じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

相場英雄「ガラパゴス(下)」

2023-03-16 15:27:57 | Weblog

★ 昨日は近隣中学校の卒業式。明日は公立高校中期試験の発表。季節は確実に動いている。

★ さて、相場英雄さんの「ガラパゴス」下巻(小学館文庫)を読み終えた。身元不明の自殺者として処理された遺体。コールドケースを扱う田川刑事は鑑識に転属した木幡刑事とともに、その自殺が偽装殺人であることを見抜く。

★ 2人は被害者が沖縄の離島出身者であることを突き止め、彼が本土に渡ってからの足取りを追う。そして見えてきたのは、派遣労働者の過酷な生活だった。

★ 事件を解決した刑事は語る。「普通に働き、普通にメシが食えて、普通に家族と過ごす。こんな当たり前のことが難しくなった世の中って、どこか狂っていないか」。自供を終えた犯人は叫ぶ。「運が悪けりゃ、人間として扱ってもらえない世の中にしたのは誰だよ」と。

★ 「貧乏の鎖は、俺で最後にしろ。」被害者の言葉が沁みる。

☆ 読み終わって、甘い汁を吸った人々は結局しぶとく生き残っていくなぁと感じた。一方で、企業のトップも、警察の幹部も、政治家も、自分の既得権益を失うことに恐々としている姿が痛ましい。この世は椅子取りゲームなのか。エピローグで紹介された宮古島の子守歌が心に響く。

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