10月の声を聞くとようやく秋になったなあという感じがする。9月30日と10月1日、たった1日の違いなのに晩夏と初秋がきれいに入れ替わる、そういう季節感の初々しさに何となく心が弾む。
TVの世界でも模様替えの季節である。好評だったNHKの朝ドラ「梅ちゃん先生」、それに毎週楽しみに観ていた「総合診療医ドクターG」もあっけなく終了してしまった。
この「総合診療医・・・」は病名を探り当てるまでの謎解きの面白さをスタジオで展開する新感覚医療エンターテインメント番組で、実例に基づいて実在の総合診療医と研修医3名が討論しながら患者の症例を探っていくのがまるでミステリーもどきの展開で非常にお気に入りだったので残念~。
その代わりと言っては何だが、番組の改編は悪いことばかりではないようで、契約しているクラシック専門放送の「クラシカ・ジャパン」(スカパーCS放送)が10月1日から「HD放送」が始まるとお知らせの文書が9月下旬になって届いた。
これまでは音楽業界に遠慮して「SD」(標準画質)放送だったのが、いよいよ「HD」放送へと、ハイビジョン並みの画質による放送に踏み切ったものとみえる。
よし、よし、業界側に顔を向けるのではなく、顧客を大切にする姿勢というのは大歓迎である。
とはいえ、何故この10月1日からという疑問がつきまとう。いろんな理由があるのだろうが、時期的にピタリと符合することがある。
≪販売または有料配信されている音楽や映像について、その海賊版をダウンロードする行為が、平成24年10月から刑罰の対象となります≫
平成24年10月1日からは、個人的に利用する目的であっても、「海賊版」について、それが販売または有料配信されている音楽や映像であることと、違法配信されたものであることの両方を知りながら、自分のパソコンなどに録音または録画(ダウンロード)した場合には、刑罰として、「2年以下の懲役または200万円以下の罰金(またはその両方)」が科されることになります。(政府広報より抜粋)
オオ、コワ!
つまり、違法ダウンロード行為の厳しい刑罰化が音楽業界への担保となって「HD放送」への切り替えが行われたというわけだが、まあこれはあくまでも推測の域を出ないところ。
さて、お知らせの文書によると、これまでのチャンネルは「736」チャンネルだったが、「HD放送」の新たなチャンネル番号は「637」となるので、視聴希望者は「スカパー!カスタマーセンンター」へ問い合わせしてくださいとのこと。
高画質・高音質が大好き人間なので(誰でもそうだろうが!)すぐに飛びついた。電話で申し込んだところ、問い合わせ内容に応じて番号の選択をさせられた挙句、「ただ今、たいへん込み合っております。再度かけ直してください」。やれやれ。気長に取り組むことにしよう。
そして、次の日に電話したところまたもや同じような案内が。時間帯によって込み合うのかもしれないと、様々な時間に電話してみるも同じ結果なのでさすがに、頭にきてしまった。
スカパーはサービス悪い!番組改編の時期ぐらいは電話機と担当をたっぷり増やせよ!
ようやく3日目くらいに通じたが、それでも人間の対応はいっさいなしで、すべて電話番号のボタンを押すだけの処理だった。新しく申し込むチャンネル番号を押してください → 「6、3、7」、(元に戻って)解約する番号を押してください → 「7、3、6」。
いったいこんなことで、はたして無事に手続きが終了したんだろうかと半信半疑のうちに、10月1日(月)を迎えた。朝起きて一番に専用チューナーのスイッチを入れると、テレビ画面に「このチャンネルの視聴契約が確認できません」との文字が浮かび上がった。「第一段階よし」と声に出して、次に「637」チャンネルを押すといつも見慣れた「クラシカ・ジャパン」が放映中。
どうやら契約手続きがうまくいったようで、ほっと一息。
さて、当面する一番の興味は「SD放送」と「HD放送」の画質と音質が、はたしてどれくらい違うかということである。
フッ、フッ、フ、それが格好の比較する番組材料があったのである。
それはムター女史の「ブラームス ヴァイオリンソナタ全集」(1時間20分)
周知のとおり「クラシカ・ジャパン」は同じ番組を日を替えて何回も放映するのでウンザリするが、上記の番組をSD放送により9月27日(木)に録画していたにもかかわらず、ついウッカリしてHD放送により10月2日にも重複して録画していた。
ということは、両方の番組を比較視聴すればたちどころに画質・音質の差が分かるというわけである。
これは「HD放送」の画像だが、カメラが悪いのか、腕が悪いのか(笑)、チョット左側がボケてしまったが気にしない、気にしない。実は画像なんか問題にしていないのであると言いたいところだが、予想以上にはっきりとした違いが見てとれた。
SD放送はベタっと映像がテレビ画面に張り付く感じで平面的な印象を受けるが、「HD放送」となると映像がひときわ鮮やかに、そして立体的に見える。これは誰が見ても違いが分かるほどだった。
さあ~、焦点は何といっても「音質」である。我が家のシステムで違いが分かるかなあと、息を潜めて集中しながら聴き比べてみるとやはり違いが感じ取れた。ただし画像ほどの差ではない。
音量を上げたときにSD放送はウルサク感じたが、HD放送では歪が少ないのかウルサク聴こえなかった程度。まあ、そのくらいの違いだが、気になると言えば気になる。これは物理的にかなり大きな負担となってのしかかる。
今年の7月にスカパーと契約してからこれまで「SD放送」で録画した番組は91本。ちなみに使っている2.0TBのハードディスクに占める容量は12%を占め、残量は88%となっている。
これからこの91本の番組についてHD放送で再放映されるたびに録画して、旧くなった番組を順次消去していかなければならないのである。たいへんな手間だし時間を喰うが、やっぱりマニアたる者、やらざるを得ないだろうなあ~。