ解説します。 回路的にはプッシュプルアンプ(以下PPアンプ)と非常に似ているのですがその動作は全く異なります。 2本の球がそれぞれプッシュとプルの動作をするところのみ同じですがそれ以外は見事なまでに異なります。
PPアンプ=対アース増幅回路 差動アンプ=平衡増幅回路 対アース増幅回路とは、入力がグリッドとアースまたは電源の間に加えられプレートとアースまたは電源の間に出力されます。
平衡増幅回路とは、入力がグリッドとグリッドの間に加えられプレートとプレートの間に出力されます。
PPアンプはそれぞれの球が勝手にプッシュとプルの動作を行い出力トランス(以下OPT)でプッシュとプルの信号を合成して出力されます。
PPアンプのOPTは信号の合成とインピーダンス変換の二つの動作を行うことになります。
差動アンプでは2本の球がプッシュとプルを共同作業で行い既に合成された信号がOPTを経由して出力されます。 差動アンプのOPTはインピーダンス変換のみを行うことになります。
PPアンプは信号がアースや電源を通してバイパスされるため電源からのノイズ流入やクロストークの悪化が避けられません。 差動アンプは信号がアースや電源を通過することがないため電源からのノイズの流入やクロストークの悪化がありません。
差動アンプは従来のPPアンプが持つ欠点が良く取り除かれた増幅回路といえそうです。」
自分のような素人に”おいそれ”とは理解できそうもない内容だが、従来のPPにはない優れた回路であることは分かった。
ますます「惚の字」になったので、つい先日Oさんが我が家にお見えになったときに「譲るとしたらいくらぐらいをお考えですか」と、そ~っと打診してみた(笑)。
すると「このアンプには思い出があってフィリピンに移住したときも高い送料を使って連れて行ったくらいです。したがってお譲りする気はありません。」
あれ~っ、ショック!
しかし気持ちの切り替えは早い方だと自認している(笑)。
たとえば振られたときにストーカーまがいの行動をするのは世の顰蹙を買うだけだが、一面その情熱に対してだけは見習うべきところもあるような気がしている。
その点、自分はどうもアッサリしすぎているようで、「な~に、それほど追い掛け回すほどのこともないさ」というのがいつものパターン(笑)。
そういうわけで「ああ、そうですか。それは仕方がないですね。真空管は消耗品ですからずっとお預かりして鳴らすわけにもいきませんのでここでお返ししましょう。」
と、きっぱり未練を断ち切った。
しかし、今となってみるとほんとに「いい音」だったなあ(笑)。
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「オークションに代理出品していた2件分の落札分のお金をお渡ししたいのでお見えになりませんか、ついでに改造したプリアンプの試聴をしていただくとありがたいです」と、大分市在住のNさんからご連絡があった。
「あっ、そうですか。喜んでお伺いさせていただきます。」
クルマで40分ほどなので、すぐに駆けつけた。
お久しぶりです、お元気でしたか?
Nさんには5年ほど前から我が家で不要になったオーディオ機器のオークションの代理出品をお願いしている。
アンプ・ビルダーだけあって丁寧な説明文の作成をはじめ几帳面な処理に加えて落札された機器のクレームがあったりしてもうまく対応していただくので安心してお任せしている。
これまで依頼した件数は延べ100件ぐらいにはなると思うが、そのうちの大半はオークションで手に入れたものでいわば再出品ということになる。
機器の値段はピンからキリまであるものの、ほとんどまるで法則ともいえる共通事項があることに気が付いた。
たとえば、落札した機器をしばらく試聴させてもらってから「気に入らん」などの理由で再度オークションに出品したとすると落札額は不思議なことに決まっておよそ8割程度に落ち着くのである。
つまり落札したときの価格が仮に1万円だとすると再度出品したときの落札額は8000円ぐらいになって、これから2割程度の手数料を差し引くと当方の懐に入るのは6000円ぐらいになる。
つまり購入額からすると4割程度は目減りするので「楽しみ賃は4割」という法則が概ね成り立つのである。
問題はこれが妥当な値かどうかということだが、「ま、いっか」という微妙な心境である(笑)。
ただし、唯一の例外は「AXIOM80」だった。あれは1年程前だったろうか、3ペアあるうちの1ペアをオークションに出品してもらったところ落札額は28万円だった。
随分昔に購入したときは13万円だったので倍額以上の値上がりで、こればかりはしばらく笑いが止まらなかった(笑)。
「柳の下の2匹目のどじょう」を狙って残る2ペアのうち1ペアも処分したいところだが、「マンション・オーディオ」にはもってこいのユニットなのでこれからも需要は引きも切らないだろうし、しばらく相場の動向を注視してみよう。
ただし、どうか強欲だなんて思わないで欲しい。オーディオ機器には極めて珍しい「千載一遇のチャンス」なのだから(笑)。
さて、次の話題としてNさんが改造されたプリアンプへ移ろう。
見るからに、とても手の込んだプリアンプだった。Nさんはレコード派なのでフォノイコライザーが組み込まれている。これでも電源部は別である。
パワーアンプの方は「WE300Bシングル」だが、「アルテックA5」が朗々と鳴ってくれるので「もう何も言うことはありませんね」と感心するばかりだった。
聴かせていただきながらふと脇を見ると、プリアンプが1台遊んでいる!
