「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

巨大な一枚板をスピーカーに

2013年07月30日 | オーディオ談義

つい先日(7月25日)の地元紙にオーディオ関連の記事が載っていた。

          

世界最大クラスの1枚板(縦2.2メートル×横4.85メートル×厚さ9センチ、重さ約900キロ)にSPユニットを取り付けるというのだからマニアにとってはまったく垂涎(すいぜん)の的。

自分のように「ああでもない、こうでもない」と、まるで重箱の隅を突っつくようなオーディオの世界もあるかと思えば、こういう豪快な話もある。

そもそも、スピーカーエンクロージャーの理想は無限大に近い大きなバッフルと決まっているが、一般家庭ではとてもスペースが取れないので仕方なくちまちましたエンクロージャーを作ってその中にユニットを容れているのが実状。

その辺の理由をとくとくと書きたいところだが「この暑苦しい時期に“訳知り顔”して理屈っぽいことを言うな!」と顰蹙(ひんしゅく)をかいそうなので省略させてもらおう(笑)。

興味のある方は「無限大バッフル」でググってみてはいかが。

とにかくこういうバッフルにユニットを取り付けると、板鳴りの心配がないだろうし第一、ユニット自体の背後が広い空間に恵まれて伸び伸びと呼吸ができ、きっと妙なる音を奏でてくれるに違いない。

この巨大バッフルの音を是非一度聴いてみたいものだ。

たしか、この紙面にある家具製作所は昨年の12月に訪問した大分市にお住いのOさん宅のパラゴン(JBL)を載せる台を独自に製作した業者との記憶がある。

           

当時、随分うまい細工をする製作所があるものだと感心したものだが、改めてそのOさんに連絡をとってみるとやはりそうだった。

Oさんの話によると、家具製作所から招待があったので出かけて現物をご覧になったそうで、近いうちに東京から専門家が現地にやってきて大掛かりなセッティング作業が行われる予定という。重さが900キロだから、運搬するのも大変だし、セッティングとなるとおそらくクレーンが必要となるに違いない。

その終了後には、改めてOさんに連絡が入る手筈とのことで、その時は是非同行させていただくようお願いした。

現地は日田(大分県)と福岡県との県境の山奥に位置しているそうで、今から訪問するのに胸がワクワク~。


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ぐんぐんのび~る!魔法のホ~ス

2013年07月28日 | 独り言

今年は梅雨がメチャ早く終わったせいか、猛暑の日がことのほか長く続いていてひときわハードな夏になりそう。

人間さまは何とかこの暑さをしのげるが、可哀想なのが庭の植木さんたち。強烈な日差しに対して避けようがないので、そのまま放っておけば干上がるばかり。

こういうときは、たっぷりと水を遣ってあげるのが人情というものだろう(笑)。

先日の4泊5日(7月9日~13日)の北海道旅行のときに一番困ったのがこの植木の水遣り。

          

「紫木蓮」と「橙」の木をこの3月に植え替えたばかりだし、我が家を建てたときに同時に植えたヤマモモは30年以上になる思い出深い木なので大いに気になったが、お隣さんに「留守中に水を遣ってください」とは、どうしても頼めなかった。

そこで、出発するその日に大量に水を遣って後は運任せで枯れても仕方がないと思っていたが、帰宅してみるとお隣さんがきちんと連日、水を遣ってくれていた。それも玄関と車庫の扉はカギをかけていたので、隣の塀からわざわざハシゴをかけてまで入ってくれた。

これには思わず感激!日頃、(オーディオの)大音量で散々ご迷惑をおかけしているのに、それを憾むことなく水遣りまでしていただいて~。やはり持つべきものは良き隣人である。

さて、その植木の水遣りだが面倒なのがホースの取り扱い。

まず、ホースリールへの収納に手間がかかる、またホースが絡んでしまい水圧で蛇口から外れて水を被ったなど、思い当たる方が大いに違いない。

植木の水遣りはもっぱら家内の仕事だが、ときには自分にお鉢が回ってくることもあるのでそういうときはほんとうに億劫になる。

ところが、そういう悩みを見事に解決してくれるホースに出会った。使い始めてからまだ1週間ぐらいだが、今のところすこぶる快調である。

先日のこと、パソコンに向かっていた家内から「テレビで宣伝していたホースが使いやすそうなので注文したいけど、どうしたらいいのかしら。」

「何てことはないぞ、こうすればいいんだ」と、検索して使いやすそうなのを選び、日頃オーディオ機器の注文に鍛えられているので住所氏名等の必要事項を記入して「代引き」で注文してやった。2日後に届いたのが次のホース。

            

謳い文句を抜き書きしてみると、

 もうホースリールはいりません!  お庭の水やりが楽しくな~る♪ 
☆ 5メートルのホースがあっという間に3倍の15メートルに!!  片付けラクラク  ホースが折れない  コンパクト収納可能  ホースが細いから少しの水でもOK! → 節水にも役立つ!!

まあ、こういう宣伝に長けた製品は実際に使ってみないと分からないので話半分くらいの気持ちで使ってみたところ、まったくウソ偽りない内容で実に使いやすい。

これなら、自分が毎日水遣りをしても構わないと思ったほど。

お世話になったお隣さんにもこの情報を伝えるとすぐに同じものを注文されたが、やはりクチコミの威力は凄い。

ただし、「MADE IN CHINA」なので、耐久性については保証の限りではなし(笑)。

 


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理屈はほどほどにして、とにかく行動優先

2013年07月24日 | オーディオ談義

先週の15日(月)は福岡在住のKさん宅へお伺いしての「AXIOM80」(以下、「80」)の試聴会だった。

メンバーはS(福岡)さん、自分、そしてKさんの3名。いずれも「80」を現用している愛好者であり、Sさんは現在東京へ単身赴任されているが、3連休を挟んでまとまった休みが取れたとのことでようやく今回の企画が実現した。

自分にとってKさん宅は2回目だが、Sさんには始めての機会となる。予定どおり13時過ぎに無事落ち合ってさっそく試聴開始。

同じスピーカーを別の家で試聴させてもらうのは実に参考になるが、今回も例外ではなかった。我が家の音と比べると全体的に音楽が生き生きと鳴っている印象を受けた。

「前回聴かせてもらったときよりも、一段と良くなったような気がしますよ」と、自分。

「あの時は数年間寝かせていた80を引っ張り出したばかりなので、エージングが足りなかったと思います。ようやく本来の音を出してくれるようになりました。」と、Kさん。

Sさんも「我が家と同じフルレンジ方式にしては随分と低音域が豊かに鳴ってますね」とつぶやかれるほどだった。

ちなみに、日頃から東京在住のSさんにこの機会とばかり伺ってみた。

「地方に住んでいると、最新の超弩級スピーカーを聴く機会がまったくありません。その点、都会は随分恵まれていると思いますが、実際に80と聴き比べてのご感想はいかがでしたか?」

「ノーチラスやアヴァンギャルドなど、いろんなスピーカーを聴きましたが、総じて80ほどの繊細さには及びませんでした。独特のツクリからしてこれは空前絶後のスピーカーだと思いますよ。」

