中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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法隆寺を創った企業

2014年01月22日 | コンサルティング

世界最古の企業はどこの国にあるかご存知ですか?

ギリシャでしょうか?ローマでしょうか?それとも中国?

その答えは、何とわが日本の「金剛組」という名前の企業です。金剛組の創業は578年、飛鳥時代には既に企業が存在していたのです。6世紀と言えば聖徳太子や蘇我馬子の時代。今年で創業1,436年!ですから、金剛組がいかに歴史のある企業なのかかがわかりますね。

金剛組は、寺社仏閣の建築や設計・施工、城郭や文化財建造物の復元や修理を主に行っている会社です。その歴史は四天王寺建立のため、聖徳太子が百済より招いた3人の宮大工のうちの1人、金剛重光氏が創業し、江戸時代に至るまでは四天王寺お抱えの宮大工だったそうです。

593年に四天王寺を、607年には法隆寺を創建しており、その時の工法は今も金剛組に生きているそうです。歴史的建造物として名高いあの法隆寺の建築を担ったのが一企業だったとは驚きですが、改めてその歴史の長さを感じます。

ところで、皆さんは企業が存続し続けることがどれくらい大変かご存知ですか。

それを知るのには、「企業の生存率」という言葉があります。生存率は算出方法によって結果に多少の違いがあるようですが、国税庁のデータに基づくと設立5年で85%の企業が廃業及び倒産し、10年以上存続できるのは6.3%、30年続く会社は0.02%となっています。

この数字からも、企業が存続し続けることがいかに大変かということがわかると思います。

こうした中、金剛組は1,456年もの間存続しているので、これはある意味で奇跡とも言えるのではないでしょうか。

では、金剛組はなぜ存続し続けることができたのか?

その要因はいろいろあると思いますが、一つは寺社仏閣の建築や設計・施工という他社が進出しにくいニッチな分野を専門にしていたこと。さらに、他分野に事業を広げず、どこまでも専門分野を追い続けことも大きな要素だと思います。

企業はその歴史を重ねる中で、新規事業や新たな市場に進出するなど、拡大路線を目指すことがあります。

例えば、白物家電を扱っていた企業がオーディオや素材分野に進出したり、新規に海外に市場を拡げるなどして事業の拡大をはかったり、不動産への投資やデリバティブによる資産の増大をめざすこともあります。

これらの戦略は大きな利益を生むことを期待できる一方、リスクもあり過去に失敗した企業の例も沢山ありました。

ニッチか拡大か、企業の生き残り戦略としてどちらを選択するのか。その時々の環境や状況により、判断は大変に難しいところだと思います。

金剛組も、その長い歴史の中では様々な風雨があったことと思いますが、1,436年間わき目も振らず、他社が追随できないニッチな分野で事業を続けてきたということだと思います。

しかし、その金剛組にもかつて環境変化の嵐が巻き起こったのです。神社仏閣にコンクリート建築が増加したことで、大手ゼネコンとの価格競争に巻き込まれ、経営危機に陥りました。2005年に松コンストラクショングループの子会社となる道を選択し、現在は100人以上の宮大工を抱え経営を続けているそうです。

このように考えると、企業が存続していくためには、拡大かニッチかといった選択のみならず、時々の環境の変化にいかに適切に対応していくかが大切だということだと思います。

かつて太古の地球で、大きくて強かったはずの恐竜が生き残れなかったのは環境の変化に対応できなかったからだ、という意味がとてもよくわかります。

さて、我が人材育成社は今年の6月で創立4年目に入ります。変化の速い時代にどのような戦略をとるのかを見極め、お客様に必要とされ、愛される企業であり続けられるように努力をしていきたいと思います。

皆様、今後もどうぞよろしくお願いいたします。(冒頭の写真はWikipediaより)

(人材育成社)