じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

若竹千佐子「おらおらでひとりいぐも」

2020-08-13 20:52:19 | Weblog
★ 最近、桃子さんの頭の中にはいろいろな人々がいる。一人暮らしの桃子さんに、彼ら(彼女ら)は話しかけ、桃子さんが「誰か」と問えば、「おらだば、おめだ」と東北弁で答える。

★ 若竹千佐子さんの「おらおらでひとりいぐも」(河出文庫)を読んだ。

★ テーマは一言で言ってしまえば「老い」。誰にでも訪れるであろう「老い」である。

★ 桃子さんにも子どもの頃もあれば、後に夫となる男性との出会いもあった。子を産み、育て、子たちは巣立った。そして夫を見送った。今、桃子さんは1人で暮らしている。1人が寂しかろうと、頭の中には入れ替わり立ち代わり、いろいろな声が駆け巡る。

★ 生きる苦しさ、生きる楽しさ。筆は、1人の老いた女性をこれでもかというほど追いかけているので、(それになじみの薄い東北弁なので)、途中は読むのに結構難渋した。しかし、最後の10ページには心打たれた。

★ もはや桃子さんは、悟りの境地に近づいているのかも知れない。ほっこりとしたエンディングがありがたかった。
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吉行淳之介「驟雨」

2020-08-13 16:15:15 | Weblog
★ 夏期講座も半分が過ぎた。例年の5週間が3週間に縮まったものだから、何かと慌ただしい。それにこの酷暑、年をとったせいか身体にこたえる。

★ ここ数日、夕立が降る。少しずつ季節が移り変わっているのだろうか。夕立ということで吉行淳之介さんの「原色の街・驟雨」(新潮文庫)から「驟雨」を読んだ。

★ まだ売春が公然と認められていた時代。主人公でサラリーマンの山村は独身を謳歌し、娼婦を相手に欲求を満たしていた。割り切った遊びのはずだったが、知らぬ間にある娼婦に魅かれてしまったらしい。彼女が自分の独占物でないことに、嫉妬を感じるようになった。

★ この作品で驟雨は夕立ではなく、贋アカシアの青葉が一斉に落ちている風景を言っている。

★ 自分の順番を待つために、安っぽい食堂で茹でた蟹の身をほじくりながらカップ酒を飲む姿が印象的だった。彼の人生はこれからどうなったのだろうか。

★ ここ数日、疲れて活字を見ると居眠ってしまうので、映画を2本観た。まずは「俺たちに明日はない」(1967年)。大恐慌時代のアメリカ、社会からはみ出た男女が銀行強盗を繰り返す、というもの。実際にあったボーニーとクライドの事件を描いている。最後の銃撃は凄まじい。

★ もう1本は「明日に向かって撃て」(1969年)。1890年代のアメリカが舞台。ちょっと田舎へ行けばまだ西部劇の時代のようだ。その時代、銀行や列車を襲った強盗団、ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの実話をもとにしている。ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードが主演。

★ どちらも有名な映画だが、今まで観る機会がなかった。1960年代後半、悪役ヒーローが活躍する映画が登場するというのは、何か背景があったのだろうか。

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