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第1,255話 無自覚にパワハラを繰り返す人には

2025年03月05日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「パワハラを見聞きしたことはありません」

これは、弊社がある組織の管理職昇任試験の面接官を担当させていただいた際に、受験者の一人であるA氏が発した言葉です。

管理職昇任試験面接では、職場のコンプライアンスやハラスメントについて質問することがありますが、A氏ははっきりと「パワハラはありません」と返答したのです。しかし、その組織の人からの情報によると、当のA氏は部下を呼びつけて目の前に立たせ、小一時間にわたって小言を言うことが定期的にあるということなのです。過去に何度かそのようなことがあったため、社内の研修に加えて上司からも度々A氏に対して個別に指導を行ってきているそうですが、残念ながら一向に改善されないということです。

ハラスメントには様々なものがありますが、その中でも様々な組織において繰り返されるパワーハラスメント(以下パワハラ)が、広く世の中で問題として認知されるようになってから、既に30年ほどが経過しています。この間、厚労省でもパワハラを定義するとともに該当する具体的な言動等を6つの類型により示すなど取組んできていますが、それでも根絶することは難しいのが現状です。現に、労働基準局の令和5(2023)年の精神障害における労災の支給決定件数の中で、パワハラ(上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃を受けた)にかかるものは、289件と前年よりも32件増加しています。

様々な取組みが行われている状況にもかかわらず、パワハラを根絶することが難しいのはなぜなのでしょうか。

その理由は様々かと思いますが、私が考えるにはそもそもパワハラの加害者は自身の言動に無自覚であり、また自身のストレスの発散なども要因となって、比較的従順な部下に矛先が向いてしまっているのかもしれません。そのためか、これまでA氏は職場を異動させたとしても、必ず新たな標的を見つけ攻撃してしまうことが繰り返されてきているのだそうです。

A氏自身は実務能力は高いということであり、面接の中でも理路整然と受け答えができるため、前述の情報がなければパワハラを繰り返す人とは私自身想像がつきませんでした。

パワハラは許されない行為であり、A氏のように無自覚なままパワハラを繰り返すことを続けると被害者への影響はもちろんのこと、A氏自身(加害者)にも不利益が生じることになります。具体的には、キャリアの中断(異動)になったり、懲戒処分や法的責任制裁を受けたりするなどもありえます。

またその職場にとっても、パワハラが行われることでパワハラを直接受けている人のみならず、周囲の人も次は自分がターゲットにされてしまうかもしれないと不安を感じるなどにより、職場の風土が悪化することになりかねません。

さらには、その組織全体にとっても問題を解決するまでの時間や労力がかかるのはもちろんのこと、対応次第では法的な責任(安全配慮義務違反等)に問われることも考えられます。そして、こうしたことで組織のイメージが悪くなってしまい、たとえば新たに人を採用しようとしても難しくなるといった状況を招いてしまうかもしれません。

言うまでもなく、パワハラは絶対に許してはいけない行為です。A氏のように無自覚にパワハラを繰り返す人には、単に指摘するだけでなく適切な指導の仕方を具体的に示すとともに、組織全体としても「パワハラは許さない、断固として対応していく」という強いメッセージを発信し続けることが必要だと考えています。

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