深夜零時頃の電車は、酔っ払いが多い。職場の話をしている皆さんも幾分トーンが上がっている。静かに本を読んでいる人、携帯電話をいじっている人、携帯ゲーム機をいじっている人、酔っ払って苦しそうな人、などが視野に入る。
酔っ払って苦しそうな人は、先入観でそう見えるのである。もしかすると、まったくしらふで、病気によって苦しそうに見えるかもしれないにもかかわらず、酔っ払って苦しそう、という見方になってしまう。先日乗った深夜の列車で、私の左隣に座った若い女性が急に立ち上がって逃げ出した。嫌なものから逃げ出す、という感じがありありとする雰囲気で立ち上がり、混んだ社内の人の中に消えていった。彼女の左に座った初老の男性(右側も初老の男性=私だったので左右似たような男性に挟まれていたことになる)が、かなり気分悪そうに見え、目をつむった青い顔でゆらゆらとしている。逃げていった女性に対し何か悪いことをしたわけではなく、苦しそうにしていただけなのだろうと思う。
私の前にはロシア語らしい言葉で話しを続ける男性2人女性2人の4人組がいた。私も半分寝ながらであったが、ロシア語らしい会話を聞きながら、よくそんなに舌が回るものだなぁなどと思っているところだった。私の左隣の女性が立ち去った直後、ロシア語4人組も、気持ち悪そうにしてゆらゆらしている初老の男性を認識したのだろう、4人組のうち中央の男性が少し体を動かして初老の男性の足を軽く叩きながらきれいな日本語で「大丈夫ですか?」と聞いた。初老の男性はもうろうとした感じで薄目を開けたが、一言も発しなかった。「大丈夫ですか?」と聞いた男性は、大丈夫だな、と判断したのだろう、「いいんです。寝ていて下さい」と言って隣に立っている女性とまたロシア語で話し始めた。
ああ瞬発力が違うな、というのがその時の私の感想だ。私も何かと首を突っ込むタイプではある。しかし、4人で話していて、気が付くとすぐ声をかける、という芸当はなかなかできるものではない。不思議なことだが、人は周囲に人がいるとなかなか人助けが出来ないものらしい。人間は、周囲に人がおらず、自分だけがこの危険に気付いたという場合は、かなり危ないことでも身を挺して危険を周囲に知らせたり人助けをしたりできるらしいが、周囲に人がいて、多くの人が同じように認識していると思うだけで、ま、いいか、となってしまうようだ。だから雑踏で倒れないように気をつけたほうが良い。倒れるならなるべく人の少ないところ、できれば一人しか目撃者がいないような所で倒れるに限る。雑踏で倒れると助かる確率はかなり下がる。酔っ払いが多い夜はなおさらだ。
誰でも人助けしたいと思う気持ちを持っている。だが、それを外に向かって発揮するタイミングが無い。いや、勇気が無い。
何が人に声をかける気持ちを抑止してしまうのか。何かそんなに大したことがあるのだろうか。今、できるだけのことをする。人に恥じるのでなく自分に恥じる気持ちを持てば逆に勇気など要らないかもしれない。だが瞬発力は、鍛えるしかない。
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横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
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私の前にはロシア語らしい言葉で話しを続ける男性2人女性2人の4人組がいた。私も半分寝ながらであったが、ロシア語らしい会話を聞きながら、よくそんなに舌が回るものだなぁなどと思っているところだった。私の左隣の女性が立ち去った直後、ロシア語4人組も、気持ち悪そうにしてゆらゆらしている初老の男性を認識したのだろう、4人組のうち中央の男性が少し体を動かして初老の男性の足を軽く叩きながらきれいな日本語で「大丈夫ですか?」と聞いた。初老の男性はもうろうとした感じで薄目を開けたが、一言も発しなかった。「大丈夫ですか?」と聞いた男性は、大丈夫だな、と判断したのだろう、「いいんです。寝ていて下さい」と言って隣に立っている女性とまたロシア語で話し始めた。
ああ瞬発力が違うな、というのがその時の私の感想だ。私も何かと首を突っ込むタイプではある。しかし、4人で話していて、気が付くとすぐ声をかける、という芸当はなかなかできるものではない。不思議なことだが、人は周囲に人がいるとなかなか人助けが出来ないものらしい。人間は、周囲に人がおらず、自分だけがこの危険に気付いたという場合は、かなり危ないことでも身を挺して危険を周囲に知らせたり人助けをしたりできるらしいが、周囲に人がいて、多くの人が同じように認識していると思うだけで、ま、いいか、となってしまうようだ。だから雑踏で倒れないように気をつけたほうが良い。倒れるならなるべく人の少ないところ、できれば一人しか目撃者がいないような所で倒れるに限る。雑踏で倒れると助かる確率はかなり下がる。酔っ払いが多い夜はなおさらだ。
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