公民館エアカー失敗事件の直後から、次は電池を搭載せず、モーターも1個だけで浮上と推進をまかなえる軽量構造に作り変えようと基本設計の大幅な変更を心に決めていた。だが、それだけでエアカーが浮き上がる自信はまったく無かった。
そんな時、テレビでホバークラフトという乗り物のことを知った。ホバークラフトのポイントは、エアカーテンという空気がたまる部分を車体下部に持つことだと知って、これだ、と思った。これで僕のエアカーも浮くぞ、と急に自信が湧いてきた。
長時間電力を供給するために単1電池2本の電池ボックスを長い電線でつなぐことにした。電源に1.5V電池を選択したため、モーターは1.5Vの普通のプラモデル用を使うことになった。車体は、失敗したエアカー1号をそのまま使用することにした。
ゼロ戦のプロペラは機体前方に着いているが、これをエンジン部分から切り取って機体の背中に乗せてしまったような形になるように、モーターを車体中央の空気穴の上に水平に配置した。空気の吸い込み口から吸い込んだ空気が漏れずに車体下部に流れるよう、薄いバルサ材を小さく切って接着剤で繋ぎ、モーターを取り囲む半円形のドームを作った。入り口が車体前方を向いた雪のカマクラを車体の上にかぶせたような形状だ。前進する力と車体下部に空気を送り込む力を1つのモーターで 生み出すには、この形が一番いいと考えたのだ。
捨てるはずだった青い枕カバーの布をもらい、テレビで見たホバークラフトのエアカーテンのようなひだのあるカーテンを縫った。これを接着剤とホチキスの針で車体下部に取り付けた。
接着剤が乾くのを待って、即座に試運転を試みた。エアカー本体から2メートルほど伸ばした電線の先の白い電池ボックスのスイッチを入れる。プロペラが回り、エアカーテンに空気が溜まるのがわかる。と、思った途端、浮き上がったエアカーは、すごい速さで滑らかに進んで、リモコン電線の限界に到達し、電線の位置を微妙に変えるだけで何の抵抗も無く自分の思った方向に動かすことができたのである。
初めての成功だった。と、私はまた、それを友人達に披露したくてたまらなくなった。夏休み後半、私の通っていた小学校では「プール登校日」と言う特別な日が用意されていた。私達の小学校にはプールがなかったので、近所の中学校までプールを借りに出かける日だった。私は何を思ったのか、そのプール登校日に、このエアカーを持ち込んだのである。
リモコンの電源線を5メートル程度まで伸ばし、わくわくしながらプールサイドにエアカーを持ち込んだ私は夏休み後半に入って退屈しきっている子供たちに、「これからエアカーの試運転をやります」と高らかに宣言した。今思えば何と勝手気ままな、のびのびした校風であったことか。
周囲に少年たちが集まって来た頃合いを見計らってリモコンのスイッチを入れると、エアカーはたちどころに浮き上がり、滑らかに動き始めた。「おお」「すげえ」と絶賛の嵐である。そのうち、見ていた一人が、「エアカーなら水陸両用だろう」と言い始めた。その通り。エアカーなら水上も走らなければおかしい。だからプール登校日にやって来たのだ。
「じゃ、行くぞ」と私はエアカーをプールサイドからプール内にジャンプさせた。前のめりに着水したエアカーは、布でできたエアカーテンが水を吸い、車体がすっかり水に浸かった。回転するプロペラが水に潜る働きをして、車体の浮力と水に潜ろうとする力が入り混じって水の上でひょこひょこと動いた。
おそらくショックだったのだろう。私はその後、どうやってエアカーを水から引き上げたのかさっぱり覚えていない。だが、家に帰るとさっそく黒いゴミ袋をもらい、それでエアカーテンを作って枕カバーで作ったエアカーテンと取替え、扇風機の箱に入っていた発泡スチロールを小さく切り取って車体の下部4隅に接着し、その浮力によって水面に置いても車体が水没しない改良を加えた。
夏休み最後のプール登校日、改良したエアカーはプールの上を滑るように走った。
