★ 寒暖差が体にこたえる。昼の時間が少しずつ長くなり、時の移ろいを感じる。
★ さて今日は、下村敦史さんの「闇に香る嘘」(講談社文庫)を読み終えた。主人公の男性は満州で生まれた。戦中、戦後の混乱の中で視力を失っている。
★ 中国残留孤児の帰国事業を国が始め、不慮の事故で大陸に残された兄が帰国した。保障のない帰国事業ではあったが、家族の再会に男性の母親は大いに喜んだ。
★ 主人公の男性には孫がいる。腎臓を病み透析を続けている。孫の病を治すには移植しかない。主だった血縁者は誰も適合しなかった。残されたのは帰国した兄。せめて検査だけでもと頼むが、頑なに拒まれる。もしや帰国した男性は本当に兄なのだろうか、と主人公は疑問を持ち始める。
★ ただでさえ困難な真相解明。目が不自由だと尚更だ。物語は終盤大どんでん返しとなる。
☆ 節分が終われば、いよいよ入試のカウントダウン。塾生の健闘を祈るばかりだ。
★ ところで、自ら命を絶った児童生徒数が過去最多だという。最近、子どもがうつ状態になったという話を聞くようになった。不登校は珍しくなくなった。小学生でもスマホを持つようになって、人間関係が一層難しくなっているように感じる。表情が伴わない文字だけでは誤解を生じやすく、また発言は過激になりがちだ。グループをつくることによって、排斥される子も出てくる。技術の進歩に人間が適応できていないようだ。