7月23日(土)の午後はかねて予定された、大宰府のMさんと筑後地方〔福岡県)のKさんがお見えになる日。
お二人ともたいへんなオーディオの猛者である。およそ4年振りのご来訪で、当時の我が家はウェストミンスター(タンノイ)のボックスに、JBLのウーファー(130A)をぶち込み、中高域は「アキシオム80」を平面バッフルに収めたシステムだった。
そのときには面と向かっておっしゃりはしなかったが〔音質が)「散々な出来」というのは雰囲気で分かっていたが、その後ウンともスンとも音沙汰なし、一度も聴きに来ようとされなかったことでも十分裏づけされた。
「いい音」とは、リピーターを増やして人を自然と呼び寄せるものだからである。
今回のご訪問はKさんが「羽毛の枕」をSPボックスの吸音材に使ってみようかとのことで、すぐに調達可能な別府市内の量販店に代りに申し込んであげたのがきっかけ。
その数40個!さぞやスケールのでっかいSPボックスなのだろう。ちなみにKさんは筋金入りのウェスタンの愛好者。
前日の金曜日に量販店から、「そろいました」と連絡があったのですぐに出かけて行って引き取り、車庫の空いたスペースに山積みしておいた。
羽毛の吸音材といえば、名古屋のメル友のYさんからもつい最近問い合わせがあったばかり。吸音材にするまで長時間の工程があるが、時間をかけただけの成果があるのは間違いなし。
さて、当日は予定どおり14時頃にご到着。ひと通り、システムの説明をして早速試聴開始。
ソースは強烈な大太鼓の低音が入った「春の祭典」(ストラヴィンスキー作曲、ゲルギエフ指揮)。
「どうです、昔日の自分ではありませんぞ!」と、開始早々強烈なストレートを見舞ったつもりだったが、Mさんからそれ以上の強力なカウンターパンチが返ってきた。
「低域がゴチャゴチャしていて聴きづらい。第一、スーパーウーファーの位相が合ってないし、ボリュームも大きすぎる。
20ヘルツ付近をスーパーウーファーで直接出そうなんて思うのが間違いで、その辺はうまくハモらせて倍音として出さなくてはいけない」。
相変わらずズケズケおっしゃるMさんだが、何せ知識も経験も自分よりはずっと豊富な大先輩。
ご意見を尊重して、すぐにスーパーウーファーの位相を切り換えるとともに、ボリュームを3時の位置から12時へと絞って再度試聴。
「ほ~ら、良くなった」とMさん。
たしかに低域の量感はそのままに質感が目に見えて向上したのには驚いた。
通常、高域への倍音は意識するものの、最低音域への倍音は完全に盲点だった。改めてハーモニーの重要性を認識したがこれは本日一番の収穫。
それからはこの際とばかり、アキシオム80用の真空管アンプを交代させながらご意見拝聴。
当初はウェスタンの300Bアンプで鳴らし、次にPX25アンプ。アメリカ対イギリスの対決だったがどうやら引き分けに終わった。
自分は渋いブリティッシュ・サウンドのほうが好みだが、ジャズとかボーカルなどは本場のアメリカ勢が俄然元気になる。
最近全面改修をしたばかりの「VV52B」アンプも是非試したかったが、17時近くとなりとうとう時間切れ。後日の楽しみとなった。
帰り際にMさんから「前回に比べると随分良くなっているよ。ここまでくると、もっと可能性があると思ってつい真剣になって言わせてもらったよ。」と、たいへんありがたい言葉をいただいた。
最後に家内も動員して4人がかりでKさんのクルマに40袋の羽毛枕を詰め込んだ。
Kさんは大きなお寺のお住職さんだが、クルマ一杯の羽毛枕に「いつのまにか布団屋さんに鞍替えしたかと思われますね~」。
吸音材の作業が完了したら是非Kさん宅へ「ウェスタン16Aホーン」の試聴に行かねばと大きな楽しみが増えた。