名器とされる「マランツ7」をモデルに忠実に再現した試作品でNさんがこの4か月ほど愛用されていたものだった。
「使っておられないのなら我が家で試聴させてもらうわけにはいきませんか」「ああ、いいですよ」と話はバタバタと進んで即日我が家に持ち帰った。
要所に今では入手困難な「バンブルビー」のコンデンサーが使ってある。整流は周知のとおりオリジナルは「セレン」だが、入手不可能なので「整流管」を使っておられるが、今どきプリアンプに整流管を使うなんて珍しい。
我が家で現在使っているプリアンプは真空管式のクリスキットの「マークⅥカスタム」で大いに気に入っている。このほど電源端子を3P方式に代えてもらい電源ケーブルのPADの「ドミナス」を使いだしてからもうまったくと言っていいほど不満はない。
そういうわけで、「マランツ7もどき」と「マークⅥカスタム」の一騎打ちで興味深く比較試聴した。
まったく甲乙つけ難しというのか、同じような音質なのに驚いたが、後者には低音域に絶妙のトーンコントロールが付いていて「AXIOM80」のときに重宝しているので、その分がちょっと有利かなといったところ。
いずれにしてもプリアンプ次第で音はガラリと変わる。性急に結論を出す必要はないのでいろんな音楽ソースをじっくりと聴かせてもらってから結論を出すことにしよう。
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「明日の午後にお伺いしたいのですがご都合はいかがでしょうか?」
「ハイ、結構ですよ~。どうぞいらしてください」
ご連絡があったのは県北部にお住いのUさんからだった。
Uさんといえば、およそ5か月前のブログ「大寒波の襲来~神様の思いやり~」(2019.1.30)を覚えておられるだろうか。
Uさんがせっかく我が家のシステムの試聴にお見えになる日に限って大寒波が襲来し、せっかくの試聴会が延期になったという不運な出来事だった。
しかし、後日になって電源対策などによって我が家のシステムが大いに改善したのでむしろ延期になってよかった、これは「神様の思いやり」だったという顛末を記したもの。
東南アジア地域の周遊などご多忙なUさんだが、ようやく5か月ぶりに再度のご訪問が実現することとなったが、いざお見えになるとなるとやはり緊張する。
何しろオーディオの大先達である。ご自宅のスピーカーは自分が若い頃に憧れの的だった「CN191コーナーホーン」(ヴァイタボックス)。
2年前に訪問したときの記事と画像を再現してみよう。
レコード・プレイヤーが「927ST」(EMT)。「930ST」ならよく見かけるが1ランク上の「927ST」となると極めて珍しい。中古の相場をググってみると450万円なり。なにも高けりゃいいというものでもないが(笑)。
そして駆動しているアンプはプリアンプがマッキントッシュの「MC22」で、パワーアンプが「MC275」。もちろん、いずれもオリジナル。
といった具合。
お見えになる前日に念入りに試行錯誤を繰り返した結果、最終的に2系統のシステムに集約してお迎えすることとなった。
第一系統
dCS(英国)のCDシステム → プリアンプ「クリスキットマークⅥ」 → パワーアンプ「6098シングル」 → スピーカー「ウェストミンスター」(改)
第二系統
CECのCDトラポ+フェーズメーションのDAC → プリアンプ「マランツ7型」 → パワーアンプ「300Bシングル」 → スピーカー「AXIOM80」
以前の訪問時に聴かせていただいたときに、マッキンのアンプとCN191のコンビの物凄い低音が脳裏に焼きついていたので今回の試聴会のポイントは「低音域にあり」と踏んだ。
そこで「ウェストミンスター」(改)の低音を一番うまく引き出せるアンプを実験したところ意外にも小振りの「6098シングル」が出色だった。
低音といってもボワ~ンとした緩い低音から制動力の利いた締まった低音までいろいろだ。
こればかりは各人ごとの好みなのでいいも悪いもないが、自分は明らかに後者に属している。すると「6098シングル」がベストだったというわけ。
当日は絶好の好天で5か月前の「大寒波」のイメージが完全に払拭された。
きっかり13時にお見えになったのでさあ、いよいよ一騎打ちの始まり~(笑)。
本命の「低音勝負」は後半ということで、まずは「AXIOM80」から。
「こういう繊細な音を聴くたびにAXIOM80がぜひ欲しくなりますねえ」と非常に気に入られたご様子。
「音楽鑑賞用にもテスト用にも使えますし一家に一セットは必須だと思いますよ。ただし、ワーグナーは聴けませんので所詮はセカンド・システムになりますが・・・」と、つい調子に乗って申し上げた(笑)。
