★ 葉真中顕さんの「コクーン」(光文社文庫)を読み終えた。この作品も面白かった。
★ いくつもの物語がつながり合ってこの世界が形成されている。コクーンとは繭を意味する。この繭(コクーン)にもいくつもの意味がある。
★ 1995年に銃乱射事件を起こした「シンラ智慧の会」。彼らがある山麓に築いた施設がコクーンだ。モデルはオウム事件で、コクーンは「サティアン」と呼ばれた施設を思い起こさせる。
★ 時代や場所をつなぐのが黄金の翅をもつ蝶だ。バタフライ・エフェクト、パラレルワールドが展開される。
★ すべてのものはつながり、すべては「なるようになるし、なるようにしかならない」。この諦観が心に残る。
★ 戦中から戦後の復興。高度経済成長にバブル経済。1995年のオウム事件に2011年の北日本大震災。それに性的マイノリティも作品に盛り込まれている。良いことも悪いこともいろいろとあった。人生80年とも100年とも言われる時代。振り返ってみれば一炊の夢なのかも知れない。