「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。
「実は、社内のグループウェアにアクセスできる人間を限定しており、○○部の情報は社長に見えないようにしています。情報を知られてしまうと、いろいろ横やりが入ってしまい、ややこしいことになってしまうからです」
これは先日、ある中小企業に勤めている方から伺った話です。この企業では、昨年社内の情報共有を目的にグループウェアを導入したそうですが、なかなか狙いどおりには活用できていないとのことです。
本来、せっかくグループウェアを導入したのであれば、プラスの情報だけでなくマイナスの情報もあわせて共有するべきです。それをしていないのであれば導入の効果は半減してしまっているはずです。
たとえば、マイナス情報をすべての関係者が共有することにより、さまざまなリスクを予見でき、対応策を講じてクレームを回避したりすることが可能になるわけです。
しかし、この方によれば、経営者がそうした情報を見た場合「今後そのようなことがないようにするには、どうすればよいのか?」と前向きにとらえることはしないのだそうです。反対に「どうしてそういうことになったんだ!」、「なぜ、そういうことをしたんだ!」など、原因の追究に終始してしまい、なかなか改善につながらないとのことです。
このようなことが続くと「自分にとって都合の悪いマイナスの情報は隠して、こっそり片付けてしまおう」と、つい考えてしまうのが人間心理です。
このため、こうした人間心理を踏まえたうえできちんとした情報共有のルールを作っておかないと、冒頭の例のようにプラスの(都合の良い)情報ばかりを選択・共有することになってしまいます。それでは問題の改善につながらないばかりか、再び同じ問題がおこってしまうこともありえます。
さらには、経営者が本来知っておくべき必要な情報にアクセスできなってしまい、判断や対応をあやまってしまうということも起こり得るのです。
働き方改革の一環として仕事の生産性の向上が追求されている昨今、グループウェアを導入さえすれば、一気に効率化が図れるというように考えがちです。
しかし、前述のようにどういう情報を共有すれば仕事の効率化が図れるのかを明確にし、そのためのルールをきちんと決めてから導入しないと、意味のあるグループウェアにはなりません。
グループウェアの導入には相応のコストがかかります。せっかく先行投資して導入しても、上手く活用でなければ意味がありません。
これから導入を考えている経営者の皆さん、あるいはすでに運用しているのになかなか効果が見えてこないと感じていらっしゃる経営社の方はぜひ、宝の持ち腐れにならないようにご注意ください。