ちなみに、試聴の途中で300B真空管を「スヴェトラーナ」から先日オークションで手に入れた「WE300Bもどき」に切り替えたところ「かなり変わりますね。ヴァイオリンの艶が見事です。私はこちらの音の方が好きです」と断定された。「やはりそうですか。私も同じです」。
この球が手に入ったのはほんとうに僥倖だったが、日ごろ聴くのは「スヴェトラーナ」で十分だろう(笑)。
1時間ほど小編成やボーカルを愉しんでから、いよいよ「ウェストミンスター」(改)の出番となった。
音楽ソースはまずワーグナーの「ワルキューレ」(ショルティ指揮)、次にゲリー・カーのコントラバスとハーモン・ルイスのオルガンによる「祈り」。
低音域の仕上がりをテストするには絶好の試聴盤だろう。
どうか「CN191コーナーホーン」に負けない低音が出ますようにと、まさに「祈る」ような気持だった。
「オルガンの音が凄くいいですね。地を這ってくるような低音が出ています。30ヘルツは軽く出ているでしょう。とても口径30センチの音とは思えません。やはり最後はエンクロージャーに尽きますね。」と、Uさん。
「そうですね。どうしてもオーディオの行く着く先はエンクロージャーになりますかね」と、自分。
5か月遅れの試聴会だったが、どうやらそれなりの効果があったようで「神様の思いやり」に改めて感謝したことだった(笑)。
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いつもマニアックな話ばかりなので、たまには「肩の凝らない話」をしてみよう。
☆ 自動車のナンバー
自動車のナンバーは持ち主の有り様を反映していることがあるような気がしてならない。
たとえば毎日、朝食後に自宅の周囲を散策しているが、ときどきすれ違うクルマがある。そのナンバーは「893」(ヤクザ)。そして運転手さんはといえば「スキンヘッド」に「サングラス」! 車種はその筋では定番の「ベ〇〇」だ。
次に、3年ほど前に亡くなられた近所のご主人(80歳代)のクルマのナンバーは「64-94」(蒸し湯で急死)だった。
実際に早朝、クルマで10分ほどの別府ならではの「蒸し湯」(むしゆ)に入っておられて急死されたのだからそのものズバリ。偶然にしてはあまりの符号ぶりに驚く!
その次は我が家の裏手通りにお住いのご夫人の旦那さんだが、2年ほど前に「すい臓がん」で亡くなられた。あれほど日頃から仲睦まじかったのに奥様の嘆き様はそれはもう”ひとしお”ではなかった。
そして、そのご夫人のクルマのナンバーといえば「79-47」(泣く、夜な夜な)!
最後の極めつけは自分のクルマのナンバーで「53-67」(ゴミのロクデナシ)。解読したのは家内だった!
乏しい年金だけで稼ぎの悪い亭主だからそういわれても仕方がないかもねえ(笑)。
☆ 父の日のプレゼント
毎年「父の日」になると決まってプレゼントしてくれる我が家の一人娘。
先日、たまたま電話で話す機会があったので「もし、今年もプレゼントしてくれるつもりなら日傘がいいなあ。」と婉曲に頼んだところ「あっ、日傘は盲点だったわ。」と、納得した様子。
そして16日(日)の午前中に無事到着した。
今年の夏は娘に感謝しながら日傘をさして、せっせとウォーキングに励むことにしよう(笑)。
☆ 今年は「橙」(だいだい)の当たり年
我が家の「猫の額」ほどの広さの玄関先の庭に植えている「橙」の木。成熟したらこうなる。
ネットによると、「原産地はインドで冬になると果実が橙黄色になり2~3年は落ちない。次の年も代々果実が付いているのでダイダイ(代々)の名前が付いた。縁起担ぎとして新年に飾られるようになった。」
今年は「当たり年」みたいで、画像でご覧のように早くも小さい果実がいっぱいで、昨年の同時期に比べると軽く3倍以上の収穫が期待できそうだ。
麦焼酎には「カボス」よりも「橙」の方が合うので、今年は飲み過ぎないように気を付けなければいけない(笑)。
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梅雨入りを目前にして段々と蒸し暑くなっている九州地方。何とか少しでも涼しさを感じる工夫が必要な時期が来た。
それもエアコンなどの体感的な工夫は別にして「感覚的な工夫」に絞ってみると、毎日どっぷりと浸かっている音響の話になる、やっぱり(笑)。
つまり、スピーカーにも「夏向きの音」と「冬向きの音」があるような気がしてならないのだ。
たとえば大型スピーカーは大音量で本領を発揮するので窓を閉め切って過ごす冬向きだし、比較的小音量で済む小型スピーカーは開放的な夏向きといった具合。
我が家ではちょっと視点を変えて「暑い音=開放的な音」、「涼しい音=クールで思慮深い音」という区分をしている。