「やはり、そうですか」これで、ひと安心(笑)。とはいえ、「贔屓の引き倒し」になってもまずいので、これだけは言っておくが「80」だって欠点はいろいろある。その欠点を目立たないようにして、長所を引き出すのが使いこなしということになる。

さて、Kさん宅の「80」の鳴らし方に興味を引かれて、仔細にエンクロージャーを拝見すると、「80」を鳴らすときの定番であるARUがついていた。

「ARUって何?」と訊かれても説明が難しいが、SPユニットの背圧緩衝器とでも言えばいいのだろうか。

「百聞は一見にしかず」で先日(7月4日)、試聴させてもらった「うきは市」のKIさん宅のARUが次の写真。

            

正面バッフルの下部に一定のスペースを設けて独特の網目を持った金網に前後からフェルト地を挟んであるだけの簡単なツクリ。このARUによって背圧に微妙な抵抗を与えて「80」の響きを程良い加減にしている。普通よく見受けるバスレフタイプのように背圧を逃がすために簡単にバッフルの前面に穴を開けているのとはわけが違う。

まったくE・J・ジョーダンの天才的な着想には今さらながら感心する。

この日は4時間ほど「80」を堪能させてもらったが、その間ひたすら我が家の「80」との音の違いを頭に刻み込みつつ、帰り道で対策を考えながら我が家へ一目散。行きはドライブがてら一般道を利用したので2時間40分かかったが、帰りは高速だったので1時間30分で無事到着。

さあ、改めて「背圧の逃がし方」に大いに触発されて、その翌日(16日)は朝から我が家の「80」の「背圧」調整に取り掛かった。

              

KさんやSさん宅のようにフルレンジで鳴らすのと違って、我が家の「80」は独自にエンクロージャーを作り、別途に低音用ユニット(2発)を配置しているのでおそらく世界でただ一つの組み合わせのはず。

したがってマニュアルや教科書がまったくないので前人未到の大地を開拓するがごとく、実に気持ちよく素人なりの創意工夫を発揮できる(笑)。

現在、使用中の「80」の裏蓋は次の写真のように、背圧を適当に逃がすために直径1センチ大の沢山の穴を開けたものを用いているが、今回はもっといいものを選択しようという魂胆である。内部には吸音材として羽毛を詰め込んでいるが、その量も調節しなければなるまい。

            

オーディオは理屈をいくらこね回しても、実際にやってみないと分からないというのが、我がオーディオ歴のささやかな結論である。「音の世界」はあまりにも理論の前提となる要件に変数が多いので、すべて解析的に説明が出来るのは無理というのがその理由。

というわけで「理屈はほどほどにして、とにかく行動優先今回もいろんな実験をやってみたが、はたして吉と出るか凶と出るかはお楽しみ~。

以下、次回へと続く。


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「芋焼酎」+「カボス」の氷割

2013年07月22日 | 独り言

いやあ、暑い、暑い!

南国九州は連日、35度以上の猛暑日が続いている。今にも人間の日干しが出来上がりそうだ。こんなに暑いと何かにつけヤル気が起こらず涼気を求めるのが精いっぱい。

とはいえ、日中からエアコンを使うのは節電意識の高まりの中で気が進まないし、健康にとってもいいとは思えないので、家中の窓という窓を全面的に開放して風通しを良くしているが、そうなるとご近所への気兼ねで大きな音で音楽を聴くわけにもいかず、次第に録りためていた番組や映画を音量を小さ目にして観るのが多くなる。

日頃親しんでいる読書の方も、意外と根気を要するので未読のミステリーが山積みになっているものの、やはりその気にならず、「読書の秋」まで持ち越しの様相。

そういうわけで、今のところ最大の愉しみは、夕方になってチビリ、チビリやりながらのテレビ鑑賞。

もともと、酒はそれほど強い方ではないが、長年の生活習慣上のクセみたいなもので、冬から初夏にかけては日本酒とウィスキーが主役だが、7月に入ると猫の額ほどの小さな庭に植えているカボスがようやく直径5センチほどの大きさになって、待ちに待った「芋焼酎」+「カボス」の氷割の季節となる。

          

大分の特産品カボスの収穫時期は一般的に9月で、7月はまったくの時期尚早なので大きさもイマイチだし果汁も少ししか出ないが香りの方は抜群で、ひとしきり絞った後に皮ごと芋焼酎に浸して、これだけでも十分口あたりが良くなって楽しめる。

しかも飲酒の都度、庭に降りてカボスを剪定ばさみで切ってから絞っているので新鮮なことこの上ない。

元来、大分は麦焼酎の産地として有名だが、個人的な好みとしては「芋焼酎」の方が好きで、そこは勘弁してもらって現在は「天孫降臨」や「黒霧島」(いずれも25度)を愛飲中。

ところで、以前「素数へのこだわり」というタイトルでブログをしたためたことがある。

「数の原子」といわれる素数を日頃から意識して大切にしているという大意だったが、アルコールの摂取についても、毎日は健康に良くないのでここ2か月ばかり自分なりに素数の日だけに飲酒を限定することを課してきた。

すなわち、1か月のうち、素数(自分以外の数で割り切れない数)に当たる日とは、2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31となり、全体で11日となる勘定だが、およそ3日に1日のペースで飲酒をすれば健康にもいいだろうという目論みから始めたというわけ。

しかし、このところの「芋焼酎」+「カボス」の時期になってから、あえなくこのルールが崩壊。

あまりにも口当たりがいいものだから、今度は逆に素数の日だけ飲まないように自分勝手に変更してしまった。

したがって、現在は3日に2日のペースで飲酒中だが、そのうち毎日ということにもなりかねない情勢になってきた。

これではまったく意志薄弱の極みだなあ(笑)。


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スウィート・キャロライン

2013年07月20日 | 音楽談義

7月17日(水)に開催された2013年MLBのオールスター戦。

その日は早朝から用事があって出かけていたので後半からの観戦(NHK・BS)となったが、攻守交代のイニングの合間に、歌手のニール・ダイアモンドがマウンドに登場してきて「スウィート・キャロライン」を歌っていた。リラックスした観衆も一緒になって盛大な大合唱。

こういう伸び伸びとした国民性となると、とてもアメリカには適わない気がするが、それにしても「スウィート・キャロライン」はつくづく名曲だと思う。発売当時はビルボード誌で4位になった実績があるが、その後も忘れられることなく今ではスタンダード化しておりMLB最古のフェンウェイ球場(レッドソックス)のテーマ音楽としても有名だ。

自分も以前から好きな曲だが、これ1曲だけのためにCDを購入する機会がないまま今日に至っている。

今回に触発され何とか常時聴くチャンスがないものかと、このほど加入した「ひかりテレビ」(NTT)の音楽配信で検索してみた。うまくいけば我が家の既存のシステムで常時聴けるとあって期待したが、残念なことにニール・ダイアモンドは登録なし。その代わり、エルヴィス・プレスリーがライブで歌っていた同じ曲があったのですぐに取り込んだ。

