神仏軽視の檀家爺様が「住職よ、神仏など、おらんぞ」と。「根拠は」「わしは何十年も鳥居に小便を掛け続けてきたが、一向に罰など当たらん」「どこの神社ね」「〇〇神社じゃ」「ああ、殆ど参詣する人がいない神社だね。少しは『悪いな。恥ずかしいな』という心があるから、人目に付かない神社を選んだんだね」と。
【追伸】
拙僧のこの言葉に赤い顔して、禿頭から湯気出して「ば、ばか言え。よし、今度から太宰府天満宮の鳥居に小便を引っ掛けて来るわい」と。「爺様」「何や」「山岡鉄舟さんと弟子との間で、爺様の話と同じ様な話があってな。その時、鉄舟さんが弟子に『小便を鳥居に引っ掛けても罰が当たっとらんだと。もう既にお前は、罰が当っとる。そんな事をしても恥ずかしくない心しか持ってない事が、罰が当っとる証拠だ』と。この話、どうよ。その点、爺様は少しは恥ずかしいと思ったから、参詣者のない神社を選んだんだろ」と返すと無言に。爺様とのこの会話は、かれこれ10年程前の話。爺様は現在も90をかなり超えて、生存中。