したがって「JBL系は主に冬に聴く」、「グッドマン系は主に夏に聴く」ことにしている(笑)。
そこで現用中のJBLの2ウェイシステムをそろそろグッドマンと入れ替える時期に来た。
JBLファンにはお馴染みの「D123+075」だが、クロスオーバーを高めの8000ヘルツにしているので「075」がそれほど目立つこともなくクラシックにも対応できるので重宝していたが、これでしばしの別れ。
10分ほどの作業で「D123」をグッドマンの「AXIOM150マークⅡ」に入れ替えた。
左が通年使用の「AXIOM80」(最初期版)で、右が夏季用限定の「AXIOM150マークⅡ」。
さっそくアンプの相性テストにチャレンジしてみた。
まずは「出力管6SN7」アンプの出番。電圧増幅管として多用されている「6SN7」を出力管に使うなんて顰蹙を買うだけだろうなあ(笑)。
このアンプの出番の背景としては、このところ再三にわたってこのブログに登場している「6AR6(6098)シングル」アンプの購入を決めたので、その財源の一助として手持ちのアンプの中から「生贄」として捧げるアンプはないものかと探していたらこのアンプが急浮上したもの。
ど~れ、久しぶりに鳴らしてみようか、もし悪ければ即オークション行きだと血も涙もないことを考えていたが(笑)、これが困ったことに(?)とてもうまく鳴ってくれたんですよねえ!
アンプの概要は初段管が「ECC35=6SL7GT」(ムラード製)、出力管「6SN7GT」(クローム・トップ)、整流管「GZ32」(ムラード製)、出力トランスは「TRIAD」(アメリカ)
定評のある「TRIAD」(トライアッド)の極小型仕様の出力トランスをたまたま手に入れたので、既存のシャーシを利用してアンプ製作のベテランに2年ほど前に作っていただいたものだが、出力が1ワットにも満たないのに大善戦というか300BやPX25アンプと遜色のない音質に驚いた。
「シンプル イズ ベスト」とはこういうアンプを指すのだろう。
そこで調子に乗って「AXIOM80」でも実験してみたが、最大の弱点である低音域不足を感じさせずどこといって不足を感じさせない!
こんなにいいアンプをオークションに出すなんてとんでもないと思い直した(笑)。
それにしても以前の印象とまるっきり変わったが、その原因としては3か月ほど前に講じた「電源対策」、そして初段管と出力管を今回厳しく選抜したのでその効果があったようだ。
「6098シングル」アンプ購入の財源は別途見つけることにしたが、この結果がはたして良かったのかどうか、それは時間が経ってみないとよく分からないなあ(笑)。
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ご自宅でJBLの大型3ウェイをはじめ、いくつものシステムを愉しんでおられるメル友の「I」さん(東海地方)。
以前、ご紹介していただいた「バトル&マルサリス」の「バロック・デュオ」は今でも愛聴盤だし、ぎんぎらぎんのジャズ・ファンだとばかり思っていたが、このほど以下のとおり意外なメールが届いた。
「オーディオはクラシックを対象に発達してきたもので、亜流にジャズオーディオがある」というのが当方の持論であることは以前申し上げました。ただし、持論であり正論ではないようですね。
本音を吐露された内容に、つい乗せられてしまって(笑)、次のような返信メールを打たせてもらった。
「いつもブログを読んでいただいてありがとうございます。
たしかに他人様のブログを読んでいて、折角高尚なことが書いてあるのに、聴かれているジャンルが冴えないと(微妙な表現ですが)、ガッカリしてオーディオまで低級に思えることを何度か経験したことがあります。
ただし、システム調整のテスト曲となると話は別ですね。中島みゆきを使用されておられるようですが思わずニッコリしました。
私の場合、テスト用として使っているのはエンヤの「Caribbean Blue」です。冒頭の弦の深~い一撃とスーッと奥の方に広がっていくサウンドの透明感を目安にシステムの良否を判断しています。
それと、カーペンターズの「オンリー・イエスタデイ」の冒頭のドラムとシンバルの響き方で低音と高音のバランスを取っています。
以上は物理的特性からのアプローチになりますが、その次は情感的な面からのアプローチになります。好きな音で音楽を聴くといつも胸がキュンと切なくなりますが、そういう意味での仕上げは何といっても「美空ひばり」の節回しですね。
テスト用として重宝しています。心に沁み込んでくるかどうかがポイントですが、彼女の「別れの一本杉」と「思案橋ブルース」は最高ですね!
