事実は小説より奇なりと言う。確かにそうなのだ。現実世界では小説のようにシンプルに物語が展開することがない。あっちの人こっちの人の思いや利害がからみあってまったく思いもよらない方向に転がっていく。
昨年はじめにリンパ腫と診断され、まあ、あと3ヶ月か半年?そんなところでしょうかねぇ、と医者に宣告されたわが家の愛犬が、思わぬ生命力で生き延び、あれから1年半以上元気に暮らしてきた。ところが寄る年波と病魔には勝てず、ここ数日、急激に衰えている。その様子を見て、妻が今は別々に暮らしている娘を呼び戻した。衰弱した犬を撫でながら一生懸命犬に向かって話しかける娘を眺めている時、電話が鳴った。母である。美味しい「もずく」をもらったので取りに来ないか、と機嫌が良い脳天気な声である。受話器を握っている私を取り巻く世界の空気と受話器の中の空気は明らかに重さが違う。「もずく」と来たか。小説では、こういうことは起きないだろうなぁと母の声を聞きながらぼんやり思う。
いろいろ考えて準備してきたのに、思いもよらない事態が発生してとんでもない事になってしまうということがある。リスクを予想する視野が狭かった場合には必ずと言っていいほど、そういうことが起きる。とんでもない事になってしまう原因は、あわてるからである。心の準備が無いところに、いきなり何かおおごとらしき事件が発生すると、たいがいの人はあわてる。人はあわてると、なぜか右も左もわからなくなってしまう。世の中どうなっているのか、どうしたら良いのかさっぱりわからなくなってしまう。いわゆるパニックである。そうなると、もうどうしようもない。一段落ついて落ち着くまでパニックは続く。
思いもよらない何かが起きてもあわてないでいられる人は少ない。些細なことにも大慌てしてしまう私などは、だから起きうるリスクを、あらかじめ、あれこれ考える。一つ一つに準備をすることはできないが、起きうる事態をイメージしておくだけで、あわてる回数は減る。ま、それでも日々あわてることは多い。考えが甘いわけだ。
福島第一原発で発生したメルトダウン事故の調査を行なっていた国会の事故調査委員会が報告書を出した。あれは「人災」だったと報告しているという。東電が言う「想定外」の事態は、ずっと前から想定していた事だったらしい。これは本当にひどい話だ。起きうる事態、予想された事態が起きただけなのに、福島第一原発の運用を任されていた人たち、彼らをバックアップするはずの東電本社、そして原子力安全・保安院や政府中枢が、みんなまとめてパニックに陥ってしまったのだ。想定はしていたが、まじめに取り合わずに来たのだろう。
「どうせすぐ起きる地震じゃないし、余計な予算を使うのも意味が無いので東電さんのほうで問題無いという報告書あげておいてよ。それで十分でしょ」「ハイ、そのつもりでいました」なんて保安院の会議室で軽くケリがついた話だったのではなかろうか。ところが大地震は発生し、想定どおりの津波が襲来し、想定通り全電源が喪失してしまった。そして自らの準備不足にあわててパニックを起こし、結局最悪の事態まで事故を拡大させてしまった。繰り返すが、これは本当にひどい話だ。
国民の目を別のものに向けて知らないうちに既成事実化してしまおう、というのが政治のやりかたなら、この夏のオリンピックはヨーロッパにとっても、日本にとってもラッキーこの上ないイベントだろう。だがオリンピックゲームの素晴らしい一瞬一瞬に酔いしれながらも、このひどい話を誰がどう決着しようとするのか、忘れずにしっかり見て行きたいと考えている。(三)
monipet
動物病院の犬猫の見守りをサポート
病院を離れる夜間でも安心
ASSE/CORPA
センサー、IoT、ビッグデータを活用して新たな価値を創造
「できたらいいな」を「できる」に
OSGi対応 ECHONET Lite ミドルウェア
短納期HEMS開発をサポート!