やはりプレスリーはうまいと思ったが、原曲の良さが多大に貢献しているのは言うまでもない。

ちなみに、この「スウィート・キャロライン」の由来だが、ネット情報によると、

あの暗殺されたケネディ元大統領の忘れ形見の、キャロライン・ケネディさんが11歳のときにライフ誌の表紙を飾ったことがあり、その写真を見てニール・ダイアモンドがインスピレーションを得て1時間ほどで書き上げたのがこの「スウィートキャロライン」。ただし、ニールは2007年にようやくキャロライン本人にそのことを伝えたそうで、それまでは誰も知らなかった。  

Neil Diamond performing "Sweet Caroline" on The Ed Sullivan Show on November 30, 1969.(クリックすると音楽が聴けます)

さて、当時から44年が経過したキャロライン・ケネデイ女史(55歳)だが、かねてからの噂どおり、このほど次期「駐日大使」として内定した。政治的にはまったくのズブの素人とされるが、オバマ大統領の熱心な支持者で今回の再選のときにも多大の尽力があったとかで「論功行賞」的な人事とのこと。

この背景にあるのはアメリカにとって日本は同盟国の一つだし、国内の治安は安定しているし、まあ沖縄問題はあるにしても本国政府が全面的に対応するので、現地の大使としてはそれほど政治的な手腕が必要とされるわけでもなし、履歴に疵がつきにくい無難なポストという意味合いがあるに違いない。

アメリカ政財界の関係者にとって「日本大使」は「垂涎(すいぜん)の的」だという話を何かの記事で見かけたことがあるが、キャロライン女史が見事にその金的を射止めたということだろう。間違っても「韓国大使」や「中国大使」ではないところが日本人としてはこの上なく快感!?

これから日本のマスメディアに登場する機会が多くなるだろうが、そのたびに「スウィート・キャロライン」を聴く機会が増えそうだ(笑)。

 


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ボーカルの再生

2013年07月18日 | オーディオ談義

去る13日の夜のこと、北海道旅行から帰ってきて真っ先に取り掛かったのが大量に溜まったメールのチェック。

「返事を急ぐものがあれば」と心配したわけだが、広告宣伝の類ばかりでいっさいなかった。しがない素浪人の身なので当たり前のことだが、自分が思うほど世間から必要とされていないことを改めて痛感(笑)。

ただし、その中で目を引いたのが「音楽とオーディオ」を愛する方からのありがたい初メール。

神奈川県にお住いのKさんという方で、先日のブログ「人生と音楽の楽しみ方はいろいろ」の中で、「個人的にはタンノイのユニットは口径30センチのクラスが一番バランスが取れているように思う」と、記載していたところ、それは「25センチの間違いではないですか」とのご指摘だった。

たしかにそのとおりで、ずっと以前にタンノイ「ⅢLZイン・オリジナル・キャビネット」を所有していたことがあり、ユニットの口径は25センチ(12インチ)と、頭の片隅にあったのだが、迷いつつも“まあ、ええか”と30センチと書いてしまった。

                     

急いでブログを訂正したうえで、Kさんにお礼のメールを送ったところ、再びご丁寧な返信が届いた。

お子さんともども、ご家族で音楽とオーディオを楽しんでおられて、ジャンルはクラシックで、スピーカーはGRFメモリーやエジンバラというわけで、どうやら「タンノイ党」とお見受けした。「私の耳にはコンサート会場の音に一番近く聴こえるからに他ならないからです。」というのが選択された理由とのこと。

なるほど、なるほど!


実は、「タンノイ」に関しては我がオーディオの歴史において重要な位置を占めているものの、一方では複雑な思いがあってなかなか一口では語れないメーカー。

前述したように「ⅢLZ」のときは、当時黄金の組み合わせと言われたラックスのアンプ「SQ38FD」で鳴らしていたのだが、このアンプはすぐに出力トランスが故障した。

これまでずっと真空管アンプを使ってきたが、出力トランスがイカレタなんて後にも先にもこの機種だけで、これは真空管アンプとしては絶対にあってはならない故障。以後、ラックス製品はいっさい使っていない。

それもこれもあって、嫌気がさしてきてとうとう「ⅢLZ」と「アンプ」をセットで手放して、今度は大型のウェストミンスターを購入したが、これまたうまく鳴らせなかった。というか、その頃からどうもタンノイの音が自分に向いているのだろうかと懐疑的になってしまい、とうとうオリジナルユニットのHPD385(口径38センチ)をエンクロージャーから外して、同じ口径のJBLーD130ユニットを補助バッフルごとぶち込んで今日に至っている。

しかし、この選択がはたして正しかったのかどうか、今でも夢の中に出てくるほど悩まされている(笑)。

こうして満足に使いこなせなかったタンノイさんだが、さすがに名器と言われるだけあって、ボーカルの再生を含めて同軸2ウェイユニットの音像定位の優位性には見るべきものがあった。

実は、先日(7月6日)の試聴会(福岡のオーディオ仲間3人)のときにも我が家のシステムのボーカル再生について論議があった。翌日になって、その詳細について仲間のU君からメールが届いた。

「小さな口のボーカル再生が望ましいと言ったのは、録音する際のテクニックから来ています。通常、ボーカルを録音するにはボーカルマイクを使用するのはご存知の通りです。

そして特別の事情がない限り、ボーカルはセンターに定位させます。「センターに定位」と言ったのは、左端から右端までのどの位置にも自由に定位させることが出来ますが、普通はセンターにさせるからです。

そしてセンターに定位させると、左右チャンネルに同位相・同レベルの音声信号が記録されます。このボーカルの入ったCDを再生すると、ボーカル音声信号に関しては同位相・同レベルの音波に再現されるのが理想ですが、「同位相」というところで引っ掛かって来ます。

音波の位相が乱れる原因はスピーカーのマルチウェイにあります。本来なら一つの音声入力に対して、それに対応した一つの音波が発せられて耳に到達すれば良いのでが、マルチウェイの数だけ音波が発せられ(当然強弱の差はありますが)、空間で合成されて一つの音波となります。

この時、各スピーカーで発せられた音波の位相が微妙に違うため、本来あるべき音波波形から崩れてしまうことが、ボーカリストの口の大きさにつながります。

原理的に、ソロボーカリストは“センターで小さな口”で録音されている筈です。
小さな口を小さく説明しようとしましたが長くなりました。」

ボーカルの再生に当たっての聴感上の留意点として、ヴィヴィッドさは言うまでもないが、一般的にボーカリストの口の大きさがどのくらいに聴こえるか、息継ぎ(ブレス)が明瞭に聴こえるかといったところが上げられる。

ほら、五味康祐さんの名著「西方の音」の中にも、「歌手がカバのように大きな口を開けて唄うスピーカーがある」という表現が出てくる!