以上の曲目はすべて「ひかりテレビ」(NTT系)のミュージック部門から引っ張り出して収録しているのでリモコンですぐに頭出しができるのがとても便利です。」
とまあ、以上のとおりだが、日頃モーツァルトやワーグナーばかり聴いているように思われているかもしれないが、内情はこの通りです。
やっぱり「表向きの顔」と「裏向きの顔」は違いまっせ~(笑)。
それにしても「I」さんにしろ、自分にしろ音響の最終調整に「日本人の歌手」を利用しているところが面白い。
小さい頃からずっと聴き慣れた日本語の歌じゃないと、どうしても「琴線」に触れてこないのですかねえ(笑)。
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昨日は朝起きた時から腰に鈍痛が走っていた。おかしいなあ、無理なストレッチをした覚えはないし、どうも思い当たる節がない。
午後になってようやく、ああ、あれかな~。
重たいアンプをよっこらしょと台の上に載せたり、降ろしたりしたことが原因らしい。
どうやらあまりの(オーディオの)やりたい放題に対して天罰が下ったようだ(笑)。
歳を取ると重たいアンプは鬼門ですね、該当する方々はどうかご注意なさってください。
閑話休題。
つい先日のこと、「実はお願いがあるんですが・・」と、改まった口調でオーディオ仲間から連絡があった。仮にYさんとしておこう。
「エッ、何でしょうか?」と、思わず身構えると「オークションに出品されている電源コードを落札していただきたいのですが」 「ああ、そんなことならお安い御用ですよ」と、まずはひと安心(笑)。
対象の物品はといえば「中古美品 苦労人志向 3.0mm銀単線電源ケーブル 1.5m」
「苦労人志向」というブランド名が実に面白い。我が「オーディオ道」と重なるところがある(笑)。
いかにも「電源ケーブルお宅」のYさんが欲しくなりそうな代物だとオークションの画像を見てニッコリ。
出品価格は5万円だったが無競争で無事落札。所定の手続きを無事終えて関東から3日後には我が家に到着。
「ケーブルが我が家に到着しましたよ~」と連絡すると、「あっ、今からすぐにお伺いします」
平日なのに職場を抜け出して大丈夫ですかと、心配したくなるところだが、なにしろ「理事長」さんなので上司の許可を得なくていい「ご身分」である(笑)。
小荷物を未開封のまま代金と交換して取引が無事終了。
「苦労人志向」ってそんなブランドがあったんですねとお訊ねすると、「その道ではとても有名ですよ。評判が良かったのですが今では製作されていないみたいで希少品になってます。」
そして、目ざとく室内の変化に気付かれた。
「あれっ、また新しいアンプが来てる!」。
「ふっ、ふっ、ふ(笑)、新しく購入したと言いたいところですが実はお借りしたものですよ。」
「5分間でいいのでちょっと聴かせていただけませんか」「ハイ、もちろん」
「スケールが大きくてなかなかの低音が出てますね。ぜひ、今度の土曜日にじっくり聴かせてください」
そして問題の土曜日がやってきた。楽しいことはすぐにやって来ますねえ(笑)。定刻通り13時30分にご到着。
二人して「6098」アンプの「シングル」と「差動型プッシュプル」2台についてじっくりと向き合った。まさに食うか食われるかの一騎打ちである(笑)。
ちなみにYさんはテスト試聴の際には絶対にこのスピーカーじゃないとダメと仰るほどの大の「AXIOM80」ファンである。
この上なく繊細かつデリケートなので、アンプの性能をこのくらい克明に露わにできるスピーカーはないそうだ。
音楽鑑賞用ばかりではなくオーディオ機器の「テスト」用として活躍してくれるので大いに重宝している「AXIOM80」。
これで「ワーグナー」がうまく鳴ってくれれば言うことなしだが、こればかりは無い物ねだりというものだろう(笑)。
クラシックからジャズ、そして「石川さゆり」(ステレオサウンド版)までいろんなCDを聴いた結果、次のような感想を洩らされた。
「差動型PPの方が元気がありますね。音が太いです。その一方、シングルの方は何だか朝食を食べる前のような線の細い音ですね。」
ここで黙って引き下がっては男が廃る(笑)。
フルートの名手として鋭い耳の持ち主であるYさんだが必ずしも自分と音の好みが一致しているわけではない。
どちらかといえばストレートな「生に近い音」がお好きだが、自分はといえば、奥ゆかしさの中に「いぶし銀」のような鈍い光の情熱を秘めた音が好き。
人はこれを「ブリティッシュ・サウンド」と呼ぶ。
そこで、Yさん向きのサウンドとして「シングル」アンプの前段管をやや控えめの「ECC35」からより元気のいい「CV569」に代えたところガラリと変わった。
「明らかにメリハリがつきましたね!これなら互角です。」と、Yさん。
このシングルアンプは前段管次第で音が千変万化するが、それだけ高度なレベルとテンションであらゆる機能が保たれているに違いない。
したがって前段管の数だけアンプを所有している気分になれるのでとてもお得ですよ~(笑)。
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前回からの続きです。
我が家からクルマでわずか10分ほどの所にお住いのOさんが持参された「6098差動型アンプ」。
「差動型」っていったいどういう音がするんだろう?すこぶる興味津々である。
初めにOさんが無音状態でのハム音をチェックされていたので、自分も真似してスピーカーに耳をくっつけたが見事なまでにウンともスンとも言わない。SN比が抜群だ!
