1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 地球上の生物の7割が昆虫。人間は、0、2%と。その0、2%が、でかい顔して、偉そうに。そりゃ、足元掬われますわな。

2022-12-14 14:36:55 | 法話
檀家の小学生が「父さんが『夏目漱石の、吾輩は猫である、を読んでみな』と。その中に『人間ほど、ふてい奴はいねえ。人(猫)の獲った鼠を交番に。五銭を懐に』と。面白い言葉だったので、父さんに『これ、何』と問うと『住職(拙僧)に聞いてきてみな。面白い話が聞けるかもぞ』と言うんで。ねえ、教えてよ」と。

【追伸】
この小学生に拙僧「1894年に香港で発生したペストが、1899年に日本に上陸。その時に対応したが、ペストの原因菌を突き止めた北里柴三郎という医師だよ。ペストは鼠、犬などを宿主に、蚤(ノミ)が媒介して人に伝染する病気でね。よって『鼠の駆除』を北里医師が提案したところ、商売人(商売繁盛所縁の鼠)から猛反発が。それがペストを広めた原因の1つに。そこで北里医師は考えた。『鼠1匹5銭で貰い受ける』と世間に。すると、次の日には数千匹の鼠が届けられたんだと。これでペストが減少の方向に」「漱石さんの『5銭』はその事だったのか」「まあ、そういう事だね。人は自分にとって都合の悪いものを押し付けられたら、必死になって抵抗する。が、その都合が良いものに変わったら、コロっと。人間って、面白いだろ。全ての人が納得出来る政策なんて絶対にない。全てが、シーソーだよ。片方が上がれば、片方が下がる。そのバランスをとるのが、政治家さんの仕事」「国会も学級会も、同じなんだね」と小学生が。

この小学生が「ペスト(黒死病)の話、他にないの」と。「ペストは6世紀に発生し、最も酷かったが、当時の世界人口4億5千万人のうち、1億人が感染死した14世紀。ユーラシア大陸の移動の活発化もあり、中国に攻め込んだモンゴル軍が、ペスト菌を媒介する蚤(ノミ)と鼠を欧州に齎したも、原因の1つと。他にも、鼠を駆除する黒猫を欧州の人達は『魔女の使いである、こいつらのせいだ』と決め付け、大量殺戮を繰り返したもまた、感染拡大原因の1つになったかな。この時、同時に魔女狩りも行われたと。フランスのジャンヌダルクも、魔女狩りにあった1人。人間というは、原因不明、解決不能の恐怖には、何かの(誰かの)せいにして、心だけでも安らぎを求めようとする。所謂『スケープゴート、身代わり、生贄(いけにえ)』と言われるものだね。知識がないというは、悲しいもんだよ」「そうか、知識か。それでか、子供の世界が残酷なのは」と。「でも、悲観的な事ばかりではないよ。17世紀のペストパンデミックの時には、学校が自宅勉強になり、そのお陰で研究が進んだニュートンさんが『万有引力の法則』を。りんごが落ちるを見ただけでは、その法則は流石に、発見出来んわな」「その頃から、自宅学習って、あってたんだ。コロナと同じじゃん」「そうだよ。コロナも、人間の足は止めたが、時間までは止めてない。仕事が出来る人間は、仕事が出来る為の工夫を探す。仕事が出来ない人間は、仕事が出来ない事の言い訳を探す。同じ時間を費やして探すなら、言い訳など探さず、勉強出来る工夫を探しな、と。この言葉を拙僧、この3年間で、何人もの学生さん達に言ってきたよ」と。それにしても、この檀家の小学生、凄いでしょ。父親といつも、政治や社会問題の話をしてるんだって。