GuruPlug
カードサイズ スマートサーバ
株式会社ジェイエスピー
横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
昨年はじめにリンパ腫と診断され、まあ、あと3ヶ月か半年?そんなところでしょうかねぇ、と医者に宣告されたわが家の愛犬が、思わぬ生命力で生き延び、あれから1年半以上元気に暮らしてきた。ところが寄る年波と病魔には勝てず、ここ数日、急激に衰えている。その様子を見て、妻が今は別々に暮らしている娘を呼び戻した。衰弱した犬を撫でながら一生懸命犬に向かって話しかける娘を眺めている時、電話が鳴った。母である。美味しい「もずく」をもらったので取りに来ないか、と機嫌が良い脳天気な声である。受話器を握っている私を取り巻く世界の空気と受話器の中の空気は明らかに重さが違う。「もずく」と来たか。小説では、こういうことは起きないだろうなぁと母の声を聞きながらぼんやり思う。
いろいろ考えて準備してきたのに、思いもよらない事態が発生してとんでもない事になってしまうということがある。リスクを予想する視野が狭かった場合には必ずと言っていいほど、そういうことが起きる。とんでもない事になってしまう原因は、あわてるからである。心の準備が無いところに、いきなり何かおおごとらしき事件が発生すると、たいがいの人はあわてる。人はあわてると、なぜか右も左もわからなくなってしまう。世の中どうなっているのか、どうしたら良いのかさっぱりわからなくなってしまう。いわゆるパニックである。そうなると、もうどうしようもない。一段落ついて落ち着くまでパニックは続く。
思いもよらない何かが起きてもあわてないでいられる人は少ない。些細なことにも大慌てしてしまう私などは、だから起きうるリスクを、あらかじめ、あれこれ考える。一つ一つに準備をすることはできないが、起きうる事態をイメージしておくだけで、あわてる回数は減る。ま、それでも日々あわてることは多い。考えが甘いわけだ。
福島第一原発で発生したメルトダウン事故の調査を行なっていた国会の事故調査委員会が報告書を出した。あれは「人災」だったと報告しているという。東電が言う「想定外」の事態は、ずっと前から想定していた事だったらしい。これは本当にひどい話だ。起きうる事態、予想された事態が起きただけなのに、福島第一原発の運用を任されていた人たち、彼らをバックアップするはずの東電本社、そして原子力安全・保安院や政府中枢が、みんなまとめてパニックに陥ってしまったのだ。想定はしていたが、まじめに取り合わずに来たのだろう。
「どうせすぐ起きる地震じゃないし、余計な予算を使うのも意味が無いので東電さんのほうで問題無いという報告書あげておいてよ。それで十分でしょ」「ハイ、そのつもりでいました」なんて保安院の会議室で軽くケリがついた話だったのではなかろうか。ところが大地震は発生し、想定どおりの津波が襲来し、想定通り全電源が喪失してしまった。そして自らの準備不足にあわててパニックを起こし、結局最悪の事態まで事故を拡大させてしまった。繰り返すが、これは本当にひどい話だ。
国民の目を別のものに向けて知らないうちに既成事実化してしまおう、というのが政治のやりかたなら、この夏のオリンピックはヨーロッパにとっても、日本にとってもラッキーこの上ないイベントだろう。だがオリンピックゲームの素晴らしい一瞬一瞬に酔いしれながらも、このひどい話を誰がどう決着しようとするのか、忘れずにしっかり見て行きたいと考えている。(三)
monipet
動物病院の犬猫の見守りをサポート
病院を離れる夜間でも安心
ASSE/CORPA
センサー、IoT、ビッグデータを活用して新たな価値を創造
「できたらいいな」を「できる」に
OSGi対応 ECHONET Lite ミドルウェア
短納期HEMS開発をサポート!
GuruPlug
カードサイズ スマートサーバ
株式会社ジェイエスピー
横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業