とても15年前に製作されたアンプとは思えない。
さらに「6098」を4本使ってあるだけあって(出力は8ワット前後)パワー感は十分だし、懸念していたTR臭さを微塵も感じさせない音に感心した。
しかも、タンノイの大型スピーカー独特のあの低音域には好きと嫌いに大きく二分されるが、自分はもちろん改造したぐらいだから後者に属しているが、その甲斐あってか見事に分解能と量感が両立していることに心から満足した!
とまあ、いいことづくめ(笑)。
そこで、評価の成り行きとしてシングルと差動型の両方のアンプの違いに集約されるわけだが「音の鮮度と緻密さ」では「シングル」に、「パワー感と重量感」ではさすがに出力の余裕がある「差動型」かな・・・。
「ワーグナー」を聴くには必須のアンプになりそうな不吉な(?)予感がしてきた(笑)。
大いに気に入ったので、図々しくも「しばらくお借りできるとありがたいのですが~」と、恐る恐る切り出すと「ハイ、現在使っていないのでいいですよ~」とご快諾をいただいた。
初対面なのに信用していただき、たいへんありがとうございます(笑)。
「いい耳の保養になりました」と、Oさんが1時間半ほどでお帰りになった後で、ふとこのアンプの初段管の「6DJ8」(東芝製)の代わりになる「6922」を持っていたことを思い出した。
先日の「6SL7」といい、「6922」といい何気なく保管していた真空管がまったく思いもかけぬ時に役に立つ。これだから真空管はうかつに処分できないのだ(笑)。
左が「6DJ8」の高信頼管「6922」(AMPEREX金足:(Made in Holland)で、右が当初から付けてあった「東芝」製。
何だか音の抜けが一段と良くなった気がするのは気のせいかな(笑)。
万一この2台のアンプが我が家の戦列に加わったとすると凄いことになりそうだ。シングルは「AXIOM80」へ、差動型の方は「ウェストミンスター」(改)向けへと綺麗に振り分けできる。
すると既存の「300Bアンプ」や「PX25アンプ」の存在価値はどうなるの?
いみじくもOさんが試聴中に「6098差動型アンプと300Bアンプの違いって何でしょうか?」とストレートにお尋ねになられたので「ウ~ン、とても難しい質問ですね。強いて言えば(音の)色気があるかないかではないでしょうか」とお答えしておいた。
好きな音の表現として、咄嗟に「色気がある」とか「品がいい」とか、いかにも情動的な言葉しか出てこないのがちと情けない(笑)。
実を言うと自分の目指す音の一端は「色気があって振るいつきたくなるような音!」なのだ。
「音に淫する」状態じゃないとこういう言葉は咄嗟に出てこない気がして、「女性に淫する」のは穏やかではないが相手は「音」だから許されますよね(笑)。
ただ、今回のシリーズを通じていろいろ思うことがあった。
それは、有名ではなくても音のいい真空管が使い方次第でいろいろあること、このことを実体験しているだけでWE300BやPX25などの名管に対する見方がまるっきり違ってくること。
「これじゃないと絶対ダメとか、真空管の神格化は止めましょうよ、柔軟性が大切です」と、まあ偉そうに言う資格はないが(笑)。
最後に、ご了解を得たのでOさんのブログ「Taka’s Club」(クリック可)をご紹介しておこう。
海外旅行記、そして製作された各種真空管アンプの詳しい回路図など個性豊かな記事が満載ですよ。
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前回からの続きです。
始めてから12年と馬齢を重ねているブログだが、いまだに現役として未練がましく稼いでいる家内から折にふれ「時間をかけている割には1円の得にもならないブログですね」と、苦笑されている。
実際にその通りだから反論のしようがないが、こうしてこまめに情報発信を続けていると、お金には換えられないものがあるんですよねえ(笑)。
それは同じ趣味を通じての「交流」である。人間は一人では生きていけない動物だから、出来るだけ大勢の人と知り合いになれるのはたいへんありがたいこと。
見ず知らずのまったくの赤の他人がたった一つの接点で交錯出来るんだからブログの効果は今さらながら測り知れないと思う。
そして、このほど新しい「6098」アンプの件を登載したところ、すぐにメールをいただいたのが同じ別府市内在住のOさんだった。
同種の真空管アンプを持っているので持参してテスト試聴してみたいとのことで、すぐに連絡を取りあいご訪問日程が確定。
