ロケット実験に大失敗した小学6年生の私は、意気消沈して、なぜか公民館の本棚にある子供向け本を片っ端から読み漁る少年に変貌した。当時の公 民館の本棚には、SFや21世紀の明るい未来を予想する本か、伝記、ないしは動物記のたぐいが無造作に突っ込まれていた。私はSFや未来予想図が 書かれた本が大好きで、公民館の板の間に座り込んで飽きずにページをめくった。中でも、NHKテレビでやっていて大好きだった「空中都市 008(ゼロゼロエイト)」という番組を解説した本は何回も何回も眺めた。そうしているうちに、夏休みを利用して「空中都市008」の中を走っていたエアカーが作りたくてたまらなくなった。
私は模型屋に行き、店主に「すごく強力なモーターが欲しい」、と言った。当時、模型のレーシングカーが流行っており、模型のモーターはどんどん強力になっていた。店主が勧めてくれたのは通常模型用の1.5V乾電池で動くタイプではなく、9V電池で動くタイプのものだった。このモーターと赤い3枚羽のプロペラ、そしてぶ厚い模型用バルサ材をお小遣いの全てを注ぎ込んで買い込んだ。ロケットで懲りたことはすっかり忘れていた。
ぶ厚いバルサ材に鉛筆で流線型のエアカーを描き、紙やすりで少しずつ形を整えるのが夏休み前半の私の仕事となった。後で知ったことだが、自動車 のデザインを決定する時、実物大の模型を私がやったのと同じように削り出して作っているらしい。
エアカーの中心には浮上用のプロペラを取り付ける7センチほどの直径の穴を開け、その穴の上にピアノ線を折り曲げて9V電池で動く強力モーターを固定する台座を置いた。後方には推進用の1.5V電池で動くモータを設置した。
推進用モーターの下には9V電池と単3電池2本を搭載できるようにした。なかなかカッコいい。当時の私は自分で作っているエアカーを眺めてそう思っていた。
なぜそんな風に考えたのか良くわからないのだが、私は出来上がったエアカーを公民館で試運転してみたいと考えた。夏休みの半ば、公民館には卓球をするために近所の男の子や女の子が集まっていた。
私は「これからエアカーの試運転をやる」と子供達に宣言して、うやうやしく、作ったエアカーを床に置いた。エアカーを見た男の子達からは「おおお」と声が上がった。私の鼻はその瞬間1メートルぐらいまで高くなっていたと思う。「ではスイッチを入れます」と言って私はエアカーの背に着いている浮上用モータの電源スイッチと推進用モーターの電源スイッチを2つ同時にオンに倒した。
2つの赤いプロペラが勢い良く回り出し、風が吹き出した。ふわりと車体が浮き上がって滑らかに床の上を進んで行く姿を思い描いていたのだが、何のことはない、車体に伝わるモーターの振動だけでガタガタ動き回っているような様子で、さながら大きなゴキブリがもがいているような様相が目の前で繰り広げられた。少しの間見ていた子供たちもそれ以上面白いことが起きないとわかると、ナーンダという顔をして卓球台のほうに戻ってしまった。
こんなに強力なモーターを使ったのに。私はがっくり来て、とぼとぼと家に帰った。浮上用モーターの推力に対し搭載した電池類が重すぎたのだろう。私は大きく反省した。
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製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
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こんなに強力なモーターを使ったのに。私はがっくり来て、とぼとぼと家に帰った。浮上用モーターの推力に対し搭載した電池類が重すぎたのだろう。私は大きく反省した。
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