26日はかねて予約していたクルマの12ヶ月点検。何しろ走行距離17万2千キロともなるとクルマが相当へタってきておりコマメな点検は欠かせない。
朝9時のオープンと同時にディーラーに駆け込んでクルマを預けて待つこと1時間あまり、整備員が点検結果を報告しにきた。
まずタイヤが磨耗していて即交換が必要、併せていろんな箇所にオイル漏れが見られ、整備に2日間程度かかるとのこと。部品が間に合わないので年内修理は無理で結局翌年回しということになった。
車検(昨年12月)からたった1年(走行距離1万6千キロ)しか経っていないのにやたらと故障箇所が多い。思い当たるのはこの1年間釣行のときに280馬力にものをいわせて高速を何回(23回以上)となくぶっ飛ばしたことだけ。
とりあえず、タイヤだけはすぐに交換しなければならないので、行きつけのO市のタイヤ専門店まで車を走らせた。現在のタイヤ(ミシュラン・パイロット・スポーツ)もこの店で装着したが、このタイヤはコーナーワークがよくて結構長持ちだし、いい点が沢山あるが何といってもそれと引き換えに燃費があまり良くないのが玉に瑕。
今回はクルマの寿命もそろそろだし性能よりも燃費優先で考えよう。顔なじみの店主に”ガソリン代が高くなったので、とにかく安くて燃費のいいタイヤをつけて欲しい、メーカーの選択は任せる”と気前よく(?)言ってみた。
早速、在庫があった様子で、店主が選んできたのは国産メーカー(ヨコハマ)のタイヤで”DNA・Sドライブ”という銘柄だった。省エネ技術では世界を見渡しても日本に一日の長があるがこれもその一環なのだろうか。
ミシュラン以外のタイヤは久しぶりだが、ときには変化があって面白そう。注入する空気は窒素にするよう忘れずに注文して、40分ほどで交換終了。早速クルマに飛び乗って自宅めがけて走らせた。なかなかいい乗り心地で音も静か。ミシュランに比べてソフトで軽快感がある。まるでクルマを乗り換えたようなフィーリング。まあ、タイヤが新しいうちだけかもしれないが。
とにかく現在の燃費が6.5Km/ℓぐらいだが果たしてどれくらい良くなるのだろうか、興味津々。せめて7.0Km/ℓぐらいにはなってほしい。
少々みみっちいが年間走行距離15000km、ハイオクガソリン160円/ℓとして計算してみると0.5Km/ℓ向上するだけで1年間で160リットル、26400円の節約となる。これは丁度2年半でタイヤ代がチャラになる勘定。
ウェブで検索すると日本の車の台数は営業用、個人用を含めて現在7000万台といわれており驚異的な数字。これら全てが燃費のいいタイヤにはきかえると、仮に0.5Km/ℓ向上(6.5→7.0の場合)するだけでも全体では莫大な数値のガソリンが節約できる。
ざっと計算してみただけでも7000万台の車が1年間で仮に5000Km走るとして、年間に385万kℓのガソリンが節約できるのでタイヤの省燃費はほんとうにバカにならない。
そこで、環境を守るためのタイヤの最新の開発事情を紹介しよう。
「ゴムはなぜ伸びる?」(2007.9.25、オーム社刊、著者:伊藤真義 東京理科大教授)は生活のあらゆる分野でなくてはならない存在となっているゴムについて、いろんな角度から分析した本だが、特にタイヤ関連の部分に相当頁を割いている。ゴムが果たす役割の中で、クルマ、飛行機などのタイヤは最たる位置づけだから当然だろう。
第5章に「驚きの性質をもつハイテク・ゴムたち」~二酸化炭素削減に協力するタイヤ~とある。やや理屈っぽいが概略次のとおり。
クルマが確実に「走る、曲がる、止まる」ができるのはタイヤと路面の間に摩擦力が発生するからだが、この摩擦力は燃費にも深く関っている。
つまり、摩擦力が大きいほど車の走り(転がり抵抗)や制動の性能は良くなるが、逆に走行に使われるエネルギーの割合が少なくなり燃費の低下につながる。
結局、高性能タイヤとは走りと制動が良い代わりに燃費は悪いという関係にある。
ところが、近年地球環境の問題が深刻化するにつれてタイヤに対する評価軸が完全に変わってきていて、いまや燃費性に優れた転がり抵抗の小さいタイヤが求められるようになった。
しかし、転がり抵抗を小さくすると逆に制動能力が下がって危険となるなど裏腹の関係にあるが、それを解決するのが補強剤として使用するカーボンブラックの替わりにシリカを使用すること。
このシリカ入りタイヤは転がり抵抗をカーボンブラックを用いたタイヤより約20%を下げるにもかかわらず、制動能力は逆に5%程度増加する(理屈は長くなるので省略)、いわば夢の高性能タイヤ。ちなみに転がり抵抗を20%削減すると約17%の二酸化炭素削減につながるとのこと。
しかも、このシリカ(白色の微粒子)入りのタイヤは色が白いため、車体に合わせてカラフルなタイヤが可能となる。タイヤメーカーの話によると100%シリカ入りのタイヤはもうほとんど実用化の段階に来ているそうだ。
ただし、これには消費者の心理的な問題が大きいようでこれまで見慣れた黒いタイヤの方が丈夫で強そうで、命を預けるタイヤとして人間心理上なかなか新しいものは受け入れられにくいと予想されているところが大きなネックになっているようだ。
なお、今回入れ替えたDNA・Sドライブをネットで検索して調べてみるとカーボンブラックとシリカを合体させ、それに新ポリマーを配合したエコタイヤだそうで随分期待できそうだ。(後日、燃費改善状況を報告予定)。