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横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
そんな時、テレビでホバークラフトという乗り物のことを知った。ホバークラフトのポイントは、エアカーテンという空気がたまる部分を車体下部に持つことだと知って、これだ、と思った。これで僕のエアカーも浮くぞ、と急に自信が湧いてきた。
長時間電力を供給するために単1電池2本の電池ボックスを長い電線でつなぐことにした。電源に1.5V電池を選択したため、モーターは1.5Vの普通のプラモデル用を使うことになった。車体は、失敗したエアカー1号をそのまま使用することにした。
ゼロ戦のプロペラは機体前方に着いているが、これをエンジン部分から切り取って機体の背中に乗せてしまったような形になるように、モーターを車体中央の空気穴の上に水平に配置した。空気の吸い込み口から吸い込んだ空気が漏れずに車体下部に流れるよう、薄いバルサ材を小さく切って接着剤で繋ぎ、モーターを取り囲む半円形のドームを作った。入り口が車体前方を向いた雪のカマクラを車体の上にかぶせたような形状だ。前進する力と車体下部に空気を送り込む力を1つのモーターで 生み出すには、この形が一番いいと考えたのだ。
捨てるはずだった青い枕カバーの布をもらい、テレビで見たホバークラフトのエアカーテンのようなひだのあるカーテンを縫った。これを接着剤とホチキスの針で車体下部に取り付けた。
接着剤が乾くのを待って、即座に試運転を試みた。エアカー本体から2メートルほど伸ばした電線の先の白い電池ボックスのスイッチを入れる。プロペラが回り、エアカーテンに空気が溜まるのがわかる。と、思った途端、浮き上がったエアカーは、すごい速さで滑らかに進んで、リモコン電線の限界に到達し、電線の位置を微妙に変えるだけで何の抵抗も無く自分の思った方向に動かすことができたのである。
初めての成功だった。と、私はまた、それを友人達に披露したくてたまらなくなった。夏休み後半、私の通っていた小学校では「プール登校日」と言う特別な日が用意されていた。私達の小学校にはプールがなかったので、近所の中学校までプールを借りに出かける日だった。私は何を思ったのか、そのプール登校日に、このエアカーを持ち込んだのである。
リモコンの電源線を5メートル程度まで伸ばし、わくわくしながらプールサイドにエアカーを持ち込んだ私は夏休み後半に入って退屈しきっている子供たちに、「これからエアカーの試運転をやります」と高らかに宣言した。今思えば何と勝手気ままな、のびのびした校風であったことか。
周囲に少年たちが集まって来た頃合いを見計らってリモコンのスイッチを入れると、エアカーはたちどころに浮き上がり、滑らかに動き始めた。「おお」「すげえ」と絶賛の嵐である。そのうち、見ていた一人が、「エアカーなら水陸両用だろう」と言い始めた。その通り。エアカーなら水上も走らなければおかしい。だからプール登校日にやって来たのだ。
「じゃ、行くぞ」と私はエアカーをプールサイドからプール内にジャンプさせた。前のめりに着水したエアカーは、布でできたエアカーテンが水を吸い、車体がすっかり水に浸かった。回転するプロペラが水に潜る働きをして、車体の浮力と水に潜ろうとする力が入り混じって水の上でひょこひょこと動いた。
おそらくショックだったのだろう。私はその後、どうやってエアカーを水から引き上げたのかさっぱり覚えていない。だが、家に帰るとさっそく黒いゴミ袋をもらい、それでエアカーテンを作って枕カバーで作ったエアカーテンと取替え、扇風機の箱に入っていた発泡スチロールを小さく切り取って車体の下部4隅に接着し、その浮力によって水面に置いても車体が水没しない改良を加えた。
夏休み最後のプール登校日、改良したエアカーはプールの上を滑るように走った。
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