中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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型にはまる

2014年01月15日 | コンサルティング

「型にはまっている」 「型にはめて考える」

皆さんはこれらの言葉から、どういう状態をイメージされますか?

どちらかと言うと、ネガティブなイメージを持つ方が多いのではないかと思います。

多くの場合、「型にはまる」はチャレンジしない、創造的でない状態の表現に使われますが、変化の激しい現代においては、従来のやり方が通用しないことが多く、「型破り」な斬新な考えこそが、革新的で重要だと考えらえる節もあります。

もちろんそのような考えをすべて否定するものではないのですが、あえて「型にはめて考える」ことも、重要な一つのやり方だと思います。

このようなことを考えていて思い出したのが、「守破離」という言葉です。

「守破離」は、現代では剣道や柔道などの武道をはじめ茶道、華道などの伝統芸能の伝承において使われている言葉だと思いますが、もともとは約600年前の世阿弥の「風姿花伝」から来ているようです。

守破離の意味ですが、「守」はご存知の通り基本の型を習い身に付けること、「破」は習った型を応用すること、「離」は自分なりに創意工夫をして極めていくことです。

私自身、長いこと武道として太極拳を学んでいましたが、まずは徹底的に基本の型を練習しました。何年経っても道場では必ず師に礼をし、毎回基本の型を練習してから新しい技を習いました。

そして、これは武道に限ったことではないと思います。何かを自分のものにするためには、基本をおろそかにせず順を追ってステップを踏むことで、初めてオリジナルのものを創れるようになるのではないでしょうか。

このことは人材育成においても同様のことが言えると思います。新入社員はもちろんのこと、新しい仕事を覚える時にいきなり奇をてらうのではなく、「型」である定石を覚えることが一番の近道、先ずは定石を侮るなかれと言うことです。

「守」で基本をしっかり身に付けて、型を完全に体得できたら、ようやく次のステップです。身につけた型を破り、応用にコマを進めます。これが「破」の段階です。つまり、「破」は「守」の土台があってはじめてその上に成り立つことで、いきなり「守」を飛ばして応用の段階である「型破り」を試みてもうまくはいきません。ジャンプは、ホップとステップがあってはじめてできるわけです。物事には、順序があるということです。

さて、新年が始まって早くも2週間が過ぎました。昨日で松の内は終わりましたが、これから新しいことを始めようと考えている方は、是非「守破離」を意識してみてはいかがでしょうか。

ホップ・ステップ・ジャンプと言えば、30年以上前に歌手の西城秀樹さんのシングルのタイトルがまさに「ホップ・ステップ・ジャンプ」でしたね。

30年以上前のことをはっきり記憶している年齢の私も「守破離」を今一度かみしめたいと思います。

(人材育成社)