「オーディオ4兄弟~家貧しくして孝子出(い)ず~」からの続きです。
我が家の「オーディオ4兄弟」のうち、一番可能性を秘めているのが既に紹介したように次男坊だ。
同軸3ウェイユニットの「トライアクショム」と「AXIOM80」(復刻版)という同じグッドマン同士のユニットをクロスオーバー「300ヘルツ」で組みわせた変則的な2ウェイをこの1か月ほど愉しんできたのだが、試聴中にチラッと「何だかもっと冴えわたった高音域が欲しいなあ」と思ったのが運の尽きだった(笑)。
お誂え向きに我が家にはJBLの「075ツィーター」が眠っている。重量級の削り出しステンレス・ホーン付きだが、このホーンがメチャ高価だった。
何しろ「AXIOM80」(初期版)並みのお値段なのでこのまま遊ばせておくのは”もったいない限り”とずっと気になっていた。要するに”みみっちい”ということですな(笑)。
この「075」を何とか復活させたいものだがと、無い知恵を絞ったのが今回の組み合わせだった。
ご覧のとおり3ウェイである。
ただし、この3ウェイは持ち主と同じように少々変わっている(笑)。
スコーカーに当たるグッドマンの楕円形ユニットをフルレンジとして鳴らすことに大きな特徴がある。ローカット用の(必要悪の)コンデンサーを使わないで済むメリットはマイナス面を補って余りある。
そして低音域と高音域は付録として継ぎ足す感じ。
低音域用の「トライアクショム」はコイルを使って300ヘルツ以下(-6db/oct)でハイカット、ツィーターの「075」もウェスタンのオイルコンデンサー(1μF)でローカットする。
この状態でプリアンプの2系統出力を使ってパワーアンプ2台で低音域とフルレンジに分けて駆動するわけだが、音楽ソースに応じて低音域部分を自由自在に調整できるし、ハーモニーも音色にも不自然感が無いので大いに気に入っている。
問題はどのアンプを使用するかで、この選択次第で音質はいかようにも変化する。
低音域用のアンプは「6A3シングル」か「PX25シングル」か大いに迷ったが今回は「6A3」の元気の良さを採用した。
もともと「WE300B仕様」になっているのだが、「このアンプの動作の範囲内に限っては6A3でも使えますよ」と「北国の真空管博士」からご推薦をいただいたもの。
古典管ともなると総じてアメリカ球よりもヨーロッパ球の方がツクリがいいそうだが「アメリカ球ではレイセオン、ウェスタン、カードン、そしてシルヴァニアの初期ブランドはとてもツクリがいいですね。6A3にきちんと所定のプレート電圧をかけてやったらWE300Bの刻印物に引けを取りませんよ」とは、博士の弁である。
現在手持ちの6A3(刻印)はそのシルヴァニアの初期もので新品同様を博士から2ペア譲ってもらった。これだけあれば命尽きるまで十分、こうして”おおらか”に記載できようというものだ(笑)。
以前は低音域の薄さがやや気になっていたのだが、このところ、むしろ”へたった”年代物の300Bよりもいいとさえ思えてきたのはうれしい限り。プリアンプを変えたせいかな・・。
そして次は中高音域用のアンプ。
「71Aシングル」の左が1号機、右が2号機だが、違うのは一番左側の前段管だけで他はインターステージトランスから出力トランスまですべて一緒である。
両者とも出力が1ワット前後なので低音域の押し出し感は望むべくもないが、中高音域専用にはもってこいなのでメチャ重宝している。
1号機の前段管は「A411」(独ヴァルボ:バリウム昇華型フィラメント)、2号機は「AC/HL」(英国マツダ:傍熱管)で、いずれも甲乙つけ難しの出来栄え。
強いて言えば「μ(ミュー=増幅度)」の違いで、「A411」は「20」前後、「AC/HL)は「30」前後なので、周波数レンジは2号機の方が広い。ただし、音の密度は1号機に軍配が上がる。
今回は「075ツィーター」の出番とあって高音域のレンジに腐心したので2号機の出番とした。
さあ、いよいよ試聴である。
オーディオは「フルレンジ→2ウェイ→3ウェイ」とユニットが増えるごとにハーモニーが難しくなるので、ここは最初からあっさり他人の耳を借りたほうが得策。
11日(土)の午後、小雨の中を近くにお住いの「Y」さんに来ていただいて試聴会を行った。
一聴するなり「いかにもグッドマンらしい澄んだ音が出てますね。075も大いに貢献してますよ」と感心されることしきりだった。どうやらうまくいった様子。
何やかや言ってみても、オーディオは「音の透明感が1丁目1番地」と思っているので、これは最高に勇気づけられる言葉ですね。
しばらく、この方式で試聴してみるとしよう。
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