そういう意味で小さな口で歌うように聴こえるという点ではフルレンジ・ユニットの優位性は圧倒的で論を待たないし、これを敷衍すると一つのシステムの中にSPユニットが多くなればなるほど不利になるのは言うまでもない。

ただし、もちろんフルレンジユニットも万能ではなくて周波数レンジの狭さやスケールの面においてオーケストラの再生などにはまったく向かない。この両面を一挙に解決しようとしたのがタンノイの同軸ユニットというわけだが、個人的には音の抜けや繊細さの面でちょっと物足りない。

結局「あちら立てれば、こちら立たず」 → 「二兎を追うもの一兎を得ず」

そういうわけでオーケストラとボーカルの両極端のいずれかに(システムが)特化してしまうのか、それとも中庸で我慢するか、オーディオはこういう選択の行きつ戻りつで、ただひたすら時間だけが過ぎていく(笑)。


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世界でたった1枚のCD

2013年07月16日 | 音楽談義

「あなた、昨晩は凄い“いびき”をかいてたわよ。」と、家内。

「ほう、そうかい。昨日は久しぶりに飲み過ぎたからな~」。

7月初旬のこと、高校時代の同級生で福岡のオーディオ仲間3人が今年に入って2回目の試聴会に来てくれた。前回は3月だったのでおよそ3か月ぶりで、今回も4時間ほど試聴した後の18時頃からクルマで15分ほどの料亭で痛飲した結果がこれだった。

U君、O君、そしてS君、いずれ劣らぬ音楽好きのオーディオマニアたち、そして極め付きの酒豪たち(笑)。

今回の試聴会のハイライトは何といっても世界でたった1枚のCDの試聴だった。

モーツァルトのピアノソナタ(全17曲)全集は愛してやまない座右の盤だが、U君も負けず劣らずの愛好家。とうとう、自分で8名のピアニストを網羅した独自のCDを編集し作成してしまった。「iTunes」を使えば簡単だろうが、音質に配慮して習熟したパソコン技術を駆使しての作品。

曲目はピアノソナタ8番(K.310)の第一楽章と第二楽章で、それぞれ2枚のCDに分割して収集。

            

ピアニストの順番は次のとおり。

 イングリッド・ヘブラー 2 ウラディミール・アシュケナージ  アンドラス・シフ  ディヌ・リパッティ  クラウディオ・アラウ  マリア・ジョアオ・ピリス  グレン・グールド  内田 光子

いずれ劣らぬ超一流の豪華メンバー。

はじめに「AXIOM80」システムで通して聴き、その次に今度はJBLシステムで端折って聴いてみて、最終的に各自好みの演奏家を選ぼうという趣向である。個人的に「K.310」は二楽章の方が好みなので、我がままを通らせてもらって二枚目のCDで試聴開始。全体で75分程度。

特上の録音のもとに、こうやって8名のピアニストを一気に聴き比べるとそれぞれの個性が手に取るように分かり、実に興味深かった。もちろん音楽だってそれぞれ別物になる。第一、演奏時間からしてそれぞれ違う。

ヘブラー女史=9分40秒、アシュケナージ=9分37秒、シフ=7分52秒、リパッティ=6分22秒、アラウ=10分11秒、グールド=6分19秒、内田光子=10分42秒といった具合。最短(グールド)と最長(内田光子)で何と4分以上の差がある!

ネット配信に押されてCDの売れ行きが落ちる一方だが、販売側も工夫してこういう小品に限ってはレーベルの壁を越えて演奏者ごとの聴き比べが出来るCDの新たな企画を考えたらどうだろうか。

さて、各自のピアニストの好みだが結論からいくと、O君がヘブラー、S君がピリスを推した。さすがに衆目の一致するところで極めて妥当な線だと思う。

ただ、あえて自分の意見を述べさせてもらうとグールド、ピリス、ヘブラーの順番と公言させてもらった。リパッティも好きだが録音が古くて、少し精彩を欠いた。レコードで聴くならおそらく違うだろう。グールドに関してはどうもその“エキセントリック”さによって好き嫌いが極端に分かれるようで非常に惜しいことだが、いったんその世界に嵌ってしまうと、もう完全に虜になって簡単には抜け出せない。

ところで、一同固唾をのんでCDを傾聴していたわけだが、途中で音が「ルルル」と2度ほど再生しきれずに流れてしまった。いわゆる音飛び現象。

「アレッ、よりによってピリスのときに」と慌てた。原盤が悪いのか、CDトランポート(ワディア270)の読み取りが悪いのか、そのどちらかである。U君が自宅で再生したときはそういう現象が起きなかったので、明らかに犯人は我が家のワディア270にある。読み取り機能不全とくれば、原因は自ずと絞られる。ピックアップレンズの埃である。

丁度、O君が湿式のCDクリーナーを持参していたので、それでレンズのクリーニングをさせてもらうと、ものの見事に治った。しかも以前に比べて音の透明度がはるかに向上したのには驚いた。これは思わぬ収穫!

「CD再生のための読み取りのときに補正機能の余分な操作が無くなったおかげだろう」と、U君。

「レンズはしっかり機器の中に内臓されているのであまり掃除する必要はないと思っていたんだけどねえ」と、自分。

「トレイの開け閉めで当然空気が入るし、内部の熱によって空気が対流するので、レンズに埃がつくのはあたり前。せめて1か月に1度くらいはレンズをクリーニングした方がいいよ」と、これまたU君。

「大河の流れも一滴から始まる」というが、音の入り口の一番最初の部分に当たるCDトランスポートのピックアップレンズの汚れに起因した音質がずっと増幅されていってスピーカーから音として出てくるのだから、考えてみただけで背筋がゾッとする話。

レンズはくれぐれも定期的に掃除しましょう!

ちなみにCDコピーのときに重宝しているパソコン用外付けCDドライブ「プレクスター」のレンズもついでにクリーニングしたところ、その後いっさいコピーミスが無くなって、CD-R盤の廃棄が出なくなったのには驚いた。

さて、モーツァルトの試聴後は、さまざまなジャンルの音楽を2系統のシステムで聴いてもらった。

「結局、どちらのシステムが好きだった?」と、終わりごろに訊いてみると異口同音に「AXIOM80の方が好き」。

しかし、JBLの実力はとてもこんなものではないはず。きっと自分の鳴らし方が悪いに違いない。皆さんの指摘のポイントはどうやらボーカルの再生時のようなので、とりあえず低音から高音まで3つのユニットの位相調整に後日改めてチャレンジしてみることにした。マルチ・チャンネル・システムはやはり難しい。

試聴会の都度、こうして何がしかの課題が浮上してきてオーディオ人生の充実に貢献してくれるが、これも仲間たちのお蔭!


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「フルレンジ」+「ツィーター」の組み合わせ

2013年07月14日 | オーディオ談義

昨日(13日)の夜に北海道旅行から無事帰ってきました。北海道の印象を一言でいえば「広い、涼しい、美味しい」!

                                

さて、他人の旅行の話なんてどうでもいいでしょうから(笑)、さっそく以前書き溜めていた原稿をUP。

それは7月初旬のことだった。

「ナショナルの古いユニット“8PW1”に中国製の安物のツィーターを付けて鳴らしたところ実にいい感じです。一度聴きに来ませんか?」と、オーディオ仲間のAさんからお誘いがあった。

そういえばAさん宅にはたしか半年以上もご無沙汰しているので、この際とばかり一路、湯布院へクルマを走らせた。

「8PW1」と言えば往年の名器とされるフルレンジユニットで、高校生の頃に長兄が鳴らしていたのを傍で聴いていたのですっかりお馴染の音。自分でも懐かしさのあまり、10年ほど前にネットオークションで1セット競り落として大切に保管しているほど。

いわば自分のオーディオの原点ともいえるユニットで、中央に丸い球が付いていて「拳骨(げんこつ)」の愛称で親しまれていた。

40年以上も前に聴いた音がどういう風に現在の耳に響くんだろうか、何だか過去の自分と対面するような気がして、ついアクセルペダルに力が入る。

梅雨空のもと、40分ほどで到着してさっそく2階のリスニングルームへ。(1階にはウェスタンの555+15Aホーンが鎮座している)

Aさんの2階のメインシステムはJBL5ウェイシステムとCN191コーナーホ-ンの2系統のシステム。

           

そして部屋の片隅で鳴らされていたのが、今回お目当てのシステム。


           

シンプルな組み合わせなのにこれが実にいい音で鳴っていた!

