「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。
「6月に辞めさせてもらえるように会社と戦っています」
これは先日弊社が担当させていただいた、あるセミナーでお会いした30代の受講者の言葉です。
彼の話によると、半年前にも退職の意思を上司に伝えたそうですが、上司と経営者に引き止められてしまったそうで、「今度こそ絶対に辞める」と力を込めて話していました。
退職したいと考えている理由を尋ねてみると、残業代こそきちんと支払われるものの長時間労働であること、また、職場の人間関係が悪く、書類を渡す際にファイルを机に投げつける人がいるとのことです。
そして半年前に退職の希望を伝えてからは長時間労働は多少改善されつつあるものの、相変わらずパワハラとも受け取れる同僚の行為に対して、上司は「あなたの思い過ごしではないのか?」と真剣に向き合うことはないとのことです。
一方、上司や経営者が彼の退職希望を拒む理由は、彼の話によると主任として仕事に真面目に取り組む彼を失いたくないと考えているからだろうとのことです。
話は変わりますが、先日のニュースで10連休の後半から退職代行サービスを請け負う会社への相談件数が増加しているとの報道がありました。
退職代行サービスとは、本人に代わって「辞めます」という意思を会社に伝えてくれるサービスです。
数年前に初めてこのサービスの話を聞いたときは、「自分のことなのに、なぜ自分の口で言わずに人(他者)に頼むのだろう?」と疑問に思いました。
しかし、先の話のようにSOSを発し、退職を決断するまで思い詰めている社員が目の前にいるのにもかかわらず、その問題にきちんと向き合おうとせずに、退職を拒む上司や経営者の例を見ると、それもやむを得ないのかなとも思います。
現在、退職代行サービスの需要が増えている背景には様々な理由があるのでしょう。しかし、もし社員が退職を表明してくるようなことがあっても、いきなりそれを拒むのではなく、まずはその理由をきちんと確認したうえで、丁寧に問題解決に努めていくという姿勢を表明する必要があります。
単に退職を拒むだけで問題を放置したならば、本人としてはいたし方なく退職代行サービスを使わざるを得ない状況に追い込まれてしまうということです。
しかし、もっと根源的に考えるならば、そもそも社員が退職希望を出される前に何がしかののサインがあるケースが多いはずです。
上司や経営者は、常に社員の仕事に取り組む姿勢や表情に敏感になる、様々なSOSのサインを出していないか注意することが必要です。
長い連休が終わったこのタイミングで、まずはそこから始めてみませんか。