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日本人の知的好奇心

2018年02月14日 | コンサルティング

 「本は読まないから、本箱は置かないの」

これは私の友人が知り合いの新居にお邪魔したときに、聞いた言葉だそうです。

友人によれば、知り合いの新居は最新式の家電や素敵な家具を取り揃え、それはまるでモデルルームのように素敵だったそうです。しかし、同時に高校生の子どもがいるのにもかかわらず、本箱がないことにも驚かされたとのことでした。

その話を聞いたのと同じころに読んだのが、教育社会学者の舞田敏彦氏による記事です。舞田氏によると、OECDの国際成人力調査(2012年)の結果から、「日本人の知的好奇心は20歳ですでに老いている」とのことです。

この調査では、日本人は学力はトップだけれど「新しいことを学ぶのが好き」という知的好奇心が極端に低く、21か国中で下から2番目(最下位は韓国)。日本人の20歳の知的好奇心は、何とスウェーデンの65歳とほぼ同じレベルとのことでした。

かなり衝撃的な結果だと思うのですが、このような結果をもたらした原因は一体何なのでしょうか。これには日本の教育制度をはじめ様々な理由がありそうですが、それを見極めるのは結構難しいのかもしれません。

それでは今後、日本の若い世代の知的好奇心を向上させるためには、どうすればよいのでしょうか。

もちろん、何に知的好奇心を持つのかは人それぞれですが、まずは「ちょっと面白そう」と興味を持つことができる選択肢を増やしていくことが必要なのではないでしょうか。「面白そう」と思える選択肢が多くなれば、それに伴い知的好奇心が刺激されるものに出会える確率も増えるわけですから。

それでは、この選択肢を増やすためにはどうすれば良いのか。

私は、そのきっかけの一つは本を読むことではないかと思います。よく言われることではありますが、本を読むということは、自ら興味を持って本の中に書かれている様々な世界にふれ、その結果自分でいろいろと物事を深く考えるきっかけになっていると私自身も感じています。ですから、特に子どもの時にこうした経験をすることが大事だと思っています。

聞くところでは、今後、小学校で新たに英語が教科となり、英語のスキルを育てること、具体的には英語によるコミュニケーション能力の基礎を養うことに主眼を置くことが検討されているそうです。

もちろん、それ自体は結構なことだとは思うのですが、でもその前に、まずは「学びたい、もっと知りたい」という知的好奇心を養うこと、それが先じゃないのと思ってしまいます。

さて、冒頭の知り合いの家ですが、高校生の子どもは実は本は読まなくても、たとえばテレビなどで興味のあることを見つけると、すぐにスマホ(ネット)でそれを検索しているそうです。

なるほど、そのスピード感はいかにも今の時代らしいなと思いましたが、同時にそれは「広く浅く」なのかもしれません。

知的好奇心という意味でも、中身をもっと深く探求したいと思うのなら、やっぱり本を読むほうがいいのではないかと思うのですが、皆さんはどのように思われますか。

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