「8PW1」はフルレンジなので、もちろんこれだけで再生できるのだが、周波数帯域を分割して「8PW1」を5千ヘルツ付近でハイカットしてそれ以上の帯域は中国製のツィーターに持たせるというやり方。いわゆる2ウェイである。

このケースではハイカット用として0.33mh(ミリヘンリー)のコイル、ローカット用として5μF(マイクロファラッド)のコンデンサーをそれぞれSPコードのプラス側に挿入すれば実に簡単に(周波数を)分割できる。

コイルやコンデンサーと聞いただけで拒絶反応を起こす人がいると思うが(実は自分もそうだった!)、LCネットワークに手を染めるとオーディオの愉しみが倍加すること間違いなし!

さて、「8PW1」を単独で鳴らしてみた時と、この2ウェイとを比較試聴したが圧倒的に後者が聴きやすかった。まあ、理論的に説明するほどの知識を持ち合わせていないし、聴感上の問題かもしれないが周波数を分割したことで、8PW1が明らかに豊かな音になった印象を受けた。

アンプはヤマハの往年の名器「CA2000」で、最近は既存のシステムを差し置いてこのシンプルなシステムで音楽を聴かれることが多いそうで、「
けっして大掛かりなシステムは必要ないですねえ」と二人でため息をついたことだった。

フルレンジの音に飽きてきた方やボチボチお蔵入りさせようかと思っている方は、その有効な活用方法の一つとして、この2ウェイ方式を是非試してみられたらいかがだろう。

我が家のフルレンジユニットの在庫はジェンセンのP8P、アルテックの403A(4ペア)、リチャードアレンの「ニュー・ゴールデン8」、そして「AXIOM301」(口径30センチ)だが、「301」をいずれこの方式でチャレンジしてみたいところ。


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マイルストーン

2013年07月11日 | オーディオ談義

現在、新千歳空港から高速バスで、ひたすら原野と小高い山の間を縫って、北海道の中央付近にある「トマム」というリゾートホテルに滞在中。

気温は日中で21度、朝晩は長袖が要るほどの涼しさ。ホテル内は韓国語と中国語のオンパレードで何だか外国に来ているような不思議な気分になる。これも円安効果の影響だろう。

幸い、ホテルでパソコン環境に恵まれたので、書き溜めていた記事をUPしてみた。

次のとおりです。

先日、オーディオ仲間のAさんとMAさん(太宰府市)からそれぞれ同じ情報提供があった。

「うきは市(福岡県)のKIさん宅で、AXIOM80がいい音で鳴っているそうですよ。是非試聴されたらいかがですか。」

「エッ」、と驚いた!

KIさん宅には忘れもしない昨年の10月に訪問して、ウェスタンの555+16Aホーンの音を聴かせてもらい度胆を抜かれたが、今度は「AXIOM80」(以下、「80」)にまで手を広げられたのだろうか?

まったく系統的に双方とも毛色が違ったシステムだし、想像もつかないままに、とにかく「80」がいい音で鳴っていると聞けば、全国津々浦々、一刻も早く駆け付けたくなる(笑)。

さっそく同じ「80」愛好家のKOさん(福岡)に、一緒に試聴に行きませんかとお誘いすると一つ返事でOK。どうせならと情報提供していただいたAさんもご一緒してもらうことにした。

KIさんのご都合をお伺いした結果、7月4日(木)の午後に決定。

当日は丁度梅雨の間只中で豪雨にならないことを祈りながら10時ごろに出発。3名とも別々の出発地点なのでいったん「道の駅うきは」で落ち合うことにした。

別府からずっと1本道なので、一般道で行くことにして、早めに家を出たが丁度2時間きっかりで目的地に到着。3名とも滞りなく集合してKIさん宅に到着したのが13時過ぎ。

「いやあ、どうもお久しぶりです。今日はお邪魔します。」

KIさんは昨年10月のブログでも紹介したが大きなお寺のご住職さんである。

「住職は宗教家であると同時に深い知識を持つ学者でもある。また、国と繋がりのある公務員としての一面や、慈善事業家としての一面も持ち、さらに芸術家としても優れており、“十職”と呼ばれていた時代もあった。」と、本に書いてあった。

まさしく、KIさんに接しているといつも何か啓発されるような清々しい気分に包まれる。さっそく2階のオーディオルームへ。

         

巨大な16Aホーンの前に鎮座しているスリムなスピーカーが我らが「AXIOM80」。ヒノオーディオ製のエンクロージャーだそうで、実に品のいい姿かたち。上に載っているのはカンノ製のツィーター。

駆動しているアンプは真空管DA30(イギリス)のパラレルプッシュプル方式。最近完成したばかりで、大宰府のMAさんの入魂の作品である。

            

この音響空間とシステムのラインアップを見ただけで、もう聴かなくてもどういう音が出るかはおよそ想像がついてしまう(笑)。

KIさんにお伺いしてみると、3年ほど前に「80」を手に入れられたそうで、他のアンプで鳴らすとキンキン、キャンキャンと甲高い音がしてどうしてもうまく鳴らない。

仕方なく、あきらめて蔵の中に直し込むところだったが、念のため最近導入したDA30のパラレルプッシュプルで聴いたところようやく鳴ってくれたとのこと。ここ2か月ばかり、16Aホーンはご無沙汰で、「80」ばかり愛用されている由。

そうなんですよねえ。「80」はことのほか神経質なので駆動してくれるアンプをメチャ選ぶ傾向にある。

うまく鳴らない代表的な事例が前述したようにキャンキャンと中高域が暴れてしまうことで、先日も名古屋のYさんからメールが来て、WE300Bを交流点火したアンプでその点を見事に解決したとあったし、今回同好したKOさんによると古典管の「45」(ST管)をトランスドライブしたアンプが手持ちの7台の中ではベストとのこと。(「80」の開発は「45」アンプで進められたのでこれも頷ける話。)

ほかにも、吸音材を含めてエンクロージャーの“つくり”も音質に多大な影響力を持っているし、これほど気難しいユニットをほかに知らないが、ツボに嵌ったときの凄さは筆舌に尽くしがたい。とにかく、汲めども汲めども尽きない泉のようなユニット。

それにしても堂々たる16Aホーンに伍して、小粒ながら立派に存在感を際立たせる「80」に改めて感心した。

3時間ほどCDからSPレコードまでいろんなソースを次から次に聴かせていただきながら音楽を堪能させていただいた。

「80」は百人百様の鳴り方をする個性的なスピーカーなので、未来永劫にベストの鳴りっぷりには出会えない気がしているが、さすがにこの「80」は十分「マイルストーン」に値する響きを持っていた。