我が家からクルマでわずか10分ほどの所にお住いで、小雨降りしきる中、自作の真空管アンプとともにご来訪いただいた。
いやあ、どうも、どうも、初めまして~。
同じ趣味を持つ人間同士、初めから「百年の知己」のごとく話しが通じやすいのはいつものことである(笑)。
ご挨拶もそこそこに、さっそく今回の焦点である「6098」アンプの比較試聴に移った。
初めに「チューブ・オーディオ・ラボ」さん(新潟県)からお預かりしている「6098シングルアンプ」を試聴した。
テストスピーカーは「ウェストミンスター」(改)。
試聴盤はワーグナーの「ワルキューレ」(ショルティ指揮)である。
鮮度とパワーが売り物の「6098」アンプには最適のテスト盤だろう。
「6098シングル」アンプの前段管は「ECC35」(英国ムラード)に差し替えているが相変わらずケチのつけようがない音だった。
これまで「AXIOM80」ばかりでテストしてきたので大型スピーカーの「ウェストミンスター」(改)で聴くのは初めてだったが、まったく力負けしておらず大善戦。
30分ほど聴いてから次にOさんが持参された「6098差動型アンプ」に切り替えて試聴に入った。
回路の要所にFETやダイオードを使っておられ、トランス類は「タンゴ」、初段管は「6DJ8」だった。電源トランスの大きさがひときわ目を引く。
「6098」を4本使ってあり、パワーは8ワット程度とのことで前述のシングルのおよそ2倍。
ここで「差動型」という聞き慣れない言葉がとても興味を惹く。
真空管アンプの駆動方式は周知のとおり大きく分けてシングル、プッシュプルに大別でき、それぞれに長所、短所があるようだが「差動型」はこれらとは違う「第三の回路」のようですよ~。
まあ、自分のような素人には理屈はどうでもよろし(笑)。
中国の改革開放の父「鄧小平」さんは「白い猫でも黒い猫でもネズミを捕る猫はいい猫だ」と言い放ったが、それと同じで「シングル、プッシュプル、差動でもなんでも構わない、音が良ければそれはいい回路だ」。
出てくる音が”すべて”なので一心不乱に耳を澄ました。
多い少ないは別にして、1日当たり900件前後の訪問者があるこのブログだが、見知らぬ読者からメール(アドレスは自己紹介欄に記載)をいただくことはほとんどない。
記載ミスや思い違い、はたまた未熟さの露呈など問題点もいろいろあるブログだからもっと指摘があって然るべきだと思うけど、なぜか無い。
面倒くささが先に立つのか、それともある種の「おバカさん」を相手にするのは時間の無駄と思われているせいかな(笑)。
そういうなか、このほど実に久しぶりにメールをいただいた。
しかも同じ別府市内に”ご在住”の方ときているからたまらない。次のような文面だった。仮にOさんとしておこう。
「貴ブログを拝見させていただき、是非ともシステムを拝聴させて頂きたくお便りいたしました。お願いできますでしょうか。
それと、本日(6月2日)の記事にございます、6AR6シングルに関連してですが、偶然、 当方に15年ほど前に製作しましたTUNG-SOL6098(上記と同じ球)の全段差動 アンプが現役でございます。
同じ三結ですし、もし、よろしければこのアンプを持参してご寸評など 頂けたらとも思っておりますが如何でしょうか。」
そして自作されたアンプの画像とコメント(抜粋)が別立てで添付されていた。
「アンプ作りも6台目ともなると、ちょっと変わった球を使ってみたくなるのが人情というものでしょうか。あれこれ検討中にオークションでみつけた6098という球の小ぶりで頑丈そうな容姿が気に入りました。
初めて聞く品番でしたが6AR6の同属菅ということです。1番違いの6AR5なら大昔に何度もお世話になったことがありますので、それに近い性能のものなら今ひとつかな?と思いつつネットで諸々調べたところ、WE設計の大型クラスのビーム電力増幅菅であることが判明。
3結の曲線もきれいに並んでいるし、8KΩのロードラインを引いてみたところ、300V・45mA位で差動PPにうってつけの条件のようです。
この時のP損失13.5Wは最大P損失(21W)の64%位と余裕十分で7ワット位の出力が取れそうです。
ただ、6CA7等に比べると増幅率が低いのと、バイアスが少し深めになりそうなので、2段構成ではドライブに苦労する(多分無理だろう、ダメなら3段構成で)と思いつつ、ナントかなるだろうと、その日の内にゲットしてしまいました。茶色ベースのTUNG-SOL社製で、ズングリとしているのに精悍そうな趣のある球です。」
以上のとおりだが、とても真空管アンプにお詳しそうですね!
