昔は、と言ってもそれほど遠い昔ではないが、写真を撮ると言えばフィルムに映像を焼き付けることだった。それが今では0101の並ぶデジタルデータで写真が撮れる。だからフィルムでなく磁気記憶装置があればフィルムを巻いたり交換したりしなくても写真が撮れる。最も素晴らしいのは、撮った写真をいきなり電波に乗せてネットで繋がるサイバー空間に投げ込めることだ。ひとたび雲の中にあるサイバー空間に投入されれば写真データはネット社会が生き続ける限り永遠に残っていく。
同じように文字も最近はペンを使って書くことが少なくなって来ている。本物のキーボードか画面に表示される擬似キーボードかはさておき、ポチポチとキーを叩いて文字を書く人が増えた。ペンを握って黒い炭素分子を紙の上になすりつける動作はマークシートを使った公式な試験の場だけで行われる所作になってしまうかもしれない。デジタルな文字もまた、即座にネットに投入することが出来、国境を越えた雲の中で自由に行き交うことが可能だ。
音声も映像も、大容量の記憶装置さえあればいくらでもデジタル化して蓄積することができ、雲の中のサイバー空間で共有される。
ただし、現実と真実が異なるように、雲の中の記録と真実が異なる場合もある。アナログな現実世界では世界を見る自分の目、見方、認識、考え方が変化していくのは、むしろあたり前のことだが、記録は過去のまま変わることがない。そればかりでなく、サイバー空間の向こうで暮らす何者かによって、故意に歪められてしまう場合もある。思いもよらない中傷、誹謗の数々がデジタル化されて記録されていく。
デジタル化されたデータだけで人格を再構成し、意識ある個体として再生させるという未来を描いている方々もいる。いずれ確かにそういうことが出来る社会も到来するかもしれない。グレッグ・イーガンが書いた「ディアスポラ」というSF小説の中では人類は肉体というハードウェアを捨て、ソフトウェアだけになってこれまでにない宇宙進出を果たす。こうした方向性が良いことなのか悪いことなのかわからないが、それほど遠い未来に進む前に、私たちはもっと人間についての理解を深めないといけないだろう。
デジタルな記憶装置で構成されるサイバーな社会と生身の人の社会で異なる大きな違いは、サイバー社会はすべてを忘れず、人の社会はみんな忘れてしまう、ということだ。忘れないように努力してもなお、人は忘れていく。しかし、デジタルな記録はそのままの形で残る。しかも、分散して様々な場所に記録され残っていく。雲の中のどこに記録されているのか特定することすらできない。
人には「忘れられる権利」がある、としてEUでは1月に新しい個人情報保護の法案が作成され2年後から施行されるという。サイバー空間を拡大することによってビジネスを拡大させてきたITの仕掛け人たちは、この「忘れられる権利」にどのように向きあうのか。どのような仕組みを作って「忘れた」ように見せかけるのだろうか。
ギリシア文明の彫像は皆白い大理石で出来ていると考えられていたが、実は作られた当時は極彩色豊かな色に塗られていた、という。その昔、そのことに気付いた大英博物館では白いほうが美しいと考えて収蔵されている彫像の表面を白く輝くように磨いて展示した、という。そのために世界の人々はギリシアの彫像は白いものだと思い込んでしまった。
「忘れられる権利」をどう実現するか。間違えるとギリシア彫像は白いと思い込まされてしまったように、今が正しく未来に繋がらない。(三)
monipet
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株式会社ジェイエスピー
横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
同じように文字も最近はペンを使って書くことが少なくなって来ている。本物のキーボードか画面に表示される擬似キーボードかはさておき、ポチポチとキーを叩いて文字を書く人が増えた。ペンを握って黒い炭素分子を紙の上になすりつける動作はマークシートを使った公式な試験の場だけで行われる所作になってしまうかもしれない。デジタルな文字もまた、即座にネットに投入することが出来、国境を越えた雲の中で自由に行き交うことが可能だ。
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ただし、現実と真実が異なるように、雲の中の記録と真実が異なる場合もある。アナログな現実世界では世界を見る自分の目、見方、認識、考え方が変化していくのは、むしろあたり前のことだが、記録は過去のまま変わることがない。そればかりでなく、サイバー空間の向こうで暮らす何者かによって、故意に歪められてしまう場合もある。思いもよらない中傷、誹謗の数々がデジタル化されて記録されていく。
デジタル化されたデータだけで人格を再構成し、意識ある個体として再生させるという未来を描いている方々もいる。いずれ確かにそういうことが出来る社会も到来するかもしれない。グレッグ・イーガンが書いた「ディアスポラ」というSF小説の中では人類は肉体というハードウェアを捨て、ソフトウェアだけになってこれまでにない宇宙進出を果たす。こうした方向性が良いことなのか悪いことなのかわからないが、それほど遠い未来に進む前に、私たちはもっと人間についての理解を深めないといけないだろう。
デジタルな記憶装置で構成されるサイバーな社会と生身の人の社会で異なる大きな違いは、サイバー社会はすべてを忘れず、人の社会はみんな忘れてしまう、ということだ。忘れないように努力してもなお、人は忘れていく。しかし、デジタルな記録はそのままの形で残る。しかも、分散して様々な場所に記録され残っていく。雲の中のどこに記録されているのか特定することすらできない。
人には「忘れられる権利」がある、としてEUでは1月に新しい個人情報保護の法案が作成され2年後から施行されるという。サイバー空間を拡大することによってビジネスを拡大させてきたITの仕掛け人たちは、この「忘れられる権利」にどのように向きあうのか。どのような仕組みを作って「忘れた」ように見せかけるのだろうか。
ギリシア文明の彫像は皆白い大理石で出来ていると考えられていたが、実は作られた当時は極彩色豊かな色に塗られていた、という。その昔、そのことに気付いた大英博物館では白いほうが美しいと考えて収蔵されている彫像の表面を白く輝くように磨いて展示した、という。そのために世界の人々はギリシアの彫像は白いものだと思い込んでしまった。
「忘れられる権利」をどう実現するか。間違えるとギリシア彫像は白いと思い込まされてしまったように、今が正しく未来に繋がらない。(三)
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