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オーディオは4割、残りの6割は音楽

2013年07月07日 | 音楽談義

前回からの続きです。

1か月ぶりに我が家に試聴にお見えになったKさんが、はたしてどういう感想を述べられるか興味津々の中、初めにJBL3ウェイシステムを聴いていただいた。

ソースは「ヴァイオリン協奏曲」(モーツァルト:パールマン&レヴァイン)だったが、「JBLにしてはヴァイオリンが良く鳴ってますね」と、何だか気乗り薄の月並みな寸評。どうやら外交辞令のようで、残念。

次に本命のAXIOM80システムに切り換えた。「あれっ、この前と音が変わりましたね」。

したり顔で前回のブログで述べたような変更点を“とくとく”と解説(笑)。なお、前回の試聴のときに指摘されていた低音域のスピードの遅れを解消するために、エンクロージャーの下部に開けた4つのポートをすべて密閉した点も補足したが、この理由を詳細に説明すると長くなるので省略~。

どうやら、やっと本腰を据えて聴く態勢に入られたようで、やおら持参されたCDを取り出された。

          

アルゼンチンのフォルクローレ歌手「ヒナマリア・イダルゴ」。

ソプラノの中でも一番高い音域とされる「コロラトゥーラ」に分類される歌声の持ち主である。コロラトゥーラといえば、大好きなオペラ「魔笛」(モーツァルト)の「夜の女王」が有名。

このイダルゴはKさんが30年来のファンだそうで、ようやく最近になってお目当てのCDを見つけ、ニューヨークのCDショップからわざわざ取り寄せたという稀少盤。さっそく聴かせていただくと、これがものすごい美声の持ち主だった。

まるで天井まで突き抜けるように高い方まで音域が伸び、しかも透き通った声。これは凄い。世界にはまだ自分の知らない名歌手がいるんだと、ほとほと感じ入った。

Kさんの愛聴盤は村田英雄からシェリングの弾くバッハまで実にバラエティに富んでいて生来の音楽好きを窺わせる。

Kさんから「もう少し低音域のボリュームを落としてくれませんか」との注文が入った。ボーカルの周波数帯域は男性、女性合わせておよそ100~1万ヘルツほどだが、伴奏の低音域部分が中音域の方まで邪魔して音が被(かぶ)ってくるので、その辺を意識してのご注文。

いいも悪いも含めてマルチ・アンプ・システムならではの現象で、スケール感と分解能(清澄感)が両立できれば理想だが、ソースによって録音状態も違うし、なかなかグッドバランスが取りにくいのが悩みの種。

自分の知っている範囲だが「AXIOM80」愛好者は、音量ボリュームを出来るだけ控えめにする傾向がある。

6月1日に試聴した福岡のSさんもそうだし、Kさんもそう。先日のブログで瀬川冬樹さんのことを紹介したが、その中で「80~8000ヘルツの帯域がしっかり出ていれば、人はいい音に感じる」とあった。

まるで「AXIOM80」のためにあるような言葉で、音のスピードと切れ味、音色と彫の深さで勝負するユニットだからこれは十分うなずける。けっしてオーディオ的に周波数レンジを満たして楽しむスピーカーではない。

「AXIOM80がここまで鳴ればもう十分ですよ。正直言ってオーディオは4割で、残りの6割は音楽です。後はもっと、いいソフトを見つけて音楽を楽しみましょうよ」と、Kさん。

まったく、望むところです。これからはどちらがより多くの“いいソフト”を見つけるか、その競争をやりましょう!        


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そう簡単には負けられない!

2013年07月05日 | オーディオ談義

オーディオをやってて楽しいことの一つに「マニア同士の交流」が上げられる。

音楽の好みと音質への感性は人それぞれで、生まれも、育ちも、そして耳の形や脳細胞の連絡具合だって違うので、お互いに細部まで一致することはあり得ない。

したがって、手塩にかけたシステムを聴いたり、聴かされたりすることは異文化同士の衝突と同じことで、そこではいつも何らかの緊張感が漂い、そして示唆を受けることが多い。

久しぶりにKさん(福岡)から電話があった。(先週の話である)

「明日、試聴させてもらいたいのですがご都合はいかがですか?」

「もちろん歓迎です。あれからシステムの手直しを相当やってますのできっとご期待に添えると思いますよ。」と、自信ありげに答えたが、Kさんの耳は自分と違って只者ではないのではたして大丈夫かな?

SPユニット「AXIOM80」の同好者として、Kさんがこの3月に初めて我が家にお見えになってから通算すると今度が10回目のご来訪となる。かなりのハイペース。

お会いするたびに「〇〇さんとの交流のおかげで、俄然オーディオにヤル気が出てきました」と、いつも感謝されるが、な~に、裏を返せば相手よりももっと“いい音”を出してやろうと闘志満々のはず(笑)。

もちろん、お互い様で
当方だってそう簡単には負けられない!

Kさんの最後の訪問日は5月24日だから今回はおよそ1か月ぶりになるが、その間もKさんを驚かせたい一心で着々と布石を打ってきた。

その中身はプリアンプ1台、パワーアンプ1台をリフレッシュし、RCAコードの総入れ替えといったところ。

「この家は、しょっちゅうシステムの一部が変わっているなあ」と、口さがない連中が言うが、それはたしかに事実で「AXIOM80」ユニットは、超デリケートなので周辺機器の何かを変えただけでピタリと反応してくれるので実にいじり甲斐がある。それはもう恐ろしいくらい。

さて、初めにプリアンプの改造箇所だが後日のために記録に残しておくことにした。

          

これまで音質に対する不満はまったくなかったが、オークションで購入した真空管(6DJ8)の当たり外れ(音質の格差や雑音)があまりに激しいものだから、念のためいつものMさん(奈良)に一度診てもらおうと先日送付して、このたび戻ってきたばかり。        

その結果についての解説は次のとおり。


1  真空管上下同じ抵抗値にする 300オーム

交換する場所がハンダ作業容易なためとデイルのローノイズがありましたので交換。ローノイズと音質変化に期待しました。(別に上下同じでなければならないことではありません)

2  ヒーターバイアス40Vに設定、 220K、43K、47μF/100V を増設して左右分割電源に入れて、一方はダミーとする

ヒーター回路電圧は、左右共通なために通常はヒーターバイアス回路は1回路ですが、今回左右分割電源化のB電源最終フィルター仕上げをも目的に2回路作成し、1回路をダミーとしました。6DJ8真空管規格を見ますと、ヒーターとカソード間耐圧電圧は150Vです。ヒーターバイアス処理をしておかないと、上側6DJ8のカソードには140V位の電圧ですのでヒーターに40Vほどの下駄を履かせてやれば、140Vマイナス40Vで、100Vとなり耐圧電圧150Vに対して50Vの余裕となります。

