じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

新書3冊

2025-01-19 17:57:10 | Weblog

★ 最低賃金1000円時代、新書の値段も1000円を超えるようになってきた。かつて岩波新書は300円~400円だったから、随分と値上がりしたものだ。そのせいもあってか、ここしばらく新書から遠ざかっていたが、最近面白いテーマを見かけたので買ってみた。

★ まずは、佐久間亜紀さんの「教員不足」(岩波新書)。最近マスコミをにぎわせる「教員不足」。しかし、それは既に20年以上も前から始まっていた。「はじめに」を読むと、そもそも教員不足とはどういう状況なのか。なぜ教員不足といわれる事態に陥ったのか、小学校定員35人時代に、適正な教員配置について、学校現場の視点から論じているという。

★ 教員の多忙化はいわれて久しいが。ただそればかりが教員不足の原因ではなさそうだ。何もかも押し込められる教育現場。ひっ迫する地方財政の中で控えられていた正規採用。団塊世代の大量退職でバランスを崩した学校現場。なかなか進まない働き方改革。教育という営みの内容に起因するものもあるが、経営的センスの不足も課題であろう。

★ 古くは「46答申」、新自由主義のもとで開かれた臨教審。学校選択の自由化やバウチャー制度の議論あり、その後流行った「新しい学力観」「ゆとり」。そしてその振れ戻し。日本の公教育は結局何を改善してきたのだろうか。そんな問題意識をもちながら読み進めたい。

★ 次は、平野啓一郎さんの「『カッコいい』とは何か」(講談社現代新書)。私たちが何気なく使っている「カッコいい」という言葉。それの意味するものは何か。「カッコいい」のルーツをたどりながらこれからの「カッコいい」を模索するようだ。「カッコいい」という価値観は、一人ひとりのアイデンティティとも密接に関わっているようで、近代から現代史を考える上でも刺激になりそうだ。平野さんの文章も味の一つだ。

★ 3つ目は、野村泰紀さんの「なぜ宇宙は存在するのか」(講談社ブルーバックス)。宇宙論や量子力学の進化は目覚ましい。私が高校生の頃は、原子核の周りを電子が回っている原子模型が一般的だった。微小な世界はまるで太陽系のミニチュアのように捉えていたが、実施はまったく異なる様相を見せている。

★ そもそも重力とは何か。空間のゆがみとはどういうことか。空間がゆがんでいること自体にポテンシャルな何かがあるとか。電子やクォークといった素粒子が粒子としての性質と波としての性質をもつとはどういうことか。

★ 最近の量子力学は、私の既定の理解を超える世界観を提供してくれる。仏教で説く「空」に近い感覚。それを物理学者は数式で解明しようとしているように思える。

★ この宇宙はどのように生まれ、進化しているのか。この宇宙が生まれる前はどのような状況なのか。最近の実験結果や観測は、新たな示唆を与えてくれている。宗教ではなく科学的に。かつて多元的宇宙論という考え方があった。今はマルチバース(私たちの宇宙はこの宇宙一つだけではない)が有力になってきている。

★ コップに注いだ炭酸水を見ながら想像力をたくましくする。この1つの泡が宇宙なのかも知れない。

★ 60代も後半に及んで、まだまだ学ぶべきことは多いと思った。

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