「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「今年の採用活動では、集団討議もオンラインで行います」
これは先日、ある企業で採用と人材育成を担当されている方から聞いた言葉です。
コロナ禍もあり、オンラインによるテレビ会議システムが一般的に使用されるようになって、そろそろ1年になろうとしています。オンラインを仕事で使用する範囲は日を追うごとに広がっていますが、2022年の採用活動では面接のみならず、集団討議までオンラインで行う企業が増加することになりそうです。
冒頭の担当者の話では、「オンラインでの集団討議の参加者向けのマニュアルがあるため、学生はそれを見て練習しています。それを踏まえて、こちらも臨まなければなりません」とのことでした。
これまでにまだ数はそれほど多くはないのですが、弊社ではオンラインで管理・監督職への昇格登用のための面接官や、採用試験での集団討議の面接官を担当させていただいたことがあります。それらの経験を踏まえ、オンラインでの集団討議に採用側としてどのように対応したらよいのかを改めて考えてみたいと思います。
これまでの経験を踏まえて考えると、基本的には対面とオンラインでの集団討議は大きくは変わらないということです。もちろん、それぞれにメリットとデメリットがあるわけですが、今の状況を考えればオンラインの方がむしろメリットが多いのかもしれません。
一例をあげると、昨年対面での集団討議を担当させていただいた際には、コロナウイルスへの対策のためにソーシャルディスタンスをとる必要がありました。そのため、討議の人数が5人を超えてしまうような場合には、一番遠くに座っている人同士の間で物理的な距離が生じてしまい、お互いの表情が少々見づらいということになってしまいました。また、声が小さい人がいると聞こえにくいことや、ホワイトボードの板書の文字も見えにくいということもあったのですが、オンラインでは基本的にそうしたことは起こりません。
さらに、対面の場合はマスクの着用が必要なためお互いの表情が確認しづらいのですが、オンラインであればマスクの必要がないことから、参加者同士が互いの表情をしっかり確認することができます。この点は面接官にとっても評価の際に大きなメリットになります。
以前は私も「集団討議は対面でなければ」と思っていました。しかし、今ではこのようなオンラインならではのメリットを踏まえれば、今後は採用側もそのメリットを積極的に活かした進め方を探っていくことが大切だと考えています。
なお、これは対面の場合でも同じですが、集団討議の目的に向けてどのように参加者が討議にかかわっていこうとするのかはオンラインにおいても重要なポイントです。討議終了時に一人一人が存分に討議に臨めたと思えるようにするために、参加者自身がどういう姿勢で臨もうとするのかは、ある意味では距離があるオンラインだからこそより大切です。単にマニュアルに沿って参加すればよいということではありませんし、面接官にはそこをきちんと見極めて評価をしていくことが求められていると考えています。
今年も弊社では外部の立場で面接官を担当させていただくことがありそうです。その際は参加者一人一人の人生の岐路に居合わせることになるわけですので、誠心誠意面接官の役割を担いたいと考えています。