じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

坂東眞砂子「パライゾの寺」

2020-08-08 17:45:26 | Weblog
★ 坂東眞砂子さんの「パライゾの寺」(文春文庫)から表題作を読んだ。

★ 明治維新、時代が急変する中、厳しい禁教令が解かれ、いわゆる「隠れキリシタン」が表に出てきた。とはいえ、明治政府の方針は彼らを諸藩に分散し、改宗を迫ること。

★ 最年少(22歳)の豊市をはじめ、長崎浦上村一本木の人々25名は、土佐に流された。

★ 流された人々、そして政府の方針で彼らを受け入れさせられた村の人々、それぞれに思惑が交錯する。村の重鎮たちは遊女屋で会合を重ね、彼らに邪淫の罪を犯させ改宗を迫るという策に出た。

★ キリシタンたちは転んでしまうのか。

★ 廃仏毀釈の中で還俗し門番になった僧侶。遊女となった武家の娘。隠れキリシタンの物語に彼らの人生も絡んでくる。

★ 「転び」を描いたものとしては遠藤周作さんの「沈黙」が圧巻だ。人々の苦しみを前に、神はなぜ沈黙を保つのか。

★ 捕虜と村の人々との関係を描いたものとしては、大江健三郎さんの「飼育」も印象的だった。

★ 「パライゾの寺」で引用されていた「参ろうゃ~ 参ろうゃ~」の歌が印象的だった。仏教でいう御詠歌のようなものだろうか。「だんじく様」の物語は悲しい。
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