3  電源電圧確認・・・降圧剤抵抗値を並列接続2本を1本に整理しました。

B電源回路の抵抗が並列接続で、見た目がイマイチでしたので、並列接続を1本にまとめて美しく(?)整理しました。

変更は以上のとおりです。

戻ってきたプリアンプを繋いで試聴してみると、明らかに透明感をはじめすべてが改善されていてパーフェクトの出来だった。これまで「AXIOM80」を鳴らすときのボリュームの位置が10時だったのが8時になったのが不思議。また、ツィーターの必要性をなぜか感じなくなったのが二度目の不思議。もちろんいいことには違いない。

次に、パワーアンプの2A3シングルステレオアンプ。購入してもう10年以上経つので、この際に劣化部分も含めて総点検してもらった。

           

今回の改善は、基本的に回路はそのままです。変更したのは以下の3点です。

 アースポイントに菊座ワッシャを使用して、確実なアースポイントにしました。

2 出力トランスのシ-ルド端子とスピーカーゼロ端子が直接シャーシーに落ちていたので、出力トランス・シールド端子のみをシャーシに落とし、スピーカーゼロ端子はアースポイントに配線しました。

 電源の高品質化を狙い、フィルムコンデンサーを最初の2段に(ブロックコン1本)使用、チョークコイル以降から完全左右分割電源にしました。今回は、2A3へのカップリングコンにオイルコンデンサーを使用していますので、日本刀のような切れ味はありませんが、ややマイルド!

如何でしょうか、切れ味をご所望でしたらフィルムコンになります。暫くこの温故知新のコンデンサーで試聴してみてください。

戻ってきたこのアンプも抜群の仕上がりで、我が家ではマルチアンプシステムなので初めからJBL用と決めているが、375ドライバー(中域)にあてがうか、それとも075(ツィーター)か、大いに迷ったが結局375にはPX25アンプをあてがって、このアンプは075用にした。

こうしてベストの態勢で迎える中、Kさんが我が家に到着したのは予告通りピッタリの11時。

さあ、いよいよ、真剣勝負の開始~。

以下、次回へ続く。


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真夏のミステリー

2013年07月03日 | 独り言

このほど、「真夏の方程式」(東野圭吾)ならぬ、「真夏のミステリー」に遭遇してしまった。

いきなり超人気ブログが雲散霧消(うんさんむしょう)したのだから本当に不思議!

経緯を説明しよう。

現在応募している「音楽ブログランキング」で、このところ2週間ばかり1位だったブログが該当のそれで、若手の女流ピアニストさんのサイトだったが何せ得票ポイントが凄かった。

当方の週間ポイントがせいぜい1000ぐらいのところを、何と8倍の8000ポイント以上も獲得するのだから驚く。もちろん2位を大きく離してブッチギリの1位。とにかく、たった1日のポイント数で他のブログの1週間分を軽くオーバーするのだからとても歯が立たない!

このランキングではここ数年ずっと1位を続けてきたが、こんな凄いブログが登場してきて自分のブログもそろそろ潮時が来たのだろう、丁度良かったと実は内心ほっとしたのも事実。

ランキング1位というのはうれしい反面、肩の荷が重いところがある。

「こんな“しょーもないブログ”が1位かよ!まったく(ランキングに)参加する意欲がなくなるなあ」と思う方が絶対いるはずだし、何せ一覧表の一番上に位置しているので目立つことこの上ない。したがって間違ったことを書くと人一倍恥をかくし(実際にそうだが)、使う言葉のウッカリミスにも気をつけなければならない。

正直言って「1位はちょっと気が重い。ウン、2位あたりに付けていくのが気楽だし、一番いいなあ」。

昔から目立ち過ぎるのは苦手なタイプである。したがって、高校時代に模擬試験の結果が廊下に張り出されるときなどは、いつも遠慮して上位に食い込まないようにしていたほど(笑)。

そういうわけで、内心“しめしめ”と思っていたところ、昨日(2日)の午後を境に、この人気ブログがいきなり影も形も無くなってしまった。いったい、どういうご事情があったのだろう?他のブログがあまりにも情けないので張り合いが無くなったのだろうか。まったく、「真夏のミステリー」。

それにしても、まるで台風一過みたいだなあ。

そういうわけで、昨日の午後からまたもやランキング1位に返り咲きました。

「またコイツが1位かよ~。まったく代わり映えがしなくてちっとも面白くねえや!」

まあ、そう仰らずに・・・(笑)。


 


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新しい交流の始まり

2013年07月02日 | オーディオ談義

それは6月21日に来た一通のメールから始まった。

「初めまして。〇〇と申します。別府市の北部〇〇に住んでます。辛うじて昭和ひとけた生まれに留まっています。音楽・オーディオが好きですが、私のは庶民派のレベルで自慢できるようなものは持っていません。しかし、モノづくりが好きでスピーカーのエンクロージャーを何台か作ったり、手ごろなアンプキットを作ったりしています。

スピーカーは専らフルレンジです。音楽のジャンルはジャズでアキシオム80さんとは違いますが、音楽を楽しむという意味では同じかなと思っています。さて、私が所有しているマランツのアンプ1150ですが、長年愛用してきましたがつい最近故障してしまいました。・・・・・」


という内容で、要は「別府市内でアンプを修繕してくれるところをご存じないですか?」ということだった。

真空管アンプの修繕なら、県外だが“一押し”の方を知っているものの、「1150」はトランジスターアンプなので心当たりがない。「ご要望に添えなくてまことにすません」と丁重にお断りしたが、数日経って再度メールが届いた。

「修理を手掛ける所が別府にないかとネット検索をしていたところ一軒見つかりました。出張はしないという事なので決心をして老躯にむち打って持込みました。主業務はパソコンの修理という事なのですがAudioもやりますということなので先ず診断を依頼しました。担当の方は昔Pioneerで25年くらいAudioのサービスエンジニアをされていたという年輩の方でした。

翌日診断結果の連絡があり、リレー基盤の基盤割れということで修復可能ということでした。ジャンパーで回路を作り、DC Offset, Idling current等の確認と内部の清掃をやるということでしたので修理を依頼しました。どうやら私がリレーを交換したときに基盤に無理な力が加わった二次災害だったようです。

翌日の夕刻できたという連絡で取りに行き、今日自宅で接続をしました。昔の性能が甦って喜んでいます。分かってみれば単純な故障でしたが、私は3本の線の切断だけに気を取られていたので思い付かないことでした。別府も小さいがこんな所もあるんだと再認識しました。」

すぐに返事のメールを送った。

「いやあ、良かったですねえ!たちどころに修理個所を発見して直してくれるとは、その技術者の方はなかなかの腕と思いますよ。参考のためにその修理会社名を教えていただけませんか?また、よろしかったらぜひ我が家に試聴にお見えになってください。人様にわざわざお聴かせするほどの音ではありませんが。」

そして、阿吽の呼吸で30日の日曜日13時から我が家で試聴の運びとなった。

当日は小雨模様の中、13時前後に自宅の前に出て目印の積もりでつっ立っていたところ、カーナビを利用されて迷うことなくご到着。

「いやあ、初めまして。どうかよろしくお願いします」。

さっそくオーディオルームにご案内して、ジャズがお好きと伺っていたので初めにJBLシステムで「ベイシー・ビッグ・バンド」。最後まで聴いたうえで、今度は「AXIOM80」システムに切り替えた。

「実に澄み切った音が出てますねえ。しかも芯がしっかりしています。この音なら1日中聴いてもまったく疲れませんね」と、お気に入りのご様子でほっとした。

後はずっとこのシステムで聴きながらお互いに積もる身の上話(笑)。音楽・オーディオという共通の素地があるので溶け込むのは早い。

Yさんは福岡のご出身で「修猷館高校~九大~三菱重工業(飛行機部門)~定年退職後に大学教授」との経歴をお伺いして、私も福岡生まれの福岡育ちですよ、と話が弾んだ。

マランツ1150へのこだわりの理由は、お嬢様が勤め始めてはじめてのボーナスで買ってくれた思い出深いアンプだそうで、大いに納得。

さらに、一人息子だったので卒業後は親から遠く離れて就職することに“ためらい”を覚えていたが、ご母堂が「社会人になったら親の周りをウロウロしてはいけません」と言ってくれたので気が楽になったとのこと。

いやあ、実に立派なお母さんですねえ!