こういう方が同じ別府市内にご在住とはほんとに世間は狭い(笑)。
さっそく自己紹介(職歴、年齢など)を兼ねた返信メールを打って「いつでもお越しください。ぜひアンプもご持参ください。我が家の拙いシステムについてご意見を賜れば幸いです」
すると、すぐに返信メールが来て「訪問日時はお任せします」とあった。
「楽しいことは出来るだけ早いうちに」が近頃のモットーである。
何しろ明日をも知れぬ身なので(笑)、さっそく翌日の午前中にセットした。
以下、続く。
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クラシック愛好家なら「ワグネリアン」という言葉をご存知のはずですよね!
とはいえ、読者の中にはジャズ愛好家もいらっしゃることだろうし確率は半々くらいかな~。
一言でいえば「リヒャルト・ワーグナー」(1813~1883年)の音楽が好きで好きでたまらない連中を指す。
つい先日の記事で述べたように久しぶりに「ワルキューレ」(ショルティ指揮)を聴いたが、「威風堂々と辺りを睥睨(へいげい)する」かのような独特の音楽に大いに痺れてしまった。
平たくいえば、自分がまるで天下の英雄になったかのような痛快な気分とでもいおうか、さらには麻薬のような禁断の味がするとでもいおうか、なるほどとワグネリアンの心境の一端が分かるような気がした。
そういえば第二次世界大戦のさなか、あの「ヒトラー」(ドイツ)が聴衆を鼓舞するのにワーグナーの音楽をよく利用していたことは有名な話。
たとえ一時的にせよ「こういう錯覚」を起こさせてくれるのだから「凄い音楽」である。
これまでにもたびたびワーグナーの音楽に親しんできたがこういう気分になったのは初めてで、「年の功」かな、いや、はるかに向上したオーディオシステムのおかげだろう(笑)。
おかげさまで、いつものように「熱に浮かされるタイプ」(博多弁でいえば「逆上(のぼ)せもん!」)なので次から次にワーグナー三昧。
聴けば聴くほどに凄い音楽ですねえ!(笑)
そのうち段々と心配になってきた。な~に、駆動するアンプのことである。
現用中の「PX25アンプ」が故障したらどうしよう・・。実力相応のスペアが無いと不安にかられるのはいつものことである。
この心配症のおかげで我が家にはアンプやスピーカーが”引きも切らず”に溢れかえっているが、ワーグナーを聴いている限り、通常の音の「彫琢とか艶とか奥行き感」などの「”ちまちま”した音質」の心配は吹っ飛んでしまう、というかもう”そこそこ”でいい(笑)。
とにかくマッシブで雄大で力強い低音域が出てくれればそれで十分な気になるのが不思議。こればかりはもう「ワーグナーの魔法」にかかったとしか言いようがない。
したがって、やや神経質な「AXIOM80」さんの出番なんぞはいっさい無し(笑)。
そして、アンプの方もスペアとして希望が持てるのはこれだけかな。
2台あるうちの、もう片方の300Bアンプ(モノ×2台)である。このアンプを何とか生き返らせないものか。
概要を簡単に述べるとインプットトランスと出力トランスが「タムラ」、次の電圧増幅管が「MHL4」(英国:GEC)、インターステージトランスが「国産」もの、整流管が細管の「CV378」(英国:ムラード)
問題は肝心の出力管だ。わらをもすがる思いでこれまで挿し込んでいた中国製の「300B」から、つい先日オークションで手に入れたばかりの「メーカー不明の300B」と交換してみた。
「へたったWE300Bを使うよりもずっといいと思いますよ」(北国の真空管博士)とのことだったが、何とまあそのとおりになったのである(笑)。
完全にエージングが済んだ状態のせいか実力を十二分に発揮してくれて、低音域の重量感に関しては「PX25」に比べてまったくそん色がないほど。
しかもセパレートアンプなので電源その他に余裕があり気分的に安心感がある。
こうして「ワーグナー」さんのおかげで、眠っていた「300Bアンプ」が見事に蘇ってくれて、もう毎日笑いが止まらない状況で~す(爆)。
しかも、とうとう行く着く先には「恐ろしいこと」を思いついてしまったが、それは後日のお楽しみに~。
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