オーディオ歴をお伺いすると、フルレンジSPの熱烈な愛好者でJBLの「LE8T」、三菱の「P610B」、ナショナルの「8PWX」と名機がズラリ。しかも先般「LE8T」のエッジをわざわざアメリカから取り寄せてご自分で張り替えられたそうで、相当ご熱心なマニアとお見受けした。

これは是非、近いうちにお伺いして聴かせていただかねばと、大いに意欲が湧いた。ジャズ中心に声楽、ヴァイオリンなどを織り交ぜていろんなソースをかけながら駄弁っているとあっという間に3時間ほどが経過して、辞去された。

その日の夜のうちにYさんからメールが届いた。

「今日は貴重な試聴の機会を設けて頂き有り難うございました。耳と目の保養になりました。本当に素晴らしい音でしたし、音楽も良かったです。それにお話が大変楽しかったです。時には折角の名演をつい忘れたりして演奏者には申し訳ない気持ちです。また同じ大学の出身ということも奇遇でした。明日からもう7月ですが、来週お時間の取れる日がありましたら、拙宅にもおいで下さい。御都合をお知らせ下さい。宜しかったら奥様もご一緒に来られると家内も喜びます。」

こちらこそ、ありがとうございました。ぜひ、2~3日中にお伺いさせていただきます。


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当たりの確率はおよそ3割

2013年07月01日 | 読書コーナー

今日は7月1日の月曜日。中央官庁や株主総会が済んだ大企業では人事異動が済んで初お目見えの日となる。日本各地の至る所で「〇〇です。どうかよろしくお願いします。」が繰り返されることだろう。思い出すなあ!

せめてこのブログぐらい、改めてよろしくお願いします(笑)。

さて、7年近くなるこのブログだが、(たかがブログでも)どうやら人生と同じように波があるようで、書く材料が少なかったり、多かったり、そして、筆の運びが鈍かったり、早かったりする時期が周期的に訪れてくる。

どうしても材料が思い浮かばないないときは、何とかひねり出そうとウンウン唸ったりするが、そんなにしてまでなぜブログを続けるんだろうと、ときどき考えることがある。しかし、逆に今の生活からブログを抜いてしまうと何だか張り合いが無くなってしまいそうだと思い直す。

まあ、そういうことの繰り返しがずっと続いているわけだが、今の状況は幸いなことにブログの材料が次から次に押し寄せてきてうれしい悲鳴を上げている。

なかなか筆の運びが材料に追いつかないのが癪の種だが
、こういうときは時系列にしたがってコツコツと処理するほかはない。

そこで、まず先週の話。

26日(水)は4つの図書館から借りていた25冊の本の返却日。

大方の予想どおり(?)、すべての読破は無理だったがせめてもの罪滅ぼしにと、2つの図書館だけには梅雨特有の“しとしと”雨の中、返却に行ってきた。

まず、隣町のH図書館へ。返却したのは「闇の奥」「大迷走」「静おばあちゃんにおまかせ」「切り裂きジャックの告白」「僕は、そして僕たちはどう生きるか」の5冊。           

このうち「切り裂きジャックの告白」がダントツに面白くて、その次が「静おばあちゃんにおまかせ」で残る3冊は残念なことにフィーリングが合わなくてザット目を通しただけ。図書館から借りる本のうち面白い本に出会う確率は、経験値から見て「当たりの確率はおよそ3割」で、これはプロ野球の一流バッター並の打率。

音楽評論家などが推奨するCDを実際に聴いてみたときも、だいたい同じくらいの確率かな(笑)。

さて、返却に行った際の駄賃とばかり借りたのが次の本。

          

最近読んで面白かった作家の作品につい手が伸びてしまったが、一番の期待は「鳥と雲と薬草袋」(梨木香歩)。全国48か所の珍しい地名の由来を追ったもので、自然観察と地名にまつわるエピソードの紹介がなかなかユニークそうだ。

本県の場合では「まなざしからついた地名→鶴見半島」「晴々とする“バル”→長者原」「いくつもの峠を越えて行く→牧ノ戸峠」があった。

 

H図書館が済むと、今度は地元のB図書館へと足を運んだ。

ここでも5冊を返却した。「クラシックの愉しみ」「内臓とこころ」「月光蝶」「福家警部補の再訪」「芥川賞物語」。しかし、確率の方はゼロでノーヒット。
           

この図書館は専用の駐車場がないので、路上駐車したまま“あたふた”と駆け込んで、バタバタと借りて、駆け足でクルマに戻るというパターンの繰り返し。とても、ゆっくり本を選択する暇はなく、目についた新刊書のタイトルだけを見て借りているので“はずれ”が実に多い。

完読したのは「月光蝶」だけという淋しさで、残りはハーフマラソンみたいな状態で終了。「クラシックの愉しみ」も腰を据えてじっくり読めば得るものがあるのだろうが、若い頃と違って解説書を読むくらいならその時間は音楽を聴いて楽しんだ方がいいような心境に近年はなってきた。

この図書館もまた返却のついでに、懲りずに次の5冊を借りた。

             

いずれも新刊本だが、今回は「当たり」が多そうな気がする。

まず、「シンクロニシティ」は過去に江戸川乱歩賞をとった「川瀬七緒」の作品だから期待が持てる。彼女の「147ヘルツの警鐘」は以前のブログにも取り上げたが、実によくできた本で、同じ「法医昆虫学捜査官」が活躍するのが楽しみ。

どうやら著者はシリーズ物にする積もりのようで、これは当方が期待していた通り。十分「絵」になる要素が大きいのでいずれテレビ・映画化される事は間違いなしと、断言しておこう。

「クルマは家電量販店で買え」は、モノやサービスの価格がどう決まっているか、が分かる本。第5章の「大学教育と学歴社会について考える → 大学教育を受けることで獲得する学歴の価格はどうみても高すぎる」の考察が面白そうだ。

「忘れられたワルツ」は短編集。著者の「糸山秋子」は2006年「沖で待つ」で芥川賞受賞。近年、歳をとるにつれてますます短絡思考に拍車がかかっているので、難しい本は勘弁してほしいのだが、はたして。

「カードウォッチャー」はミステリー。著者の「石持 浅海」(いしもち あさみ)は初めて聞く名前だが、つべこべ言わずにとにかく読んでみよう。
 


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